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「現代の天動説」に基づく法案が国会で論争に http://www.asyura2.com/10/senkyo84/msg/867.html
経済ジャーナリスト 町田徹の“眼” 米ウォールストリートジャーナルに「ハラキリ」と酷評された「地球温暖化防止法案」の今国会での成立を目指して、政府・与党はアクセルを踏み込み始めた。 20日午後の衆議院本会議で、法案の趣旨説明と質疑を行い、審議の火ぶたを切ったのだ。 世界は、八百長疑惑の高まりで、すっかりポスト京都議定書の枠組み作りの意欲を失っている。 にもかかわらず、日本だけが軌道修正をできないと、経済は深刻な打撃を蒙りそうだ。 「自分の国の首を絞めている」と鳩山首相を自民党が糾弾 まず、政府・与党案への対案として提出した自民党案(「低炭素社会づくり基本法案」)について、昨年の総選挙で当選を果たした、たった4人しかいない自民党の新人議員の一人である斎藤健議員(千葉7区選出)が、20日の衆議院本会議で行った趣旨説明の一部をご紹介しよう。斎藤氏は電力基盤整備課長などの要職を務めたこともある元経済産業省のキャリア官僚だ。 「鳩山総理、あなたは一体、何をやろうとしているのですか。この国をどうしようというのですか。これでは普天間と同じではないですか」 「25%削減目標は第二の普天間です」 「格好いいことをぶち上げて、関係者が苦労して積み上げてきたものをぶち壊し、しかし、一枚めくってみると、根拠不確か、分析もいい加減、そして腹案もない、言うだけ」「格好いいことを言うが、裏づけがない。ないないづくしのものをぶち上げ、最後は開き直る」 「今、日本の政治は危機に瀕していると思います」 といった具合である。 続いて、この日、外務政務官、外務副大臣を歴任した小野寺五典議員(宮城6区)が鳩山総理に仕掛けた質疑に触れておこう。ポイントを突いた質問に、ほとんど答えられない首相の姿が浮かび上がってくる。 質疑に先立ち、小野寺議員は、鳩山首相が昨年9月の国連気候変動首脳会合で、「すべての主要な国による公平かつ実効性ある国際的な枠組みの構築と意欲的な目標の合意」を前提として、「温室効果ガスを1990年比25%削減する」との方針を公表した時に起きた拍手が、賞賛ではなく、あざけり笑いの拍手だったのではないかと皮肉った。自分で、自分の国の首を絞めているというのが、その理由だ。 そのうえで、日本が25%削減を行う前提条件として掲げている「主要国の意欲的な目標の合意」について、その範囲と目標の具体的な数値を問いただしたところ、首相は「引続き交渉中であり、申し上げることは控えなければならない」と逃げた。 次に、小野寺議員は、政府が25%削減が国民生活に与える影響に関連して、小沢鋭仁環境大臣の試案という形で、国内経済や雇用にプラスになるモデルだけ2つ紹介し、悪影響がでるという分析を示していない問題を指摘した。そして、なぜ、この影響分析が環境大臣試案であり、経済産業大臣や厚生労働大臣が連携して責任を持つ体裁が整っていないかを追及した。要するに、国民生活や雇用、産業競争力に及ぼす影響の政府の統一見解がないことが、法案の審議には不十分なことだと責めたのである。 ところが、首相は、「経済モデルには、構造や前提が異なる様々なものがあって、国民生活、雇用、産業競争力への影響、などの試算結果も異なってくるため、政府としてただひとつのモデルを政府見解として示すことは困難だ」と惚けただけ。肝心の政府が都合の悪いモデルを示さなかったことの責任には言及しなかった。 半面、首相は、気候変動問題を第2の普天間になぞらえる見方が増えていることに対して、「難しいテーマにチャレンジするのが新しい政権でございます」と、大見得を切ってみせた。 