投稿者 明るい憂国の士 日時 2010 年 5 月 16 日 06:21:18: qr553ZDJ.dzsc
(関連)
■“真実”を見通す民衆の眼力が求められている(植草一秀の『知られざる真実』)
http://www.asyura2.com/10/senkyo86/msg/422.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2010 年 5 月 15 日
※植草一秀さんが記事の中でとりあげた投稿です。
http://9123.teacup.com/uekusajiken/bbs/5628
投稿者:渡邉良明
投稿日:2010年 5月10日(月)17時00分28秒
半独立国・日本に生きる不幸
日本を、立派な「独立国」だと思う人が、わが国には、一体どれくらいいるのだろうか?正直、大半の日本国民は普段、「独立」などという観念(あるいは、想念)さえ思い浮かばないのではないだろうか。つまり、この大事な「国家の独立」という問題さえ、大方の日本人にとっては、それ程の関心事ではないように思う。
だが、少数とはいえ、心有る方々の共通思念があるとするなら、それは、「日本、未だ独立せず!」、あるいは「半独立国・日本」という思いではないかと感じる。
事実、「日本は、独立国だ」というのは名ばかりで、実質的には、アメリカの「属国」と言えよう。これは、心有る日本人にとって、至って正直な確信だと思うのだ。
ところで、日本に作家は多い。好きな作家、そうでもない作家など、様々いよう。今日の日本の作家の中でも、村上春樹氏(61)は、傑出した存在だ。周知のごとく、同氏の最新著『1Q84』は、大変な人気を博している。
芥川賞以外の様々な文学賞(例えば、谷崎潤一郎賞やフランツ・カフカ賞など)を手にした村上氏は、昨年2月、「エルサレム賞」を受賞した。
その際、エルサレムでの記念講演で、同氏は、次のように語った。「高くて固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」と。
この言葉によって、彼は、イスラエル軍によって(一昨年の12月から昨年の1月にかけて)1000名以上のガザ市民(その多くが、女性や子供たちだった)が命を落としたことを、イスラエルのペレス大統領の面前で批判した。
さらに村上氏は、同じ壇上で、「私たちはみな、国籍や人種・宗教を超えてまず人間であり、『システム』という名の壁に直面する壊れやすい『卵』なのです」とも語った。スピーチの途中から、ペレス大統領の顔はこわばってきたという。
ちなみに、ここで村上氏が言う「卵」とは、「すべての人間」のことであり、「壁」とは、「システム」のことである。(Wikipedia 参照)
私感だが、「壁」と「卵」は、”強者”と”弱者”と言い換えてもいいのではないだろうか。私には、隠喩を得意とする村上氏が、同講演で、「私は、常に名も無き弱者の立場に立ちたい」と宣言したように思えた。
正直、私は、同氏の勇気と正義感、それに正直さに心から感服する。私はまた、同氏の持つ精神の深さと強さを感じずにはいられない。村上氏には、単に稀代のベストセラー作家と言うだけにとどまらない、奥深い人間性が在るように思えるのだ。
しかし、今日、私には、実は村上氏以上に注目している作家がいる。それは、加賀乙彦(おとひこ)氏(81)である。
私事だが、先月、入院中の母に読んでもらいたいと思い、加賀氏の『不幸な国の幸福論』(集英社新書)を購入した。読書好きの母は、同書にたいへん深い感銘を受けたようだ。
私も、読んでみて、たいへん素晴らしい内容の本だと思った。加賀氏は、「『情報リテラシー』を鍛える」という一節で、次のように記している。
つまり、「2009年の衆議院議員選挙で政権交代がなされたように、国民一人ひとりが変わることが、不幸増幅装置と化した国(=日本)を変えていく第一歩なのだと思います」と。まことに正論だ。多くの方々が同感だと思う。
ちなみに、「情報リテラシー」とは、同氏によれば、「マスメディアやインターネット、広告、書籍や映画などが発信しているさまざまな情報を主体的に読み解いて、その真偽を見抜き、活用する能力のこと」である。要するに、それは、自ら接する様々な情報の“真実”を見通す「眼力」とでも言えよう。われわれは目下、この「情報リテラシー」を磨いているのだ。
というのも、今日のテレビや新聞は、余りにも反政府的・反民主党的に偏り過ぎ、かつ間違った情報を平気で流し、反対に、国民が知るべき“真実”を執拗に隠蔽しているからだ。
今日の日本を、”不幸増幅装置”と名付けた加賀氏の慧眼に注目したい。その中で、彼は、次のような項目を挙げる。
「自殺増」「幻想の豊かさ」「(日本人の)二人に一人はイライラしている」「高齢者による万引き」「介護疲れ殺人の増加」「GDPは二位、社会保障は先進国で最低水準」「戦前・戦中とよく似た郵政選挙の庶民心理」「『わからない』『興味がない』が不幸な国をつくる」「日本にはまだ『市民』がいない!?」「自己否定感の強い中高生」・・・。
つまり、本書では、その“不幸増幅装置“日本の偽らざる実態が、非常に実証的、かつ小気味よく描かれている。
では、不幸な国・日本に住むわれわれに、“幸せ”の処方箋は、全く無いのだろうか?
