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2010-06-01 11:46:52
読売新聞の悪意…検察審査会と辻恵議員をめぐって
民主党辻恵議員が検察審査会に圧力をかけたということを5月30日〜31日にかけて各紙が取り上げている。
特に読売の力の入れようが際だつ。
読売が目をつけるのには理由がある。
辻氏は民主党における検察批判の急先鋒である。
先般の生方幸男騒動で、生方に替わり副幹事長に就任。
その後生方は復帰したが、辻氏はそのまま副幹事長職にある。
※新旧副幹事長比較(民主党)…生方幸夫と辻恵 3月21日(http://blog.goo.ne.jp/yamame1235/e/c10c9f33b6967d247f7535708270f857 )
民主・辻副幹事長、検察審査会への接触認める (YOMIURI ONLINE 2010年5月31日)(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100531-OYT1T00100.htm)
民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で、小沢氏を不起訴とした東京地検の判断を審査している検察審査会の事務局に対し、同党副幹事長の辻恵衆院議員(61)側が審査手続きを説明するよう求めた問題で、辻氏は30日、読売新聞の取材に応じ、26日に東京第1検察審査会の事務局に電話を入れたことを認めた。
辻氏は「一般論として制度のことを聞いたが、何も答えてもらえなかった。(審査に対する)圧力とは違う」と述べた。
ただ、小沢氏に関する審査をしている第1と第5審査会の事務局長を呼ぼうとしたことについては「事実無根だ」と否定した。
辻氏は27日の取材には、検察審査会の事務局に電話したことも否定していた。
記事によると、辻氏が事務局に電話したのが、26日である。
そして翌27日には早くも読売が取材に駆けつけている。
読売に情報が伝わるのが速過ぎるのではないか。
辻氏側が発表したものではないのは、記事から明らかである。
読売はどこから情報を得たのか?
検察審査会事務局側から漏れたと考えるのが自然であろう。
事務局の情報管理の実態を明らかにする必要がありそうだ。
「小沢・起訴相当」の議決の発表に当たっては、告発者の名前さえ隠していたのに……。
また、読売は次のような批判もしている。
「辻氏は27日の取材には、検察審査会の事務局に電話したことも否定していた」
しかし、辻氏と読売にはそれ以前からのいきさつがある。
民主・辻議員に融資返還請求、供託金巡り提訴 (YOMIURI ONLINE 5/27)(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100527-OYT1T00155.htm )
こんな新聞が取材に行っても、辻氏としてはそれに応じる義務はなかろう。
どうせホントのことは書かないのだから、と思っている。
こんな記事を朝刊に載せておいて、よくもその日に別な件で取材にいけたものだ。
拒否されればされたでなんとでも書きようはあると、多寡をくくっているのだろう。
読売との確執を辻氏の公式サイトに見てみよう。
このたびの新聞報道について (5/28)(http://www.tsuji-ganbaru-sakai.jp/index.php?UID=1275033858)
さて、2010年5月27日付読売新聞朝刊に掲載されました記事内容は、提訴側の主張に対する吟味を全く行わないまま、「辻議員に融資返済請求」という見出しを付け、あたかも私が融資金を巡って何らかの金銭的利益に関わったかのような印象を与えるものであり、私の政治家としての名誉を毀損し、さらには政権与党である民主党に政治的ダメージを与えることを企図したとしか考えられない悪質な記事であります。
私は読売新聞社に対して、直ちに内容証明郵便で記事の訂正と謝罪を要求しております。
そもそも私は……
(中略)
読売新聞社は以上の事実関係を二ヶ月程前から知りながら、普天間問題等で緊張している終盤国会大詰めのこの時期に狙いをすましたかのように今回の記事を掲載したものであり、本件に関しての他社の報道は一切ありません。中立公正なマスコミの使命から逸脱したものと言わざるを得ません。
読売新聞社はこれまでも、暴力団関係者に5億円余を譲渡したかのような印象を与えた昨年11月2日付夕刊及び同年11月3日付朝刊記事、並びに「司法のあり方を検証・提言する議員連盟」に対して“検察審査会見直し議連”と断じて事実を歪めて非難した本年4月30日付朝刊の記事等悪意があると考えざるを得ない報道を続けてきており、大変遺憾であります。
以上が、今回の記事の事実関係と背景にあるものです。
