投稿者 南青山 日時 2010 年 4 月 26 日 00:33:18: ahR4ulk6JJ6HU
http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2010/04/post-9566.html
ゼノフォビア(引用者注:外国人嫌悪)な人たちは、子ども手当についても、デマを流布しているようです。
日本に住む外国人が外国に居住する多数の子どもたちと養子縁組を結び、巨額の子ども手当の受給申請をすれば、政府はこれに応じざるをえないはずだというのがその典型です。果たしてそんなことがありうるのでしょうか。
まず、子ども手当の根拠法令を見てみましょう。子ども手当の根拠法令は、「平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律」です。その第4条第1項は次のように定めています。
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第四条 子ども手当は、次の各号のいずれかに該当する者が日本国内に住所を有するときに支給する。
一 子どもを監護し、かつ、これと生計を同じくするその父又は母
二 父母に監護されず又はこれと生計を同じくしない子どもを監護し、かつ、その生計を維持する者
三 子どもを監護し、かつ、これと生計を同じくするその父又は母であって、父母に監護されず又はこれと生計を同じくしない子どもを監護し、かつ、その生計を維持するもの
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すなわち、子ども手当の支給を受けるためには、日本国内に住所を有しかつ「子ども」を有するだけでは足りず、さらにその「子どもを監護し、かつ、これと生計を同じく」していることが必要となります。従って、外国に居住する子どもと養子縁組を結んだというだけでは、子ども手当の受給要件を満たしません。
厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の都道府県知事あての平成22年3月31日付の「平成22年度における子ども手当の支給に関する法律等の施行について」と題する文書(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/osirase/dl/100402-1i.pdf)によれば、ここでいう「監護」とは「子供の生活について通常必要とされる監督、監護を行っていると社会通念上考えられる主観的意思と客観的事実が認められること」をいうとされています。同様に、ここでいう「生計を同じく」するとは、「子どもと養育者との間に生活の一体性があること」をいうとされており、必ずしも同居を必要としていないものの、「勤務、就学、療養等の事情により、別居し、日常の起居を共にしていないが、別居の事由が消滅したときは、再び起居を共にすると認められ、かつ、子どもと養育者との間で生活費、学資金、療養費等の送金が継続的に行われている場合」がこれに当たるとされています。
そして、厚生労働省は、これを受けて「『平成 22 年度における子ども手当の支給に関する法律における外国人に係 る事務の取扱いについて」のポイント』というガイドラインを作成し、
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1.監護については、少なくとも年2回以上子どもと面会が行われていることとし、これをパスポートにより確認すること
2.親と子どもの間で生活費、学資金等の送金が概ね4ヶ月に1度は継続的に行われていることを銀行の送金通知等により確認すること
3.勤務等の別居の事由が消滅したときは再び起居を共にすることが必要であるという取扱いを徹底し、来日前は親と子どもが同居していたことを居住証明書等により確認すること
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などとしています。
従って、50代とみられる男性が窓口を訪れ、妻の母国・タイにある修道院などの子ども554人と養子縁組していると説明しても、上記ガイドラインを満たさないことは明らか(来日前は親と子どもが同居していたことを居住 証明書等により確認することまでは無理。)ですから、子ども手当の受給申請がはねられるのは当然のことです。
毎日新聞によれば、この男性は、子どもへの送金証明や面会を裏付けるパスポートのコピーなど外国人に求められる書類をそろえていたとのことです。しかし、仮に面会くらいはしていようとも、修道院がこれらの子どもを孤児としていまだ引き受けている以上、子どもを「監護」しているのは修道院なのでしょう。また、「生計を同じく」していると認められるには、わずかでも送金しておけば足りるというものでもなく、社会通念上「生計を同じく」していると認められるだけの送金を「養子」に対し行っていたのでは元が取れなくなるように思われます。
