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基地強化・差別・海外派兵の
根源、日米安保廃棄をめざそう
沖縄を切り捨て
た「日米合意」
五月二十一日、来日したクリントン米国務長官と岡田外相の会談で、五月末の普天間基地の「移設」問題での日米合意を、オバマ・鳩山の電話会談にもとづく共同声明という形で発表することが確認された。この「日米合意」とは普天間基地の「移設先」について「辺野古周辺」であることを明記した上で、辺野古沿岸部埋め立てを前提とした現行のアセスメント(環境影響評価)のやり直しを行わず、二〇一四年に移設完了という「米軍再編最終報告」(ロードマップ)の計画も大幅に遅れることのないようにする、ということを骨子としている。
つまり自公政権と米国の間で取り交わされた現行「辺野古岬沿岸」案を、ほぼそっくりそのまま鳩山政権と米国で再確認するものだ。その上で、普天間基地での米海兵隊訓練の分散・移転の検討などを明記し、新基地の移設場所の細部や工法については米海兵隊のグアム移転予算承認との関係で八月末をメドに最終決定する、という内容である。
五月二十三日、鳩山首相は四日に続いて沖縄を訪問し、仲井真沖縄県知事や稲嶺名護市長と会談した。その際、鳩山は「普天間の代替地は沖縄県内、具体的には辺野古附近とするのが政府案の結論」と語り、「断腸の思いで沖縄にお願いすることになった」と訴えた。鳩山は、その理由として韓国哨戒艦の沈没事件による「朝鮮半島情勢の緊迫化」などを例に挙げ、「海兵隊を含む在沖米軍の抑止力を低下させてはならない」と述べたのである。
この恥知らずとしか言いようのない鳩山の言葉に対し、仲井真知事も稲嶺名護市長も「県内、辺野古への移設受け入れはあり得ない」と明言した。沖縄県庁周辺は、労働者・市民・学生らの怒りの抗議で埋め尽くされた。沖縄県議四十八人のうち三十六人が超党派で県議会前に座り込み、鳩山首相に抗議した。
「五月末決着」という約束が完全に破綻した今、鳩山政権が「辺野古移設」確認の日米首脳電話会談で形式だけを取り繕い、苦し紛れの発表を行おうとも、何の意味もない。沖縄県民の「島ぐるみの意思」は不動であり、「県内移設」は不可能なのである。鳩山政権成立以来の八カ月の「普天間移設」をめぐる経過は、沖縄県民の島ぐるみの総意を背景に「最低でも県外移設」という公約を実現すべく米国政府との毅然とした交渉を行う意思が、この政権に欠けていることをはっきりと示した。
「県内移設」は
絶対に不可能
普天間飛行場は、沖縄戦のさなかに米国が「日本本土攻撃」の基地として不法に略奪し、建設した基地である。沖縄の住民から奪い取った基地を「返還」する代わりに県内に「移設先」を差し出せ、という米国政府の要求はそれ自身、認められないものである。在沖米軍基地は、日本の「平和と安全」のためにあるものでもなければ、東アジアの平和のための「抑止力」でもない。それはアメリカのグローバルな支配権を維持するための戦略的軍事拠点であり、ベトナム戦争でも湾岸戦争でも、アフガン・イラク戦争でも、数十万人の民衆を虐殺する侵略戦争の基地であった。
そして戦後日本国家は、沖縄を米国に売り渡し、「核兵器の有事持ち込み」などの密約を伴った一九七二年の返還以後も、広大な米軍基地を強化して事実上の「自由使用」に委ね、米軍の世界的な戦争政策を積極的に支援してきたのであった。沖縄はまさにアメリカ帝国主義と、米国に従属的に同盟した日本帝国主義双方の「軍事植民地」として機能しているのである。ここには「本土」による歴史的な沖縄差別があり、それを法的に支えているのが日米安保条約である。
