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2010年06月01日(火) 11:13
鳩山首相は覚悟を決めているのではないか
鳩山首相は覚悟を決めているのではないか。社民党党首の福島大臣を罷免したときに、そう感じた。
昨日、国会内で小沢幹事長、輿石参院議員会長と会談。呼びかけたのは鳩山首相だった。
記者団に「厳しい局面だが三人で力を合わせてがんばろうとの打ち合わせだ」と首相は語ったが、その言葉にはリアリティを感じない。
スケジュールのわずかな合い間を利用した5分間の会談が物語るものは何か。
「三人でがんばろうという打ち合わせ」なら「参院選に向けどうやって局面を打開すべきか」ということになり、話はすぐに終わらない。
鳩山首相は小沢幹事長らに何らかの意思を伝え、あとの判断を委ねるつもりだったのだろう。
首相という地位に執着するつもりがないこと。それを、どういう表現かは分からないが二人に伝えたのではないか。
だからこそ、その後の役員会で、小沢氏は「一両日中にもう一度、三人で会い、参院選について話し合う。一任してほしい」と説明し、了承を得ている。
今日の新聞には「鳩山包囲網」「鳩山おろし」の見出しが躍っている。強気に続投意欲を示す首相を、党が引きずりおろそうとしている構図だ。
読売新聞は「関係者」の話から、こんな場面を描く。
輿石氏は首相に対し、「このままでは国会運営が厳しい。郵政改革法案も廃案になり得る」と指摘した。首相が「そんなに厳しいですか」と述べると、輿石氏は「前にも言ったではないか」と不快感を示したという。
参院民主党から噴出する「鳩山おろし」の声を受けて、輿石氏が退陣へのプレッシャーを首相にかけているかのようだ。
この会談の内容や、ぶらさがり会見で続投に意欲を示した首相発言を、報道陣から伝え聞いた参院幹部の反応について、朝日新聞は次のように書いた。
「首相の先制攻撃だ」。参院民主党から「鳩山降ろし」の声が噴き出す中、党を牛耳る最高幹部二人を前に、首相が続投を既成事実化する作戦に出たというわけだ。
そんな作戦を弄して何になるかとも思うが、政治の戦いを描きたくてウズウズしているのが日本のマスコミである。こういう流れだと、この手の記事が氾濫するものだ。
普天間移設問題をめぐるメディアの激しい責任追及によって、世論調査の支持率がさらに下落、社民党の連立離脱で、選挙協力に暗雲が垂れ込めている。
自らが結党した民主党の行く末に人一倍、責任を感じているのは、鳩山首相に違いない。
むろん、できることなら続投したいだろうし、自民党政権末期のように総理の首のすげ替えは好むところではないだろう。
それでも、このままでは党内の権力闘争に火がつきかねない。さまざまな利害得失の感情が渦巻く党内を落ち着かせ、世論の逆風を少しでも和らげるには身を捨てるほかない。鳩山はすでにそういう思いに至っているだろう。
ただし、かりに鳩山首相が退陣することになるとしたら、問題はそのあとだ。メディアはもう一人のターゲット、小沢一郎を血祭りにあげるべく、手ぐすねを引いている。
本来なら、東京地検特捜部が二度も不起訴にした小沢幹事長が辞める理由はない。
しかし、メディアはまたぞろ「政治とカネ」の説明責任を果たしていないなどと責め立て、辞任を促すはずだ。その結果、民主党イメージが低下したまま参院選へ突入することは避けられない。
小沢幹事長は、鳩山首相から渡されたボールをどう返すか、難しい決断に迫られている。かつて細川非自民連立政権を誕生させたときのような妙案が生まれるかどうか。難局のいまこそ、手腕のみせどころだろう。
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