http://www.asyura2.com/10/senkyo88/msg/499.html
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この田中良紹様の話を見ましたら
民主党(菅政権)は「敵を欺くにはまず味方から」
を行っているのではないかと。
それも中途半端ではなく「徹底的に」。
(特にマスコミを欺く為に)
私が知る限りこれを行った人を挙げるとすれば
・大石内蔵助(ご存知、忠臣蔵より)
・ロアン・デミトリッヒ(蒼き流星SPTレイズナーより)・・・
(田中良紹の「国会探検」コメント)
今回の仕掛けが小沢さん、鳩山さん、菅さんの深慮遠謀なのか、単なる権力抗争なのか。
それが問題だ。
(田中良紹の「国会探検」) から
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2010/06/post_222.html
(転載開始)
政治を知らない「政治のプロ」たち
シルクロードから帰国して見たこの国の新聞、テレビ、雑誌の政治解説は、私の見方とことごとく異なる。私がこの政局を「民主党が参議院選挙に勝つための仕掛けで、将来の政界再編を睨んだ小沢シナリオだ」と見ているのに対し、新聞やテレビに登場する「政治のプロ」たちは「民主党内で反小沢派が権力を握り、小沢氏の政治力が無力化された」と見ている。
私の見方が当たっているか、「政治のプロ」たちの見方が当たっているかはいずれ分かるが、困るのは「みんなで渡れば怖くない」で書いたように、日本の新聞やテレビは間違いを犯しても「みんなが間違えたのだから仕方がない」と何の反省もせずにそのままにする事である。だから何度も誤報を繰り返して国民を惑わす。私は間違えたら反省するし、なぜ間違えたかを分析して次の判断に役立てる。
ところでここで問題にしたいのは政局の見方の当否ではない。「政治のプロ」を自称する人たちの解説の中に、まるで政治を知らない「素人」の議論が多々ある事である。それだけは訂正しておかないと国民に誤った認識を与える。
「政治のプロ」たちは、「権力の中枢を反小沢派が占めた事で小沢氏は無力化された」と見ている。官房長官も幹事長も反小沢派の急先鋒で、財務委員長も反小沢派だから、小沢氏は金も動かせないと解説している。「建前」はそうかもしれない。素人ならそう思う。しかし多少でも政治を知る者は、それが「建前」に過ぎない事は分かっている。総理、官房長官、幹事長のポストに権力がある訳ではない。本人の資質と政治力がなければただの「操り人形」になる。
アメリカのレーガン大統領はアメリカ国民から「父親のような存在」として敬愛されたが、彼が真の権力者であったと思う「プロ」はいない。見事に大統領を演じてみせただけで、シナリオを書いたのは別の人間である。中曽根康弘氏も総理在任中は権力者であったとは言い難い。ひたすら田中角栄氏の考えを忖度し、それに逆らわぬ範囲でしか政治を動かせなかった。そして田中氏が病に倒れた後も金丸幹事長の意向に左右された。中曽根氏が政治的に力を持つのは総理を辞めてからである。
田中角栄氏も実は総理在任中より辞めてから、しかもロッキード事件で刑事被告人となってからの方が強い権力を握った。と言うと素人はすぐ「金の力で」と下衆な判断をするが、金の力だけで権力は握れない。田中氏の力の源泉は人を束ねる力、すなわち「数の力」である。それも「参議院議員の数の力」であった。
私は再三に渡って日本政治の特殊性を論じてきた。その時にも説明したが、日本政治の特性の第一は参議院にある。日本国憲法では衆議院から総理大臣が選ばれ、衆議院が参議院より優位にあると思われるが、実は参議院の方が力は強い。参議院で法案が否決されると再議決には衆議院の三分の二の賛成を要する。与党が三分の二の議席を持つ事は滅多にない。従って法案の帰趨を握るのは参議院である。参議院の協力なしに法案は成立しない。参議院には総理、官房長官、幹事長のクビを飛ばす力がある。
そのため昔から参議院の実力者は陰で「天皇」と呼ばれた。総理より偉いという意味が込められている。戦後の総理在任最長記録を誇る佐藤栄作氏は「参議院を制する者が日本政治を制する」と言った。角栄氏は参議院の多数を束ねた。つまり参議院選挙は衆議院選挙よりも重要なのだ。民主党は去年衆議院で政権交代を果たしたが参議院で単独過半数を得ていない。実は本当の意味での政権交代はまだ終わっていないのである。だから小沢氏は何よりも参議院選挙に力を入れてきた。
