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「鳩山由紀夫の知性は、オバマ米大統領に勝るとも劣らない、世界でも第一級のレベルにあると断言できる」(伊東乾 東大准教授) http://www.asyura2.com/10/senkyo84/msg/814.html
伊東 乾の「常識の源流探訪」 (日経ビジネスオンライン連載)の −−−−−− ↓抜粋のあとに全文を貼り付けてあります。 ----- 「数理経営工学」 それが、日本の新首相がかつて修めた専門にほかなりません。私が鳩山政権に期待する1つの大きな端緒がここにあります。 彼が最初に学んだのは、「OR(オペレーションズリサーチ)」と呼ばれる分野でした。私が出ていたテレビ番組では、若き日の鳩山さんが書いた論文が紹介されました。画面に一見面妖そうなシグマ記号の書かれた数式が映り、スタッフやゲストからドヨメキが起きます。よく見ればビビる必要のある代物ではなく、単に面倒な足し算を簡潔に書いただけのことに過ぎません。 しかし、こうした数式の大写しと「ドクター鳩山の方程式」といった表現が合わさると、視聴者には何か常人には理解不能な、とても高度かつ複雑な操作のような誤解を与えかねません。それは良くないことだと思いました。 ORは、ご存知の読者も多いと思いますが、元来(直訳すれば「作戦研究」となることからも明らかなように)第2次世界大戦中期〜末期に、英国を中心に発展した、軍事作戦を最適化するための数理にほかなりません。 限られた弾薬や戦闘員、兵站など、持てる力を最大限に利用して、戦いに「勝つこと」。それが目的のテクノロジーがORの本質で、ORは自然界のメカニズムを解明する「科学」ではありません。 目的実現のための最良手を選び出し、無駄を極力省くためのスマートな方法論。日本の新首相が学生時代に最初に学んだのは、そのような手筋でした。 さらに、大学院に進んだ鳩山氏は、こうした「最適化の理論」を元にスタンフォード大学で「経営工学」を専攻、博士号を取得します。 ------ 第2次大戦の軍事技術であったORは、周知のように戦後、生産調整や在庫管理、サプライ・チェーン・マネジメントの数理など、ビジネスの前線に応用されていきます。やがて1970年代、ストックオプションの数理などファイナンスの理論が整備され、それを元に電子市場が形成されて、今日に至る金融工学が発達するのも、知る人はみな知る通りです。 鳩山氏が、21世紀に入ってサブプライム破綻なども引き起こしてしまった数理最適化理論の大本を1960〜70年代の黎明期から押さえた、経営工学の専門大学教授経験者であること。 同じ母校で同根の専門に学び、また現在もそこで教職の身にある1人として、民主党だ自民党だといった政党の別ではなく、専門人の能力を評価するという観点で、鳩山由紀夫という個人の知性は、バラク・オバマ米大統領に勝るとも劣らない、どこに出しても通用する世界でも第一級のレベルにあると断言することができます。これは、理系宰相だ、いや文系だ、といったつまらない議論ではなく、日本の首相経験者を考えるうえでもここ暫く見ることのなかった壮挙と言っていいと思います。 ちなみに先ほど「リストラ」と記しました。現在の日本で「リストラ」という言葉は人員整理を意味していますが、元来の「リストラクチャリング(re-structuring)=構造化」という概念は「リエンジニアリング(re-engineering)=技術再編」と対になる概念で、闇雲な首切りを意味しません。様々に苦難の状況がある時、限界の中で最大の効用を発揮するよう、ムダを省き、太い稜線で企業や生産体制を再構造化するのが「リストラクチャリング」の原義です。 鳩山政権に期待したい、最大のポイントは「日本のリストラクチャリング」である、そう言って大きく外れないと思います。
伊東 乾の「常識の源流探訪」
