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野中爆弾証言の標的は「小泉・竹中構造改革」一派であろう。 (文藝評論家・山崎行太郎の『毒蛇山荘日記』) http://www.asyura2.com/10/senkyo85/msg/638.html
http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20100504/1272902159
「私、野中広務は今期をもって政界を引返することを決意しました」 二〇〇三年(平成十五年)九月九日、小泉が再選を目指す自民党総裁選の十一日前、野中は引退を表明した。 一週間後の九月十六日、東京・有楽町の日本外国特派員協会に現れた野中の顔色は心なしか青白かった。これが大勢の報道陣やテレビカメラに囲まれる最後の舞台だという意識がそうさせるのか、彼は硬い表情のまま壇上で語りはじめた。 「私は、いま日本は国の内外を問わず危険な道をひた走っていると思います。小泉総理や日本のマスコミ、は景気が良くなったとか言っていますが、絶対に!良くなっておりません。今も一日百人の日本人が自分の意思で自らの命を絶っている。ホームレスや失業者が街にあふれています」 「イラクに自衛隊が行ったとき、犠牲者が出なければ日本人は気がついてくれません。正当防衛としてイラクの人を殺すことになる。日本は戦前の道をいま歩もうとしているのです。そこまで言われなければ気がつかないのかなあと思うと、一つの時代を生きてきた人間として本当に悲しくなります」 悲壮感を漂わせた野中の演説を聞きながら、私はこの野中の評伝が月刊誌に掲載された直後に衆院議員会館で彼に会ったときのことを思い出していた。 彼はうっすらと涙をにじませた目で私を睨みつけながら言った。 「君が部落のことを書いたことで、私の家族がどれほど辛い思いをしているか知っているのか。そうなることが分かっていて、書いたのか」 私は答えなかった。返す言葉が見つからなかったからだ。どんな理屈をつけようと、彼の家族に心理的ダメージを与えたことに変わりはない。 二〇〇三年九月二十一日、野中は最後の自民党総務会に臨んだ。議題は党三役人事の承認である。楕円形のテーブルに総裁の小泉や幹事長の山崎拓、政調会長の麻生太郎ら約三十人が座っていた。 午前十一時からはじまった総務会は淡々と進み、執行部側から総裁選後の党人事に関する報告が行われた。十一時十五分、会長の掘内光雄が、 「人事権は総裁にありますが、異議はありますか?」 と発言すると、出席者たちは、 「異議なし!」 と応じた。堀内の目の前に座っていた野中が、 「総務会長!」 と甲高い声を上げたのはそのときだった。 立ち上がった野中は、 「総務会長、この発言は、私の最後の発言と肝に銘じて申し上げます」 と断って、山崎拓の女性スキャンダルに触れた後で、政調会長の麻生のほうに顔を向けた。 「総務大臣に予定されておる麻生政調会長。あなたは大勇会の会合で『野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ』とおっしゃった。そのことを、私は大勇会の三人のメンバーに確認しました。君のような人間がわが党の政策をやり、これから大臣ポストについていく。こんなことで人権啓発なんてできようはずがないんだ。私は絶対に許さん!」 野中の激しい言葉に総務会の空気は凍りついた。麻生は何も答えず、顔を真っ赤にしてうつむいたままだった。 …… この国の歴史で被差別部落出身の事実を隠さずに政治活動を行い、権力の中枢にまでたどり着いた人間は野中しかいない。彼は「人間はなした仕事によって評価をされるのだ。そういう道筋を俺がひこう」と心に誓いながら、誰も足を踏み入れたことのない険しい山道を登ってきた。ようやく頂上にたどり着こうとしたところで耳に飛び込んできた麻生の言葉は、彼の半世紀にわたる苦闘の意味を全否定するものだったにちがいない。 総務会で野中は最後に、 「人権擁護法案は参議院で真剣に議論すれば一日で議決できます。速やかに議決をお願いします」 と言った。人権擁護法の制定は野中が政治生活の最後に取り組んだ仕事である。だが、人権委員会の所管官庁をめぐって与野党の意見が対立し、実質審議が行われないまま廃案になった。 それは野中の政治力の衰えを象徴する出来事でもあった。 「もう永田町にオレの居場所がなくなってしもたんや」 野中はこんな言葉を残して政界を去った。 (魚住昭『差別と権力』より)
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