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基地問題再論(内田樹の研究室、5.7)【沖縄基地問題の本質的矛盾と基地問題を語る前に必ずやらなければいけないこと】
http://www.asyura2.com/10/senkyo85/msg/856.html
投稿者 南青山 日時 2010 年 5 月 08 日 08:40:20: ahR4ulk6JJ6HU
 

http://blog.tatsuru.com/

さる新聞社より電話取材で、またまた普天間基地の話。
鳩山首相が沖縄に行ったが、はかばかしい成果がなかったことについて、その政治責任をどう考えるかというお訊ねである。
「はかばかしい成果がある」というのはどういう場合を指すのか、まず新聞社はそれを明らかにすべきであろうということを申し上げる。
他人の仕事について「はかばかしい成果が上がらなかった」というコメントを下すためには、「はかばかしい成果」は何かをまず明らかにする必要がある。
だが、メディアは普天間基地問題について、「こうすべきである」という具体的な提言をなしていない。「米政府も政権与党も沖縄県民もみんなが満足するソリューション」を提示せよと言っているだけである(だが、そのようなソリューションは存在しない)。
何度も言っているように、基地問題は変数が多すぎるために「正解のない」問題である。
私たちに出来ることは、「変数」を列挙し、そのうち「定数」に置き換えられそうなファクターをひとつずつ増やしてゆくことくらいである。
定数としてまず決めておくべきことは、日本国民は国内の米軍基地を「いずれ撤去すべきもの」と思っているのか、「恒久的に存続すべきもの」と思っているのか、どちらか、である。
私は「日本国内にある駐留米軍基地がすべての撤去されること」を求めるのは主権国家として当然の要求であると思っている。
メディアの論調を徴するに、国内に治外法権の外国軍基地が恒久的に存続することを「望ましい」と思っている人たちもおられるようだが、その方たちにはその理路をお示し頂きたいと思う。
そして、多少想像力があったら、私に向かって説いたのと同じことを、例えば幕末の京都の四条河原や、日露戦争中の日比谷公園で道行く人に声高に説き聞かせた場合、誰にも殴られずにいる可能性がどれくらいあるかについて考えてみるとよろしいかと思う。
私はとりあえず、「国内に治外法権の外国軍の駐留基地を持つ限り、その国は主権国家としての条件を全うしていない」という一般論についての国民的合意を形成したいと願っている。
それだけである。
そのようなささやかな願いでさえも、共有してくれる国民は決して多くないのである。
毎日新聞に先日普天間基地問題についてコメントをした。
それをそのまま採録しておく。

