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抑止力よりもっと根本的な理解を(国際政策コラム<よむ地球きる世界>)
http://www.asyura2.com/10/senkyo86/msg/841.html
投稿者 愛国改善党 日時 2010 年 5 月 24 日 05:26:39: gpdmClaQFBffI
 


http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/5562/column/latest133.html

国際政策コラム<よむ地球きる世界>No.133
    by 大礒正美(国際政治学者、シンクタンク大礒事務所代表)

平成22年5月22日

          抑止力よりもっと根本的な理解を

 地球儀をくるっと回すと、世界には天然自然の「要衝」(ようしょう)が幾つ
かあることに気づくはずだ。ずぶの素人でも分かる地理上の現実なのだが、要衝
にはひとつの顕著な特異性があるということに気づいている人は少ない。

 実はそういう地点の地域住民や統治する政府の思い通りにならないのが、要衝
の要衝たるゆえんなのである。

 いちばんわかりやすい例はスエズ運河とパナマ運河(共に開通前は地峡)であ
ろう。もし管理する政府が突然、「運河など要らない。埋め立てて農地にする」
とか、「平和憲法ができたから軍艦は一切通さない」などと某社民党党首が言い
そうなことを宣言したらどうなるだろうか。

 断言してもいいが、直ちにNATO(北大西洋条約機構)や米軍が空挺部隊を送り
込み、運河全体を軍事占領してしまうだろう。

 国連加盟国に対する領土侵犯だとか、主権の侵害だとか抗議しても始まらな
い。いくら国際法違反を言い立てても、こういう場合は全く意味がないのであ
る。

 そんな無法はあり得ないという人は、更に英領ジブラルタルの例を知るべきだ
ろう。地中海と大西洋を結ぶ狭い海峡の北側の一角を、英国が約3百年前にスペ
インから奪い、いまだに海外領土として海軍部隊を駐留させている。

 地続きのスペインは返せと訴え続けているが、英国は知らん顔だ。同じNATO同
盟国同士でも、国の安全に関わることは譲歩し得ない。繁栄する香港を手放して
も人口3万人足らずの岩山でしかないジブラルタルは返さない。要衝だからだ。

 もうお分かりだろうが、沖縄も要衝の1つであり、しかもその世界的重要度は
上記3地点に優るとも劣らない。

 ひとくちで言うと、「沖縄を制する者は東アジア・西太平洋を制す」。

 決して誇張ではない。そもそも幕末にペリー提督が黒船艦隊で日本に開国を迫
った際、彼らはまず沖縄に上陸し武力で威圧した(1853年、54年)。その後アメ
リカが分裂して南北戦争を足かけ5年(1861-65)も戦ったため、日本は旧体制
を清算する時間稼ぎができ、1867年に大政奉還、68年に明治維新を成し遂げた。

 もし南北戦争が数年ずれていたら、沖縄も日本本土も清朝末期のような列強支
配の状態に追い込まれていたかもしれない。

 それから約90年後、米軍はペリーと同じく、日本を降伏させるにはまず沖縄
を制圧しなければと考えた。要衝は誰が見ても要衝なのである。

 日本海軍が米海軍と太平洋を半分ずつ支配していた約30年間、東アジア・西
太平洋の覇権は日本が握っていた。
 日本の敗戦のあと、その覇権はそっくり米国のものとなった。この陸・海の広
大な広がりのカナメに沖縄が在る。

 日本列島と琉球諸島の長い連なりは、大陸側から見れば太平洋に進出するのを
邪魔する長城のようなものだ。帝政ロシア、ソ連、現ロシアは歴史的に一貫して
この障壁に阻止され続けている。

 対照的に大陸中国は、歴史上初めてこの「海の長城」に挑み始めた。成功する
かどうかのカギは沖縄が握っている。
 仮に台湾を支配下に入れて外洋海軍の拠点にしたとしても、沖縄を日米両国が
確保している限り太平洋の半分を支配することはできない。

