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沖縄が嫌悪する「国家のウソ」 (日経ビジネス) http://www.asyura2.com/10/senkyo86/msg/507.html
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100513/214380/?P=1 「最低でも県外」「移設先の腹案がある」。だが、それは虚言だった。基地ばかりかホームレスまでが集まる沖縄で、県民はこう考え始めている。「国の甘い言葉に乗れば、さらに経済は悪化する」と。 「沖縄の人々にお詫び申し上げないといけない。すべてを県外に、というのはなかなか難しい」 5月4日、鳩山由紀夫首相は沖縄を訪問し、米軍普天間基地の移設問題で「国外、最低でも県外」という持論を撤回した。 そして移設先は事実上、名護市の辺野古に戻ってしまった。その海辺で、反対運動の先頭に立ってきたヘリ基地反対協議会の安次富浩・代表委員は、座り込みを続けている。 「こんなウソで国民をだますなんて、政治家として恥ずかしくないのかね」 安次富代表は最後まで鳩山首相を信じて、苛立つ住民たちをなだめてきた。だが、今回の発言を聞いて、考え方が一変した。直後に鳩山首相が名護市のキャンプ・シュワブを訪問すると、安次富代表は抗議の声を上げた。 「座り込みは絶対にやめない。これまで基地建設の動きを阻止してきた実績がある。今度の案も潰せる」 ホームレスが集まる沖縄 彼を「基地移設反対」へと駆り立てる原体験は1960年代半ば、高校生当時までさかのぼる。東京から家族で移住して、農業で生計を立てようとするが、旱魃による水不足で農作物が壊滅状態に陥った。家庭で使った汚水を田畑にまいていると、フェンスの向こうで米兵がシャワーを浴び、軍用車を洗っている姿が目に飛び込んできた。 「おかしいと思ったよ。日本人が日本に住んでいるのに、何でこんなひどい境遇に置かれるのか、と」 全国に報じられる米兵による暴行事件ばかりでなく、日常生活の中で「基地反対」の思いが沖縄県民の心に刻まれてきた。だが、本土復帰前に建設された基地を動かすことが容易でない現実も思い知らされている。 だからこそ、昨年8月の「最低でも県外」という鳩山首相の発言を聞いて、諦めていた願望が呼び覚まされた。 「火をつけたのは向こう(鳩山首相)なんだよ」(地場企業役員)。だからこそ、膨らんだ期待は、いくら宰相が頭を下げても簡単には収まらない。 「基地を押しつけられてきたことは、沖縄経済には大きなダメージだった」 県内唯一の製鉄会社、拓南製鉄の古波津清昇会長は、「利用価値の高い場所に基地があることで、経済発展が阻害されてきた」と言う。そもそも、基地経済は民間経済のように未来永劫、発展していくことはあり得ない。本土復帰が実現した1972年には、基地関連収入が県民総所得の15.5%にも上ったが、現在は5%程度まで落ちている。その一方で、沖縄経済は全国最低水準から抜け出せず、県民所得は1人当たり年204万9000円、失業率は8.0%と国内最下位に位置する。 統計では見えない「経済負担」も膨らんでいる。 「沖縄を目指して、全国からホームレスが集まってきている」。NPO法人(特定非営利活動法人)プロミスキーパーズの山内昌良代表はこう明かす。実際、山内代表が運営するホームレス収容施設の入居者は、リーマンショック前に55人だったが現在は163人にまで急増、その半数近くを県外出身者が占める。気候が温暖な沖縄に、船に乗ってやってきて、公園に寝泊まりする。 プロミスキーパーズは、金曜日と土曜日にクルマで那覇市内の公園を巡回し、増え続けるホームレスにパンや菓子、ジュースを配っている。こうした食料は、地元企業から提供されている。食品卸業者など地元企業が、賞味期限が近づいた商品を流してくれるのだ。 大阪から来た68歳の老人は、那覇市の国場川沿いにある奥武山公園で首を吊ろうとしているところを発見され、この施設に収容された。今年3月には東京出身の男性が、那覇空港で寝泊まりして那覇署の警官に捕まり、山内代表が男性を引き受けた。 プロミスキーパーズは職を入居者に斡旋する事業も手がけている。現在、建設会社や産業廃棄物処理業者、タクシー会社など約10社が仕事を回してくれる。だが、毎日出勤しているのは30人弱。就業意欲は短期間で高まるはずもなく、酒や麻薬をやめられない人もいる。失踪する人も少なくない。 国に頼る副作用 国や自治体がやるべきことではないか。そう問われることもあるが、山内代表は「違う」と言う。役人の勤務体制では対応できない。また、ホームレスは行政が相手だと、「救って当然」という権利意識を振りかざす。だから、山内代表はあえて公金を受け入れず、地元企業や個人の寄付金を募る。 それは沖縄で、着実に起きつつあるうねりを象徴している。 国との距離を置く。 国が考える支援に安易に乗れば、将来ツケが回ってくる。政府は沖縄問題の本質を理解していないからだ。それを県民は肌で感じている。 例えば、観光業や建設業を中心に喧伝された「カジノ導入による復興」。このシナリオは、一時、県民の間で大きな盛り上がりを見せた。カジノ解禁の「特別区」に指定してもらうことで、観光業の起爆剤にしようというわけだ。 しかし、潮目が変わってきた。沖縄選出の糸数慶子・参院議員は韓国のカジノを視察した。そして、ギャンブル依存症や治安悪化が止まらない地域社会の現実を目の当たりにしている。 「体を売って賭博を続ける女性もいた。安易な経済対策は、最初は効果があっても、長くは続かない」 沖縄らしい産業発展を――。 基地問題で振り回され、日本社会の重荷を受け入れ続けてきた沖縄は、少しずつ国の甘言の裏側を見抜き始めている。鳩山発言に始まった騒動は、県民にとって最悪の結末に向かっている。だからこそ、その過程で進むべき道が見えてきた。 辺野古で座り込みを続ける安次富代表は、基地建設を阻止した後の構想を持っている。サンゴとジュゴンを売りにした世界的観光地を目指すという。 「その方が基地より、よっぽど経済効果が高い。我々には夢があるんだ」 本当に計画は実現可能なのか、その是非はやってみなければ分からない。夢が夢で終わるかもしれない。だが、恐らく沖縄県民の思いは、短期的な経済合理性だけでは測りきれない。国と沖縄県民の間に横たわる溝は、予想以上に広く、深い。 日経ビジネス 2010年5月17日号8ページより
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