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2010年5月25日 (火曜日)
中国に歩み寄る米国
普天間問題で重要な局面を迎えていたタイミングと時を重ねるように日本を訪問したクリントン長官。たったの3時間というスピード訪日とは対象的に、北京で24、25の両日に開催された第2米中戦略・経済対話では、米国はクリントンやガイトナーといった政権トップを筆頭に、200人という過去最大規模の訪中団を派遣し、中国との協力体制強化へ向けベストの体制で対話に挑んだ。
訪日がたったの3時間という短さに対し、エリート官僚200人という訪中団の規模からも、米国の中国に歩み寄る姿勢は火をみるより明らかだが、今回の訪中でもっと明らかになったのは、「米国に妥協しない中国」に米が歩み寄りをみせていた点だ。
今回のクリントン長官の訪中で注目されていたのは哨戒艦沈没事件。訪中直前に韓国の李明博大統領が、北朝鮮に対する「断固たる措置」を表明したのに続き、米政府は声明で、オバマ大統領が関係省庁に対北朝鮮政策の見直しを指示したことを発表し、米国は対北制裁に向けた準備をしっかり整えてから中国入りしたのである。
そして予想通り、開会式のあいさつで、クリントン長官は、「核実験に続く深刻な問題だ」と同事件を非難。中国の同意を期待していたが、胡錦濤国家主席は「地域的な不安定要因に責任を持って取り組む」「米中は置かれた環境が異なり、同意できない問題があるのは自然なこと。微妙な問題を適切に扱うためにお互いの『核心的利益』をどう尊重するかが重要だ」と述べ、対北朝鮮制裁を主張する米国に異を唱えた。
あらかじめ、米国から協力を要請されていたにもかかわらず、安全保障問題への対応では安易に譲歩しないという考えを明確にした中国と米国の思惑の不一致は世界へ向けて発信されたのである。
戦略分野での米中の足並みの乱れは同事件における対応で明らかなものとなったが、経済分野も似たようなもので、中国は、米国の貿易障壁の改善など問題視していた点を次々と挙げ、それに沿った具体的な要求まで提示するといういさましさで、米国にとって最大関心事であるはずの人民元問題では、米国は切り上げ時期の明示を求めることもなく「中国の自主判断を尊重する」といった譲歩ともいえる中国重視の姿勢を表明。安保戦略分野よりも経済問題に力点を置く中国に遅れをとる場面が目立った。
米メディアはこうした展開について、「中国の政策に歩み寄る米国の姿勢が明確に」「米国が戦略分野を優先する限り、経済面では米国側の関心事項の進展は望めないだろう」といった報道を展開。なかには、「オバマ政権が経済問題よりも政治や軍事問題を優先した結果があらわれたもの」と批評する米経済専門家の声もあった。
昨年開かれた第1回目の米中戦略・経済対話では、米中主導の「G2」体制が始動したことを世界へ印象づけたが、1年後の第2回目、すなわち今回の対話では、早くも中国が主導権を握ったと思わせる印象を強く残すものとなったといえるだろう。
これに対し、中国訪問の直前に、たった3時間という「いわば給油目的」といえなくもないクリントン長官の訪日をどう捉えるべきか。
日本列島を揺るがす普天間問題と並べ、日本は同じ場で哨戒艦沈没事件への支援を表明した。米国の対北朝鮮制裁への協力要請へ真っ先に手をあげた日本とは対照的に、2日間にわたる米閣僚200人の訪問を受け、戦略と経済の分野で擦り寄る姿勢を隠そうともしない米国に妥協しなかった中国。果たしてこの違いをどう捉えるか。
対米追従という構図を生み出した頃と現在の政治力学には大きな違いがある。今後の日米同盟を考えていくうえで、米国が中国を、そして日本をどう位置づけているのか、米国の視点に立って捉えてみる努力が必要なのではないだろうか。
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