政権発足以来、そうした大見得を裏付ける根拠・成果を政権があげていないことを省みない自画自賛の言葉が空虚に国会に響いたのだった。そして、再質疑に立った小野寺議員に、「困難な問題に取り組むのが鳩山政権なのではなく、問題を混乱させるのが鳩山総理だと思っています」と冷笑される始末だった。 地球温暖化の根拠さえ揺らぐ中削減実行を強引に促す民主党案 筆者は、温暖化ガスの削減目標を国際公約と国内目標の2つに分けて設定し、国際公約については今後の国際交渉の行方を見極めたうえで決定することとする一方、国内目標を真水で2020年までに2005年比で15%の排出削減を目指すという自民党案にも賛成はしかねる。 むしろ、世界では、研究者や団体の不適切な観測データの取り扱いが明らかになり、地球温暖化という自然現象が本当におきているのかどうかにすら疑問の声が上がっているからだ。 まして、民主党案は、3月5日付の本コラム記事「国民に重税を強いる悪夢 温暖化対策法案を急ぐ政府への不信」で述べたように、強制的に国民全体に重い負担を課す恐れのある施策を始め、一部の人だけが得をする施策、それだけではCO2の排出には役立たない施策などの愚策がズラリと並んでいる。 さらに、前提条件としている主要国の意欲的な目標が揃わなくても、一部の施策を時限を切って強引に前倒しでスタートさせようと目論む内容だ。こうした法案は決して成立させてはならないと考えている。 もちろん、省エネ、コストカットの観点から、国や企業、家計が誠実に努力して、温暖化ガス削減を進めるのは大切なことである。それ自体はそれぞれの経済主体にとっても、コスト圧縮というメリットを伴うものである。 しかし、無謀な真水目標を設定したのでは、産業の海外移転や雇用の流出、そして経済成長の阻害要因になりかねない。 そして、その兆候はすでにはっきりと表れているのである。 産業の海外移転加速を示唆する新日鉄のブラジル高炉 中でも、最も注意するべきプロジェクトは、新日本製鉄が半世紀以上も友好関係を保ち、2006年に持ち分法適用会社にまで強化したブラジルのウジミナス製鉄所との提携強化の動きだ。 新日鉄は、これまでのような半製品の加工場だけでなく、鉄鋼業の心臓部とも言うべき高炉をブラジル国内に建設中なのだ。多量のCO2を排出する高炉は、鉄鋼の半製品にあたる鋼板を製造する施設だ。この施設で、鉄鋼の半製品と呼ばれる鋼材が製造されなければ、他のあらゆる鉄鋼関連の製造業は、スクラップを使う電炉も含めて、業として成り立たない。つまり、高色は、鉄鋼業の中核中の中核である。 労働組合の反発を懸念してのことだろう。決して、自ら積極的に語ろうとはしないが、新日鉄は早晩、日本で必要とする鋼板をすべてブラジルで製造し、日本に持ち帰ることができる体制が整うというのである。 ブラジルは、中国、インド、ロシアと並び高い経済成長が期待される新興国の一角だ。鋼材需要も飛躍的に伸び続ける見通しで、世界経済が順調に成長を続ける限り、新日鉄はウジミナス製の鋼材をブラジル中心に現地で供給し続けるものとみられる。 とはいえ、もし、温暖化対策基本法が成立し、25%削減を迫られれば、事情は一変する。国内で高炉を維持することは不可能になりかねないのだ。それゆえ、温暖化防止法は、この種の産業の海外移転を加速するとみられている。つまり、企業が製造拠点を排出規制の緩い海外に移すため、日本国内の雇用は減るが、世界的な温暖化ガスの排出はむしろ増えるのだ。 本当に、そんな乱暴な法案が必要なのか、立ち止まって考えてみるべきである。
衆議院外務委員会理事のブログ 米国インホフ上院議員(共和党・オクラホマ州)の議会レポート ****************************************
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