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暗黒夜考〜崩壊しつつある日本を考える〜
2010年06月18日
「官房機密費問題」が止まらない 〜ついに地方ローカルのフリーペーパーにまで特集記事〜
今日帰宅した際、郵便受けに投函されていた「週刊大阪日日新聞」を何気(なにげ)にみて、いい意味で驚かされた。
「週刊大阪日日新聞」は、フリーペーパーとして大阪市内を中心に各家庭に無料配布されているが、このような”ローカル色ベタベタ”なフリーペーパーにまで、普通に「官房機密費問題」に関する特集記事が掲載されるようになったことは喜ばしい限りである。
1面から2面までに渡って、実に熱い記事が記載されているので、少し長文となるが以下に転載する。
(転載開始)
◆マスコミに流れていた官房機密費
2010/6/19
官房機密費の一部が政治評論家やマスコミ関係者に配られていた実態が暴露された。内閣官房長官をやり、自民党の最大派閥「経世会」の大幹部だった野中広務氏の証言だけに信ぴょう性が高く、週刊誌や一部マスコミなど大手メディア以外では、この問題を厳しく追及している。政治のカネがいかにしてマスコミに配られていたのか、そのことが公平・中立を掲げる報道をどうゆがめていたのか。現在の政界内部の事情に詳しく、元大手紙政治部キャップも務めた霞泰介氏にインタビューし、癒着の実像に迫った。
●元大手紙政治部キャップが告白
−大手メディアを除き、官房機密費によるマスコミ汚染が指摘されている。大手紙の政治部キャップを務めたあなたに真相を聞きたい。
野中広務元内閣官房長官の発言はショッキングだった。過去にも共産党が加藤紘一官房長官時代(宮沢内閣)の機密費の一部を暴露したことはあったが、今回は小渕内閣時代のもので比較的新しい。しかも発言者が自民党の大物幹部だっただけに信ぴょう性が高いと受け止められた。
一部の週刊誌などで名前があがった政治評論家だけでなく、大手紙やテレビ局の政治記者を経験した者らがカネを受け取ったのはほぼ間違いない。実際、元毎日新聞の政治部長で政治評論家の三宅久之氏が、中曽根内閣時に受け取ったことを認めている。当然、現役の政治記者も含まれているのは過去の慣習から考えると疑う余地はない。
というのも、昔から総理大臣を囲む政治部長や論説委員らとの懇談会が行われており、このときに「お車代」などの名目で謝礼を受け取るのは普通のことだった。
だが、こうした事実が明るみに出ると、建前でも公正、中立の報道を掲げる立場からすると、政権との癒着が国民の目に映るのはまずい。いわば身内の恥を隠したい思惑がある。
−政治家がマスコミに対して官房機密費をばらまく狙いは何か。
政権与党のシンパになってもらい、不利な報道を抑えることが第一の目的。言ってみれば、マスコミをポチとして飼いならすエサの役割を果たしている。
−あなた自身、政治家に誘われて会食したことはあるか。また、そのときの支払いは。
政治記者にとって、政治家(主に大臣、派閥の長か大幹部)にいかに食い込み、特ダネを得るかが日頃の取材上の最大の目標。その手段として政治家との食事は格好の機会となる。こちらが誘い、安い居酒屋の離れで合うような場合は、記者の方でカネを出すが、ほとんどは政治家がセットしてくれた高級な料理屋やレストランで合うことが多い。支払いは政治家持ちで、記者はそのお礼に、誕生日にネクタイを贈るなどして、ささやかにバランスを取る。だが、大半は相撲界と同様、ごっつあん体質≠ェまかり通っている。
《報道汚染による世論誘導はあったのか? 官房機密費による癒着の実像!!》
●政治家とマスコミのなれ合い体質
元大手紙政治部キャップの霞泰介氏へのインタビューを通じ、官房機密費による政治家とマスコミ(政治部記者)の癒着の実像が次第に浮かび上がってきた。こうした「なれ合い体質」から、報道の真相をねじ曲げ、世論形成を図った事実もあったのだろうか? いよいよ核心に迫りたい。
−過去、マスコミが機密費のばらまきを背景に、政治家に都合の良い報道をして、世論誘導を図ったことはあるか?