今回の政変で総理、官房長官、幹事長は代わったが、参議院執行部は誰一人として代わっていない。つまり民主党の権力構造は底流で変わっていない。「プロ」ならそう見る。人事権は総理にあるから菅総理は参議院執行部を自分に都合良く代える事は出来た。しかし参議院選挙直前に参議院の人事をいじるのは常識的でない。このシナリオはそこを読んでいる。小沢氏が敷いた参議院選挙のレールも取り外して敷き直す余裕はない。
もう一つ総理、官房長官、幹事長の「寝首」をかく事が出来る重要ポストがある。国対委員長と議院運営委員長で、国会運営の全てを取り仕切る。菅総理は総裁選挙で対立候補となった樽床伸二氏を国対委員長に就けた。思わず「えっ!」と思った。国対委員長と議院運営委員長には腹心を配するのが当然で、敵側の人間を配するのは異例だからである。議院運営委員長はそのまま、国対委員長に小沢グループの支援を受けた樽床氏が就任した事は、これも民主党が変わっていない事を示している。
日本政治の特性の第二は、こちらの方が重要なのだが、権力が国民に与えられていない事である。権力は霞ヶ関とアメリカにあって国民の代表である政治家にない。つまり政権与党に権力はなかった。かつての自民党は霞ヶ関やアメリカと戦う時には野党の社会党と水面下で手を結んで抵抗した。しかしここ20年は自民党が戦う事をやめて霞ヶ関やアメリカの言いなりになった。それが国民の信頼を失わせ、去年の政権交代となった。国民が初めて権力を発揮した。
国民が選んだ政権を潰しにかかってきたのは霞ヶ関とアメリカである。霞ヶ関を代表するのは検察権力で鳩山・小沢両氏の「政治とカネ」を追及し、アメリカは普天間問題で鳩山政権を窮地に陥れた。しかし国民が選んだ政権を潰すか潰さないかは国民が決めるのが民主主義である。検察や外国に潰されたのでは「国民主権」が泣く。この政権の是非は選挙で国民に判断させるべきである。そこで民主党は参議院選挙で勝つための条件整備をした。
野党自民党が今度の選挙で民主党を攻撃する材料は三点あった。「政治とカネ」と普天間と民主党の経済政策である。「政治とカネ」では小沢・鳩山両氏が、普天間では鳩山氏がターゲットになり、経済政策では「バラマキで財政が破綻する」と批判される筈だった。自民党はそのために消費税増税を選挙マニフェストに掲げる予定でいた。
それが今回の政変で鳩山・小沢の両氏が辞任し、「政治とカネ」と普天間が攻撃材料になりにくくなった。次に菅政権は「財政健全化」に政策の力点を置いた。さらに将来の消費税増税に積極的な玄葉氏が政調会長に就いた。これで三点への防御態勢を固めた。自民党の谷垣総裁は民主党の路線転換を「抱きつき作戦」と批判したが、その通りである。しかしそう言って批判しても始まらない。これから選挙までの短い間に違う攻撃ポイントを見つけなければならない。困っているのは自民党である。
選挙の公示まであと1週間余りしかない。もはや選挙戦は事実上の後半戦である。政治を知らない「政治のプロ」たちが解説をすればするほど、また素人にも分かるように「建前」に終始した話をすればするほど、民主党は「変わった」という話になり、参議院選挙は民主党に有利になる。2人擁立が批判されていた2人区で小沢・反小沢がしのぎを削れば2人当選する可能性もある。そして選挙後に「多くの参議院議員を束ねた者が日本政治を制する」のである。
コメント
田中先生
とても面白く読ませていただきました。
小沢さんは今回の絶妙なタイミングの辞任で確かに参議院に貸しをつくったわけですね。「政治のプロたち」でさえ読み間違える政局をつくる小沢さんはやはり天才です。小沢さんが辞任してからも止むことを知らない「政治のプロたち」の誹謗中傷のひどさ。検察やマスコミの偏向報道に無批判な現政権。早く欺瞞的政治からくる閉塞感から抜け出して信頼できる指導者の下で気分よく生活できるようになりたいものです。
投稿者: hiroko | 2010 年6月13日 20:32
私も、これまでたかが参議院と思っていた節があります。
参議院は、名誉職と捉えており、仮に法案が否決されても、衆議院で再可決できる故、その意義すら疑問を感じていた。
けれど、民主主義が多数決が根本にあり、その原理を逸脱することはできない。そのことが、参議院に知名度の高いだけの議員を生む背景があることを認識できるコラムでし、改めて参議院の意義を感じさせるものです。
現行の法整備がこうである以上、それに従わざるを得ない。
政治の停滞感が、参議院の役割にもある、それを感じさせます。
政権交代による政治改革が、進むかの天王山でもあることを改めて感じます。
私は政局の変動は望まないが、政治の変革は強く望んでいます。
それは、私の子供たちの将来にも影響するからです。
