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自民党の液状化は止まらない【田中良紹氏:小泉時代のパフォーマン政治の成功経験が今やアダに】 http://www.asyura2.com/10/senkyo84/msg/698.html
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2010/04/post_216.html 自民党はかつて自らを「国民政党」と称した。資本家や大企業の利益を代表するのではなく、広く国民大衆の利益を代表する政党だと自負していた。自動車、家電を中心とする輸出産業を優遇し、その製品輸出で外国から金を稼ぎ、豊かになった企業とサラリーマンの税金を農村や中小企業に分配することで、大企業も中小企業も農村も自民党の票田だった。 冷戦の間はその構造がうまく機能した。アメリカの「ソ連封じ込め戦略」は日本が共産圏に対抗出来るよう経済発展を促したが、1971年の「ニクソン・ショック」で様相は一変する。アメリカは日本の輸出に有利な1ドル360円の固定為替レートを撤廃し、日本の頭越しに共産国家中国と手を結んだ。アメリカにとって日本の戦略的価値は低下した。アメリカは沖縄返還の見返りに繊維製品の輸出規制を要求し、それを皮切りに農産品、自動車、半導体など次々に貿易戦争を仕掛けてきた。 しかし自民党にとって高度成長は甘美な成功体験だった。構造転換が必要だと頭では思っても体が動かない。対米摩擦を何とかしのぎながら同じ道を突き進んだ。大票田である農村への分配は道路、ダム、空港などの公共事業を通じて行ったが、成長が終わればそれが財政負担となる。日本は国債依存体質の国家になった。 90年、冷戦とバブルが同時に崩壊して本格的な失速が始まる。日本経済を「ソ連に代わる脅威」と見ていたアメリカは、日本の司令塔である大蔵省と通産省の解体に取りかかる。官僚批判が紙面を賑わすようになり、官僚主導体制と自民党の「金属疲労」が指摘された。「しがらみを断ち切らない限り構造転換は出来ない」と考える一派が自民党に生まれ、政権交代可能な体制を作るために自民党を離党した。 自民党分裂が細川政権を誕生させ、自民党は初めて野に下った。しかしそれでも自民党には寄せ集めの連立政権より政治的老獪さがあった。スキャンダル攻撃でさきがけと社会党を連立から引き剥がし、国民の審判を経ずに再び権力を取り戻した。 しかししがらみの自民党に構造転換は図れない。村山、橋本、小渕、森と続く政権は失速を更に加速させた。どん詰まりで登場したのが小泉総理である。「自民党をぶっ壊す!」と叫んで、自民党でありながら「政権交代」したかのような錯覚を国民に与え、国民はその錯覚に熱狂した。古い自民党をぶっ壊さないと国民の人気は得られないと自民党は思い込む。小泉政権は郵政選挙で「古い自民党」を切り捨てた。 未熟な政治家は小泉政治を見て、メディアを操り世論の支持率を上げることが政治だと錯覚する。以来、メディアに登場して「古い自民党」を批判し「改革」を叫ぶ事が政治スタイルとなった。かつての「国民政党」はあらゆる階層に利益を分配する事で成り立ったが、今では「分配は悪」となり、世論の支持率を獲得する事が「国民政党」への道だと考えられた。 「改革」と称して導入されたのは弱肉強食の競争原理である。世界では既得権益に挑戦する新規参入を優遇する事が「競争政策」だが、強者の利益を弱者に分配する事で成り立った日本では、弱者への分配がなくなると強者が益々強くなる。それが自民党支持層の生活基盤を直撃した。そこに「政治は国民の生活が第一」を掲げる民主党が登場する。民主党にかつての「国民政党」の面影を見た自民党支持者は自民党を離れた。去年の選挙で自民党は再び野党に転落した。 「再び」と書いたが今回の転落は93年と事情が異なる。あの時自民党は分裂で議席を減らしたが選挙では負けていない。衆議院比較第一党の座はキープした。選挙後直ちに連立を組めば自民党政権は続いた筈だ。ところが小沢一郎氏に先手を打たれて細川政権の誕生を許した。しかし後にさきがけと社会党を引き剥がす事が出来たのは比較第一党でいたからだ。今回は衆議院第一党を民主党に明け渡した。そこが大きく違う。 民主党の弱みは参議院で過半数に届かない。だから国民新党と社民党と連立を組むしかない。自民党が国民新党と社民党を連立から引き剥がせば民主党政権はすぐに潰れる。それが出来ないのは自民党が小泉路線を捨てないからだ。小泉路線の自民党とは国民新党も社民党も一緒になれない。従って自民党は次の参議院選挙で民主党の単独過半数を阻止するしかない。 しかし与党だからこそ支持してきた業界団体は野党の自民党には投票しない。残る支持者は親子代々の「草の根」か、イデオロギーで民主党と相容れない「保守層」である。親子代々は公明党を、イデオロギーは日本共産党を連想させるが、それでは「国民政党」になれない。自民党は幅広いイデオロギーを包み込んだからこそ長期政権を維持できた。保守イデオロギーを強めれば強めるほど自民党は先細る。 そう思うからまずは「官僚主導からの脱却」で民主党と手を組み、次に時間をかけて政策の対立軸を作るべきだと私は言ってきたが、自民党は「何でも反対」の路線を採った。