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偏見に満ちた検察審査会議決 民主主義の危機を映す http://www.asyura2.com/10/senkyo85/msg/348.html
検察審査会なんてあんなものと言ってしまえばそれまでだが、今回の民主党小沢幹事長に対する「起訴相当」の議決は当面の政局、ひいては今後の政治情勢全般に与える影響は小さくないだろう。 1.検察審査会とはどのような組織か 検察審査会は全国の地方裁判所(支所を含む)ごとに設置され、地裁管内在住の選挙人名簿から無作為に11人の審査員が選ばれる。正規の審査員の他に正規の審査員が審査会に出席できないときに審査を代行する補助審査員が同数の11人いる(私が実際に選ばれたのはこの補助審査員の方)。実際の選出手順としては、まず選挙人名簿から200人程度の審査員候補者を選出して全員に通知する。検察審査会などという組織は一般にはほとんど馴染みのない組織だから、たいていの人はこの通知を受けて、初めて世の中に検察審査会なるものが存在していることを知るのである。この通知で検察審査会の制度や役割について基本的な知識を得て、この200人の中からさらに抽選で正規委員と補助委員各11人が選ばれる仕組みが伝えられる。予断だが、この二重選抜方式には事情があって、審査委員に選出された人には裁判所への「出頭指示書」が届くのだが、なにも悪いことをしていないのに裁判所に出頭を命じられたことから、世間体や将来を悲観して自殺した人がいたとのことで、予め予備選抜の段階で制度の内容を周知することとなったらしい。いずれにしても中小企業のおっちゃんやキャバレーのママさんなど老若男女取り混ぜた、ずぶの素人集団である。 そこでこの独占的起訴権限を持つ検察官が、課罰的違法性がある行為を犯したにも関わらず被疑者を起訴しなかった場合に、それを不服として検察審査会に申し立てることができる制度になっている。私の経験から言うと検察審査会で扱われるのは交通事故や傷害事件、詐欺などの一般刑事事件が大半で、政治資金規正法のような政治がらみの案件は皆無ではないが極めて少ないようだ。一般刑事事件の場合、事件の外形的事実は誰が加害者で誰が被害者かも含めて極めて明白だ。例えば交通事故の場合、Aが運転するクルマがBを轢いてBを死亡または負傷させた、この事実は争う余地がない。問題になるのは、Bが自殺を目的に意図的にAのクルマに飛び込んだとか、Bが泥酔状態で突然Aのクルマの前に歩み出たなどの事情からAが不起訴となった場合である。BまたはBの遺族がAの側にも前方不注意などの違反行為があったとして、検察審査会に申し立てをしてくるわけである。そこでAの行為は起訴にあたいするような課罰的違法性を持つのかどうかを審議し、議決するのが検察審査会の役割である。この手の事案であれば、一般市民の常識や社会通念に照らして判断することも、あながち無謀な試みとは言えないかもしれない。 3.実際の議決に至るまで・・・事務局の誘導 審査申し立てがあった事案については補助委員を含む全員が捜査調書や現場写真などの証拠類(証拠不十分で不起訴になったのだから証拠というのは変かも知れないが)などを閲覧することができる。ここが問題である。何故か。見ることができるのであって、全証拠を見たり、調書の隅から隅までを読む義務はないのである。実際読んだところで素人には極めて分かり辛いだろう。私が審査員をしたときにも調書や不起訴に至った検察の報告者などいちいち読んだ記憶はない。交通事故現場の凄惨な写真などは、事務局が気の弱い人は見ないほうがいいですよ、などと言っていた始末である。これではまともな審議はできないのではないか。 事件の概要や申し立ての趣旨、審議の論点といったところは裁判所の事務局からかいつまんでレクチャーがある。審議そのものは裁判官や裁判所職員が議長を務めるのではなく審議委員の互選で座長を選んで進行するのだが、冒頭の事務局レクチャーに相当程度誘導されることは免れない。例えばある事案について、事務局から、実は本件の申請人はいわゆる訴訟マニアと言われる人で今年だけでも何件も申請しています。