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普天間問題の焦点は何か http://www.asyura2.com/10/senkyo86/msg/373.html
宇沢弘文外の研究者・ジャーナリストの「米海兵隊は撤収をー普天間基地問題についての第二の声明」(『世界』2010.6.)は、次の項目が書かれている。 (1)私たちは、辺野古陸上案、勝連半島沖案はもちろん、すべての沖縄県内移設に反対する。これ以上沖縄に過重な負担をかけてはならない。沖縄の意思を無視してはならない. このうち、(1)の、「すべての沖縄県内移設に反対する。これ以上沖縄に過重な負担をかけてはならない。」、(2)の、「鳩山政権が、県内移設で決着させるならば、それは明確な公約違反であり、国民・県民への裏切りといわなければならない。」、(3)の、「普天間飛行場をそのまま継続使用は許されない。」は、多くの国民が共感するだろう。 だが、(4)の「県外移設を、どの地域も受け入れないということならば、日本国民には海兵隊の基地を受け入れる意思がない」、「必然的に米海兵隊は日本から全面的に撤収する以外にない。」、「日本国民には、米海兵隊の存在なしに、東アジア地域の平和と安定を構築する積極的な役割を果たす意思がある。」「米国は、日本国民の意思を尊重しなければならない。」は、論理が上滑りし、実体を伴っているだろうか。 また(5)の、「むしろ冷戦時代の思考法である「抑止力」とか、「敵」とか「同盟」といった発想そのものを疑い、その呪縛を逃れることが必要」に異論はないが、「国際社会に「共通の安全保障」や「人間の安全保障」といった考え方」を、「冷戦の敵対構造を解体していく大きな力」と言えるだろうか。 さらに、「米軍基地を沖縄・本土に存在させ、米軍に勝手気ままに使用させている構造」を問うことは、国民的な課題だ。そして「いまこそ、日米地位協定、ガイドライン(日米防衛協力の指針)などを含めて、日米安保体制を根幹から見直していく最大のチャンスである」ことに思いを同じくする。 だが「日米安保条約は、冷戦時代の遺物」というだけで、「日本国民に、東アジア地域の平和と安定を構築する積極的な役割を果たす意思」が生まれるだろうか。そこには、冷戦後のアメリカ覇権体制の空洞化と衰退、リーマンショックとギリシャ・ユーロ危機、新興国の台頭、日本のバブル崩壊と財政危機などがある。 こうした閉塞した時代に、日本の国家戦略、内政・外交・安全保障の舵取りが問われているのだ。研究者・ジャーナリストの具体的な方策提起が求められている。 平和を唱える日本は、まだ敗戦のトラウマから脱けだしていない。そして民主党の政治主導は、普天間基地移設で実体が明らかになった。沖縄と徳之島の思いを、参院選の争点にしよう。野党も政権批判や基地撤去をいうだけでは、支持は得られない。外交・安全保障の具体策を示せ。 小沢一郎は、先に日本の安全保障には、アメリカの第七艦隊だけでよいと言った。寺島実郎(日本総研会長)は、日米関係の再設計が普天間決着に必要と述べている。歴史という時間の流れから、次の時代を見る視点が大切だ。 普天間基地移設の第31海兵遠征隊(31MEU)の想定される任務は、朝鮮半島危機、台湾海峡への抑止と初動対応、対テロ作戦の実施、災害救助、民間人救出作戦などだ(2009/11/26衆議院第二議員会館「 普天間基地のグアム移転の可能性について」伊波洋一宜野湾市長)。 このうち対テロ作戦の実施、災害救助、民間人救出作戦などを、日本の航空・陸上自衛隊が、佐世保を拠点に、アメリカ海軍揚陸艦との共同作戦で、分担することを提案したい。第31海兵遠征隊の救出作戦では、米国籍→永住権者→アングロサクソン→日本人を含むその他という優先順位と聞く。この提案は、「対等な日米関係」への第一歩だ。 沖縄は、日本の縮図。自主・自立の対話外交と専守防衛を基本にしたい。そのために、県内・県外・国外の選択から転換し、陸・空自衛隊と米艦艇が協働して、海兵隊の任務を分担してはどうか。朝鮮半島危機、台湾海峡への抑止と初動対応は、海兵隊の国外移転後の日米安全保障体制見直しの中で、日米が協議する。 この提案は、外交・安全保障で、日米が友好協力関係を進展させる道を開くだろう。
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