投稿者 純一 日時 2010 年 5 月 07 日 10:34:55: MazZZFZM0AbbM
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2010年05月07日
2005年に署名された「日米同盟・未来のための変革と再編」と云う条約でも何でもない日米の関係閣僚による合意文書で、日米安保条約が驚くべき変質を遂げていたことを外務省も防衛省も充分に理解していなかったのではないかと思われる節がある。
日米安保条約が極東の安全、延いては日本の安全と米軍基地の駐留及び思いやり予算がバーターでセットになっていると受け取っている国民が多いはずだが、この町村・大野とライス・ラムズフェルドが取り交わした日米同盟の合意文書は、米国の世界戦略に日本も一致協力すると云う、トンデモナイ合意だった事が今さらのように判るのである。
憲法違反、国連無視、米軍と一蓮托生に合意しているのである。町村が外相だった時の総理は当然アノ小泉純一郎なのだ。
何処までも米国隷属の種をまき散らした男か呆れてモノが言えないほどである。挙句にこの合意文は正式なものは英語のみで、外務省には正式な日本語文が存在しない。
このような状況であるにも関わらず、この「日米同盟・未来のための変革と再編」の内容をおそらく充分認識することなく鳩山由紀夫は昨年政権発足から間もなく、11月来日のオバマ大統領と会談し、両首脳は終了後の共同記者会見で「日米同盟の深化」をアピールしてしまったのだと思う。
鳩山は「日本外交にとってすべての礎だ。同盟をさらに深化、発展させていきたい。建設的で未来志向の日米同盟をつくりあげていきたい」と意気軒昂に発言しているのである。しかし、米国が受け取った「日米同盟」は「日米同盟・未来のための変革と再編」合意以降の日米同盟であり、鳩山の日米同盟は安保条約が念頭にあった可能性が非常に高い。
このトンデモナイ「日米同盟・未来のための変革と再編」に何処で気づいたか知らないが、日米安保の枠組みではあり得ない海兵隊の「抑止力」必要と云う言葉が沖縄訪問時に初めて発せられたのだ。 少なくとも我々国民は、訳の分からぬ合意文章だが、内容を知らずに済ますのは拙いのだろう。
本来、朝日新聞等が「日米同盟・未来のための変革と再編」と「日米安保条約」の違いくらい国民に知らせるジャーナリストとしての責務があるはずだが、とてもそのような事をするとは思えない。(笑)
偶然ではないが、元NHKテレビディレクター・志村建世氏のブログ書評で(「日米同盟の正体」を読む)この合意文内容を判り易く解説して頂いているので、以下に全文拝借引用掲載します。
≪ 「日米同盟の正体・迷走する安全保障」(孫崎享・講談社現代新書)を読んでいます。元外交官で防衛大学校の教授でもあった人の書いたものだけに、非常に面白く、安全保障問題についての私たちの盲点を教えてくれます。
まず冒頭で、日米安全保障条約は、実質的にすでに終っていることを指摘しています。2005年に署名された「日米同盟・未来のための変革と再編」という文書で、新しい同盟関係に変化している、しかし日本の国民のほとんどは、そのことに気づいていないというのです。日米安保は、米ソ対立の冷戦時代の産物でした。日本は自国の防衛に最低限必要な軍備だけを持ち、大規模な国際紛争に対してはアメリカ軍の対応に期待して、その代わりに基地を提供すると約束したのでした。
しかしソ連の崩壊による冷戦の終結で、日米安保の最大の目的は消滅しました。そこで次に登場したのが、アメリカの世界戦略に日本が協力する形での新しい 日米同盟です。アメリカの世界戦略を一方的に受け入れざるをえないのは、そもそも日本には世界戦略が全く存在していないからです。このまま進めば、日本は確実に「戦死者を出すことを覚悟した軍事同盟」に組み込まれることになります。
ここまでは常識的な解説ですが、興味深いのは、世界的には軍事は謀略の戦いが第一であるのに、日本人はあまりにも無知・無関心だという指摘です。アメリ カは大衆の支持なしには戦争ができない国ですから、必要な戦争を実行するためには、周到な準備をする伝統があります。リンカーンの南北戦争、ルーズベルトの太平洋戦争、ブッシュのテロとの戦いは、いずれも「相手に先に手を出させる」ことで、総力をあげた戦争が可能になったのでした。
ここで提起されているのは「謀略の頭脳と感覚」で国際情勢を読み解くことの大切さです。権謀術策で世界が動いていると考えるのは愉快ではありませんが、現実に世界は軍事力と密着した政治で動いています。世界を平和にするためには、純真な祈りを捧げることも大切ですが、しっかりした戦略を立てなければ対抗できない面もあるのだと思いました。