*** 9月16日に発足した鳩山由紀夫政権には、各方面から様々な期待や注文が寄せられています。日経ビジネスオンラインでも新政権への期待度アンケート「新政権発足、あなたは期待するか」が取られました。皆さんはどうお考えになりますか? 私も、過日まだ岡田克也外相の人事が決まる前のこと、某テレビ番組に出演した際「鳩山政権に期待することは?」と尋ねられましたが、その時、反射的に「55年体制以来・・・いや、戦後初めて、国際的に通用する政治になる可能性がある」と答えてしまいました。 これ、聞きようによってはずいぶん失礼なことを言っていますよね。 マズかったかな、と思ったのは発言後のことで、後の祭りです。だってこれ、保守合同以来、いやGHQ(連合国軍総司令部)に占領されてこの方の、あらゆる日本の政治は国際的に通用してこなかった、と言っているようなものですから、ある種の関係者がご覧になれば、クレームが来て当然です・・・幸か不幸か、そういう電話などなかったようで、後から胸を撫で下ろしましたが。 でも、どうして反射的にそんなことを言ってしまったのか。その理由は、直前に鳩山氏の大学・大学院時代の専門について「理系の観点から」確認していたからにほかなりません。 戦後の選挙史上最多の議席数で圧勝した民主党政権は、おそらく今後、米バラク・オバマ民主党政権の継続と並走していくことになるでしょう。4年と言えば、安倍晋三+福田康夫+麻生太郎と、おのおの1年任期で終わった過去3代の自民党最末期政権の合計より長いタイムスパンになります。 「チェンジ」の時期に変化に即応できる安定政権が期待されるのは言うを待ちません。では「新しい安定政権」像として、限界の内外情勢の下、「新政権」に求められる姿は何なのか? 「コップの嵐」の政争ではなく、グローバルなビジョンから日本に求められるものについて、今回と次回「別の角度からの新政権への期待」を掘り下げてみたいと思います。
マーガレット・サッチャー(イギリス)、胡錦濤(中国)、アンゲラ・メルケル(ドイツ)、ヴァレリー・ジスカールデスタン(フランス)・・・各国の政権首班(経験者)の名を並べました。ここに共通するものは何か? ・・・彼らが「理系」出身者であるということです。例えばジスカールデスタン大統領は、我が国でもポピュラーになった日産自動車会長兼社長であるカルロス・ゴーン氏の先輩で、エコール・ポリテクニーク(フランス国立高等理工科学院)の出身者です。 先進諸国では決して珍しくない「理系政治家」「理系宰相」。しかし、本邦においては「明治以来(ほぼ)初のこと」と言われています(ちなみに本稿は「理系」であること、そのものを称揚するような意図はありません)。それ以前に、民主党や鳩山氏自身も含め、キャッチフレーズとして使っている「政治を科学する」という言葉が招きかねない、大きな誤解を、まず最初に指摘しておきましょう。誤った言葉が流布すると、かえっておかしな事態に陥ってしまいかねないからです。 これはあくまで邪推ですが、「政治を科学する!」というキャッチフレーズは多分、民主党の選挙PRを担当した広告代理店の誰か適当なコピーライターが考え出したもので、当事者から出てきたものではないだろう、と私は想像しています。 「鳩山由紀夫さんは東京大学工学部計数工学科卒、同大学院を経て米スタンフォード大学で博士号を取得した『ドクター・ハトヤマ』。ここで『理系に政治ができるのかね?!』といった悪罵を跳ね除け、選挙広報上、有権者受けしそうなキャッチフレーズにするにはどうしたらよいか、うまいコピーとストーリーを考えてよ!」 こんな相談を受けて、代理店的な人物集団が考えたキャッチフレーズの中に「政治を科学する」や「脱官僚政治」といったコピーがあるのではないか。そんな想像を私は逞しくするのですが・・・。
