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1.法人税は、最終利益にかかる。最終利益とは、研究開発投資とか設備投資、社員の給与などを支払った後に残っている利益のことだ。だから、法人税が高くても、研究開発投資や社員の給与が低く抑えられるわけではない。 2.最終利益のほとんどは会社の内部留保に回ったり、または、株への配当金として株主へ支払われてしまう。だから、法人税が高いことにより影響を受けるのは、内部留保が少なくなったり、株主への配当金が少なくなるということ。 3.現在、法人税が高いから引き下げが必要だとする議論の根拠は、大きく二つあり、一つは国際競争で法人税の安い国の企業に日本の企業が負けると言うこと。確かに、内部留保がいっぱいあれば、それを吐き出して一気に投資ができるし、株の配当が多ければ株価が高くなり株の新規発行で資金手当てもしやすい。つまり、これらの利点と法人税が安くなることによる欠点をバランスして、どちらを取るかという判断が必要になる。ここで、現状を見ると、所得税の累進性が弱められたことにより高額所得者の所得、特に企業経営者の所得の伸びが近年著しいし、株の配当金や株の売買による利益にかかる税金も国際的にみるとかなり低率だ。つまり、法人税が低くなることによる利点を日本は生かすような税制が全体としては整っていないことになる。却って法人税引き下げによる悪影響を増幅する形になっていると見るべきだ。 4.法人税引き下げの論拠のもう一つが、法人税の安い国へ企業が移ってしまうと言うもの。しかし、これも、承服しがたい。つまり、最終利益が上がらなくても好調な企業業績は残せるわけで、一般の市民の立場や普通の企業経営者の立場から見たら、そんなに海外移転の利点はない。投資家の立場から見たら、確かに、株の配当がより確保しやすい地域へ移るほうが有利だが、投資家だけで社会が成り立っているわけではない。あまりに社会が階層化されると社会の一般的モラルが低下し、却って、社会の富が全体として失われてしまう。これは、投資家にとっても不利なはずだ。 5.よって、法人税を、証券税制や所得税制をそのままにして引き下げることは有効ではない。もし、法人税引き下げをやるなら、証券税制を分離課税をやめて総合税制にするとか、所得税の累進性を高めるなどの税制全体としての取り組みが必要。 *6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<19>>
法人税減税は必要ではない。
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