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過去最悪! “鉄道自殺年間647件”が道連れにしているもの(Business Media 誠) http://www.asyura2.com/10/senkyo85/msg/845.html
>「●●駅で発生した人身事故の影響で、●●線は一時運転見合わせております」 電車通勤している人なら、これが、かなりの頻度で接する日常である。 せめて、経済的な事情で自殺を選ばざるを得ない人を減らすように考えよう。 ******************************* 過去最悪! “鉄道自殺年間647件”が道連れにしているもの(Business Media 誠) ここ数年増加しており、2008年度には過去最悪の件数となった鉄道自殺。首都圏の鉄道では毎日1件の自殺騒動が起こっている計算になるという。なぜ人は鉄道自殺をするのだろうか。 「●●駅で発生した人身事故の影響で、●●線は一時運転見合わせております」 こんなアナウンスは、日常茶飯事である。ゴールデンウイークの中日である5月3日も、上下計5本が運休、約3万5000人に影響する新宿駅での人身事故がニュースになっていた。 どうやら都心部での鉄道自殺は増えているらしい。1月24日に配信されたMSN産経ニュースによると、線路への飛び込み自殺で2008年度に30分以上遅れたり運休したりした列車は全国で3万5300本。国土交通省調査の詳細なデータのある2002年度以降で最悪の数字で、4年連続で増加している。 詳細を見ると、2008年度の鉄道自殺は647件で、遅れや運休が出た列車は3万5300本と、2004年度の1万9700本から1.8倍に増加。このうち首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)が2万1100本と、全体の6割を占めている。 2008年度の鉄道自殺647件の6割が首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)で起こっているとすると、388件。つまり、首都圏の鉄道では、毎日1件自殺騒動が起こっている計算になる。もう日常風景である。 2006年度のデータによる記事を参考にすると、死亡者数が最も多い鉄道路線はJR中央線で21人。2008年度は東京と高尾を結ぶ32駅のうち15駅で死亡者が出ており、特に高円寺駅から豊田駅の間に集中している。複数の死亡があったのは御茶ノ水駅(3人)、荻窪駅(3人)、西荻窪駅(2人)、武蔵境駅(2人)の4駅。死因別では、自殺20人、転落1人だった。 2番目に多かったのはJR京浜東北線。大宮駅から横浜駅までの35駅で18人が死亡した。17人が自殺、1人がホームから転落した後にひかれた。駅別では、赤羽駅で3人が死亡したほか、蕨駅、浜松町駅、大井町駅で各2人、川口駅、西川口駅、東京駅、新橋駅などでも1人が死亡し、計13駅で死亡者が出ている。 3番目に多かったのはJR山手線。池袋駅(3人)、東京駅(2人)、巣鴨駅(1人)、駒込駅(1人)、田端駅(1人)など9駅で12人が死亡。すべて自殺による死亡者だった。 ●なぜ人は鉄道自殺をするのか 鉄道自殺を試みる人たちが選ぶ路線は、首都圏の主要路線である。MSN産経ニュースの記事を参考に、上下計5本の運休で約3万5000人の足に影響が出るということを基準とするなら、1本あたり7000人に影響を与えるということになる。首都圏では年間2万1100本の列車が鉄道自殺により輸送障害が出ているということなので、のべ人数を単純計算すると……何と年間1億4770万人が、その影響を受けているわけだ。首都圏の人口を考えると、1人あたり年7〜8回は鉄道自殺の巻き添えの影響を受けていることになる。 このように、鉄道自殺は多くの人に影響を与える。特に首都圏では、その数が半端ではない。言い換えると、他人を巻き込む数が多い路線ほど、鉄道自殺の場として選択されていることになる。さらに、死体は原形をとどめていないため、遺体処理にあたる乗務員や、その様子を目の当たりにした乗客の心のトラウマになることも指摘されている。「他人に迷惑をかけるという率」は、ほかの自殺手段とは比較にならないほど高いのだ。 では、なぜこんなに迷惑をかける自殺手段を選択するのか。一連の記事の中で、江口昇勇(のりお)・愛知学院大教授(臨床心理学)は、「多方面に影響を与える鉄道自殺を選ぶ背景には『自分の存在を何とか知ってもらいたい』との思いがあるのではないか」と指摘している。 本当にそうなのだろうか? 「自分が飛び込むことによって他人に迷惑をかけてしまう」「親が鉄道事業者から賠償請求をされてしまう」「自分の遺体を見た家族が悲しむ」なんて考えずに、「これに飛び込めば自分は死ねる」ということしか考えていないのが本当のところではないだろうか。 「これに飛び込めば一瞬で済むから苦痛も感じない」。その衝動的な選択動機よりも、「最期に自己を多くの他人に認めてもらいたい」「いま動いている社会を道連れにしたい」動機が上回っていると考えるのは、自殺をするまでに至らない我々社会の側の勝手な推測であり、傲慢である。鉄道自殺の衝動を多くの人が責める背景は、ここにある。 自殺は当然、社会であまり報道されない。しかし、鉄道自殺はニュースになる確率が高い。さらに、「●●駅で発生した人身事故の影響で●●線は一時運転見合わせております」というアナウンスは、首都圏を利用する人たちの耳に、毎日1回の頻度で届いているわけである。いちばん身近で、いちばん多く耳に届く自殺が鉄道自殺なのである。そのニュースやアナウンスを聞くたびに、人々の心の中に「迷惑がかかっている=道連れ的感情」がわく。無意識に社会に対する「怨嗟の輪廻」を巻き起こしている。 私たちは「30センチ前へ踏み出すことにより、死ぬことができる日常がある」社会に生きているのである。いつ、その衝動が自分の中にわき起こるか分からない。そのことへの想像もなしに、鉄道自殺のニュースを迷惑だと聞き流す社会が築かれることの方が怖い。鉄道自殺者が道連れにしているのは、日本人の「日常に牙をむいている死」への想像力である。(中村修治)
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