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http://news.livedoor.com/article/detail/4826124/
●友党と国民の良心に訴える亀井氏の死闘(上)
2010年06月14日13時22分 / 提供:PJオピニオン
大臣就任会見で合意文作成の舞台裏を明かす自見幹事長(撮影:園田万里子、2010年6月11日)
【PJニュース 2010年6月14日】菅直人政権発足後3日で内閣を去った亀井静香前金融・郵政改革担当相。抗議とも取れる引責辞任と引き換えに交わした民主党との合意書(確認書・覚書)には、郵政改革法案成立の期限はない。郵政をめぐる亀井氏の決断には、計略より信頼にこだわる政治信条がうかがえる。
覚書の不備は信頼の証し
亀井氏が大臣のいすを降りたのは、今国会で郵政改革法案成立が見送られたからである。代表を務める国民新党は、小泉改革で進められた郵政民営化見直しを政策の1丁目1番地に掲げてきた。5年間の辛抱の末、少数政党にようやく訪れた一打逆転のチャンスだった。
今国会での審議未了・廃案を民主党から聞かされた10日夜、国民新党は森田高(たかし)参議院議員と江木さおり次期参院選東京都選挙区公認候補の街頭演説を中止。党本部で開かれた緊急両議員総会は4時間に及んだ。亀井代表は連立離脱を主張した。裏切られた気持ちがあったのだろう。しかし、閣外で参院選挙を迎えれば「討ち死に」(下地幹郎国対委員長)との声があり、亀井氏は連立維持をのんだ。合意書の交換は、苦肉の策だった。
ところが、11日に発表された合意書には肝心な部分が抜けている。参院選後も連立を維持することや今国会で衆院を通過した同一法案の提出をうたいながら、「速やかな成立を図る」と書かれた。期限がない。代わりに、「両党の信頼関係を再確認し、信義に基づき、誠実にこれを実行する」と精神論で結ばれている。
契約文書としては、実効性のない表現である。この文章に落ち着いた理由を、自見庄三郎幹事長が同日夜金融庁で開かれた大臣就任会見で明かした。「今国会までに」と作るべきとの意見も党内にあったが、亀井代表が「そんな国会対策的なことは両党の合意で書くべきではない」と反対したというのだ。「これは信用の問題だ」と。
自見新大臣は代表の決定を擁護し、最後に漏らした。「政治は詰め将棋のように詰めをしても駄目。最後は信頼関係。亀井代表は人を信頼する人だから、そうされたのかな」
信頼が返ってくる世界は美しい。しかし、今回の辞任劇はそもそも、良心に託した空疎な文言に原因がある。亀井前大臣と菅首相とが4日交わした合意書には「審議中の郵政改革法案は速やかに成立を期す」とあり、菅首相は記者会見で今国会での成立を明言していた。
文書は不備だし、口約束は法律的に何の効力も持たない。しかし、政治家は政策決定と約束に命を賭ける職業と肝に銘じる者同士なら、その必要はない。これが亀井静香氏の政治家としての美学なのだろう。「地位に恋々としない」と口にすることがあったが、今回の辞任は、自分の身を自分で裁く覚悟ありの姿勢を見せる機会でもあった。
こうした亀井氏の崇高な理想は、ことごとく裏切られてきた。二〇〇一年の自民党総裁選で出馬を表明するも、小泉純一郎氏と政策合意を結び、直前に辞退する。人事を含め、亀井氏の意向を全面的に採用することを約束され、小泉氏の応援に回った。しかし、当選後、反故(ほご)にされている。【つづく】
http://news.livedoor.com/article/detail/4827940/
●友党と国民の良心に訴える亀井氏の死闘(中)
2010年06月15日11時09分 / 提供:PJオピニオン
米国からの『年次改革要望書』2008年10月版。「郵政民営化」の項目では3事業の民営化が詳細に指図されている(在日米国大使館ホームページより)
【PJニュース 2010年6月15日】(上)からのつづき
郵政見直しを阻むマスコミのデマ
そもそも、郵政族でも何でもない亀井氏がここまで郵政見直しにこだわるのはなぜだろう。その理由はただ1つ、郵政事業の下に集まったわが国の庶民の虎の子350兆円を外国金融資本の略奪から守るためである。米国が毎年わが国に突き付ける『年次改革要望書』の1995年版に簡易保険の廃止と保険市場開放を求める条項が登場して以来、郵政3事業の民営化が事細かく指示されてきた。
賢明な読者はこうした事情をご存知だろうが、マスコミ情報にしか接しない大衆は「100万票の郵政票が欲しいだけ」「既得権益を守るため」「民業圧迫」「財政規律が守られなくなる」などの報道を信じ込まされている。
郵便局組織が集票マシンとして機能したのは1980年までのこと。経済ジャーナリストの東谷暁(ひがしだに・さとし)氏によれば2001年の参院選で特定郵便局長会の集票力は47万票にすぎず、2004年の参院選に至っては28万票まで低下している。2007年の民営化後は非正社員化や切り崩しなどにより、さらに衰退しているのは間違いない。参議院選挙で1人当選させるには、100万票は必要と言われている。
「既得権益」は、米国保険業界に向けられるべき言葉である。傷害・疾病をカバーするわが国の「第三分野」は1974年にアメリカンファミリー保険ががん保険を初めて発売して以来、外資の独壇場。市場開放を検討した政府に猛抗議を掛けてきた始末だ。ここに来てテレビが連日のように郵政改革を批判するのは、かんぽ生命の新事業展開をくじくことが喫緊の課題となっていることを示す。
「民業圧迫」というが、他の金融機関の預金額は青天井。ゼロ金利の下、ただ同然でお金を集め、その大部分は企業に貸し付けずに高利な海外運用や手数料で稼ぐ。しかも、政府から12兆円の資金を投入してもらいながら、過去の赤字を理由にほとんどの銀行が納税していない。
「財政規律が守られなくなる」と言うが、ゆうちょ銀行があるから国債を発行するわけではない。小泉流に民営化して引き受けをやめたら、メガバンクも続いて長期金利が上がり、大規模な信用収縮起きるだろう。公務員や政治家の給料も払えなくなる。むしろこうした引き受け手を大事にして積極的な景気対策を打ち、税収増による財政規律の健全化を図ることが急務ではないか。
マスメディアは情報による支配装置にすぎない。報酬の源泉を考えれば、国民を利する原稿などに一体誰がお金を払うのかという問題に行き着く。最もお金を持つ者が、最も自由に情報を流布できる。終日浴びせられる報道から影響を受けない現代人などいない。【つづく】
パブリック・ジャーナリスト 高橋 清隆
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