以下、やや言葉遊びのように見えるかもしれませんが、実は大変に重要なポイントとして指摘したく思います。 「政治を科学する」というキャッチフレーズの根本的な「間違い」は、もしここで「科学」という言葉を正確に理解するなら、政治として完全に無力になってしまうということにあります。フレーズを考えた人としては狙いが180度逆に向いてしまう。この事実を指摘すれば十分でしょう。 では、改めて「科学」とは何なのか? サイエンス(Science)という言葉が近代日本に導入された時、最初に当てられた邦訳は実は「科学」ではなく「理学」というものでした。これが現在まで続いているのが、あちこちの大学で見かける「理学部 (Department of Science)」という表現です。 この「科学」あるいは「理学」のポイントは、それを考える人間の事情や欲得、狙いなどと無関係に、客観的に(自然)現象のメカニズムを解き明かすことにあります。 もし「政治を科学する」という言葉が可能であるとするなら、それは、目の前で起きている政治的現象を、自分の利害や欲得と無関係に分析し、その本当のメカニズムを解き明かすことになるはずで、これはこれでとても意味がある、立派なことだと私は考えます。 さてしかし、どうでしょう? これは「政治家の仕事」でしょうか? 政治学者やポリティカルサイエンティストの仕事としては、この「分析」「メカニズムの解明」は重要ですが、実際にまつりごとを動かしていく人、宰相の仕事は「分析」「解明」でとどまるものではなく、その「分析」「解明」に基づいて、現実の施策を構想立案・実施完遂していく「実行力」にこそ求められねばならないでしょう。諸外国からも「鳩山政権は<選挙モード>から<統治モード>への脱皮を」などと指摘を受けている通りです。 こう考えるなら「政治を科学する」人は、シンクタンクのヘッドあたりにいればよく、それで政権を担当するというのは、選挙向けに耳障りのいいキャッチフレーズとしては悪くないのかもしれないが、まともにモノを考えれば、冗談にもならない宣伝文句であると言わねばならないかもしれません。 というのも、私は鳩山氏の大学での専門や研究者時代の仕事を拝見したうえで、こういう人が国政のトップに立つ、ということが、1945年8月15日以来、もしかすると日本に絶えて無かった、政治の明確な転機になるのでは、という、強い期待感を抱いているからにほかなりません。 鳩山氏は「理学部」の出身ではなく東京大学「工学部」の卒業生です。横文字で書けば「Department of Technology」テクノロジーつまり技術の専門家としてのトレーニングを受けたスペシャリストです。彼の出身学科は物理工学科(計数・物工)で、数理物理学に相当する「計数工学」を修めた、優秀なOBと思います(ちなみに私自身は理学部物理学科の出身で、夢見がちな自然相手の学問を学んだ芸術音楽家に過ぎません)。 科学と技術は本質的に違うものです。科学=Scienceは人間という小さな存在の思惑と関係ない自然界、宇宙や素粒子、生命を相手に分析しますが、工学=Technologyは人間にとっての価値を生み出す技術、つまり価値創造のイノベーションにほかなりません。どこかのアド・マンが考えたかもしれない「政治を科学する」はシラけた傍観者の立場でも可能なことですが、工学部的観点、つまり「価値創造の政治イノベーション技術」は行政の主体、すなわち政権首班の立場でこそ、力を発揮するものであると思うからです。
さて、数あるエンジニアリングの中で、若き日の鳩山氏が専攻し、博士の学位を取得したのはどのような分野だったのでしょうか・・・? 「数理経営工学」 それが、日本の新首相がかつて修めた専門にほかなりません。私が鳩山政権に期待する1つの大きな端緒がここにあります。 彼が最初に学んだのは、「OR(オペレーションズリサーチ)」と呼ばれる分野でした。私が出ていたテレビ番組では、若き日の鳩山さんが書いた論文が紹介されました。画面に一見面妖そうなシグマ記号の書かれた数式が映り、スタッフやゲストからドヨメキが起きます。よく見ればビビる必要のある代物ではなく、単に面倒な足し算を簡潔に書いただけのことに過ぎません。 しかし、こうした数式の大写しと「ドクター鳩山の方程式」といった表現が合わさると、視聴者には何か常人には理解不能な、とても高度かつ複雑な操作のような誤解を与えかねません。それは良くないことだと思いました。 