普天間問題の根本にあるのは、米国が日本に基地を置いていることのほんとうの意味について私たちが思考停止に陥っているということだ。
米国は日本に基地を置いている理由の一つは日本が米の軍事的属国だということを私たち日本人に思い知らせるためであり、もう一つは、中国、北朝鮮という「仮想敵国」との間に「適度な」緊張関係を維持することによって、米の西太平洋におけるプレザンスを保つためである。
米軍基地はすでにあるものであり、これからもあり続けるものだと私たちはみな思い込んでいるが、米国は90年代にフィリピンのクラーク空軍基地とスービック海軍基地から撤退した。2008年には韓国内の基地を三分の一に縮小し、ソウル近郊の龍山基地を返還することに合意した。いずれも両国民からの強い抗議を承けたものである。
米国防総省は沖縄の海兵隊基地については、県外移転も問題外であるほどに軍事的重要性があると言い、日本のメディアはそれを鵜呑みにしている。だが、その言い分とアメリカが海東アジア最大の軍事拠点と北朝鮮と国境を接する国の基地を縮小しているという事実のあいだにどういう整合性があるのか。とりあえず私たちにわかるのは、日本国民は韓国国民やフィリピン国民よりもアメリカに「侮られている」ということである。
普天間基地問題では、基地の国外撤退を視野に収める鳩山首相に対してメディアは激しいバッシングを浴びせている。米国を怒らせることを彼らは病的に怖れているようだ。だが、いったい彼らはどこの国益を配慮しているのか。先日会った英国人のジャーナリストは不思議がっていた。
日本人は対米関係について考えるとき、決して対等なパートナーとして思考することができない。この「属国民の呪い」から私たちはいつ解き放たれるのか。
私の寄稿したすぐ横では、ある軍事ジャーナリストが沖縄に海兵隊があることの必要性について、歩兵ヘリコプターと揚陸艦の三者が一体でなければならないという戦術上の理由を挙げていた。
「現在の移転案では、三者が離れ離れになる。例えば、朝鮮半島で紛争が起きた場合でも、時間的ロスが多い。米側がのむわけがない。」
なるほど。
そこで、ひとつ質問。
朝鮮半島で紛争が起きた場合、いちばん時間的ロスが少ないのは、紛争地域に海兵隊基地があることである。
ところが、朝鮮半島の米軍は基地の縮小を受け容れている。
この事実はどう説明できるのであろうか。
別にそれほどややこしい話ではない。
韓国国内に基地を持っていることには軍略上の利益がある。
基地をもっていることで韓国内に深刻な反米運動がおこることには外交上の損失がある。
利益と損失を考量した上で、アメリカ政府は外交上の損失を避けた。
これは、現在の東アジア情勢においては、合理的な政治判断である。
つまり、米国の同盟国が「恒久的な米軍基地が国内にあることは同盟関係にむしろマイナスである」という主張をなした場合に、アメリカはその主張が合理的であれば、聞く用意がある、ということである。
しかるにこと沖縄については、海兵隊基地の基地機能が多少とでも損なわれるような提案は「アメリカはのむまい」と専門家たちは口を揃えて言う。
それはどれほどアメリカがごねても、同盟関係は少しも揺るがないであろうとアメリカ政府が思っていると彼らが思っていることを意味している。
アメリカ政府がほんとうのところどう思っているのか、私にはわからない。
けれども、日本はアメリカに対して反抗できないという「属国」条件を日本の軍事専門家たちが「定数」にして、そのコメントを述べていることはわかる。
彼らのその現状認識が十分にリアリスティックなものであることを私は喜んで認める。
けれども、その場合には、やはりコメントをするたびごとに「われわれはアメリカの軍事的属国民であり、軍事に関しては、アメリカの意思に反する政策決定をすることができないのだ」ということを明らかにし、「だから」という接続詞のあとに、自説を展開していただきたいと思う。
あたかも主権国家が合理的な判断として国内に外国軍基地を置くという「選択している」かのように語るのはフェアではないと私は思う。

(南青山コメント)
沖縄基地問題で鳩山が立ち往生しているように見えるのは、そもそも本来的にすぐには解決しようがない問題に立ち向かっているからである、と思う。
言い換えると、これまでほとんどの日本人が見て見ぬふりをしてきた問題に光を当てようとしているからだ。
沖縄の基地問題はつねに/すでに存在していたのであり、問題が存在することは鳩山の責任ではない。
いまのマスゴミの論調は「それまで隠してきた問題を顕在化させてしまったこと」を問題にしているようにしか見えず、そのこと自体はまったく見当はずれなことなのだ。
その見当はずれの理路を非常にわかりやすく示したのが、この文章といえる。