昔の社会党とそっくりである。国会では与党の足を引っ張るだけで建設的な修正案を出さない。社会党は「二本(にほん)社会党」と揶揄されたように、党内に左右二つの潮流が存在したが、今の自民党にも小泉派と反小泉派の二つの潮流がある。 そして自民党には国民から熱狂された甘美な思い出が今も脳裏に焼き付いている。だからメディアを意識したパフォーマンスにすぐ目が向く。しかし郵政選挙のお陰で国民はメディアに乗せられた愚かさを思い知った。それを気付かずにお笑い芸人と並んで喜ぶ政治家に国民は辟易している。小泉政治が残した遺産は自民党を液状化させて止まらない。その自民党から議員がこぼれ出した。理由は自民党に未来がないと考えるからである。 メディアは「新党、新党」と騒いでいるが、盛り上がりは全くない。何故なら野党が分裂しても与党を利するだけで政局にならないからだ。「たちあがれ日本」が誰の票を食うかと言えば、自民党か、みんなの党か、与党の中でも国民新党ぐらいだろう。公明党と同じで選挙後の情勢次第では民主党というより小沢幹事長と手を組む可能性がある。一方で民主党系の首長が「日本創新党」を結成したが、これにも「日本新党」のようなインパクトはない。乱立で「第三極」が食い合う可能性もある。 新党の動きは、全てが選挙後の結果を見てからの連立狙いである。メディアは世論調査の支持率だけで参院選の民主党劣勢を喧伝するが、それは前提として普天間問題で鳩山政権が立ち往生する事を想定している。新聞もテレビも全社がそれを確信しているかのような報道だ。しかしこの国の新聞とテレビは全社揃って間違う事が良くある。全社で間違えれば誰からも非難されないので安心して誤報するのである。「赤信号みんなで渡れば怖くない」のだ。 最もドラマティックな展開があるとすれば、郵政選挙の裏返しで民主党が分裂選挙を仕組むことである。郵政改革法案は間もなく骨子が発表されるが、それは小泉政権の民営化路線の真逆である。自民党は二つの潮流で股裂きになり、民主党の中にも意見の対立がある。この法案を巡って自民党と民主党の中に分裂の芽が生まれれば、それを利用して参議院選挙を政界再編の導火線にする事も出来る。新党騒動や普天間問題よりそちらの方が注目点かも知れない。
投稿者: 田中良紹 日時: 2010年4月19日 02:18 | パーマリンク このエントリーのトラックバックURL: ■コメント投稿について編集部からのお願い 《THE JOURNAL》では、今後もこのコミュニティーを維持・発展させていくため、コメント投稿にルールを設けています。はじめて投稿される方は、投稿の前に下記のリンクの内容を必ずご確認ください。 http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/07/post_31.html ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。 投稿者: 《THE JOURNAL》編集部 | 2010 年4月19日 07:46 > 自民党が小泉路線を捨てないからだ。 おっしゃるとおり。 投稿者: 匿名 | 2010 年4月19日 09:21 日本創新党…中田元横浜市長が中心メンバーに居るだけで票を減らすんじゃないでしょうか? この人が登場するたびに、横浜市民の方々から寄せられるコメントを見ているとこの人に期待することなんて出来ないでしょう。辞めた後に、これだけ批判を受ける人も珍しい。 それにしても政治が軽くなっちゃいましたね。政治理念も無くアドバルーンを挙げては世論に迎合するような政策ばかりを進める、歩きやすい道ばかりを選んで歩く人達が騒いでいるだけです。国民新党にしろ社民党にしろ政治理念を推し進めた結果として存在する少数政党でそれなりに評価できるが、今立ち上がろうとしているような少数でキャスティングボードを狙おうとするご都合主義の泡沫政党に明日はないでしょう。 投稿者: sirokuma | 2010 年4月19日 09:50 我こそは坂本龍馬のつもりなんでしょうね。大人になれば龍馬より大久保利通や伊藤博文の苦悩に目が向くものですがwそれだけ政治家が子供っぽいってことでしょうか。 投稿者: 鴨川流介 | 2010 年4月19日 10:36 新党は全く期待できません。 日本創新党??? 投稿者: hamano torakichi | 2010 年4月19日 10:49 <田中様> 投稿者: em5467-2こと恵美 | 2010 年4月19日 10:49 独り言だが、こんなことを思った。 日本の民主主義推進を阻止する勢力、まずは夏の参院選で崩壊だ。 だから逃げ足速い狡猾組は離党、離党。 自民党の台所事情はこれか。 ここにきて、『企業・団体献金廃止』――― 小沢戦略またしても功を奏しそう。読みが鋭すぎる。 投稿者: 匿名 | 2010 年4月19日 11:29 田中さんが仰るように、「なんでも反対の自民党」の液状化は止まらないので、ほっておいてもよいと思う。 投稿者: 世直し人 | 2010 年4月19日 11:42
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