前回述べたように、日米安保条約は、2005年から「日米同盟」へと、異質なものに変化しました。流血の反対運動まで押し切って成立させた条約は、1通の合意文書に署名したことで、別な新しい条約に変ったのです。以後は「安保条約」と「日米同盟」とは別物として扱わないと話が通じなくなります。「条約」 と「同盟」との大きな違いは、前者が国連中心主義に基づく世界の安全保障を意識し、その枠内での日米の関係を規定しているのに対して、後者には国連を尊重する姿勢が全く見られないことです。
冷戦後のアメリカは、軍備の縮小ではなくて、世界で唯一の超大国としての地位を厳守する道を選びました。新しい仮想敵国は、イランとイラクと北朝鮮でした。いずれもソ連に比べれば小粒で、役不足の感は否めません。そこへ欧米諸国に敵意を抱く国際テロ組織と、それを支援する国家という概念が加わったので、 新しい目的が成立しました。この「アメリカ(及びイスラエル)から見た世界の好ましい秩序」は、必ずしも国連が掲げる「加盟各国の平等な権利を尊重する平和」とは一致しません。アメリカにとっての国連は、「利害が一致するときだけ利用する国際組織」に過ぎなくなりました。
この状態のアメリカが日本と同盟することの最大のメリットは、「条約」で確保した基地を、そのまま「同盟」の基地として使用できることです。なにしろ日本の米軍基地は日本を守るためのものという建前でしたから、経費の4分の3は日本が負担することになっています。ちなみにドイツは、米軍基地の経費は4分の1しか負担していません。ですから「アメリカ軍は日本を守るが、日本の自衛隊はアメリカを守らないから不公平な同盟だ」という負い目を感じる必要はないのです。
それよりも大きな問題は、アメリカと同盟することによって、日本の外交が大きな制約を受けることです。自衛隊の戦略も装備も訓練もアメリカ軍との一体化が進み、「同盟軍の一翼」としての役割が増してきます。その傾向は、アメリカの大統領がオバマになっても変ることはありません。
日米同盟は、日本の戦後史すべてを集約した「宿命」とも言うべきものです。50年間不変だった保守政権にも、もちろん大きな責任があります。しかし、永久にこのまま変更不可能で、日本の国民には何の選択権もないのでしょうか。そんなことはありません。
安全保障を最近話題のミサイル防衛について考えると、日本ほど不利な国はありません。一極集中の東京を抱えていて、どれほど防衛ミサイルや報復ミサイルを装備しても、ミサイル戦に勝てる見込みはありません。たとえ核武装したところで、事情は同じです。
現代の安全保障は、軍事では限界があります。たとえばアメリカと中国が戦争をする可能性は、現在は非常に低くなりました。相互が最大の貿易相手国になっていて、戦争で相手を壊滅させても自国の損害が大きくて、良いことは何もないからです。相互に経済関係を親密にすることは、強力な安全保障になるのです。 こう考えれば、グローバル経済で重要な役割を果たすことは、世界の中における日本の安全保障になります。
アメリカでさえ、すでに世界の主要国と本気で戦争をする必要があるとは思っていません。新鋭戦闘機F22の生産中止は、その象徴でしょう。あとはテロとの戦いが最終戦争になります。そこに日本はアメリカの同盟国として参戦すべきでしょうか。戦死者が出たら「世界平和のための靖国神社」を作って祀ればいいのでしょうか。
孫崎氏は日本の進路として、NATOへの接近を推奨しています。ヨーロッパにはアメリカと違って、法の支配と交渉で平和を維持しようとする伝統があります。例としてカナダはイラクへの派兵を拒否したとき、NATOに同調すると表明して、アメリカとの2国間の衝突を回避しました。アジアにおいても、独自の 安全保障の機構を模索する価値はあるでしょう。しかし、アメリカとの同盟を堅持したままの状態で、実効性のある歯止めを構築できるでしょうか。
私がこの孫崎氏の本を読んで感じた最大の不満は、日本の憲法9条についての言及が、最後まで皆無だったことでした。憲法9条は、今も日本の軍事的な国際貢献について強い歯止めになっており、自衛隊員を戦死から守っているのではありませんか。日米同盟があるから憲法を変えなければならないというのは、条約でもない合意文書を憲法の上に置くことであり、話が反対です。
憲法9条は日本の安全保障にとって、足かせではなくて、強力な武器になる。平和に向けて、世界をリードする外交力の源泉にもなる筈だと、私は著者が書かなかった信念を深めました。(志村建世氏の書評より)≫
*外務省のHPに行くと、この合意文書の仮訳なるものを閲覧できます。
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