では解決の道はあるのかというと、それは「主権国家が合理的な判断として国内に外国軍基地を置く」ことの是非について国民一人ひとりが明確に態度を表明しなければならないというところまで進まなければ方向性は見えてこないだろう。
具体的にいえば、日本の安全保障体制をどのように構築するのか、アメリカ依存(実態は属国化)でいいのかどうか、その態度表明を国民一人ひとりがしなければならないということだ。
そんなことはすぐにはできる問題ではないし、少し時間をかけて考える必要があると思う(なぜそのような重大な問題をほったらかしにしておいたか、日本人の思考傾向については内田の著書「日本辺境論」を読むとよくわかるのだが、そこに書かれていることが正しければ時間をかけてもあまりよい答えは見つからないことになる)。
とりあえず、沖縄基地のみならず日本の米軍基地を段階的に縮小、撤去を進める中で答えを探していけばいいのではないか。
それにしても、末尾で述べられている「(軍事専門家や政治家、マスゴミが)あたかも主権国家が合理的な判断として国内に外国軍基地を置くという「選択している」かのように語るのはフェアではない」という主張はまことにその通りで、すべてはそうしたことの顕在化、自覚化を果たしてからはじまるという次の主張はまったく賛成である。

「日本はアメリカに対して反抗できないという「属国」条件を日本の軍事専門家たち……の現状認識が十分にリアリスティックなものであることを私は喜んで認める。
けれども、その場合には、やはりコメントをするたびごとに「われわれはアメリカの軍事的属国民であり、軍事に関しては、アメリカの意思に反する政策決定をすることができないのだ」ということを明らかにし、「だから」という接続詞のあとに、自説を展開していただきたいと思う。」  

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コメント
 
01. 2010年5月08日 11:11:46: Erk83dGU5A
マスゴミは沖縄や徳之島の怒りを討幕運動に利用しようと思っている。
討幕運動というのは言い過ぎかもしれないが、控えた参院選で第三局の政党がキャスティングボードを握れるようにとにかく鳩山、小沢にダメージを与えることだけに的を絞っている。
第三局とはいうまでもなく、加齢臭が漂い髪をワックスで固めた親父に瓜二つになってきたあの世襲政治家のみんなの盗とかいうのが参院で民主党の議席を脅かし、法案可決に影響を及ぼしかつての自民党がさんざん味わった審議拒否をちらつかせて民主党政権を振り回し宙ぶらりんにさせ、それによって政策不履行に陥らせマスコミ上げて政権バッシングを繰り返すことで事実上政権の機能を簒奪することにある。
その先にあるのは解散総選挙であろう。

だからけして自分たちの自説は出さないし書きはしない。いや出さないというより、そんな自説などハナからないのだ。
内田樹が指摘するように朝鮮半島では米軍の及ぶ力はどんどん削がれている。
イ・ミョンバク大統領は北朝鮮に強い態度で出る親米路線色の強い政権だが、削られていく米軍を再び引き止めるような手立ては打っていない。
韓国駐留米国陸軍の師団が削られていくのに沖縄の海兵隊はどこをベースに北朝鮮まで侵入しようというのか理屈が合わない。急襲部隊とはいえ彼らの背後には米軍師団が控えていて初めてそれは機能するのではないか。
マスゴミはそんなことは百も承知でそれは報じずに、行き詰っただの米国との交渉は難しいことになるのは確実などと利いた風なことを言い続ける。
あのみのもんたが口を滑らせ「米軍の国外移転は本当にどこかないのか?」と口走り、他のコメンテーターが「テニア・・・」と言いかけたとたん、TBSの女性コメンテーターとやらに遮られたシーンがあったように彼らは米軍の現状と予定を知っているのだ。
これはもう犯罪的と言っても差し支えないだろう。この国のマスゴミどもは自分たちの言うことを聞かない政権を報道という名のリンチで叩き追い落とすことだけに沖縄県民や徳之島島民たちの声を利用しているだけだ。
腹立たしい限りだ。恥を知れとマスゴミどもに言ってやりたい。


02. 2010年5月08日 12:05:09: XMd0sOC3K2
日本国は相変わらずアメリカの属国のまま、国民の財産や稼ぎは徐々にアメリカ資本に吸い取られ、おまけに未来の展望すら開けないでいます。
国民に真実を伝え正しい指針を示さなければならないわが国の政治家、報道機関、ジャーナリスト、学者、評論家は国民と肩を並べてアメリカの庇護の下に誇りと独立心を喪失して久しい。

