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中国は1997年、イギリスに植民地化されていた香港を、かつての清国政府が結んだ屈辱的な対英条約の取り決め、 99年後の返還という約束どおり、平和裡に取り戻した。現在の中国政府の誕生は1949年だから、48年後に香港返還を実現したわけだ。 そのしぶとさ、息の長さには、今さらながら驚かされる。というのも、なんという誇りを知らない国、卑屈な民族かと、 これまでは眺めてきたのだが、沖縄のことを考えれば、日本のほうこそ敗戦後65年も経つというのに、その完全な返還のめどを、 いまだに立てられないからだ。
沖縄返還からでももう38年経つ。敗戦後99年というと、あと34年しかない。38年経っても沖縄の米軍基地の状況は、 変わらないどころか、ますますアメリカの国際軍事戦略のなかに緊密に組み込まれてきた。ここで新たに名護・ 辺野古に恒久的な新鋭基地ができれば、あと34年内の沖縄の完全返還など、ますます覚束なくなる。
しかも、在日米軍基地の維持・再編強化には日米安保条約によって、日本が巨額の資金を提供するのだ。 アメリカがそれらを自発的に放擲、日本から出ていくなど、到底考えられない。
日本も、米軍に日本から出ていってもらうためには、第一に、5年後あるいは10年後というように時限を定め、 それまでには完全撤退を行うとする目標を設定する、第二にそこに至る間に、日米安保体制の根本的見直しを進め、 段階的に軍事同盟的要素を希薄化し、在日米軍を縮小していく、第三に、この間は沖縄の米軍基地の現状変更を大きく伴う増強や更新、 新軍事施設・基地の建設は行わない、第四に日米間に新たに、軍事同盟的要素を伴わない、経済・社会・文化的な協力・友好条約を締結する、 第五に、アジア・太平洋地域における非軍事的な安全保障体制の実現を目指す協力関係を築く、 などを課題とする戦略的な日米交渉を行っていくことこそ、必要となるのではないか。
鳩山首相が、自民党政府の対米合意と同じような辺野古への普天間移設案にたどり着くやいなや、メディアは口々に彼の約束違反、 無定見・無責任を非難し、自分たちが率先して支持率低下を誘い合ったような世論調査の結果を振りかざして、首相辞任を叫ぶが、 民主党政権成立直後から「普天間は自民党合意どおりにやれ」と合唱しつづけ、首相の目論見を潰した自分たちこそ見識があったのだ、 とでもいいたいのだろうか。むしろそれは、政権交代を支持した民意を裏切るものではなかったか。 そうした自分たちの責任に口をつぐむ反省のないメディアの姿勢には、白々しいものさえ感じられる。
無責任で軽率な政局ジャーナリズムは、さっそく社民党の政権離脱、参院選への影響、本命がみえない選挙戦の混沌に、移り気な読者・ 視聴者の関心を誘い、すでに普天間問題はケリがついたかのように振る舞っている。だが、「普天間問題」はまだ終わっていない。 少なくとも沖縄現地では、こんないい加減な解決は許さない。激烈な反対闘争は選挙戦をも巻き込み、これからいっそう熾烈なものとなる。 本土はこれを沖縄のことと眺めているだけでいいのか。沖縄に呼応し、本土でも今こそ大きな運動を起こし、参院選では「普天間問題」 を本当に解決しようとする政治勢力に票を寄せ、5年後あるいは10年後の在日米軍撤退につながるような安保改定を目指すべきではないか。
新しい情勢を生み出す点に関しては、参院選は中間的な通過地点にしかならないだろう。狡猾な政治家やこれと結託するメディアは、 すぐ総選挙に話題を転じ、国民の関心を誘導するだろう。だが、これは「普天間問題」で結束を固め、 広げていこうとする勢力にとってもチャンスとなる。11月にはオバマ大統領も来日する。日米安保を未来に向かって見直し、その先駆けとして 「普天間問題」を解決することを求める
日本の巨大な運動のうねりが彼を迎えるとき、そこに結集する政治勢力こそ、きたるべき総選挙における勝利者となるはずだ。
(かつら・けいいち/元東京大学教授、JCJ会員)
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北海道新聞 5月29日夕刊 桂 敬一コラム「ニュースへの視点」
普天間を最大の争点に
ある新聞の投書欄に、政権に就いて以来、普天間問題で「5月末までに決着」と断言、それにこだわりつづける一方、 基地の移設先については揺れに揺れ、ついに自民党の対米合意と変わらないところに戻った鳩山首相のことが書かれてあった。首相の振る舞いは、 国民に問題の本質を知らしめるうえで「大貢献」を果たすものだ、とする意見を、興味深く読んだ。
その間、何が明らかになったか。日本全土の0.6%しかない沖縄に在日米軍基地が面積比で75%集まっている。その移設引き受けを、 国内どこも嫌がっている。大メディアはそろって、アメリカが怒り、日米関係が悪化するから当初の合意どおり辺野古移設をやれ、と叫んできた。
莫大な米軍への「思いやり予算」は、沖縄返還時の「財政密約」に端を発しており、さらに今後もつづいていく。 米軍駐留を引き受けている他のどの国でも、ここまでの大盤振る舞いはしていない。
首相は「抑止力」が大事だとわかった、と語ったが、沖縄の海兵隊は日本本土を守るためにいるのか―ベトナム戦争、湾岸戦争、 アフガン・イラク戦争に出撃する殴り込み部隊が海兵隊だったではないか。このような外国軍の基地がいつまでも必要なのか。 なんで自民党はそうした体制を推し進めてきたのか。
◆見え始めた現実
首相が長い間、ああでもない、こうでもないと迷ってきてくれたために、国民は否応なくこうした実情、隠されてきた問題に気付かされ、 どうしてこんなことがつづいてきたのか、考えざるを得なくなった。
沖縄県民への約束、「県外・国外」移設の約束を裏切った首相は辞任せよ、と叫ぶメディアも多い。しかし、彼らも、 元の自民党案と同じような結論を出すのだったら政権を自民党に返せ、とはさすがにいえない。とにかく参院選で民主党に打撃を与え、 その後の政治情勢の混乱を政局づくりに利用したい、とする風情だ。
沖縄の地元2紙、沖縄タイムスと琉球新報を読んでいると、県民が以上のような情勢と問題をしっかり受け止め、 これを機に日米安保体制そのものを根本から見直し、アメリカの戦争政策への隷属から日本を解き放つための運動の第一歩を、 沖縄から始めるのだとする自覚を強めている事情が、よくわかる。そこで沖縄の人びとが気にするのは、 本土の人たちがそうした自分たちの運動に、ちゃんと応えてくれるかどうかだ。
◆参院選で決起を
参院選が近い。政局づくりに暗躍する連中の鼻をあかし、日本を本当に変えていく政治勢力の結集を成功させるためには、 選挙の最大の争点を「普天間問題」に絞り、その一点で団結できるあらゆる人びとが、「60年安保」のときのように立ち上がることではないか。
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