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「ウソつき総理」の辞任は当然。「民主党の権力闘争」で「競争主義タカ派」が勝利。「平等主義ハト派」は党を割って「真の政権交代」を目指せ!
SAFETY JAPAN
経済アナリスト 森永卓郎
2010年 6月8日
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20100608/230317/
あまりに理不尽な福島・社民党党首の罷免
2010年6月2日、緊急に召集した民主党両院議員総会で鳩山総理(当時)が辞意を表明した。
当然である。
私は、ウソつきは嫌いである。
昨年(2009年)の政権交代の際、私は鳩山氏に期待もしたし、応援もした。まさか、一国の総理がこれほどのウソをつくとは思わなかったからだ。
それでも、鳩山氏がいわゆる「ノリ」で言ってダメだったというのなら、まだ許せる。
しかし、鳩山氏は米軍普天間基地移設問題で自身が語ってきたのと「真逆」のことをした。
ご存知のように、鳩山氏辞任の直接のきっかけは、福島瑞穂・社民党党首の罷免によって同党が連立政権を離脱したことだが、その罷免自体もあまりに理不尽だった。
なぜなら、普天間飛行場を「できれば国外、少なくとも県外」に移設すると言い続けてきたのは、ほかならぬ鳩山氏自身だったからだ。
県内移設、鳩山氏の変節は2009年12月か
実は、私は鳩山氏の辞意発表の2日前、5月31日にTBS(東京放送)の情報番組にコメンテーターとして出演した。
その番組には、福島氏も中継で生出演した。
私と同じくコメンテーターとして出演していた毎日新聞の岸井成格氏(東京本社特別編集委員)は、福島氏にこんなふうに質問をした。
「鳩山総理(当時)には『県外、国外』という気持ちが初めからなかったのか」
すると、福島氏は断固否定した。そして、鳩山氏と2人で何度も話し合い、当初は「県外、国外」で意見が一致していたという。
ならば途中で鳩山氏の考えが変わったのかと岸井氏がたたみかけると、福島氏はそれを認めた。
そこで、岸井氏がその時期を尋ねると、福島氏は(その週より)もう少し前だという。
さらに、岸井氏が「昨年(2009年)12月ではないか」と追及すると、福島氏は動揺する素振りを見せた。
負担受け入れ表明の大阪府に頼めばよかった
私は、以前から福島氏と何度も話をしており、彼女のことをよく知っているつもりだ。そんな私には彼女が明らかに動揺しているのがよく分かった。
福島氏は正直で、実にいい人だ。
先ほどの岸井氏の追及に対しても、昨年(2009年)12月に「あれっ」と思うことがあったと率直に認めている。だから、鳩山氏の考えが変わらないように説得し続けてきたともいう。
この福島氏と岸井氏の会話から浮かび上がるのは、鳩山氏が早くも昨年12月に「県内移設」を決めていたのではないか、という疑いだ。
もしそうなら、鳩山氏はそれから半年近くも国民をだまし続けてきたことになる。
しかも鳩山氏は、普天間基地の県内移設の理由について、「いろいろと他県に移設先を探したが見つからなかった」とも述べた。
これもおかしい。
5月27日に開かれた全国知事会で、橋下徹・大阪府知事は負担を受け入れる用意があると表明しているのだから、大阪に頼めばよかったのだ。
しかし、鳩山氏がそれをした形跡もない。
最も許せない鳩山氏の「社民切り」発言
要するに、知事会は鳩山氏お得意のパフォーマンスに過ぎなかったのだ。
あるいは、普天間問題で自身が努力しているポーズを見せるための「アリバイ工作」だったといってもいい。
そればかりか、鳩山氏は知事らに話を持ちかけておきながら、それすら途中で放棄した。普天間問題の解決を後任に委ね、自らは政権を投げ出してしまったのだから。
私が最も許せない(と敢えていわせていただく)と思うのは、鳩山氏が社民党とタモトを分かつ理由として安全保障に関する考え方が基本的に異なっていたことを挙げた点だ。
これは世論を大きくミスリーディングしかねない極めて重大な問題発言である。
実は、社民党だけでなく、民主党の中にも辺野古への移設(県内移設)に反対したグループが存在する。