ORは、ご存知の読者も多いと思いますが、元来(直訳すれば「作戦研究」となることからも明らかなように)第2次世界大戦中期〜末期に、英国を中心に発展した、軍事作戦を最適化するための数理にほかなりません。 限られた弾薬や戦闘員、兵站など、持てる力を最大限に利用して、戦いに「勝つこと」。それが目的のテクノロジーがORの本質で、ORは自然界のメカニズムを解明する「科学」ではありません。 目的実現のための最良手を選び出し、無駄を極力省くためのスマートな方法論。日本の新首相が学生時代に最初に学んだのは、そのような手筋でした。 さらに、大学院に進んだ鳩山氏は、こうした「最適化の理論」を元にスタンフォード大学で「経営工学」を専攻、博士号を取得します。
さて、一般紙ではなかなか強調されませんが、ここ日経ビジネスオンラインですから、声を大にして指摘しておきましょう。鳩山氏は経営合理化のスペシャリスト、1970年代に米国で学位を取得し、専修大学助教授として専門研究に従事していた、いわば「リストラの専門家」にほかなりません。 第2次大戦の軍事技術であったORは、周知のように戦後、生産調整や在庫管理、サプライ・チェーン・マネジメントの数理など、ビジネスの前線に応用されていきます。やがて1970年代、ストックオプションの数理などファイナンスの理論が整備され、それを元に電子市場が形成されて、今日に至る金融工学が発達するのも、知る人はみな知る通りです。 鳩山氏が、21世紀に入ってサブプライム破綻なども引き起こしてしまった数理最適化理論の大本を1960〜70年代の黎明期から押さえた、経営工学の専門大学教授経験者であること。 同じ母校で同根の専門に学び、また現在もそこで教職の身にある1人として、民主党だ自民党だといった政党の別ではなく、専門人の能力を評価するという観点で、鳩山由紀夫という個人の知性は、バラク・オバマ米大統領に勝るとも劣らない、どこに出しても通用する世界でも第一級のレベルにあると断言することができます。これは、理系宰相だ、いや文系だ、といったつまらない議論ではなく、日本の首相経験者を考えるうえでもここ暫く見ることのなかった壮挙と言っていいと思います。 ちなみに先ほど「リストラ」と記しました。現在の日本で「リストラ」という言葉は人員整理を意味していますが、元来の「リストラクチャリング(re-structuring)=構造化」という概念は「リエンジニアリング(re-engineering)=技術再編」と対になる概念で、闇雲な首切りを意味しません。様々に苦難の状況がある時、限界の中で最大の効用を発揮するよう、ムダを省き、太い稜線で企業や生産体制を再構造化するのが「リストラクチャリング」の原義です。 鳩山政権に期待したい、最大のポイントは「日本のリストラクチャリング」である、そう言って大きく外れないと思います。
私はかつて大学で固体物理学を学んでいた時期があります。「固体物理」とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、半導体やLSI(大規模集積回路)などの基礎科学と思っていただいて、大きく外れません。この分野の国際的チャンピオンの1人に江崎玲於奈氏があります。そしてこの江崎さんが、ノーベル賞を受けられた「トンネルダイオード」の研究をされた頃、研究所長として工業技術院電気試験所物理部長からソニーに移り、江崎さんの上司だったのが鳩山道夫博士にほかなりません。 苗字から分かる通り、鳩山一族の1人である鳩山道夫博士は、鳩山由紀夫首相の「大叔父さんの息子」、つまり祖父の鳩山一郎氏の弟、民法の鳩山秀夫・元東大法学部教授の長男に当たる人物です。 鳩山由紀夫氏と鳩山道夫氏の直接の関係はよく知りませんが、由紀夫氏が初当選した選挙は、私が成人して初めて投票した衆議院議員選挙で、彼の当選をよく覚えています。当時物理を学んでいた大学生の私にとって、彼の当選は、鳩山威一郎外相の長男で、鳩山道夫博士と同じく物理系の研究者だった人が、国政に転じたのか、という記憶として残っていました。 