世論の動向で政治が大きく動くような場合、過去でいえば、日米安保条約改定問題や、消費税の導入問題が起きた際、政権与党に都合の良い論調を作り出すよう働き掛けがあった。
例えば、中曽根内閣で当初は「売上税」の名前で「一般消費税」を導入しようとした際、中小の商店をはじめ、経済界の猛反対に遭った。このとき、導入反対の論陣の急先鋒(せんぽう)だった在京大手紙(※注釈:恐らく”読売”)は、ある時期から、突然、賛成に回っている。
背景には、実力者である大幹部(※注釈:”ナベツネ”に違いない)に陰に陽に政権与党側からの働き掛けがあったからだ。方針転換の見返りとして、民間や公共の広告量を大幅に増やすなど、官房機密費を使った便宜供与の形跡があった。
−かつては政治記者が政治家を交えて公然と賭け麻雀が行われていたと聞いたが。
世代の変化で今の若者はTVゲーム専門で、麻雀には見向きもしなくなり、10年前までは見慣れた風景だった記者クラブでの賭け麻雀はすっかり姿を消している。わたしが知る全盛期のころは、何と国会内の記者クラブでも朝のうちから公然と行われており、しかも、その場に与野党の議員が加わるのも日常茶飯事だった。
というのも、政治の取材には待ち時間がつきもので、記者は暇な時間を利用して、読書したり、花札に興じたりして、主にベテラン記者が麻雀卓を囲むという具合だった。もちろん、金を賭けて。
賭け麻雀に加わるのは主に国会対策に関係する議員が多く、記者との懇親を深める狙いがあったが、気前よく負けて小遣いをばらまく議員の評価は高かった。長年の習慣として続いており、とがめ立てする空気は一切なく、言ってみれば、仲間うちだけで構成する記者クラブ制度の閉鎖性を象徴するヒトコマといえる。
−野中氏はなぜ、暴露したのか。
野中氏は、かつての最大派閥「経世会」(竹下派)の大幹部。民主党の小沢一郎氏とは政敵同士だった。
すでに政界を引退したが、民主政権後の小沢氏は、野中氏がトップを務める土地改良事業団体連合会の予算削減や、自民党から出馬予定の参院選候補を辞退に追い込むなど徹底的に弱体化を図ってきた。当然、面白いわけがない。
民主政権になって、官房機密費の扱いが話題になり、政権獲得前の「原則・公開」から後退していることを見て取った野中氏は、あえて過去の事例を暴露することで国民の目を引きつけ、民主党へのけん制を狙ったと考えられる。
年間14億円を超える官房機密費に領収書は必要なく、使途も非公開で済む。このため、政権を維持するための与党の裏金として使われてきた歴史がある。そのうまみを知りつくしているだけに、野中氏が投じた一石は計算されたものと見ていい。
−大手マスコミによる小沢批判が始まったのは平成9年、竹下派直系の情報機関「三宝会」が設立してからだと指摘する声があるが本当か。
確かに三宝会には経世会(竹下派)を担当していた政治部記者が多数参加していた。もちろん彼らは竹下シンパであり、血みどろの戦いをして派閥から別れた小沢氏は、竹下氏にとっては仇敵で、記者たちにとっても敵だった。仲間の記者から小沢氏の動向に関する情報を集め、竹下派の幹部に流すのは日常茶飯事のことであり、大手マスコミによる小沢批判報道の口火を切った一面があったのは否定できない。
小沢氏を恐れたのは、細川連立政権を仕掛けたように、小沢氏の持つ豪腕といえる政治力。その背景にある資金力も無視できない。そうなると、反小沢の情報の中心は、どうしても政治とカネをめぐるスキャンダルとなり、それは今も続いている。
派閥記者の中でも、竹下派担当の記者は、その前身である田中派以来の伝統もあり、政治家との癒着が目立った。盆暮れの付け届けを平気で受け取り、バーやクラブの遊興費を派閥に付け回しする豪の者もいたほどだ。
政治家のカネをめぐるスキャンダルを鬼の首をとったように報道する資格が、果たしてマスコミ自身にあるのかと指摘されても仕方がない側面がある。
《野中氏暴露以降の機密費に関するメディア報道》
TBS「NEWS23クロス」(2010.4.19・20)
野中広務元官房長官が官房機密費について暴露
しんぶん赤旗(4.22)
歴代首相に月1000万・野中元官房長官、テレビで暴露
日刊ゲンダイ(4.26)
「前官房長官・河村をビビらせた野中広務の告白」
NEWS23クロス(4.27)
武村元官房長官が語る官房機密費流用の実態
琉球新報(4.28)
野中広務元官房長官が23日に那覇市内で開かれたフォーラムの基調講演の中で、先例に従い複数の評論家に内閣官房報償費から数百万円を届けていたことを明らかにした
