http://www.asyura2.com/10/senkyo87/msg/192.html
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http://diamond.jp/articles/-/8247
夏の参院選からインターネットを利用した選挙活動が解禁されるという。
きょう(5月26日)、与野党の選挙制度協議会で合意に至り、今国会中の法案成立が確実になった。来月には国会を通過し、即施行、参院選には間に合わせるという算段だ。
とはいえ、その内容は限りなく不十分であり、諸外国と比較しても恥ずかしいことこの上ない。とてもIT立国を目指している国の選挙制度とは思えない内容だ。
とくに標的となったのはツイッターである。この革命的なメディアツールに対して、日本の政治家が下した結論は「ノー」であった。
先般の英国下院議員選挙はまさしくネット選挙であった。日本では、現職のブラウン首相を叩きのめしたテレビ討論会の様子ばかりが伝えられているが、実際は「ツイッター選挙」の様相を呈していたのだ。
キャメロン首相、グレッグ副首相のふたりの若い候補者は当然のことながら、二人の夫人たちも猛烈に“つぶやく”ことによって、ネット世代の支持を急速に取り付けたことは無視できない。また、ツイッターに書き込む43歳の両候補者の砕けた様子が、有権者の親近感を誘ったのは想像に難くない。
加えて、各党の政策を比較するインターネット上の論議も盛んであり、もはや政策討論はテレビなどの放送メディアよりも、ネットを中心に行われていたといっても過言ではないほどであった。
また米国における「ネットと選挙」の関係は、いまさら言うまでもないだろう。
2年前の米大統領選挙についてのリポートは本コラムを参照していただきたいが、米国ではネットはすでに選挙に不可欠なツールとみなされ、各陣営も選挙戦略の中に当然に組み込んでいた。
そもそもツイッターは、当時のバラク・オバマ候補が使っているということで一気に広がったSNSでもある。実際は、オバマチームのスタッフが“つぶやいて”いたのだが、それでもオバマ陣営のネット戦略が大統領選の勝利に貢献し、多額の献金を集めた事実は疑いないのである。
なにも欧米の例ばかりを引くまでもない。アジア諸国でもネットが政治の舞台の中心に入り込み、大きな影響を与えている。
タイでは、タクシン元首相が亡命先のドバイ(当時)からツイッターで国民に対してメッセージを送ることで、農民たちは団結して戦い続けることができた。またイランやモルドバの反政府デモもツイッターを利用した連帯によって初めて可能であったのだ。
世耕自民党議員の不安は的中した。
このように、その政治的な意味合いの是非は別として、すでに政界においては、ツイッターを筆頭としたネットこそが「選挙の最強の道具」としてインフラ化し始めているのである。
翻って日本の政界だが、そのあまりにも「現実認識」の低さに改めて驚き呆れるしかない。
とくに、本日決定した与野党協議会の合意内容をみると、これは前世紀に起こった事象なのではないか、と錯覚を起こしてしまうほどである。
協議会メンバーのひとり自民党の世耕弘成参議院議員は、会合直後、こうつぶやいている。
〈各党実務者協議を終えました。最大公約数での合意に止まったのはまことに残念です。特に民主党は第三者の利用の解禁と、ツイッターについては極めて後ろ向きでした。しかし合意して前へ進まないことには、参院選でネットを使えないので、ここは苦渋の合意で前へ進むしかありません〉
http://twitter.com/SekoHiroshige
世耕氏の言う〈苦渋の合意〉を、日本経済新聞の記事(ウェブ版)でみてみよう。
〈与野党は26日午後、インターネットを利用した選挙活動に関する代表者協議(座長・桜井充民主党参院政審会長)を開き、候補者本人と政党による選挙期間中のホームページとブログ更新を夏の参院選から解禁することで最終合意した。地方選も対象に含め、法律違反時には罰則を科す。今国会中に全会一致で公職選挙法改正案の成立をめざす。
ツイッター(ミニブログ)は与野党でまとめるガイドラインに基づき利用を自粛し、メールも解禁対象から除く。候補者が経歴などを偽った場合は虚偽表示罪(禁固2年以下または罰金30万円以下)を適用する。国政選挙だけでなく地方選も解禁対象となり、6月24日以降に告示される首長選などはネット利用が可能になる〉
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E0E4E2E2868DE0E4E2E7E0E2E3E29F9FE2E2E2E2
じつは、ネット選挙解禁を牽引してきた世耕議員は、かなり前からこうなることを危惧していた。そしてその不安は的中した。
今日発売の拙著『なぜツイッタ―でつぶやくと日本が変わるか』(晋遊舎)の中で世耕議員はこう語っている。
〈これをなんとか解禁したいと思ってずっとやっています。ネットそのものがダメという法の建て付けになっているから、とりあえずネットを全部使えるようにする法改正に取り組んでいます。自民党の中で一〇年間、僕はこれで袋叩きにあってきた。
選挙制度調査会で必死になってやろうとなったのは二〇〇五年の郵政選挙直後からなんですね。本当に解禁しようという空気が出てきた。当時、民主党が党のウェブを更新したことで枝野さんと何回も文書をやりとりをしましたが、こんなことでガタガタ議論するより、早く解禁した方がいいということで取り組んだ。
その時、専門家の意見も数十回聞いて法律に向けての叩き台まで作ったのですが、それ以来何年も毎回報告をする度につるし上げられる。
反対の輪は大きく二つあって、一つは誹謗中傷をどうするのか。今でも怪文書があるのに、どんどん広がってしまうのではないかと心配する人がいる。
もう一つは金がかかる。ホームページを業者に丸投げしている先生がそういうことを言うのですが、この二つが二大反対論。底流では「オレのわからないものは使わせたくない」とか、若いやつが多いから民主党に有利ではないか、ということもあった〉(同『なぜツイ』
)
ツイッターの使用を禁止するということは、政治家が、政治信念や政策を国民に訴える有効な手段を自ら放棄したことに他ならない。
それはまた、有権者が自分の国の代表を選ぶにあたって、無料でありかつ容易な手段であるツイッターという「道具」を奪われたことも意味する。
日本の政治家は何を考えているのか。世界中で何が起きているのか、ぜひともツイッターを通じて知ってほしい限りである。
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