(南青山コメント)
当然といえば当然だが、子供手当の支給については、日本人、外国人を問わず不正請求に対する手立てが講じられていて、万全ではないにしろほとんどの不正請求は窓口段階ではねられるようになっている。
したがって、554人養子縁組の男に対しても適切な処置がとられたわけだが、それでも4月24日配信の毎日新聞の記事(全文は下記(A)参照)では、つぎのような曖昧な言い回しの記事が書かれている。
「今回のようなケースについては、国会審議で野党から問題点として指摘されていた。手当の支給要件は(1)親など養育者が日本国内に居住している(2)子どもを保護・監督し、生活費などを賄っている−−の2点だけ。……同省は今月6日、ホームページに「50人の孤児と養子縁組をした外国人には支給しない」と記したものの、根拠は「社会通念」とあいまいだ。何人以上なら不支給という明確な基準はなく、同様の申請が各地で続発しかねない状況となっている。」
支給要件については、厚生労働省のサイトにある「子供手当について一問一答」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/osirase/100407-1.html)に詳しい。
条件については「何人以上」などというあいまいな基準ではなく、もっと細目に分けられた判断基準が存在する。
なお、そこには「子ども手当は在日外国人の子どもが海外に居住する場合にも支給されるのですか。」という問いがあり、その答えとして「児童手当では、過去30年間にわたり、日本人の海外に居住する子どもと同様、在日外国人の子どもが海外に居住する場合にも支給されておりました。平成22年度の子ども手当においては、その支給要件を踏襲しましたが、その確認の厳格化を図りました。」とある。
今回の問題は過去30年間の自民党政権時代から存在し続けた問題であり(その間に不正支給はなかったのか?)、民主党政権に変わったから生じた問題ではない。
変わったとたんに、それまで無視されてきた問題にスポットが当たること自体、ある種の作為を感じるが、それでも修正すべき点は修正すればいいだけの話だ(次年次以降に改訂の予定も明記されている)。
自民政権ならともかく、民主党政権なら粛々と進められるだろう。
(A)
<子ども手当>韓国人男性が554人分申請 孤児と養子縁組
4月24日2時31分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100424-00000007-mai-pol
兵庫県尼崎市に住む50歳代とみられる韓国人男性が、養子縁組したという554人分の子ども手当約8600万円(年間)の申請をするため、同市の窓口を訪れていたことが分かった。市から照会を受けた厚生労働省は「支給対象にならない」と判断し、市は受け付けなかった。インターネット上では大量の子ども手当を申請した例が書き込まれているが、いずれも架空とみられ、同省が数百人単位の一斉申請を確認したのは初めて。【鈴木直】
尼崎市こども家庭支援課の担当者によると、男性は22日昼前に窓口を訪れた。妻の母国・タイにある修道院と孤児院の子どもと養子縁組をしていると説明し、タイ政府が発行したという証明書を持参した。証明書は十数ページに及び、子どもの名前や出生地、生年月日などが1人につき1行ずつ書かれていた。担当者が「養子はどの子ですか」と聞くと「全員です」と答え、男女で計554人と説明したという。
男性には実子が1人いる。子ども手当は月額1人につき1万3000円(10年度)で、計555人分が認められれば、年間8658万円の手当が支給されるが、厚労省子ども手当管理室は「支給はあり得ない」と言う。
今回のようなケースについては、国会審議で野党から問題点として指摘されていた。手当の支給要件は(1)親など養育者が日本国内に居住している(2)子どもを保護・監督し、生活費などを賄っている−−の2点だけ。母国に子どもを残してきた外国人にも支給されるうえ、人数制限もなく、機械的な線引きが難しいためだ。こうした盲点を突かれ、ネット上では「100人を養子縁組しても手当はもらえる」といった書き込みや批判が絶えない。同省は今月6日、ホームページに「50人の孤児と養子縁組をした外国人には支給しない」と記したものの、根拠は「社会通念」とあいまいだ。何人以上なら不支給という明確な基準はなく、同様の申請が各地で続発しかねない状況となっている。
尼崎市の男性は、子どもへの送金証明や面会を裏付けるパスポートのコピーなど外国人に求められる書類をそろえており、事前に調べてきた様子がうかがえた。市の担当者は「可能ならもらおうという意欲を感じた」と話している。
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