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2010年6月17日 (木)
財務省路線走狗の低劣な法人税減税提唱者
日本の財政収支が著しく悪化したことは事実である。2009年度は財政規模102.5兆円に対して税収は36.9兆円にしか達しなかった。国債発行金額は53.5兆円と歳入の50%を突破した。財政非常事態と称して差支えないだろう。
しかし、わずか2年前、2008年度当初予算での国債発行金額は25兆円だった。2007年度では実績ベースで国債発行金額は25.4兆円だった。
わずか1年で国債発行金額=財政赤字は2倍増を示したのである。
財政事情急変の主因は経済情勢の急激な悪化にあった。2008年後半に深刻化したサブプライム金融危機の影響で、世界的に不況が伝播した。
日本では麻生政権の認識が甘く対応が遅れたが、経済が深刻化した時点で14兆円規模の史上空前の補正予算が編成された。官僚利権てんこ盛りのバラマキ予算の典型だったが、この歳出拡大を主因に財政赤字が激増した。
さらに赤字拡大を増幅させたのが、税収見積もりの間違いである。麻生政権が見積もった税収は実績を9兆円も上回る過大見積もりであることが判明した。歳出の激増と税収の激減により、日本の財政赤字は25兆円から一気に50兆円超えに2倍増を示したのである。
今後、日本では人口の年齢別構成の高齢化に伴い、社会保障関係支出の激増が予想される。財政収支のバランスを改善させると同時に、高齢化が進展した段階での財政破たんを回避するための方策を早急に検討することが求められている。
政府債務残高のGDP比は早晩、200%を突破する情勢にあるが、この数値は主要国のなかで突出して悪化したものである。日本の場合、国内での所得と支出のバランスから生じる貯蓄が国内での実物投資を大幅に上回り、巨大な資金余剰が生じているため、政府部門が巨額の赤字を計上しても資金のひっ迫が生じることがない。
これが欧州諸国などとの決定的な違いだが、将来にわたって資金余剰が持続する保証は存在しないため、できるだけ早期に財政収支バランスを改善させることが求められている。
財政収支を改善させる方策として、以下の三つをあげることができる。
第一は、経済改善により税収の増加を図ること、
第二は、政府支出の無駄を排除すること
第三は、増税などの歳入増加策を実施すること、
である。
一般会計税収は、1990年度に60.1兆円あった。これが、2009年度、2010年度に37兆円にまで減少した。20年間で23兆円も税収が減少したのである。経済規模を示すGDPは、1990年度が451.7兆円、2009年度が476.0兆円で、2009年度が1990年度を上回っている。
税収を1990年度と2009年度(補正後)と比較すると、
所得税 26.0兆円 → 12.8兆円
法人税 19.0兆円 → 5.2兆円
消費税 4.6兆円 → 9.4兆円
となっている。
特徴的であるのは、法人税が1990年度と比較して4分の1程度にまで激減したのに対して、消費税が2倍強に増加したことである。消費税については1997年度に税率が3%から5%に引き上げられたことが影響している。
この数値だけを踏まえても、次のことが言える。
日本経済を復調させ、経済活動を健全化させることにより、税収の大幅増加を期待できること。経済低迷による税収の激減こそ、日本の財政収支悪化の第一の要因なのである。
第二に重視されなければならないことは、政府支出の無駄を排除することである。麻生政権は2009年度に巨大な補正予算を編成したが、官僚利権てんこ盛りのバラマキだった。これらのバラマキを排除することが優先されなければならない。
鳩山前政権は、政府支出の無駄排除を優先するために、増税の逃げ道を封印した。当初は消費税についての論議すら行わないと言明したが、その後、論議は許容するが2013年の衆院任期満了までは消費税増税を行わないことを確約した。賢明な姿勢を示していた。
ところが、菅新政権は消費税増税に前のめりのスタンスを鮮明に示し始めた。
さらに驚くべきことに、「増税で景気が良くなる」との珍説まで示し始めたのである。菅新首相は完全に財務省路線に取り込まれたと言ってよいだろう。
日本政治を支配し続けてきた主勢力は米・官・業の三者である。政治権力を安定的に掌握するには、この三者と手を握ることが最も効率的である。この鉄則に乗った典型的人物が小泉純一郎氏だった。米国、官僚、大資本と癒着する政治を実行し、その見返りとして長期政権を獲得した。
「官」の中核は、財務省と法務省である。財務官僚、検察官僚との関係を良好に保つことが政権安定の要であるとの判断を菅新首相は保持しているのだろう。
財務省の切望は消費税大増税を実現することである。消費税は、景気変動に左右されない最強の安定財源である。どんなに不況が深刻化しても、所得水準の低い一般大衆に確実に年貢を納めさせることができる。情け容赦のない酷税である。
現在生じている税制論議で、何よりも不可解なことは、法人税について、減税論議が先行していることだ。1990年度の税収水準と比較して、法人税は4分の1に激減した、最大の減税実施税目なのである。消費税は逆に2倍に拡大した最大の増税税目である。
法人税減税が先行して取り上げられているのは、政治の支配者である大資本を消費税大増税論議の賛同者に引き込むためである。これが財務省の常套手段である。
法人税減税を提唱し続けてきた人物は、消費税大増税に向けての財務省の基本戦術に組み込まれている人物とみて、まず間違いない。
この問題と、企業団体献金全面禁止論議とは表裏一体をなしている。
これまでの日本政治は、企業団体献金容認を通じて、大資本が政治を実質支配する構造で運営されてきた。企業団体献金全面禁止が実現すると、大資本が政治権力を支配するパイプが断ち切られることになる。大資本の政治権力支配の力は急激に衰えることになる。
逆に言えば、企業団体献金の容認は大資本による政治支配を温存するための中核政策であり、大資本を消費税大増税支援者に引き込むことは、同時にマスメディアを消費税大増税支援者に引き込むことと同義になる。なぜなら、マスメディアは営業収入のすべてを大資本に依存する存在であり、大資本の意向に反する報道を展開できないからだ。
米官業による政治支配を維持しようとする勢力=利権複合体としての米官業政電=悪徳ペンタゴンは、企業団体献金全面禁止の実現を阻止しようとしている。
霞が関中核勢力である財務・検察勢力も、大資本による政治支配継続を切望している。大資本が背後に存在して、初めて霞が関勢力も巨大利権の配分にありつけるからである。
大資本と対立する利害勢力が「国民」である。小沢一郎民主党元代表が示した「国民生活が第一」の方針こそ、「米官業による日本政治支配」に対峙するアンチテーゼだったのである。
菅直人新首相は財務省路線に乗った経済政策運営を始動させた。その骨子は、
@緊縮財政の強行
A法人税減税と消費税大増税の組み合わせ
B政府支出の無駄排除の凍結
である。
第二小泉政権が動き始めたと言ってよいだろう。
この政治は、政権交代を実現させた国民運動と逆行するものである。
幸い、菅直人新首相の最大の役割は、7月の参院選実施に向けての「選挙管理内閣」に限定されている。9月に民主党代表選が予定されているから、菅新首相はそれまでのワンポイントの登板である。
9月の民主党代表選で主権者国民の総意に基づく新しいリーダーを選出すれば良い。1997年度、2001年度と、日本経済は財務省主導経済政策で二度撃破された。この失敗の教訓を活用しなければ、日本そのものが愚劣な国に堕してしまう。
賢者は歴史に学び、愚者は歴史を繰り返すことを肝に銘じなければならない。
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