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2010年4月29日 (木曜日)
米国の鳩山評価
「オバマ大統領が日本の政権に『不信感』」「米政府関係者は鳩山首相に怒り心頭」なんていう日本メディアの記事に惑わされてきた方へ朗報です。米タイム誌が２９日に発表した「世界で最も影響力のある１００人」の指導者カテゴリーでなんと鳩山首相が６位に選ばれました♪すっごーい！！スンバらしい!!とニュースを聞いた瞬間、私は心から驚いてしまった。だってこれってアメリカではものすごく栄誉あることだからだ。
アメリカでは発表のあった２９日の朝からＣＮＮや各大手テレビ局がニュースで一斉に、「タイム誌が『世界で最も影響力のある１００人』を発表しました。『リーダー部門』の１位はブラジルのルラ大統領、２位マレン米統合参謀本部議長、そして４位がオバマ大統領、６位が日本の鳩山首相、８位ナンシー・ペロシ議長、そして９位がサラ・ペイリンとなっています・・・ってな具合で、民主党系列テレビ局はオバマに焦点、共和党系列テレビは同党のマスコット的存在であるお気楽姉ちゃんサラ・ペイリンが出演して「イエ〜イ♪すっごい嬉しいですう★」てな具合でコメントしたりして賑やかに報じていたのである。
アメリカでこれだけ大きなニュースとして報道されてるんだから、もしかしたら日本はお赤飯ムードで大盛り上がり？と思ってネットで各紙の報道をみてみると、あららら。なんだかものすごく冷めたトーンではありませか。ざっと目を通した範囲で選出の理由が書かれてある箇所だけを拾ってみると、
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「同誌は、鳩山首相自身は政治家の家系に生まれ、『革新的には見えない』としながらも、『事実上の一党支配体制を、機能する民主主義に変える手助けをした』と評価。『このことは称賛するに十分な理由』とした。（時事通信）」
「理由について、鳩山首相を『古い政治家一族の跡取りで、革命的には見えない』としながらも、『日本を事実上の一党支配から、民主主義が機能する国への変革を助けた』とした。（読売新聞）」
「同誌は政治家で資産家の一家に生まれた鳩山氏について、自民党時代は『完全に予測可能な政治家』だったと紹介。自らが源流をつくった民主党の『より平等な日米同盟』『政治家主導』『透明性向上』といった政策をすぐ完全に達成することはできないだろうが『日本が事実上の一党支配の国から、機能する民主主義に変わる一助となった』とした。その上で『彼自身は革命家ではないが、一種の革命において指導者となった』とも説明した。（共同）」
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なんだかネガティブトーンが溢れているこの文体。一体ぜんたいどうしちゃったの？と首をかしげるなかで、唯一、タイム誌の説明に忠実に紹介しているのが下記のＮＨＫだ。
「鳩山総理大臣を選んだ理由について、タイムは「政治家の家系に生まれ革新的には見えないが、去年、自民党による実質的な独占支配を破った。まだ、完全ではないが、事実上の１党支配体制だった日本に、民主主義をもたらすよう導いたことは称賛にあたいする」としています」（ＮＨＫ、引用終わり）
なんか、日本メディアの記事だけ読んでると、誉めてんだかけなしてんだか全然わかんないんだけど、要するに、鳩山首相は政治家の家系でタイヤで成した財を受け継いでる人なもんだから、いわゆる「革命家」というタイプにはみえないんだけど、日本の長かった一党支配体制に終止符を打った人である種の革命家だ。党が掲げた目標は、米国との対等な関係、政治家主導の政治、そして政治により透明性を持たせるといったもので、素晴らしい目標ばかりだ。今の段階ですべてが実現できていないとしても、日本を一党支配下から脱出させ、民主主義が機能する新たな時代へと国を率いたことは間違いない。賞賛に値するのに十分だ・・・というのが選ばれた趣旨だ。
日本のメディアはほとんど報道しないんだけど、米有識者のなかでは、オバマ政権と鳩山政権が「変化を望む国民の期待を受けて誕生した指導者だ」と捉えている人が多い。そして、２つの政権にたくさんの共通点があるなか、大きな違いというものが、オバマの支持率がある程度まで下降して止まったのに対し、鳩山さんの支持率下降に歯止めがかかる様子がないということをあげている。
理由として「国民性の違い」といったものを挙げる人がいる一方で、オバマが受け継いだ負の遺産はブッシュ政権からのものというのに対し、鳩山首相はその何十倍に匹敵する量の負の遺産を旧政権から引き継いでいるもんだから、オバマと比べ、鳩山首相に課せられたマイナスの要素は桁はずれに大きく、でもって国民の期待というのもいまだかつてないくらいの大きなものだから、政権が代わってすぐにいろんな物事がバンバン改善されていくだろうという期待通りにコトが運ばないため国民の落胆も大きいのでは？と言ってる人も多いということだ。鳩山首相に課された改革の使命というものは、そう簡単には運ぶ質のものではないということだろう。
だから私はこのタイム誌の評価は、言葉通り、鳩山首相は世界のリーダーとして評価されたものだと受け取めている。だったらサラ・ペイリンはどうなの？とオブジェクションを唱える人もいると思うけど、彼女には政治家としての才能は欠落してるものの、ブッシュと同じく違った意味で共和党を率いてる人だからやはりリーダーといえることになるんだろう。
残念なのは、これだけすごいニュースを日本の各メディアがさらっとスルーしちゃってるって点だ。日本のメディアはあれだけ日米同盟が危機だとさかんに報じてるわけだから、これを日米関係を検証する機会として使ってみることはできたはずだ。
例えばタイム誌の編集局長に電話して「アメリカで権威のあるタイム誌が鳩山首相を選んだ理由は？」と取材し、コメントを記事中に盛り込む。あるいは、ホワイトハウスに電話して「オバマ大統領が４位、鳩山首相が６位ですがご感想は？」「タイム誌の選出結果は正当だと思いますか？」「タイム誌は鳩山首相を高く評価していますがホワイトハウスも同感と捉えても構いませんか？」ってな感じで質問をぶつけてみる。そしたらそこから引き出したネタで新たな付加価値を記事に足すことだできただろう。
本当に残念だよな。これだけの栄誉あるニュースなんだから、単に翻訳だけして日本に飛ばすのではなく、きちんと取材してもっと膨らませてほしかったもんだ。
「あー？なにー？ハトヤマが６位に選ばれたー？そんなのベタ記事扱いでいい。簡単に訳して送ってくれればいいから」なんていうデスクの指示が聞こえてくるようだ。
ということで、アメリカにおける鳩山首相の評価を気にしていたみなさんは、米タイム誌が出してくれた「鳩山首相は世界で６位に値するリーダーです」という回答を持ってして一件落着とご安心いただきたいのであります。
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