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鳩山首相の突然の辞任から一夜明けた。八ヶ月前に圧倒的な民意で選ばれた首相でさえも、アメリカの虎の尾を踏むと、辞任をせざるをえないという、歴史的にも、大いな皮肉を語るでもなく、マスコミはやっぱり、今後の政局報道に明け暮れているが、私はここでも、マスコミの報道をみていて、かなりこれは、ずれていることを議論しているな、という思いがつきない。
むしろ、昨晩の報道ステーションの内容にでも露骨に出ていたように、いかに、次の政権で、小沢一郎を排除するのか、というサウンドを、御用評論家や、御用記者に語らせて、民主党内の世論を操作することに全力を傾けているようにも思える。つまりは、マスコミからすると、それだけ小沢一郎が怖いのである。ということは、何が何でも、小沢一郎に頑張ってもらわなければいけない。
さて、まず今回の首相の突然の辞任、そして代表戦へのシナリオだが、私はずいぶん前から練られていたのではないかと、確信をしている。小沢一郎は、過去、細川連立政権の樹立と、社会党の切り崩し、新進党という野合政党の失敗ということを繰り返しているから、もうこれは、昨年、政権交代が起きたときから、既得権益を破壊して、新しい政権を維持するために、何がいったい必要かということをわかっていたはずだ。
彼は、とにかく日本における政党政治は、「数の確保」が必要だと考えていたはずだから、まず新人議員が多数いる民主党内の「締め付け」を強化して、そして、自民党の利権誘導政治の温床であった予算の分配権を幹事長室に一本化したわけだ。こうすることで、自民党をこれまで支持してきた業界団体の引き剥がしということをずっとやってきた。
これは、小沢一郎なりに、細川政権や、新進党の失敗、という教訓から学びとったものだと思う。将来的にはオープンな形にするとしても、まずは、政権交代直後は、既得権勢力が巻き返しにかかってくるから、そこの防御をまずは、しっかりと自分の手で行う、ということだ。当然、参議院選挙の情勢分析や、万が一、敗北した際の連立の組み替え案も含めて、小沢一郎なりに、いろいろとシミュレーションもしていたことだろう。
アメリカの猛烈な圧力や、官僚の抵抗、マスコミの露骨なまでのネガティブキャンペーンで、鳩山首相の支持率が下がってくるということも、ある程度、予想していただろうし、その場合の首相退陣と、新首相で次の選挙に臨むというシナリオも、3月あたりから、十分に練ってきたのではないか。
マスコミの報道をみていると、昨日、鳩山首相が辞意を決断したということを、額面どおりに受け取って、今、菅直人や、その他の勢力が多数派工作を展開している、というように報道しているが、そんなわけはない。そんないきあたりばったりの権力闘争をやっているわけはないだろう。
6月2日早朝の突然の両院議員総会の召集、それから首相の突然の辞意表明、6月4日の代表戦という、慌しいまでの日程は、つまり、小沢や、鳩山が、意中の人物以外に、多数派工作をさせないために、あえて日程を短くしたに決まっている。その辞任表明のタイミングというのも、参議院選挙までの残り日数や、ついこの前まで来日していた中国の温家宝首相のスケジュールも含めて、すべてか練りに練られていて、このタイミングでの突然の発表であると、私は確信しているものである。
つまりは、昨年の衆議院選挙での小沢代表の突然の辞任と、同じことをやっているだけの話である。その後、代表選挙をやって、新首相の誕生ということになれば、マスコミは、いかに上層部の指示で、民主党を叩けということになっていたとしても、やはり、新首相誕生までのドキュメントに報道を割かざるをえない。となってくると、報道上は、「民主党」「○○新首相」という言葉が、連呼されることになるから、報道におけるマインドシェアとしては、民主党が占めることとなり、一方で、自民党、みんなの党などは埋没してしまう、と、そこまで計算をしているはずだ。
これはコイズミ政権での、郵政解散以来、マスコミのワイドショー報道が、やはり選挙には大きく影響すると、そこを踏まえたうえでの策略である。実際、昨日の鳩山首相の退陣挨拶を見ていて、私は、これはもう、マスコミ向けというか、B層(コイズミ政権が選挙対策で規定したマスコミに踊らされる浮動層)を、おおいに意識した挨拶であるなと思った。
「政治とカネ」の問題というが、そもそも鳩山首相、小沢幹事長に対しての検察の動きも、明らかな国策捜査というか、既得権勢力による圧力そのものであるが、しかし、そんなこと、いちいち国民に弁明したところで、マスコミがナベツネはじめとする既得権勢力におさえられている以上は、報道されることはない。
またもっといえば、世論調査で、国民が投票の際に意識することの上位にあげているのは、「経済対策」と「年金問題」であって、「政治とカネ」をあげている人はわずかのシェアにすぎない。それをあえて、ここで持ち出してくるのは、マスコミ向けのパフォーマンスである。
また、鳩山首相が引責辞任した時点で、当然、代表が任命した小沢幹事長としても、連帯責任として辞任せざるをえなくなる。そこをわかっていて、あえて退陣挨拶で、鳩山首相が、小沢幹事長にも引責辞任を求めるというパフォーマンスをしたのは、ここまできたら、汚れ役をすべて小沢に押しつけることで、クリーンな民主党をアピールして、参議院選挙に臨むとそういうシナリオだ。つまりは、首相辞任のスケジュールから、突然の退陣挨拶のパフォーマンスまで、小沢、鳩山で十分に練っていたはずだとみるべきだろう。
