04. 2010年6月06日 08:52:29: MiKEdq2F3Q
日本の主導権握る米国の姿 2010年5月28日付 米軍普天間基地問題をめぐって鳩山首相が23日に沖縄を訪問し、「県外移設の公約」を覆して自民党現行案である名護市辺野古沖への新基地建設を進める方針を表明した。同時に「沖縄の痛みを全国で分担しないといけない」といい、全国知事会に働きかけて米軍訓練の受け入れ先探しを本格化させた。新基地建設と全土の基地化である。沖縄も徳之島も大村も岩国も「基地は来るな」が圧倒的な民意である。「それが国民の意志なので引き揚げてくれ」とアメリカに伝えるのが主権在民の国である。しかしメディアがあげて「アメリカが怒っている」と騒ぐなかで、民意に対抗してアメリカの意志をすべてに優先した。日本をアメリカの核戦争の盾にする道であり、自民党と変わらぬ売国政府である。 外国の軍事基地をおくかどうか、おくならどこへおくかは国の主権の関わる問題である。しかし一連の顛末は、主権が日本政府の側にはまったくなく、アメリカ側にあることをありありと示した。民主党は「普天間基地の県外移設」「米軍再編の見直し」を唱えて衆議院選挙で票を集めた。しかし岩国でも、空母艦載機移転や愛宕山米軍住宅が既成事実のように早早に予算をつけた。「政治」とはウソをつくことであるという現実を人人に思い知らせた。選挙における公約、それに対する有権者の選択という、選挙で国の進路を決めるのではないこと、日本はアメリカが独裁支配する社会であり、主権在民の民主主義社会ではないことを思い知らせた。 一連の経過は、鳩山のお粗末さを暴露したが、単に鳩山がお粗末というだけでは説明がつかない。日本の大新聞をはじめとしてメディアは総動員で、「アメリカが怒っている」などと大騒ぎをして世論誘導をしたし、財界や御用学者がアメリカの機嫌をとる。そういうなかで鳩山は格好をつける余裕すら与えられなかった。 アメリカ側は結局、自民党政府と決めた「現行案」を一歩も譲らなかったし、鳩山政府はそれを丸飲みすることしかできなかった。月末までに共同声明で発表するという内容は、2006年に自民党政府が合意した米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)への新基地建設であり、工法は鳩山政府が出したくい打ち桟橋方式でなく、アメリカが主張する頑丈な埋め立て方式に戻すというものだった。大騒ぎして振り出しに戻った。 加えて普天間基地機能の沖縄県外への分散移転といって、普天間基地の一部機能を徳之島など全国の自衛隊基地に拡大させ、米軍嘉手納基地の戦斗機訓練の県外への拡大、米軍訓練は九州各地の自衛隊基地にローテーションで分散移転させるなどを協議している。選挙で掲げた「米軍再編を見直す」とか「県外移設」などの公約は、基地を減らすようなそぶりをして、実はもっと増強の方向で見直すという意味となった。 鳩山は23日再度、臆面もなく沖縄県を訪問。県庁で仲井真知事と会談し「代替地は県内、辺野古付近にお願いせざるを得ない」「県外に移設すると、海兵隊の機能を大幅に損なってしまう」といい、沖縄の基地を全国に分散移転するといって、基地を全国に拡大させることに意欲を見せた。 鳩山政府は「沖縄の痛みを全国で分担しないといけない」といって、全国知事会議を要請し、訓練の受け入れを協議させる。沖縄の負担軽減といって米軍基地の全土化を推進している。大阪の橋下知事などは「今まで基地を受け入れていないところが受け入れるべきで、真っ先に考えないといけないのは関西だ」と表明している。 米国のための「抑止力」 日本を危険にさらす
敗戦後65年にわたって外国の軍隊が常駐し、しかもさらに新基地をつくって今後数十年も居座り、その外国軍隊が日本中の自衛隊基地を使用し、さらに港湾、空港などを自由に使用できるようにする。しかも米軍再編の費用3兆円をはじめ、駐留経費は「思いやり予算」などといって年間2000億円も日本の税金から負担する。 鳩山は、韓国の哨戒艦の沈没事件が北朝鮮の攻撃によるなどのことを取り上げ、アメリカ海兵隊の役割が抑止力として不可欠なことを「勉強すればするほどわかった」などといっている。 ここで最大の問題は、その「抑止力」の問題である。それが「日本の安全保障のため」ではなく、アメリカの国益のためであり、米軍基地の存在が日本を危険にさらすという問題である。 日米安保条約は90年代以後、日米の実務者レベルの協議で、「ガイドライン」などといって、どんどん実質的な改定が進行してきた。それはアメリカの世界戦略に従属して、世界的な範囲で自衛隊が役割を果たすようになってきた。イラクなどへの自衛隊の派兵のように、元元恨まれる筋合いのなかった中東アラブ諸国からも恨まれる羽目となった。 2006年以後の「米軍再編計画」では、米本土から米陸軍第一軍団司令部を座間(神奈川県)に移し、そこに陸自中央即応集団司令部を統合させ、自衛隊の司令部機能を米軍の指揮下においた。さらに青森に米軍Xバンドレーダー配備、横須賀への原子力空母の配備、岩国への厚木艦載機部隊移転計画、自衛隊基地や海自イージス艦へのミサイル配備を実行。それは日本本土を核攻撃拠点とし米本土防衛の盾にするものである。 九・一一事件以後、基地の町で見ていることは、米軍とその家族の緊急避難訓練である。いざ核攻撃となればさっさとグアムやアメリカ本土に逃げ、標的になるのは逃げ場のない日本人という筋書きである。日本を再びアメリカのために原水爆戦争の火の海に投げ込むことが現実問題として進行していることを、民族の危機として見ないわけにはいかない。宮崎の牛、豚どころか、日本人全体が再びアメリカに引きずり出されて屠殺場に送り込まれるわけにはいかない。 普天間問題の顛末で、アメリカは軍事の問題では一歩も譲らないし、日本の政府は一言も逆らうことができないという姿を示した。そしてこの軍事支配が、日本の政治、経済、文化など全面的な植民地支配の根幹になっている。 宮崎の口蹄疫問題による畜産業崩壊の危機も、日本の農水産業など食料生産はつぶしてしまって輸入依存に切り替えろというアメリカの要求とそれに従う売国政治を根源にしている。急激に深刻化する失業や貧困の問題も、日本に金がないからではない。1400兆円といわれる国民の金融資産のうち500兆〜600兆円がアメリカ国債やアメリカのいかさま債権などで巻き上げられ、その下で日本の大企業が200兆円もの内部留保をため込んで有り余る資金が日本国内に回らないからである。 先日IMFは日本は財政危機であるから消費税を15%に上げろと指図した。日本はIMFの第2位の出資国であるので、出資金を引き揚げればよいし、アメリカの国債を売り払えばよい。しかしそんな自由はない。アメリカの金融独占体の利益を侵すことはできず、日本国民の収奪を強要する一方的な関係である。日本の資産はアメリカに貢ぐという関係も、かつての戦争とその後の軍事支配を根幹としている。米軍基地の問題になるとなに一つ要求は通らないという現実は、軍事力で脅されてものがいえないという植民地支配の現実を示している。 米軍普天間基地、米軍再編の問題は、日本の平和と民主主義、繁栄の根幹をなす独立をめぐるきわめて鋭い問題となってあらわれている。 http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/buzamanahatoyamanohenokokaiki.html |