投稿者 クマのプーさん 日時 2010 年 4 月 25 日 19:32:06: twUjz/PjYItws
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20100424-02-0901.html
河村たかし:職業政治家には日本は変えられない
2010年4月24日 ビデオニュース・ドットコム
河村たかし氏
国政時代に度重なる民主党代表選への出馬などで話題を呼んできた河村たかし氏が、今度は名古屋でひと騒動引き起こしている。昨年4月に歴代最多得票数で当選、市長に就任したかと思えば、市会議員定数と議員報酬の半減案や、市民税の10%減税、市の権限を地域住民に委譲する地域委員会の設立を定める条例案などを立て続けに提出し、市議会と真っ向から対立しているのだ。
今週のマル激は、その河村たかし氏を名古屋市役所に訪ね、自らが「庶民革命」と名づける河村流改革の真意について話を伺った。
かねてより議員のボランティア化が持論の河村氏は、そもそも議員が税金で身分保障されることに日本の民主主義が成熟しない根本原因があると主張する。議員は身分保障されると長く続けることが目的化し、いつまでも議員を辞めなくなる。そうして、市民の政治参加への関心は失われ、投票率も下がっていく。それをいいことに、議会は民意を反映させるのではなく、自分たちが特権を享受するためのお手盛り予算を通し続けるようになる。
つまり議員の職業化が、政治の腐敗を招くというのが、河村氏の主張だ。
もともと国王のムダ遣いで重税をかけられるのを防ぐためにイギリスで議会が生まれたように、本来、議会の主要な役割は税金の使われ方をチェックすることだ。しかし、自分自身の身分が税金で保障され、特権化した議員は、税金をチェックする側ではなく、チェックされる国王の側にいると河村氏は批判する。
これらの主張は、最後は「自分たちの地域は自分たちでつくる」という、河村氏が考える地域主権の理念に結びつく。そして、その根幹を成すのが、地域委員会だという。地域委員会とは名古屋市を小学校区単位に分け、各地域の市民から選挙で選ばれた委員が市から割り当てられた予算を使って地域の運営を行う制度だ。すでに市内8つの地区でモデル事業が実施されているが、これをさらに拡大しようと市長が提出した条例案を議会は否決している。
地域主権は「国のかたちを変える」と宣言して政権の座に就いた民主党が掲げる、重要な政策理念でもある。そして、民主党国会議員から名古屋市長に転じた河村氏が今、名古屋で直面している壁は、もしかすると今後日本が地方分権を進める際に、避けては通れない壁なのかもしれない。河村市長に名古屋プロジェクトの現状を聞いた。
議員の「家業化」が招く弊害
神保: 河村さんは「市会議員定数と議員報酬の半減案」の他にも、いわゆる「政治のボランティア化」条例や「政務秘書の設置」、「市民税減税10%」、さらに、現在はモデル地区だけで実施されている「地域委員会」を全地区に拡大する、などの提案も行い、波紋を広げました。
順に見ていきたいのですが、議員定数や議員報酬の実態やそれがどうあるべきかは、多くの人にとって馴染みのあることではありません。市議会議員や市長がどれくらいの報酬をもらっていて、それが多いのか少ないのか。また議員定数についても、適正かどうか見当もつかない。河村さんはなぜ、議員定数・報酬の削減案を議会に提出したのですか?