決して、そんなことはない。加賀氏は、フランス語の「スープル(souple)」〔日本語では、「しなやかな」とか「柔軟な」という意味〕な生き方を、われわれに勧める。そして、彼は、次のように語る。
≪これがなければ幸福になれないという思い込みを捨てること。自分を不幸だと決めつけず、身のまわりにある小さな幸せに目を向けていくこと。「今、ここ」にとらわれず、場を広げ、人生というロングスパンで自分の置かれている状況を見ようとすること。挫折も幸福になるための要件だと考えること。今の混乱をチャンスと考え、これまで自分たちを縛っていた価値観を見直し、人にも環境にもやさしい生き方を模索していくこと・・・。
そう、スープルな精神こそが幸福の源泉である。しなやかな生にこそ希望があるのです≫と(174頁)。
今回も、たいへん長くなって恐縮だが、実は、このような形で私たちを力強く励ます加賀氏が、昨年の12月、『東京新聞』の紙上インタビューで、こう述べた。
「日本の不幸の始まりは1952年、日米安全保障条約の発効にあると確信した」と。この彼の言葉に共感する人は多いと思う。
同氏は続ける。「日本が米国に守られているのなら、日米関係は同盟ではなく、日本は米国の属国になる。事実上の属国であることが日本の最も大きな不幸だ」と。この言葉以上に、今日の日本の現状を語る上での至言があるだろうか? 私は、無いと思う。
確かに、日本国民がアメリカの核の傘の下で”偽りの平和”の中で生きているとすれば、われらが祖国・日本は、アメリカの単なる属国に過ぎない。それゆえ、われわれが真に幸福な国を目指すならば、加賀氏によれば、「経済的にも道徳的にもきちんとした国になるべきだ。米国の力を借りずに、自分の国でやれる時代に入ったと思う」ということになる。
この「経済的にも道徳的にもきちんとした国」というのは、かつて横井小楠(1809〜69)が訴えた「堯舜孔子の道を明らかにし 西洋器械の術を尽くさば なんぞ富国に止(とど)まらん なんぞ強兵に止まらん 大義を四海に布かんのみ」の延長線上にある精神だと思う。ちなみに、この言葉の大意は、「東洋の精神文明をもとに西洋の科学文明を取り入れて、富国強兵に努め、さらに民主的、平和的な道義国家となって、これを世界に広めよう」と言っているのである(徳永洋著『横井小楠』参照)。
確かに、「富国強兵」こそは、明治以来の日本の国家目標だった。だが、このスローガンの発案者だった小楠によれば、その先に、決して「道徳」や「正義感」を軽んじない人間の生き方や国の在り方があったのだ。つまり、「富国強兵」ではなく、むしろ「富民有徳」こそが、彼が最終的に目指した理想だったと言える。このスローガンは、今でも、日本の国家目標になるのではあるまいか。そして、その実践のためには、何より政治・経済的正義の確立や「真の道徳」の再建が必要だと感じる。事実、それ無しには、日本国のまことの“独立”はあり得ないと思う。
例えば、最近、日本の新聞やテレビが、全く面白くない。なぜなら、先述したように、国民が知るべき「真実」が故意に伏せられ、反対に、悪質なデマや意味の無い下劣な笑いのみが充満しているからだ。その背後には、アメリカのCIAや“闇の政府”による日本人愚民化政策が考えられる。しかし、本来の日本人は、決して目先の利益にとらわれず、むしろ道義を重んじる民族だと思うのだ。
正直、私は、「日本、未だ独立せず!」の思いこそ、今日、日本国民が自覚すべき共通思念だと感じる。それゆえ、私も加賀氏同様、「日本は、アメリカから独立すべき」だと思う。なぜなら、それこそが、日本国民の真の幸せに繋がると確信するからだ。同時に、目下”日本は、独立戦争のさなかにある”という思いこそ極めて重要だろう。
その過程で、われわれは、「半独立国・日本に生きる不幸」を十二分に認識する必要があると感じる。そして、この不幸の元凶が、あくまで隷属的な「日米安保体制」にあることを深く認識すべきだと思うのだ。 【了】
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