朝日新聞(4.30)
野中広務元官房長官が30日、当時の官房機密費の取り扱いについて、「毎月5千万〜7千万円くらいは使っていた」と暴露。都内で記者団に明らかにした
共同通信(5.1)
野中広務元幹事長が30日、共同通信の取材に答えた
時事通信(5.1)
野中広務元幹事長は1日、時事通信の取材に答えた
産経新聞、福島民報、四国新聞、西日本新聞、中国新聞、中日新聞、静岡新聞、信濃毎日新聞、東京新聞、東奥日報、岩手日報、北海道新聞(5.1)
機密費「月5000万円超使った」野中元官房長官が告白(共同)
読売新聞(5.2)
野中広務元幹事長は1日、読売新聞の取材に応じた
佐賀新聞、熊本日日新聞、下野新聞(5.2)
機密費「月5000万円超使った」野中元官房長官が告白(共同)
TBSニュースバード(5.11)
官房機密費の実態
読売テレビ「たかじんのそこまで言って委員会」(5.16)
「メディア論スペシャル」として官房機密費とマスコミの関係などについても言及
ニュースの深層(5.18)
「私は機密費で記者たちに女性を世話していた」平野貞夫爆弾告発
東京新聞(5.18)
官房機密費メディア操作 野中氏発言の波紋
中日新聞(5.18)
特報 野中元官房長官の暴露#g紋 機密費で世論誘導?
毎日新聞(5.21)
20日に行われた野中広務元官房長官の毎日新聞インタビュー
しんぶん赤旗(5.25)
主張/野中氏機密費証言/世論の買収を究明すべきだ
週刊ポスト(5/28号)
【怒りの告発スクープ】なぜ大新聞〈&テレビ〉は野中広務氏が暴露した「官房機密費」を追及できないのか 「世論誘導工作に巨費投入」の全容を白日のもとに曝し出せ
フォーカス(5.31)
極秘メモ流出!内閣官房機密費をもらった政治評論家の名前
日刊ゲンダイ(6.1)
8.13現役のキーマン官僚が証言台に 官房機密費訴訟
週刊ポスト(6/4号)
「世論誘導」と「人民裁判」の国ニッポン 「官房機密費実名リスト」に血相を変えたテレビ局大幹部と元官邸秘書官
SPA!(6.8)
ニュース/記者クラブメディアが震撼する官房機密費バラ撒き先リスト!
週刊ポスト(6/11号)
官房機密費マスコミ汚染問題 〈歴代〉官邸秘書官を連続直撃! 大新聞は報道せず(東京新聞を除く)テレビは特集番組をあわてて中止! 「記者ひとり30万円手渡した」「土産代」
週刊ポスト(6/18.25号)
「官房機密費もらった記者いないか」大新聞・テレビの回答書を公開する
※新聞データベース「Gサーチ」の検索結果を基に4月19日から6月8日までの報道履歴をもとに週刊大阪日日新聞が作成
●この特集の意図
経済・財政政策や金融問題が最も急がれるはずなのに、いまだ「政治とカネ」や「郵政民営化」が現在の政治の主な議題となっている。多くの人は「大手マスコミはこの話題ばかりを取り上げないでほしい」と至って冷静だ。
この手の話は分かりやすいので、政治を知らない人にとって選挙の判断材料になりやすい。だが、偏狭な正義感で延々と議論していると大局を見失う。
かつては政治家やマスコミにかかわらず「話し合い」という「談合」、「コミュニケーションツール」という「カネ」が正々堂々とまかり通っていた事実があり、またそれは必要悪でもあった。だから今回、あえてかつての「政治とカネ」の真実を掲載した。このことをぜひ、クールに読み抜いてほしい。
(転載終了)
特別に目新しい内容が掲載されている訳ではないが、「報道履歴」を丹念に纏め上げたり、「特集の意図」を丁寧に説明するなど、「”ジャーナリズム”とはかくあるべき!」という心意気を感じさせる記事である。
そして次号予告をみると、引き続き、「”特別企画”大手マスコミが伝えない真実」と題して、「@官房機密費の真実」「A北朝鮮の真実」を掲載するとのことであるので、「週刊大阪日日新聞」からは暫く目を離せない。
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※写真等詳細は、元エントリーをご覧下さい。
http://blog.goo.ne.jp/tarutaru22/e/950e1d1d1b198f618e514450ba8c6850
(コメント)
日本各地に心あるジャーナリストはいます、B層の人に真実が確実に伝わっています。
日本も、まだまだ、捨てたもんじゃないですよ。
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