民主党の川内博史(鹿児島県選出)衆議院議員らが5月27日に180人もの国会議員の署名を携えて総理官邸を訪ね、将来の「国外・県外移設」を実現するように求めたのだ。
結局、川内氏らの行動は成果を生まなかったが、その意味するところは大きい。
民主党内にも多くいる辺野古移設反対派
なぜなら、署名者180人といえば、与党議員の半数近くに達するからだ。
しかも、署名したのは全員、民主党と社民党の議員。社民党議員は数が少ないから、当然ながら大部分は民主党議員ということになる。
つまり、民主党の中にも辺野古への移設(県内移設)に反対している議員が相当数に上るというわけだ。
換言すれば、社民党と安全保障の考え方を共有できる民主党議員も多いということだ。
とすれば、鳩山氏の先ほどの説明は明らかに事実と異なる。
鳩山氏は、要するに米国からの要求に屈しただけなのだろう。
米国は軍の一体運用を確保するためには海兵隊の一部を沖縄県外には持っていけないと一貫して主張してきた。
鳩山氏が「5月末決着」にこだわったのも、米軍再編でグアムへの移転計画を進めるためには、普天間移設先を早期に決めないと米国の来年度予算編成ができない、といった事情があったからに違いない。
こう考えると、つまるところ日本にとっての選択肢とは、米国の要求に従って普天間基地を辺野古に移設するか、さもなくば米国とのトラブルを覚悟で基地をグアムに引き取ってもらうか、という二者択一であったわけだ。
日米同盟最優先の「競争主義タカ派」に軍配
鳩山氏は党内のさまざまな意見を聞いた結果、日米同盟(すなわち前者)を優先したのだ。
実は、民主党内には大別すれば「平等主義ハト派」と「競争主義タカ派」ともいえる基本理念の異なる二つの勢力が存在する。
大まかにいえば、平等主義ハト派は経済政策では「分配主義」、外交・安全保障政策では「アジア重視路線」、競争主義タカ派は同じく「新自由主義」、「日米同盟最優先路線」に色分けされる。
鳩山氏は結局、普天間問題では日米同盟最優先の競争主義タカ派に軍配を上げたわけだ。
つまりは、民主党内の権力抗争で競争主義タカ派が勝利したと見ることもできる。
このことは、新しい執行部が率いる民主党の今後の経済政策にも大きな影響を与えるだろう。
私はこの状況をたいへん憂慮している。というのも、民主党の「平等化政策」ともいえる社会民主主義的な政策が覆される恐れがあるからだ。
すでに、その兆候は現れている。
暫定税率廃止の見送り、高速道路の実質値上げ方針、中小企業の法人税率の引き下げ(現行の18%から11%へ)の見送りなど、昨年(2009年)のマニフェストで公約した平等化政策が次々と見直され、ついには消費税率の引き上げまでが議論の俎上にのぼっている。
基地問題で鳩山路線をあっさり認めた菅総理
きわめつけは、「沖縄の犠牲」を固定化しかねない普天間基地の県内移設。このままでは、辺野古は未来永劫、米軍の軍事基地になってしまう。
それを防ぐ方法は、辺野古移設に反対する民主党議員が党を割って飛び出すことだろう。
琉球新報社と毎日新聞社が5月30日までに行った緊急世論調査では、普天間飛行場を辺野古に移設することに反対する沖縄県民は84%に上っている。
鳩山氏は、小沢氏を道連れにして「人心一新」をアピールしたかったのだろうが、それで問題が解決するわけではない。
それどころか、どさくさに紛れて、重大な政策変更が行われてしまった。
鳩山氏の辞任の原因となった普天間移設に関する約束違反は、鳩山氏の責任であって小沢氏の責任ではない。
ところが政治とカネの問題を持ち出して、小沢氏の影響力を封じ込め、菅総理の誕生への道筋を作った。
菅総理は、就任会見で普天間基地の辺野古周辺への移設に関して「日米合意は政府と政府の合意なのだから、それを踏まえて対応したい」と鳩山路線をあっさり認めてしまった。
沖縄に負担を押しつけ続けることをこれ以上避けるためにも、そして平等化政策を実現するためにも、民主党の平等主義ハト派は自民党内にもいる同勢力をも結集して政界再編を行い、改めて本当の意味での政権交代を目指してほしい。
さもなければ、国民の政治不信と政党離れはとどまるところをしらないだろう。
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