 逆に沖縄を手に入れれば西太平洋を支配でき、日本は自立性を失い、東アジア
全体が自動的に「中華」にひざまずくことになる。

 すなわち東アジア・西太平洋の覇権が20世紀前半の日本から、後半のアメリ
カ、そして次に中国に移るという予想(願望)を中国指導者が持ったとして不思
議ではない。その場合、必要不可欠なのは台湾でなく沖縄だということに気づく
はずだ。

 要衝は誰が見ても要衝なのである。沖縄県民も日本政府も沖縄を思い通りにで
きないのだという特異性をまず認識し、その上で、外国勢力の思惑通りにもさせ
ないぞという一点において合意することが必要だ。

 地域住民である沖縄県民としては、日米の政治体制と軍事力を拒否するなら
ば、中国の政治体制と軍事力がとって代わるだけという展望は受け入れ難いであ
ろう。しかし、理性的に考えればその中間はないということが分かるだろう。

 もし中国軍が普天間飛行場を手に入れたとしたら、危険だから移転するどころ
か、周辺住民を何十万人でもすべて強制的に立ち退かせるに違いない。チベット
や新疆ウイグル自治区のように漢族をどんどん送り込み、沖縄県民を少数派にし
てしまう方策もとるだろう。

 要衝の住民がとるべき方策は、要衝であることをいわば人質にして、世界から
実利を喜んで注ぎ込ませることが基本である。政府を追い込んですべての税金を
免除させ、全島を「無税特区」にするぐらいの発想が必要だ。

 鳩山首相が排除の論理で沖縄の歓心を買おうとしたのは論外であったが、「学
ぶにつけて」米海兵隊が抑止力の一部だと分かったという言い訳も、同じように
「ズレている」(loopy)と言わねばならない。

  繰り返して言う、「沖縄を制する者は東アジア・西太平洋を制す」。


(おおいそ・まさよし 2010/05/22)

(私のコメント)
今さら言っても始まらないが、日本の政治家の軽さはどうだろう。基礎体力も、基礎知識も持っていない。これから中国、アメリカと伍していくには日本の戦略、戦術を根本から練り直さなければならない。

 

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コメント
 
01. 2010年5月24日 07:57:51: DdtiKCB0yy
ヨーロッパ・アメリカ文明が行き詰まり終焉を迎えていると思うのです。 一昔前に梅原猛氏がユダヤ・キリスト教に代わる思想として、仏教思想の重要性を訴えていたことがありました。 戦争が進歩をもたらすという3852ヘラクレイトスからヘーゲルにいたる思想の延長では、現代の危機を乗り越えることは出来ないという梅原氏の主張は理解できますが、ヘーゲル・マルクスの思想を否定して、その代わりに日本仏教が世界中で認められるものになるはずはありません。 リバイアサン化したアメリカが国家破産でもすれば、少なくとも世界戦争という危機は無くなる可能性はあります。 アメリカの軍事力による抑止力ということは、人類にとって一番危険なのはそのアメリカの軍事力だという認識からすれば、全くのナンセンスな議論でしょう。 金融原理主義とグローバリズム、それを支える強大なアメリカの軍事力という構造自体が、人類にとって最も危険であり、全ての不幸の原因だと認識すべきです。 それが根本的な理解だと思うのですがいかがでしょうか。 N.T

02. 2010年5月24日 10:14:00: iWrBgWB9DA
昔は国境などない方がいい、国家が戦争の原因ではないかと考えていました。
しかし、間違いですね。大国、大資本、大教団の奴隷にされてしまいます。国家
がしっかりしなければ国民を守れません。政治家、官僚、学者などの指導者が
しっかりしてくれないと国は、民族は滅亡に向かいます。平成に入ってからの
日本は特に情けない状態です。能力の高いしっかりした人が出世する構造に直さ
なければいかんでしょう。

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