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一体8月までにどのように辺野古移設案の細部を詰めるつもりだろう。マスコミは、ニュースの旬が過ぎたからあまり報道しないのか。沖縄の基地反対運動が本格的に始動してしまうのではないか。
沖縄県民を落胆させた菅総理の「無責任な発言」と「人事」
マガジン9 癒しの島・沖縄の深層 岡留安則 2010.6.9
http://www.magazine9.jp/okadome/100609/
鳩山総理と小沢幹事長という民主党のツートップが電撃的なダブル辞任に追い込まれたことで、永田町に激震が走った。かねてより、このツートップを狙い打ちにすることで鳩山民主党政権を潰すために揺さぶりをかけてきた霞ヶ関とマスメディアも、拍子抜けするような呆気ない結末だった。政権交代による霞ヶ関の革命的な改革をこころよく思っていなかった官僚を中心とした守旧派の連中は内々で祝杯を上げたはずだが、美酒というよりもいささかほろ苦い酒だったのではないか。参議院選挙対策のために小沢幹事長本人があっさりと身をひくという戦術じたいは予想されていた。小沢幹事長がいくら強気に強行突破を唱えても、支持率が20パーセントを切れば戦えない。選挙参謀としては抜群の能力を持つ小沢に身を引かせ、リーダーシップなき鳩山総理が党の顔として参議院選に望む――というシナリオが崩れたからだ。自民党を含めた守旧派の思惑は、さらに予想外の展開を遂げていくことになる。
後任の総理には、代表選挙を経て、以前から既定路線といわれていた副総理兼財務大臣の菅直人にスムーズにバトンタッチされた。いや、これは表向きかもしれない。反小沢グループの岡田外相や前原国交相が菅直人支持を一足早くぶちあげたことで、小沢派は菅政権を影で操るという戦略を封じ込められた形になったからだ。メディアはどうせ菅直人に小沢離れは無理だろうと認識していたフシがある。しかし、結果的に菅氏は「小沢はずし」の党役員人事、閣僚人事を断行した。まさに昨年の政権交代と同様の「無血革命」を成功させたのだ。その結果、菅総理の支持率は6割を超えるという予想外の数字となった。自民党が、「小沢隠し」といくら噛み付いても、当の小沢本人も激怒するような反小沢人事に、国民も菅総理の本気度を見たということだろう。
そこまではいいとして、全国の世論調査に対して沖縄県民はまったく逆の評価をしていることを忘れてはなるまい。本土と沖縄の温度差が見事に象徴的に表れているのだ。普天間問題の迷走で社民党が閣外に去り、鳩山総理はさらに支持率低下に追い込まれた。それを投げ出す形で総辞職した鳩山政権に沖縄県民は政治の無責任を見たのだ。さらに沖縄県民を落胆させたのは、菅総理の普天間問題に関する無責任な発言と人事である。総理就任早々、辺野古基地建設に関しては日米共同声明を尊重すると言い切ったからだ。それだけではない。普天間移設問題で辞任に追い込まれた鳩山総理の共犯とも言うべき岡田外相、北澤防衛相を留任させるという人事に対しても、沖縄県民は絶望的気分を抱いたはずだ。これで、普天間問題の解決は放置されたも同然である。いや、正確に言えば、日米の事務レベル協議においては辺野古移設の具体案は進行するだろうが、地元の名護市が反対しているという厳然たる事実は放置されたままで、基地建設の可能性も限りなくゼロに近いだろう。
筆者は、地元紙の「琉球新報」紙面に次のような原稿を書いた。<鳩山総理は普天間問題の解決を岡田外相、北澤防衛省、平野官房長官に政権発足当初から丸投げしてきた。そのため、鳩山総理の「最低でも県外」という意向と関係なく関係閣僚はバラバラに動き始めた。その結果が、岡田外相の嘉手納基地統合案であり、北澤防衛省のキャンプ・シュワブ陸上案、平野官房長官のホワイトビーチ沖埋め立て案となったのだ。徳之島以外の県外移設も一切検討せず、最初から沖縄県内しか念頭になかったのは、米国側の「日米合意通りの辺野古埋め立て案」という強権的な外交圧力もさることながら、外交・防衛の継続性という神話にとらわれた外務・防衛官僚の強い抵抗の壁が立ち塞がったためだ。政権がいくら変わろうとも戦後の日米関係を取り仕切り、国家レベルの情報を独占してきた官僚たちにすれば、経験と知識の乏しい大臣たちを洗脳するのは朝飯前だったのだろう。加えて、鳩山総理の元には、安保マフィアとも言うべき対米従属派の軍事・外交評論家たちが頻繁に出入りしていた。抑止力発言もこうした面々に影響された結果である。鳩山総理は外堀を徐々に埋められ、内部にも同調者はいなかった。孤独な総理は、冷静かつ理性的な判断力を失い、沖縄県民の怒りを買ったあげく社民党の政権離脱を招く最悪の判断を下したのだ>
にもかかわらず、菅総理の頭の中には普天間問題は眼中になさそうなのだ。むろん、仙石官房長官、枝野幹事長他の閣僚や党役員も普天間問題にはほとんど関心を示していない顔ぶればかりだ。
民主党沖縄県連代表でもある喜納昌吉参議院議員は最近の著書『沖縄の自己決定権』(未来社)の中で興味深いエピソードを披露しているので紹介しておこう。
<政権をとった時期に菅直人と会ったんですよ。沖縄問題よろしくねと言ったら彼は「沖縄問題は重くてどうしょうもない。基地問題はどうにもならない。もうタッチしたくない」と言うんです。内部で猛烈な闘いがあったでしょう。それで最後に菅が何て言ったかと思う? 「もう沖縄は独立した方がいいよ>
半分は冗談かもしれないが、菅氏はもともと鳩山総理と同じく「常時駐留なき安保」論者で、普天間も県外・国外移設を主張していた人物だ。しかし、政権交代後、副総理兼財務大臣に就任してからは普天間問題ではほとんど公式コメントを出していない。次の総理候補1だったこともあり、よけいな失言をしないように自粛していたフシもある。しかし、外交・防衛問題において国家の指針を発するのは総理自身である。前述したように、関係閣僚に丸投げするようでは総理失格である。さらに、前述の「琉球新報」から筆者の原稿をもう少し引用しておく。
<鳩山総理が辞任に追い込まれた原因を検証すれば、新しい総理や外務、防衛、官房長官の人選は普天間問題解決の最重点課題になるはずだ。政権交代のマニフェストともいえる「対等で緊密な日米関係」を再び掲げ、先の日米合意を根本的に見直すくらいの政治力と、厚い官僚包囲網を突破する戦略性を併せ持つ大臣を任用しないと、沖縄の悲劇も普天間問題の根本的解決も不可能だろう。最低でも、対米追従官僚組織に対峙して政治主導の防衛・外交政策を展開するための専門家集団ともいうべき特別プロジェクトチームやブレーン会議を早急に立ち上げないと、鳩山政権の二の舞になるしかないだろうと、ポスト鳩山政権に強く提言しておきたい>
すでに閣僚人事も決まった今となっては手遅れかもしれないが、沖縄の怒りをどんどん発信すべきだし、個人的な付き合いもあった菅氏には機会があれば沖縄の立場からの提言を続けたいと考えている。それも官僚や関係閣僚、米国側に洗脳される前に、である。
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