その象徴的な存在として基地問題があると思います。

鳩山首相は、「アメリカと対等な立場」「普天間は少なくとも県外移転」を掲げて選挙戦を闘い圧倒的支持で政権を奪取しました。
その鳩山首相に沖縄県民は勿論、国民が大きな期待を寄せるのは理の当然です。

しかるに普天間移設は八方ふさがり。
そして、多くの支持者や論説者の言には、アメリカに怯えるマスコミや政治家、評論家、更にはこれまで長期政権を担ってきた政府の取り組みが原因であるとの論調が目立ち始めました。
挙句に国民の意識改革も指摘されています。
果たしてそのような論調でいいのでしょうか。

彼の大国、中国はアヘン戦争以来100年間を列強の属国となり誇りと自立心を失っってしまい大戦終了と共にゼロからの新しい道を歩みだし今日に至って165年。
これを日本に置き換えるなら、日本が繁栄を謳歌するにはあと100年はかかる勘定です。
国民が意識改革をし、国民的合意でアメリカの属国から脱出するには容易なことでない筈。
だいたいネットで正しい情報を得ているのはごく一部の国民であり、一般国民の大部分は皆さんが嘆くように目と耳をふさがれている現状です。

しかし、基地問題解決の一番近いところに居るのは政治家です。
しかも、それを解決するのが政治家の本務です。
政治家の「体たらく」こそ責められるべきです。

鳩山首相がもし、選挙戦で沖縄で発した「少なくとも県外」の「私約」通りに取り組んでいたらどうなったでしょう?
悪戦苦闘は目に見えていますが国民が黙っているでしょうか?
さまざまな課題が浮上すると共に国民の意識も高まり、未来を開く第一歩になるはずです。
鳩山首相はその起爆剤になるべきです。

どうせ苦労するならこちらの苦労の方がいい。
今からでも遅くはない。
鳩山首相は、軌道修正すべきです。
このまま支持率を下げたら得るものは何もありません。

鳩山さん、あと百年も蔑視され蔑まされるのですか、アメリカに!
日本の将来は、鳩山首相が握っています。



03. 2010年5月08日 13:58:18: YEYCNJ0nFM
<アメリカの意思に反する政策決定をすることができないのだ」ということを明らかにし、「だから」という接続詞のあとに、自説を展開していただきたいと思う。>

この内田樹氏の前半には同意できません。

属国民には属国民の魂がある。独立革命を起こさなければならないと思う。


04. 2010年5月08日 18:12:53: iXgSNoM4mg
日本の現実は被占領地域の状態です。世界のどこに、米軍事基地がこれほどの規模で、数多くある国は有りません。完全に属国です。日本の軍事。政治。経済など。すべての分野でアメリカは間接統治をしていると実感します。自衛隊も戦略。装備などすべてアメリカに支配されているように思います。日本人には真の独立を目指すだけのマインドはいまのところ無いとみます。植民地でも何でもいい「今日を楽しく」です。日本人の魂はごつそり抜かれ、腑抜けとなり、アメリカの間接統治の手先「マスメデイア、評論家、官僚、旧体制勢力、検察の一部、など」とともに、沖縄県民の意思を無視して軍事基地容認のようです。寂しいです。

05. 2010年5月08日 22:37:19: gB0QWA9Sv6
アメリカが日本に対してこれだけ自由に振舞われる、その根本原因、絶対的な力の根拠は何でしょうか。単に戦争に勝ったから、というのではないような気がします。アメリカは、日本政府が言いなりにならざるを得ない、何かとんでもない「隠し玉・秘密」を握っているのではないでしょうか。そのように考えないと、この異常な隷属状態の継続は考えられません。もし、そのようなものがあるのなら、自ら公表することが国家独立への近道だと思います。

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