あれから20数年、このような形で鳩山(兄)政権が誕生するとは、正直全く考えていませんでした。 鳩山家の始祖というべき、由紀夫氏の曽祖父に当たる鳩山和夫氏は大日本帝国憲法制定期の法学者で東京帝国大学教授や早稲田大学学長などを歴任しつつ、東京府議会議員、外務次官なども務め、衆議院議長となった人物です。その息子の鳩山一郎氏が政権首班となり、孫の威一郎氏は外相を務め、理科に学んでスペシャリストとなった曾孫の由紀夫氏が、再び政権首班となった形になります。 これらを「何かイイ方向への進展を期待しながら、自身は傍観者として見守る」のではなく、「チェンジをチェンジとして国民も引き受けつつ、現在の国際的な危機的状況を乗り切っていく」という、私たち自身の考え方の変化も、ここで望まれるのではないだろうか。 選挙前後から、民主党政権となったら、そのような可能性を模索するべきであると一貫して考えている次第です。
先の衆議院選挙では、よくも悪しくも国際的な経済問題は、政策論争や公約の大きなポイントにはなりませんでした。しかし、日本という国の国際社会での舵取りを考えるうえで、この観点を見過ごすことはできません。
米国はオバマ民主党政権の下、実質的な管理経済体制下で国の立て直しを図っています。言うまでもなく、国際的な趨勢の中で、2009〜2010年の日本もまた、自由放任・規制緩和の方向ではなく、管理経済・規制強化の方向で引き締めを図らないわけにはいきません。 そんな中で、並行して様々な制度改革も迫られている、我が国の新政権の現状があります。このように見る時、発足直前から、鳩山政権には少なくとも2つの「見るべき特質」が指摘できると私は思います。 1つは、先にも述べた通り、首相自身が最適化理論の専門家、経営合理化のスペシャリストであるという、圧倒的な利点。もう1つは、米国以上に中国が、(就任時の段階で)鳩山民主党政権に好感を示しているという事実です。 第1のメリットは言うまでもないでしょう。「規制強化」などというと、何かとマイナスのイメージが付きまといます。しかし、悪しき放任というべき新自由主義のツケを払わされている現在、過不足なく「最適化」されたコントロールによって、国際金融危機の状況からの日本の立ち直りを考える時、「日本のリストラが可能な理系宰相」鳩山首相に期待しないわけにはいかない、と考えるわけです。 第2のメリット「中国」からの好感の表明は、なかなか奥が深いものです。東アジア経済圏50年、100年の計を考える時、今この危機的状況下にあって日・中・米の有機的な経済連携が可能になることが、どれほど力強いかは、強調し過ぎることがないでしょう。 そんな、メーンランド・チャイナから好感を示される就任当初の鳩山氏には、並行して台湾からも明確なエールを送られているわけです。「チェンジ」への期待感が求心力となって、従来は背反する力が拮抗せずに、現時点では順化している・・・米国での成立当初のオバマ政権とよく似た、不可能が可能になるチャンスを秘めた「チェンジ」の端緒が見えていることが目を引きます。 かつて吉田茂氏が行ったような「原理的な思考と柔軟な実践」の合わせ技によって、生硬に考えれば矛盾即不可能となるような多難な課題を、長期的な国の安定と成長に結びつけていくことが、今の日本には求められていると思います。
今回の前半にも記した通り、鳩山新首相は「戦略数理科学=OR」の専門家として出発し、その道で内外専門の第一線に立っていた人物です。第2次世界大戦後、日本は、極論するならば「戦略なきことの戦略」あるいは「戦略を見せない死んだフリ」というババ抜きのような戦術(多分に吉田茂氏の老獪な外交術のなせる業と思います)を国是として立ち上げていたように私は思っていますが、それはとりわけ、米国との関係において最も如実であったと言えるでしょう。 今2008年以降、米国は一国超大国であることを止め、日本は(安全保障問題も含めて)国際社会の中で自らの「最適な戦略」をドラスティックに選んでいく必要性を迫られています。 