さて、ここに小沢、鳩山以外に、次期総理として、一枚かんでいるだろう人物がいる。それはやはり、菅直人だ。菅については、こういうケースも予想されたからこそ、普天間問題で傷をつけることもなく、国家戦略室長や、財務大臣という要職をつとめながらも、危ない橋を渡らせずに、ここまで温存してきたとみるべきだ。
今の民主党は、「小沢・鳩山・菅」のトロイカ体制の勢力と、それ以外の仙谷、前原、野田、岡田らの個別勢力に分かれているとみるべきで、それは過去の節目節目の党内の権力闘争をみていても、結局はこの図式におさまるようにできている。また、民主党にとっては、間近に控えた参議院選挙で、不可欠なのが、国民新党と、社民党との選挙協力である。この土壇場のタイミングで、それが反故になってしまうようでは、多くの民主党の候補者が討ち死にをしてしまう。
よって、国民新党の亀井静香を「御する」ことができて、かつ、社民党が連立復帰をしやすいように納得する人物でなければいけない。となってくると、岡田外相は、普天間問題での失敗から、社民党との選挙協力を考えると絶対にありえなくて、原口や、枝野、前原あたりでは、はたして、亀井静香とわたりあえるのか。やはりここは消去法でも、菅直人しかいない。ということになってくる。
ただ、菅直人ということになると、昔からの見慣れた顔であるし、ポピュリズム的には、国民に飽きられているので、選挙向きではない、という懸念が出てくる。というわけで、昨日から、ウワサにちらほら出ている「田中眞紀子」という名前に行き着くわけである。彼女の人気は、やはり団塊世代の主婦層には根強い。
さすがに彼女が、首相ということは、この大事な局面ではありえないだろうが、かつて、アーミテージ国務副長官に、MDミサイル購入を断って、アメリカの逆鱗に触れ、外務大臣を罷免されたように、アメリカに対しての強硬姿勢というのは折り紙つきだ。彼女のアメリカ嫌いというのは、やはり父親の田中角栄が、日中国交回復をアメリカに先んじたために、キッシンジャー国務長官から、ロッキード事件を仕掛けられて、かつ、検察も動かされて、政治生命を絶たれたという、悔しさからきている。
そもそもそのような私怨で、政治をやっていいのか、という疑問符はつきつつも、田中眞紀子外相であれば、辺野古の問題も、強硬姿勢を貫くだろうし、そうなると社民党も連立復帰ができる。心配なのは、鈴木宗男との関係性だが、それもお互いに、検察の国策捜査という共通体験を通して、雪解けをしている部分もあるであろうと。
となってくると、幹事長経験に長けている岡田克也を、外務大臣から、幹事長に戻して、参議院選挙に向けたスクランブル体制が組める。私はおそらく、ここまでのシナリオが出来ているのではないかと、勝手に推測を今、しているのである。
さて、話を戻して、鳩山首相の退陣であるが、最後に本音といえるメッセージを二つ残している。一つは退陣挨拶で、
「いつかは日本の平和を日本人自身でつくりあげていくときを、 求めないといけない。米国に依存を続けて良いとは思いません。ここをぜひご理解いただき、鳩山の「少しでも県外に」との思いを ご理解願えればと思います。その中に私は普天間問題の本質があると思っています。あなた方の時代に、日本の平和を日本人自身で見詰めることができる環境をつくることを、 日米同盟の重要性は言うまでもありませんが、一方でも模索していきたい。」
マスコミはまったく触れないが、首相が退陣挨拶の場で、「自主防衛」の必要性を訴えたことは、歴史的な意義である。自民党時代のポチ右翼政治家からは、絶対に出てこない発言だ。もうひとつは、記者会見において、記者からの、「やり残したことは?」という質問に対し、
「やはり日露関係だ。領土問題に対して今年3回、 メドベージェフ露大統領と真剣に議論できると楽しみにしていた。必ず進展があると自分なりに心に誓うものがあった。それができなくなったことは誠に残念だ。」
私自身も、何度かブログに書いてきたように、北海道を選挙区に持ち、鳩山一郎の孫である鳩山由紀夫が首相だからこそ、北方領土問題の解決はできるのでは、と期待をしていた。ロシアに強力なパイプを持つ鈴木宗男が、衆議院外務委員長であること大きい。
マスコミは報道しないが、ことある場で、鳩山首相、岡田外相は、北方領土問題の解決に向けてロシアとの協議をつづけてきた。やはり今回の首相辞任は、この問題の解決で、大きな痛手となる。首相が一年おきにコロコロ代わることの弊害はこういうところに出てくる。さて、いずれにしても、政治刷新を望む国民は、気持ちを強くもって、この程度の混乱はあるだろうと、腹をくくって、この後も、既得権益の打破を繰り返し、求めていかなければいけない。そうはいっても、政権交代のおかげで、ずいぶんと膿は出てきた。驚くほどの国民の無知と、平和ボケも含めてだ。すべてを政治家のせいにするのではなく、新しい時代をつくっていくために、私たち国民の一人ひとりが、引き続き、主体的に関わっていくことを努力していくべきだろう。
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