かつての自民党政治の復活は、過去の後戻りにしかならない。未だその路線を表明している限り、その支援はできないし、批判対象でしかない。何故そう感じているかは、昨年の夏以降の自民党の政治手法を見て明らかである。口先だけで、変わったと言っているだけにしか見えないからです。
政局論争に明け暮れて、政策論争や政治改革に対して真摯な言動が表れていない。「政治とお金」ある意味過去の亡霊を批判しているだけで、何故政治離れになっているのか検証すらしておらず、批判論戦ばかりが目に付く。前向き論争が希薄です。政党を離れても、元の身内に甘いのかその反省すら見受けられない。それが、対極勢力としても未だ成り得ていない様に感じさせる。それ故その支持に切り替えることが、できない理由です。
目の前に問題が山済みですが、その政策論より、私的には政治改革が、私には1番の関心事であり、「誰のための政治であるか?」その政治の改革を明確に表明し、そのために何をするのかが分からない以上、信頼してその政党を支持することができない。
投稿者: 本田 勉 | 2010 年6月13日 20:51
なるほど。小沢さんが二人区に二人を立候補させた理由がそこにあるのですね。それほど参議院選が大事だということを私たちは認識すべきですね。同時に民主党を支持する者として、小沢さんを支援する者として棄権などせず、最後の闘いと思って運動すべきですね。思えば前回の参議院選挙、あの逆転の夏の選挙に小沢さんは自分の政治生命をかけて闘ったのを思い出します。当時はそこまで言わなくてもと思ったものですが、今納得できます。恐らく小沢さんもそう思っていると思います。ナゴヤシミンさんそして奥野さん、もう悩まないで。民主党の新人候補を応援していきましょう。田中先生ありがとうございました。
投稿者: tomato | 2010 年6月13日 21:25
今後の日本の政治にとって, 参議院選挙では, 取り敢えず, 民主党が大勝する事が必要条件である。 十分条件は繰り返しになるので, いつものように没にならないとしたら, いずれまた新コメントで。 田中良紹氏の専門家の論説は, 素人の個人的な拙考にエネルギーを与えてくれるので, 自信になる。
投稿者: 良心派 | 2010 年6月13日 21:51
私は樽床氏の対する管さんの処遇は単純に挙党一致体勢を示したい思いの表れとしか受け取らなかった。
菅さんは先の衆議院選挙の最大の功労者が小沢さんであること、自民党と対決していくには今後も小沢さんの力を抜きにしては勝てないことはよく分かっていると思う。
だからこその樽床氏への人事であった、それだけのことではないか。
親小沢・反小沢というカテゴリ分けは距離を置いて見れば単純にメディアが振りまく政局ネタ以上の意味はないと思っている。
増してや新たな政界再編への隠れたシナリオなどというものが存在するとしても近い将来に行うことなど絶対に有り得ないとしか思えない。
今回の民主党の支持率回復は単に「ご祝儀」ではないだろう。国民が望んでいるのは安定した長期政権の樹立であり、安定した政権による粛々とした政策履行と実現であり、支持率はその表れだと理解している。
それなのに国民には必要性を承服できないような、政権たらい回しにしかならない政界再編などをやれば、現在の期待値にそっくり反比例して民主党は完全に見離されるだろう。その空気が読めない民主党ではないと私は願う。
今更党内で誰が「敵」だとかなんとか言ってる場合ではなかろう。そんな風にシナリオを描きたがるのは「政治のプロ」による下衆の勘繰りか、願望に他ならないと思う。
投稿者: 愛煙太郎 | 2010 年6月13日 22:25
今民主党を支持している大半のブログでは、民主党(菅政権)
はアメリカのいいなりになってしまったと書いており
私もこの考えを持っていましたが
この田中良紹様の話を見ましたら
民主党(菅政権)は「敵を欺くにはまず味方から」
を行っているのではないかと。
それも中途半端ではなく「徹底的に」。
(特にマスコミを欺く為に)
私が知る限りこれを行った人を挙げるとすれば
・大石内蔵助(ご存知、忠臣蔵より)
・ロアン・デミトリッヒ(蒼き流星SPTレイズナーより)
この2人は徹底的に味方を欺き(但し、間接的には
味方を支援してきた)通してきましたが最後には
敵を倒す原動力になりました。
よくよく考えて見ると菅総理は「消費税の増税」とは
言っておらず、「消費税を含む税制の抜本改革」と
言っており、聞こえ方によっては累進課税の強化
(金持ちから取り、貧しい人は減税にする)とも取れます。
私ももう一度、民主党(菅政権)に賭けてみようと思います。
田中良紹様ありがとうございました。
(転載終了)
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