河村: これは、国政で大議論をしなければいけない重要な問題です。日本のように家業化し、長く務める議員でいいのか、それともボランティア化、あるいは市民並みの給料にして、4年なり8年で交代していく議員がいいのか。日本の国政ではこれを議論せずに、政権交代を争う「団体戦」に終始している。まずはこれを変えなければいけない。
議員をボランティア化しよう、と主張すると、「そんな余裕のない庶民は政治に参加できなくなる」「金持ちによる金持ちのための政治になってしまう」と言う人がいますが、これは大きな誤解であり、実際はまったくの逆です。他国を見れば分かることですが、税金で政治家の身分保障をしている国は、世界の中でも日本くらい。その結果を見れば、国会議員は2世、3世ばかりで、まるで平安時代のようです。結局のところ、税金で身分保障されるとなかなか辞めない。政党も市民の意見を吸い上げるのではなくて、議員たちの身分保障ばかりを考える。言うなれば、「議員の集団的自衛権」あるいは「議員生活協同組合」(笑)。それを守るために政党を維持するとなれば、庶民の生活をないがしろにして、だんだんと税金を上げていくのは明らかでしょう。
その点、海外の例を見ても分かるとおり、議員をボランティア化すれば早く辞めるようになる。つまり、議員たちはすぐに民間に戻るので、その時のことを考えて、任期中に減税を試みるなど、まさに庶民の目線に立った政策を行おうとするんです。
宮台: 日本で言う市町村レベルの議会において、ヨーロッパやアメリカでは議員の多くが兼業で、議員報酬はゼロです。また統計を見ると、地方議会の議員の報酬は、日本はイギリス・ドイツ・アメリカの約10倍、韓国の約2.5倍となっており、これは異常だと言わざるを得ない。
河村: つまり、「政治で飯を食う」というのは、世界標準ではないんです。そもそも、なぜ議会ができたのかを考えると、国王が浪費を行い、庶民に重たい税金を課すような事態を避けるために、イギリスでマグナ・カルタ(大憲章)が作られたことが始まり。つまり議会とは、本来の目的として税金の使われ方をチェックし、権力の家業化を防ぐためにできたんです。日本はまったく逆の状況で、重い病だと言えます。
地域の空洞化を防ぎ、地域主権を実現するために
神保: これから全国で、名古屋市の地域委員会を参考にしたいという人もいると思います。河村さんがここまで活動を続けてきて、見えてきた課題はありますか?
河村: 最大の壁は、やはり職業議員が地域委員会を潰そうとすることです。裏を返せば、ここさえ突破すれば、あとはスムーズに進むのではないでしょうか。市民は捨てたもんじゃない。権限を渡せば、それを責任を持って行使できるだけの成熟した市民は、決して少なくありません。
宮台: 今、地域が空洞化しているというのは真実です。つまり、顔を合わせて自分たちの街をどうするかという話をする場がない。自治会も空洞化、青年団も老人会も空洞化、もちろん子ども会も空洞化。これでは、議員の裁量だけですべてが決められる状況になってしまう。
しかし、昔はそうでもなかった。社会学の言葉では「年齢階梯制」と言いますが、それぞれの年齢ごとにある種の集団があり、そうした集団の意思を統合した上で、議員たちが物事を決めていくというプロセスがあったんです。その中においては、議員が市民の活動を支援することも、今よりはるかに多かった。学校評議会や地域ボランティアなどを含め、市民が集まり、自分たちのことをしゃべるチャンスを共有しないと、「我々」という概念が「地域社会」のことを意味するというところに至らないんです。河村さんには、とにかく頑張っていただきたい。名古屋市でモデルケースができれば、地域主権への取り組みは玉突き的に広がると思います。
河村: 制度を提案しても、市長は提案権しかありません。決定権は議会にあるので、議会に否決されればおしまい。しかし逆転する方法が一つだけあります。それは、地方自治法76条(住民投票制度の概要とその法的拘束力)にあるように、名古屋市で言えば、36万5千人──つまり、有権者の2割の署名を集めれば、住民投票によって議会にリコール(解散要求)をかけることができる。そして解散したのち、職業化されていない議員だけ党議拘束して、年収800万、8年ほどの任期で交代する議会体制を作る。そうした道筋も考えています。
宮台: 住民投票をやってリコールまで持っていけば、政治的大イベントになるのでぜひやっていただきたいですね。マスコミも注目するし、名古屋市民も奮い立つ。非常に効果的だと思います。
出演者プロフィール
河村 たかし(かわむら・たかし)
名古屋市長。1948年愛知県生まれ。72年一橋大学商学部卒業。家業の河村商事勤務を経て93年衆院初当選(日本新党)。新進党、自由党を経て98年民主党入党。衆院法務委員会野党筆頭理事、党税制調査会副会長などを歴任。09年より現職。著書に『この国は議員にいくら使うのか』、『名古屋から革命を起す!』など。
宮台 真司(みやだい・しんじ)
首都大学東京教授/社会学者。1959年仙台生まれ。東京大学大学院博士課程修了。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授を経て現職。専門は社会システム論。博士論文は『権力の予期理論』。著書に『民主主義が一度もなかった国・日本』、『日本の難点』、『14歳からの社会学』、『制服少女たちの選択』など。
神保 哲生(じんぼう・てつお)
ビデオジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表。1961年東京生まれ。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。AP通信記者を経て93年に独立。99年11月、日本初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を設立。著書に『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』、『ビデオジャーナリズム─カメラを持って世界に飛び出そう』、『ツバル−温暖化に沈む国』、『地雷リポート』など。
※各媒体に掲載された記事を原文のまま掲載しています。
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