投稿者 のんぽり 日時 2010 年 5 月 04 日 12:00:35: 7p9CCripgLT3w
薔薇、または陽だまりの猫
世論が浮足立っていませんか 熱狂と非難 論理奪う/中島岳志(北海道大准教授)
2010-05-03 11:11:20 | 社会
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/7a4589206bace9bc76870192e62a9413
私の勤める北海道大学には「目安箱」が置いてあります。
学生から大学に対する意見を募るんですが、最近はおかしな投書が多い。
「あの先生は板書が汚い」「事務員がなってない。おれたちの授業料で食ってるくせに」
断片的で具体性に欠け、本人に直接言えばいいことを匿名でたたくものばかりです。
テレビの討論番組もお笑い番組も、1人当たりの持ち時間はどんどん短くなっています。
「ツイッタ-社会」とでも言うのでしょうか。つぶやきの断片が支配して論理を奪い、
落ち着きを失っているように思えます。
落ち着きのなさが顕著になったのは小泉政権の頃。
2006年の終戦記念日に小泉元首相が靖国神社を参拝する前と後で、世論が大きく動きま
した。
参拝前の朝日新聞の調査では「参拝する方がよい」が29%で「しない方がよい」の半分程度だったのに、
参拝直後は「よかった」が49%に急増したのです。
参拝後、小泉氏が「いつ参拝に行っても、混乱させよう、騒ぎにしようという勢力がある」と、
反対意見を非難したことがきっかけでした。
国民全体が熱狂とバッシングに浮かれる構図は、戦前と似ています。
満州事変を巡って1933年に日本が国際連盟を脱退してから、軍部の暴走を世論が熱狂的に支持し、
ついには政治家も世論を抑えきれなくなって太平洋戦争に突き進んでいきました。
熱狂とバッシングは暴力につながりやすい。
1932年、井上準之助前蔵相ら政財界の要人がテロ組織の「血盟団」に次々襲撃され、一部の
軍人は
5・15事件で犬養毅首相を暗殺しました。
当時も今と一緒で格差と貧困の社会でした。
私自身、自著「パール判事」を巡って漫画家の小林よしのり氏と応酬していたとき、主に小林氏の過激な
論調を熱狂的に支持する人たちから1年以上にわたって、研究室に黒枠で囲った私の写真が届いたり、
「死ね」と書かれたFAXが延々と送りつけられてきたりしました。
しかし屈したと思われるわけにはいかない。ギリギリの覚悟で発言を続け、やがて熱狂は冷めていきました。
保守の本質とは具体的な人間関係の中で、葛藤に耐えながら合意を形成していくこと。
本来、熱狂とは遠い存在なんです。
北大では教授らが中心になって、町の書店を拠点に一般の人々が政治を議論するカフェを実験的に
設けています。
まず自分の足元から、顔の見える関係で議論できる共同体を無数につくること。
これこそが、浮足立って根無し草になった言論をつなぎとめ、健全な民主主義社会を守っていくために
必要なことだと思っています。
(聞き手・吉野太一郎)
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中島岳志さん なかじま・たけし(35)
北海道大准教授
大阪市出身。2006年10月から現職。専攻は南アジア地域研究と日本政治思想史。
著書に東京裁判で被告人無罪を主張したインド人判事に迫った「パール判事」、
共著に「日本思想という病」などがある。
*2010.5.3朝日新聞「明日を喋ろう 2010」
コメント
国立大学の学生さんもレベルが低下したもんだ。
これを読んでいると、最近どっかのTVの世論調査でみんなの党の支持率が十数%まで上がってきたというのも頷ける。
何しろ、その番組ではみんなの党をヨイショしていたのだから。
決して、数字が操作された訳ではあるまい。B層は容易に意見を変える存在なのだ。
まともな議論をすることを避けてきた教育の賜物だろう。これをうまく利用したのが小泉純一郎で一時90%の支持率を獲得するまでの勢いがあった。
熱狂後の現実を見ても自分の愚かさに気がつかず、自分たちの選んだ政権をいとも簡単に裏切ってしまう。こんな体質が、政策より政局の政治を生み、日替わり定食ならぬ年替わり猫の眼政権での行き当たりばったりの政策によって日本が沈みつつあることに繋がっていることを認識しようとすらしない。
おいらは民主党は好きになれず、支持したこともないが、せっかく政権交代をしたからには少なくとも4年間ぐらいは明確なビジョンを示しつつ地歩を固めて欲しいものだと思うのだが・・・。
あぁ、それなのに、前原や仙石は自民党と変わらぬ派閥争いを展開している。
そんなに小沢が嫌ならば臥薪嘗胆、自分たちの実力を磨き、小沢を凌駕するよう努力することが先決だろうと思う今日この頃であった。
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