5億円事件とは、次の事件である。
民主・辻恵議員を富士薬品が提訴 供託金5億円返還求め 辻氏「事実無根」と反論 産経ニュース 2009.11.2(http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091102/trl0911020205000-n1.htm )
ところでこの事件について鋭い考察を加えているサイトがある。
情報紙「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介取材メモ) 大手ドラッグストア「富士薬品」に群がった魑魅魍魎の“六本木TSKビル人脈”(V)「供託金トラブルに巻き込まれた辻恵代議士」(http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/60018/57690/60827529)
この供託金を巡るトラブル、「産経」だけが11月3日朝刊で報じ、「読売」と通信社配信の一部地方紙が後追い報道している。だが、「朝日」や「毎日」「日経」が一切報じていないのは、辻氏は弁護士代理人として善意に関わっていただけと判断したからだろう。
そのことは、報道後、辻氏は供託金の権利を富士薬品に戻すことを条件に、富士薬品と即、和解になったことでも明らかだろう。
富士薬品においては、不動産投資にのめり込んだ創業者で前社長派と、息子の現社長派との間で内紛があり(自殺者まで出ている)、事情を良く知らないまま、現社長派がいきなり提訴したようだ。しかも、トラブルに巻き込まれたことに気づいた辻氏は、提訴前の3月から供託金の権利を譲渡されたと主張する暴力団関係者と交渉を続け、埒があかないと見るや警視庁に相談、有印私文書偽造・同行使で告訴し、すでに受理(9月16日)されており事件化は必至の様相。そして、富士薬品もようやく辻氏がトラブルに巻き込まれたと気づいたからと思われる。
この供託金を巡るトラブルの主体は、辻氏ではなく、同氏が代理人を引き受けていた不動産会社と思われる。だから、大手マスコミはどこも実名を上げていないが、本紙は辻氏への提訴を報じた時点で、「東洋不動産」の社名を挙げ、社長を務める大津洋三郎氏なる人物のいかがわしさについて報じている。では、こんな人物の仕事を辻氏はなぜ、引き受けたのか。取材に応じてくれた辻氏によればーー。
産経はともかく読売も簡単に引っかかったらしい。
他の新聞が踏みとどまっているというのに。
しかもその後の顛末についての報道は一切していない。
辻氏にしてみれば、こんな読売の取材に応じる必要はさらさらなかろう。
読売はこんな記事も載せている。
ご丁寧に図版つきである。
民主・辻副幹事長、検察審事務局に接触図る (YOMIURI ONLINE 2010年5月30)
(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100530-OYT1T00051.htm )
政権与党の幹部が、政治的な中立が要求される検察審査会側に接触を図るのは極めて異例で、その目的や真意について議論を呼ぶのは必至だ。
読売はなんとか騒ぎにしたいと思っている。
しかし、このことのどこがおかしいのか。
多少議論があるとすれば、事務局を呼びつけたということだけであろう。
ただこれについての事実は不明である。
読売が問題にしているのは、国会議員が検察審査会に干渉・圧力を加えたということだろう。
しかし検察審査会とは、事務局が裁判所に置かれ、事務局員は裁判所事務官がついている。
司法に属していると言える。
そもそもこれはおかしい。
司法は裁判を通して権力を行使すべきものである。
起訴まで裁判所が担当したのでは、自分で起訴し自分で裁くということになる。
ところで憲法には書いてないが、日本は三権分立を建前としていることには大方異論はなかろう。
同じく憲法には書いてないが、これは権力の「均衡と抑制」をはかるという目的に沿ったものであるということにも異論はなかろう。
三権分立とは、お互いに不干渉ということではなく、抑制の権能も持っているということである。
「検察審査会法」は国会で成立させられている。
その法律の運用に国会が関心を持ち、責任を持つことは当然の義務である。
辻氏の行動は国会議員として当然のことである。
読売をはじめとしてマスコミの認識は、三権分立という概念を誤解しているものと言う他はない。
まして辻氏が接触したのは事務局なのである。
事務局にその運営の在り方、手続き等について説明を求めることに何の問題があるというのか!
一連の報道は、小沢擁護の先頭に立っている辻恵副幹事長をねらい打ちにした読売新聞の悪意の現れであると言うべきである。
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