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アルルの男・ヒロシです。
スティーブ・クレモンス (Steve Clemons) というアメリカの”リベラル系の知識人”の来日時の講演会については、前々回の記事で書きました。その後、クレモンズ本人が自分のブログ「ワシントンノウト」にこの来日のことを書いていました。 それを今回は紹介します。
クレモンスは、複数の新聞で日本でも報道されたように、「Obama Takes Down (the Wrong) Prime Minister」(オバマは引きずりおろす必要のない首相を失脚させた。引きずりおろすべきはネタニヤフ首相だった)というブログ記事を書いていました。
クレモンスの東京滞在の記事を引用します。(拙訳はかなり適当です)
(引用開始)
「東京の窓から」(Tokyo: The View from My Window)
あと、数時間(出発するまで)、私の前には全日空ホテルからみた東京の光景が写っている。
写真の真ん中に写っている、「白亜の建物(ホワイトハウス)」は、オバマ大統領のカリフォルニア州の選挙運動の資金責任者で、現在の駐日米国大使のジョン・ルースの大使館公邸である。ルースと私は二日前の夜に面会して話す機会に恵まれた。
ルース大使は、非常に接しやすいし、見識のある人物で、長年、民主党の党活動にも熱心に従事してきた。彼に近い人に私が聞いたところでは、彼はビル・ブラッドレーの写真を持ち歩いているとのことだ。ルースは、以前、ブラッドレー元上院議員の選挙でディベートの指導をしたことがある。ルースは、「もしブラッドレーのコーチをもっと前から始めていれば、きっと自分たちは違う場所にいただろう、つまり大統領とその側近の関係にあっただろう」と話している。
そして、「ホテル・オークラ」は大使公邸のちょうど真後ろにある。
今では日本での経験をたくさん積んだルース大使だが、以前は大使になる前には日本に来たこともなかった。それから、ルースは非常に記憶力が良い。例えば、自分が読んだ文章の書き手の名前を覚えるのは得意だ。(私が書いた「オバマが鳩山を潰した」という記事もそうだ)
私がジェイムズ・ズムワルト首席公使の自宅でルース大使に会ったときには、彼は自分の仲間に「やあ」と声を掛けてたりしていた。私も、米国大使を知っているということは、「クール」なことだと分かっていたので、進んで「やあ」と返した。ところが、その時彼は私の方を見下ろして私の名札をじっと見つめて、こういった。「ウーン、私は、つい最近にあなたの記事を前に読んだなあ。なんだったけ」彼は私に尋ねてきた。「たぶん、それは鳩山首相辞任についての記事でしょう」と私は答えた。それに対して「ああそうだ。鳩山が、“(アメリカに)辞任させられた”という記事だったね。私はその分析には同意しないが・・・・」とルースは繰り出してきた。
実に面白いシチュエーションだ。彼のために言っておかなければならないが、ルース大使は、この記事で気分を害したわけではなかった、それどころか、辞任の背景にある問題点や、関係者がどのような立場にあったのかを気安く話してくれた。
会合のあとで開かれたレセプションには、(「アトランティック」誌の)ジェイムズ・ファローズがいた。彼と私は、他のゲストと一緒に国務省の招きで、日本中の140人の大学生と、日米関係を取り巻く様々な次元の問題について語り合うためにやってきていたのだ。 ファローズは、ルース大使の顧問の1人に、「オバマ政権が鳩山首相を潰したという印象が広まっていることにどういう風に対処するつもりか」と尋ねていた。
私もその場にいた 。
その大使側近がいうには、「いや、いまもうメディアには鳩山が普天間問題やアメリカの圧力以外の別の理由でやめたのだという記事が出回っているよ。(訳注:「小沢の政治とカネ」のことだろう)早い段階ではあなたがいうような分析を乗せた記事や報道もあったが、我々はいまそれに対処しようとしているところだよ」ということだ。ファローズは、私を指さして笑いながら、「スティーブ・クレモンスにはあったことがあるかい?実はそのテの情報を流し始めたのは彼なのさ・・・」とからかった。
さて、大使館と国務省の資金による今回の日本旅行で最も実に印象に残っていることは、今回はほとんどまったくと言っていいほど、日米関係における特定の側面を宣伝するように求められなかった、ということだ。
ルースやズムワルト、そして彼らの顧問たちや政策チームは、普天間問題をめぐる論争を話すことにも嫌な顔をしなかったし、日米関係が今後どのような方向に向かうべきかについても話すことについても制約を加えてこなかった。私はアメリカが普天間問題に固執したことには批判的だが、同時に、オバマの新しい安全保障政策(注:多国間協調を重視する)には非常に感心している。このことは実際に二日の会合の中でも語った。
そして、大使館のスタッフも同様にこれらについて幅広い考えで接してくれた。大学生達も、理性的で明確に自分の意見をしっかり持っていたし、移民問題から日米安保の深化や重要さの問題、鳩山がなぜ辞任したのかという問題まで、あらゆる面で多様な意見を持っていた。
近いうちに、学生達がセッションの際に行った日米関係についてのアンケート調査(マルバツクイズ)については書きたいと思うが、いまは、大使館、ルース大使、そして彼のスタッフ、青山学院大学、上智大学の皆さんに貴重な体験ができたことを感謝したいと思う。
実はこれから沖縄の那覇に行く。そして沖縄には海兵隊の普天間基地がある。僕にはこの旅行が数ヶ月に前に決まっていたということが、自分でも信じられないんだよね・・・。
-- Steve Clemons
原文は以下
http://www.thewashingtonnote.com/archives/2010/06/tokyo_the_view/
(引用終わり)
訳の表現はともかく、意味は取り間違っていないと思う。
「白亜の建物(ホワイトハウス)」から刺激的な皮肉だ。
このブログ記事の実に含みのある書き方。「鳩山辞任に米国の圧力があった」という記事には大使館サイドも対処を始めているということが分かる。そして、今回の旅行ではクレモンズがわざわざ「大使館の皆さんは私に自由に発言させてくれた」と書いていることからも分かるように、往々にしてこのような「経費持ち」の講演旅行では主催者のニーズをおもんばかって、講演の内容を決めているのだ、言わんばかりである。
「ワシントン・ノウト」と言うブログを私はそこまで熱心に読んできたわけではないが、このブログはかなり皮肉をふまえた斜に構えたスタンスで書かれている、ということは分かっているつもりだ。そもそもブログというのはそういう気楽に書けるメディアだと思う。上のブログ記事は、米国大使館の面々に感謝しつつも、実際は「あなた達が私をこういう時期に呼んだと言うことは何かあるんでしょうねえ」という言外の意思がある。
とすると、鳩山首相辞任がこのタイミングで起きるということをアメリカは事前に計画していたのではないかという疑問が出てくる。・・・・・・・なんということだ。
確かに上智の講演会では、あまりの気安さにビックリして、私も「イエズス会のソフトパワーだ」という訳の分からないことを書いていた。しかし、主催は米国大使館なのである。早稲田の講演会と上智の講演会での「感じ」の違いには理由がある。それは「タイミング」の違いだ。米国の意向で鳩山が引きずりおろされた段階では、もはや日本に圧力をかける必要はない。それよりもむしろ、「ダメージ・コントロールの手段として、「気安いアメリカ、寛容なアメリカ」を演出する方が、ソフト・パワー戦略には都合が良いではないか。
私がズムワルト公使が流ちょうな日本語でスピーチしていたとき、上智の講堂の中で抱いたそこはかとない違和感の正体はこれだったのか。なぞがようやく解けた。
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