はっきり言うと迷惑な人なんです、などとレクチャーされたことがあった。その段階で議決内容は決まったようなものだった。 議決に至るまで、事案にもよるが通常3〜4回(つまり2ヶ月程度)の審査会が開かれる。議決は正規委員(代理含む)の多数決で、選択肢は「不起訴相当」「不起訴不当」「起訴相当」の三つだ。前二者は6人の多数で決まるが、起訴相当の議決はは8人以上の多数を要する。例えば起訴相当7人不起訴不当4人の場合は不起訴不当の議決となる決まりだ。 4.東京第5検察審査会 小沢起訴相当議決の問題点 初めに結論が出ているのだから、あとの論理展開はどうでもよいことになり、実際に議決所の内容は、とても通常の刑事訴訟の立件に耐えるようなものではない。そもそも今回の審査員各位は民事と刑事の区別すらついていない節がある。検察審査化の議決の骨格は概ね次のようなものだ。「われわれ善良な市民は小沢からきちんとした説明を受ける権利がある(債権)」「小沢は陸山会のカネの流れについて説明する責任がある(債務)」「従ってわれわれ善良な市民は小沢に法定できちんと説明するよう求めるのが当然の感覚だ(債務の履行)」。これでは完璧に一般民事の発想であり、離婚や相続を巡っての口さがない井戸端会議のレベルで、到底刑事訴訟の法廷に持ち込める内容ではない。刑事事件として起訴するに足る証拠については、およそお粗末な言及しかしていない。その点を次にみる。 具体的な証拠がこのありさまだから、状況証拠のほうはもっとひどいことになっている。そもそも状況証拠だけで政治家を起訴しろという神経が狂っている。まず土地購入資金の出所を隠すために、小沢自らが融資申込み書に署名・捺印し、陸山会の定期預金を担保にしてまで執拗な隠蔽工作を云々というのは、幼稚な事実誤認、邪推な類といわざるをえない。陸山会の定期預金とは小沢の自己資金のことであり、その名義を陸山会にしたことで話がややこしくなっているが、小沢自身の名義にしておけば問題はなかった。隠蔽のために陸山会名義にしたとでも言うのだろうか。政治資金報告書に小沢一郎、借入金、4億円との記載が公明正大に乗っているのに、である。現金があるのに何故銀行から借り入れるのか、というのもど素人の浅はかな邪推だ。事業会社にしろ各種団体にしろ、資金繰りの実務経験がある者なら誰にでも分かる道理だが、手元の現金だけで業務が回るなら仲介機関としての銀行などいらないではないか。はなから隠蔽工作なるもの自体が存在しないことは明らかだ。存在しない事件の共犯もまたありえないのは理の当然。初めに結論ありきだから、こんな当たり前のことが見えなくなる。 全て秘書に任せているということで政治家本人の責任は免れないというのも、今回に関しては全くの言いがかりと言うほかない。この人たちは本当に洗脳されているとしか思えない。政治資金収支報告書の作成を秘書に委ねるのは当たり前で、よほど貧弱な議員でない限り自分で作成したりはしない。小沢が言っているのはそれだけのことだ。4億円の歳入、歳出の記載年度がいつになったかは秘書の判断である。あたかも、小沢が4億円のカネの動きを秘書任せで知らなかったとか、虚偽記載のような脱法行為は秘書が勝手にやったとか、あたかも小沢がそのような言い逃れをしているかのごとき決め付けは、単なる小沢に対する難癖以上のものではない。初めに結論ありきだから、的外れな言いがかりばかりが目立つのだ。 他にもこの議決書は言い出せばきりがないが、この辺にしておこう。これだけでも刑事事件としてはおよそ立件の体をなしていないことは明らかだろう。検察審査会は疑わしきは罰せず(私などは疑わしいとさえ思わないが)という子供でも知っている原則を大きく逸脱して、説明責任、説明責任と喚きたてて被疑者の側に何も悪いことはしていませんという立証を求めている。政治家の説明責任という意味では、パーフェクトではないものの、並みの政治家よりもはるかにはっきりと小沢は説明しているではないか。しかも繰り返し。何もしていないのに、していないことを証明しろと迫る手口は、痴漢冤罪事件と酷似している。植草先生の二の舞にしてはならない。
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