鳩山政権は、「対等な日米関係の構築」あるいは「沖縄県民負担軽減の観点から」米軍再編や在日米軍基地のあり方の「見直し」を政策合意に明記して出発した。そうであるならば「移設先」論議を前提とせず「世界で最も危険な」普天間基地の即時返還を実現するためのねばり強い、原則的な対米交渉を行わなければならなかった。しかし鳩山政権は、「日米同盟」を揺るがす「米軍再編」合意の白紙化に踏み切る構えすら打ち出すことなく、米国の理不尽で居丈高な「見直し拒否」の脅しに屈し、さらに沖縄に犠牲を強要する最悪の結論に至ったのである。
われわれは、日本のマスメディアが米国政府と「知日派」と称する軍事マフィア、日本の外務省・防衛省官僚たち、財界、保守政治家などの意を受けて、「中国・北朝鮮の脅威」や「国益」を振りかざしながら、米国の意向に逆らうな、という大キャンペーンを張ってきたことを厳しく批判する必要がある。メディアは、基地の過大な負担に苦しむ沖縄の人々の訴えに同調する姿勢を見せることもある。しかし彼らの矛先は「鳩山政権の迷走」であり、鳩山の公約が沖縄県民の「県外移設」への期待にはずみをつけ、後戻りのできないところにまで導いてしまったのだ、と眉をひそめてみせる。しかしメディアの批判は決して米国や「日米同盟」の現実へと向かわないのである。
日米合意による「辺野古への舞い戻り」声明は、参院選を前にした鳩山政権の危機を決定的なものにした。社民党の福島みずほ代表は、「辺野古案にあくまで反対する」ことを表明しており、状況によっては社民党の連立離脱の可能性も考えられるだろう。
そして「日米合意」によって事態が収拾に向かうと信じている者は、当の鳩山内閣閣僚をふくめて誰ひとりとしていないと思われる。沖縄県民が「辺野古移設」に合意する条件は完全に失われている。一九五六年のプライス勧告反対闘争、一九六八年以後の「本土復帰」闘争、そして一九九五年の米兵による少女への性暴力に対する怒りと軍用地使用に関わる大田県知事の「代理署名拒否」の抵抗に続く四度目の「島ぐるみ」闘争は、その広がりと持続性において、最も巨大なものになろうとしている。何よりも米日両政府は、沖縄に対して切るべきカードを持ち合わせていない。
そして言うまでもなく、問題は「本土」の労働者・市民が、否応なく沖縄の闘いに向き合い、そこから主体的にどのような結論を引き出し、どのように自らの主張を米日両政府に対して提起するのか、ということである。
日米安保廃棄
をめざそう!
普天間「移設」問題をめぐる鳩山政権の無残な立ち往生と沖縄への基地押しつけは、改めて「ヤマト」と沖縄、そして米国と日本の関係の根底にある「日米安保」の問題を浮上させた。それは長きにわたって人々が意識することを回避してきた日米安保の「存在意義」を改めて批判的に捉え直そうとする状況を作り出しつつある。新自由主義的グローバル化の危機、アメリカの覇権の衰退と米日の軍事的一体化、中国の台頭などの国際的諸条件もその底流にある。
一九六〇年の「安保改定」から五十年の今年、われわれはあらためて沖縄の反基地闘争との結合の中から、「密約」にまみれた日米安保、米国のグローバル軍事戦略に組み込まれた日米同盟の実態をえぐりだし、日米安保条約廃棄を正面から掲げる論議と運動を呼びかける必要がある。
現行安保条約の「自然承認」から五十年目の六月十九日、新しい反安保行動をつくる実行委員会など首都圏の市民運動、労働運動、個人が呼びかけた2010安保連絡会は、「もうやめよう!日米安保条約 米国・日本・沖縄の新しい関係をめざして」と題して集会を行う(午後1時、東京・社会文化会館)。浅井基文さん(広島平和研究所所長)の講演、安次富浩さん(ヘリ基地反対連絡協議会)の沖縄現地報告、グアム・チャモロネーションの仲間からの報告を軸に開催されるこの集会と、首相官邸要請行動への参加を訴える。
今こそ、沖縄の人々とともに「基地も安保もいらない!」と訴えよう。(純)
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