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2010年05月30日00:00 カテゴリ
アメリカは日本を守り、その代わり日本はアメリカに基地を提供する、それが日米安保条約なのだと、この50年、ずっと説明されてきました。
日本の立場からすると、米軍基地がある、ただそれだけで日本は安全を確保している、ということになります。在沖米軍基地存続を願う人びと、石破茂サン、岡本行夫サン、森本毅サン……ほぼすべての人が、そう言います。
いっぽうアメリカの立場からすれば、日本に自分たちが基地を置いていること自体が日本を守っているのであり、その先、つまり日本の基地を何に使おうが、それは日本の関知するところではなく、自分たちのそのつどの必要に応じて使っていい、ということのようで、これは方便でもなんでもなく、とくに現場の司令官などは心からそう信じているようです。
だから、世界情勢の変化にともなって、古くは朝鮮戦争、ベトナム戦争の出撃拠点とし、今は世界をテロから守るためと、沖縄からアフガン・イラクに出て行くのでしょう。
これを、アフガンやイラクの人びとが見たら、その目に日本や沖縄はどう映るのでしょうか。先ほどの説明をなぞれば、「日本は米軍に基地を提供し、そこから来るアメリカ兵が私たちを殺している、日本の安全は米軍によって私たちにもたらされるおびただしい死を担保としている」ということにならないでしょうか。
友誼や公正を重んじるイスラムの人びとは、こうしたことを知ったら、激昂するのではないでしょうか。日本は人道支援だ、復興支援だと言ったが、もとはと言えば、日本がアメリカに協力したからこそもたらされた破壊であり、社会の崩壊なのに、日本はいい人面して耳障りのいいことを触れて回っていただけなのか、と。
沖縄にいると、そういうことが肌で感じられるようです。前にも書きましたが、「ここから出ていく米兵が人を殺す、あってはならないことだよ」という沖縄の方がたの言葉がそれを表しています(5月7日「保守主義の島 沖縄」)。
しかも、基地を提供する、ということには、その維持費負担も含まれているわけです。維持費の70%も。そんな国は日本だけです。かつて、日米安保条約を結ぶ際、占領が終わっても米軍の駐留が続くことに反発する閣僚がいました。きわめて健全な感覚です。それにたいして吉田茂は、「番犬だよ、番犬が悪ければ番犬様だ、しかもエサ代はあっち持ちだ」と言い放って不敵に笑ったそうです。
それから50年、いつのまにかエサ代までこちら持ちになってしまった番犬様は、いつも犬小屋を空っぽにしています。アフガンやイラクでの喧嘩が忙しく、また訓練のためにあちこち出かけているからです。それでも、りっぱな犬小屋があることが日本の安全に欠かせないというのが、従米派外務・防衛人脈の論調です。
軍事専門家を任じる人びとは、抑止とは相手が抑止と考えれば抑止なのだ、という心理学を採用します。犬小屋や「猛犬注意」のステッカーを空き巣除けに誇示するようなものです。けれど、押し入る人がいるとしたらの話ですが、それは流しの空き巣ではなく、周到に犬小屋情報を収集しているだろう、特定の「容疑者候補」です(これを特定しないことには、防衛業界はあがったりなので、かれらが北朝鮮だ中国だと特定します)。
いつ犬小屋が空になるか知られているのに、空き巣対策は万全だと安心しているのは、まさに軍事ボケではないのでしょうか。
抑止と対をなすのが、脅威でしょう。こちらも、相手が脅威とみなせば脅威になるという、抑止と鏡像関係にある心理的な何かです。心理の次元で、抑止と脅威というおばけがどんどんふくらんでいる、それが現実だ、私はそう疑っています。韓国海軍艦の沈没も、おばけのふくらし粉として活用されたのだ、と。
27日の全国知事会の際、石原東京都知事は、「米軍が抑止になっているのかどうか、政府は調べて報告しろ、それがないならナンセンスな会合だ」と言いました。的を射た発言だと思います。テレビニュースの中には、前半をカットして「ナンセンスな会合だ」だけを流しているものがありました。なぜナンセンスと石原さんが考えたのかを伏せて、鳩山さんの企図を貶(けな)したことだけを伝えた、きわめて意図的な(悪質な)報道でした。
抑止だ、脅威だと、言葉に踊らされずに、ここは私たち一人ひとりがきちんと考えるべきだと思います。アメリカの国防省や国務省は、東アジアに軍事的脅威はない、と認めています。北朝鮮のことは、公式には歯牙にもかけていないというわけです。
鳩山さんは、米海兵隊基地を沖縄に置く理由として、国民にみずから国を守る気がないから、というようなことをちらっと漏らしました。ほかにも、そういう議論が出てきています。その人びとは、鳩山さんを含めてみなさん言葉をのみこんでいますが、憲法改正を見越しているのでしょう。
その思考の道筋は理解できますし、近所の人たちが犬の吠え声に悩まされ、子どもたちが噛まれて大けがをしても、りっぱな新品の犬小屋や高級ドックフードは遠く離れた親戚の安全のためになる、とする考え方よりも、私はまだましだと思います。ましな分、論破するのは、空の犬小屋信奉者よりも難しいと覚悟しなければなりません。ゆめゆめ「お花畑」なんて言われないように、武力によらない平和の理論を深めなければなりません。
今回のことは、私たちの目に沖縄、日米安保、米海兵隊、抑止力、脅威などがそのあからさまな実像を見せたということで、いい勉強になったのではないでしょうか。
勉強したら、さあ次は反転攻勢です。
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