そんな中で、従来の目配せや腹芸の政治、海外から見るとさっぱり理解不能なポリティクスではなく、ORのような明快な最適化の手筋を知り、四半世紀に及ぶ永田町での経験も積んだうえで政権首班となった、内外に人士として通用する鳩山氏が、都市工学の胡錦濤、米ハーバード・ロースクールの俊英オバマなど一級の人士と伍して、混迷の世界状況の中、日本の進むべき道のりに、最適の手筋を見い出してくれることを、今回の選挙の経緯とは少し離れて、別の角度から大いに期待したい。 例えば米中関係を腹芸でなく客観的に見、沿岸部メーンランド・チャイナと台湾が揃って歓迎できるような最適の経済的手筋を、次々に、合理的に示していける日本などという、少し前には想像もできなかった自立能動的な外交も、決して不可能ではないのです。1つのポイントは、内外が襟を正して対峙せざるを得ない、きちんとした筋道を示していけるかにかかっていると言えるでしょう。 こういうことが、かつて55年体制以後、いや1945年以降の我が国で、いつどのようにあったでしょうか? だからこそ私は、冒頭に触れたように反射的に「戦後初めて、国際的に通用する日本政治の可能性が開かれている」と、思わず口走ってしまったのにほかなりません。 何事によらず「ダメ」を言うことはたやすい。民主党政権は、選挙時のマニフェストに端的に示されるように、まだまだ脇が甘いのは誰もが承知する通りです。しかし、否、だからこそ、私は、シラけた評論ではなく、国民の1人ひとりが意識と自覚を持って、もろとものダイナミックな変化を主体的に実現していく可能性を考えたいと思うのです。 また、なればこそ、多くの論が指摘するのとは違った別の角度から、この新政権にしてなしうる、新たな可能性に光を当てて、それに期待する、というスタンスを取りたいと思うのにほかなりません。
さて、そこまで確認したうえで、今回の最初の議論に戻る必要があります。 「政治を科学する」などという、表皮一枚のような脇の甘いコピーでは、残念ながら、内政外交の政治的難題を突破していくことは決してできないでしょう。 9月9日、オバマ米大統領が行った上下院での医療保険改革スピーチは「芝居仕立て」との批判も呼びながら、圧倒的なインパクトを「院内と同時に」テレビを通じて「全国民にも」与えました。 内政ではっきり通用する実質を持つ言葉が、メディアを通じて国民有権者全員にも通じる。そこまでやって「ウソ(lie)をつかない」政治になる。それだけ練り上げられたスピーチライティングがなされています。オバマ大統領も原稿プロンプターに注意しながら一言一句を大切に演説していました。 オバマ側近が準備する、こうした、議会内にも全国民にも通じる「ウソでない政治の言葉」を鳩山新政権が今持てているでしょうか? 現状では正直「疑問」としか答えられません。少なくとも「政治を科学する」は、典型的な脇の甘い・・・というかそもそも脇が存在しない皮一枚の・・・広告代理店的キャッチフレーズで、これは責任ある「統治の言葉」にはなっていない。 「ウソでない政治の言葉」は本当に大切なものです。公約も言葉、施策も、法案も、みんな言葉です。それを編み上げていく仕事は、1人でできるものではありません。オバマ政権も、スタッフとのチームワークが必須不可欠になっています。 鳩山新政権もまたしかり。毎回の記者会見から議会での重要な演説まで、そうした体制を早急に整えていけるかどうかが、大きく問われるポイントでしょう。 そこで、もう1つ決定的に問われてくるであろう「脇の甘い言葉」として「脱官僚政治」という選挙向けには有効だったかもしれないキャッチフレーズの落とし穴を、私は危惧せざるを得ません。 我が国の官僚制をどう動かしていくか。行政の内在論理に有効な梃子を差し込んでいくために必要な「ウソでない政治の言葉」について、引き続き次回も考えてみたいと思います。 (つづく) −−−−−−−−−−−−− 新政権は「閥族支配」の癌を切れるか? −−−−−−−−−−−−−
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