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菅直人新内閣の発足にも気分は浮き立たない
民主党代表選に、樽床伸二なる男が立候補を表明した。七奉行の一人だそうだが、この男についてはほとんど何も知らなかったので調べてみると、松下政経塾出身の典型的な新自由主義者らしい。花斉会所属とのことで、野田佳彦に近い民主党内保守派と見られる。樽床が掲げる政策は、衆院定数の80削減、消費税率引き上げ、普天間基地問題の日米合意の遵守という3点らしいが、樽床はその他に、「努力が報われる社会に」という、10年前によく耳にした言葉を発している(誰にも逆らえないこのフレーズを、「努力して金を儲けた者から税金をむしり取るな」という主張にすり替えるのが新自由主義者の手口である)ほか、原発推進論者にして社民党連立追い出し積極派でもあったらしい。「旧民社の害毒」に負けず劣らず、「松下政経塾の害毒」もひどいものだ。
樽床は、一昨年の自民党総裁選に立候補した棚橋泰文を思い出させる売名屋としか思えないが、なぜか自主投票を決めた小沢グループの中には、樽床を推す人間が少なからずいるという。特に昨年の政権交代選挙で当選した新人に、樽床に流れる者が多いのだそうだ。そんな輩に「国民の生活が第一」の政治など到底できるはずがない。こんな売名屋に釣られる議員など全く評価できない。昨年の総選挙で民主党を大勝させた国民の期待とは裏腹に、民主党議員にはかなり質の低い人間が多そうだ。「小泉チルドレン」もそうだったが、バブル的に大量に発生した議員の歩留まりはどうしても低くなる。それにしても、そんなに民主党には人材がいないのか。この分では、9月の代表選が思いやられる。とはいえ、菅直人の優勢は動かず、以下、当然ながら樽床の代表選当選などあり得ず、菅直人が次期民主党及び日本国総理大臣に就任するという前提で記事を書き進める。
そんなわけで、今日菅直人内閣が発足することになると思うが、前回のエントリにも書いたように、もはや私には菅直人政権も支持できない。なんというか、今の日本に見られる、マスコミが主導する一種異様な反動化の流れには、菅直人も抗しきれないように思うからだ。安全保障問題では菅直人はもともと結構なタカ派なのだが、経済政策においても、朝日新聞の星浩がテレビで公然と民主党政権に「改革への回帰」を求めたことに象徴される流れができてしまっている。星浩の言う「改革」とは小泉構造改革のことで、朝日新聞はマスコミの中でも特に熱心に「改革」の旗振り役を務めている。2005年にNHK番組改変問題で朝日新聞が安倍晋三と故中川昭一に屈して以来、朝日新聞は元気がなくなったと思っていたが、船橋洋一が主筆に就任して以来、それ以前から見られた新自由主義寄りの度合いがさらに強まってきた。自民党は消費税率の引き上げを参院選に盛り込むそうだが、朝日新聞は間違いなく「民主党も財政再建の道筋を示せ」などと主張し、暗に菅直人に消費税率引き上げの公約を掲げることを迫るだろう。菅直人はそれに屈するような気がしてならない。
とはいえ菅直人は鳩山由紀夫よりはずっとマシだ。小沢・鳩山信者は「菅直人は新自由主義寄りだ」とか「菅直人は官僚に屈した」などと言うが、実際には、菅直人は転向後の小沢一郎との比較はともかく、かつて小泉純一郎に共闘を申し入れたことのある鳩山由紀夫よりは間違いなくマシである。財務大臣に藤井裕久、官房長官に平野博文を任命したのはいったい誰だったのか。次の衆院選まで消費税を上げないと言っておきながら、財政再建厨の藤井裕久を財務大臣に任命した鳩山由紀夫は、自らの言葉の意味を理解していなかったとしか言いようがない。
普天間基地問題にしても、『日本がアブナイ!』が書いたように、鳩山由紀夫は「職を賭して」沖縄より日米安保をとり、新たな「日米共同声明」まで出してしまったのである。ところが世間には、それでも鳩山由紀夫を弁護しようとする人たちがいる。ブログでは、去年の今頃、植草一秀の口車に乗って、当時小沢一郎と蜜月関係にあった鳩山由紀夫を絶賛していた連中だ。ブログではなく掲示板でだが、植草一秀、小沢一郎、鳩山由紀夫の3人を「政権交代の三種の神器」として崇め奉る人間まで出現した。まさしく宗教的な熱狂だった。もちろん、鳩山由紀夫が日米共同声明を出し、社民党が連立を離脱した以上、菅直人もそれを踏襲するだろうし、そのことで菅直人も責めを負わなければならないが、元凶が鳩山由紀夫であることは忘れてはならないだろう。
私は、小沢一郎が民主党代表を退いた時、鳩山由紀夫も一蓮托生で幹事長を辞めるというので喜んでいたら、なんとその鳩山由紀夫が代表選に出馬すると 聞いて大いに落胆したものだ。あの頃、「植草・小沢・鳩山信者」たちは、「鳩山由紀夫=正義、岡田克也=悪」という、単純な善悪二元論のレッテル貼りをして気勢を上げていた。確かに岡田克也がろくでもなかったことはその後証明されたが、言葉が軽い分だけ岡田克也よりもっと悪かったのが鳩山由紀夫だった。
昨年の鳩山由紀夫首相誕生で、何が嫌だったかといって、せっかく政権交代したのに、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎と続いた世襲総理大臣の系譜がさらに続いてしまうことだった。その世襲の時代がようやく終わる。菅直人はサラリーマンの家の生まれだった。直近の非世襲総理大臣は森喜朗ということになっているが、森は地方政治家の息子であって、政治家一族の出でない総理大臣となると、村山富市以来14年ぶりとなる(蛇足だが、樽床も非世襲議員である)。
とはいえ、菅直人内閣に対しては、期待よりも懸念の方が多いのが正直なところだ。政権交代後最初の総理大臣は、鳩山由紀夫より菅直人の方がよほど良かったと思うのだが、鳩山が悪い流れを作ってしまったあとでの菅直人では、多くは期待できないように思う。普天間の問題は全く期待できないし、前述の税制の問題を含む経済政策も私は期待していない。一方、情報公開をはじめ、菅直人が得意とする分野ではそこそこアピールできる可能性がある。但し、苦戦と見られる参院選があるし、9月には代表選があるから、16年前の羽田孜内閣のような短命内閣になる可能性もある。
かつて期待した菅直人が首班となる内閣が発足することになりそうだが、全然気分が浮き立たないのが正直なところである。
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