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2010/05/28 朝日新聞
<池上彰の新聞ななめ読み>官房機密費 野中氏が配った評論家とは
政権交代は、さまざまな旧悪を暴露しました。官房機密費の使い道も、そのひとつです。
官房機密費とは、正式名称が「内閣官房報償費」。内閣官房長官が管理する資金で、領収書は不要。使い道は明らかにされず、会計検査院も検査しません。今年度予算案では、政権交代前の前年度と同じく14億6千万円が計上されています。
去年夏の衆議院選挙の直後には、麻生内閣の河村建夫官房長官が、2億5千万円も引き出していたことが、政権交代によって判明しました。政権交代することが決まり、内閣退陣直前という時期になって、こんな大金を何に使ったのか、いまだに謎のままです。
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この官房機密費が改めて注目されているのは、小渕内閣で官房長官を務めた野中広務氏が、先月テレビや講演会で、使い道について発言したからです。この中で野中氏は、「言論活動で立派な評論をしている人たちのところに、盆暮れに500万円ずつ届けることのむなしさ」などと発言しました。
さらに、機密費を渡しても返してきたのはジャーナリストの田原総一朗氏だけだったと発言したものですから、では、受け取っていたのは誰なのか問題になっています。
野中氏が官房長官だったのは、1998年7月から翌年10月までです。この間に、野中氏は、いったい誰にお金を渡したのか。もし事実だとすれば、日本のジャーナリズムにとって深刻なことです。
政府から機密費を受け取っていたら、政府の批判はしにくくなるでしょう。政府を応援する言論活動をしていたのかも知れません。そんな事情を知らない私たちが、「立派な評論」を聞かされたり読まされたりしていたとなれば、裏切られたという気になります。
こんなに重大な問題なのに、朝日新聞を含めて新聞やテレビの追及はほとんどありません。どうしてなのでしょうか。こんな疑問を持っている読者は多いはずです。
東京新聞の5月21日朝刊の投書欄には、「政治評論家やコメンテーターがテレビに出て旧政権の手先かと思うほどに、鳩山政権批判などを繰り返し世論を誘導しているのを見るが、そのたびに、この者たちは官房機密費をタップリともらっていたのではないかと疑念を持ってしまう」という読者からの声が掲載されています。
鳩山政権に対する正当な批判をしても、こんな風に疑念を持たれては、心外だと思う評論家やコメンテーターもいることでしょう。誰が受け取っていたのか明らかになれば、それ以外の人たちの疑惑は晴れるはずなのですが。
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その東京新聞は、5月18日朝刊の「こちら特報部」というページで、この問題を真正面から取り上げました。野中氏は取材を断ったとのことで、東京新聞の記者は、「失礼を承知で“有識者”に聞いて回った」と、政治評論家や元政治家にインタビューしています。中には、「回答を得られなかった人」がいるそうです。もらっていなければ回答できるはずなのに……と思うのですが。
東京新聞の見事なところは、記者が、上司にあたる自社の編集局長にも取材していることです。こんなことができるところに、この新聞の社内の風通しの良さを感じます。特報部の記者の取材に対して河津市三編集局長は、「私自身は取材の過程で金銭を提供されたことはない」と答えています。
東京新聞の編集局長は、疑惑を否定しました。では、朝日新聞の編集幹部や、朝日新聞出身の評論家、コメンテーター諸氏は、どうなのでしょうか。取材してみる記者はいませんか?
官房長官時代の野中広務氏(左)。右は小渕恵三首相(当時)=1998年9月16日、国会
東京新聞5月18日付朝刊から
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