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米兵力の削減を――沖縄、ボスニア、湾岸からの部分撤退を検討せよ http://www.asyura2.com/10/senkyo84/msg/632.html
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201004/Ohanlon.htm マイケル・オハンロン ブルッキングス研究所上席研究員 -------------------------------------------------------------------------------- -------------------------------------------------------------------------------- 沖縄の前方展開兵力の削減 現在沖縄には二万の海兵隊員が駐留している。この兵力は西太平洋地域に展開あるいは駐留する十万の米兵力の中核の一つである。クリントン政権は、台湾海峡、朝鮮半島での安全保障上の懸念ゆえに、この地域でのアメリカの軍事力が一定以下に低下しないように下限枠を設定する必要があると考えた。この観点からまとめられたのが、一九九五年版の国防総省報告である。冷戦後のアジア・太平洋地域における米戦略の定義を試みた、通称ナイ・リポートと呼ばれるこの報告書は、十万の前方展開兵力を維持することが、アメリカのコミットメントのシンボルになると結論した。しかし、あれから六年、この数字を見直してもよい状況にある。 入れ替わりはあるが、通常アメリカの海兵隊の半分が沖縄で数カ月間勤務している。実際、沖縄に配備されている海兵の兵力規模は、世界のその他の地域に展開している海兵兵力の合計を上回っている。世界各地での任務に備え、遂行することが海兵隊の「存在理由」であるため、めまぐるしい配備・展開について海兵隊が不満をこぼすことはほとんどない。また、沖縄での海兵隊のプレゼンスがアメリカの納税者の負担を重くすることもない。日本側がホストネーション・サポートとして、活動や基地の必要経費の大半を負担してくれているからだ。 アジア・太平洋地域へのアメリカのコミットメントを外交的に示すことができ、海兵隊も不満を抱かず、そして(ホストネーション・サポートによって)配備の費用対効果が極めて高いことが、沖縄への海兵隊展開の利点である。しかしだからといって、これらが沖縄に現状規模の海兵隊戦力を維持する戦略的な合理性を提供しているわけではない。しかも沖縄での任務はあまり認識されていないものの、負の側面もある。 基本的に先遣隊としての任務と能力を持つ海兵隊を、戦略的・軍事的にその存在が不可欠ではない地域に縛り付けておくのは浪費である。沖縄に海兵隊の主戦力を縛り付ければ、その他の地域でうまく役割を果たせる戦力が奪われてしまう。例えば、沖縄の海兵隊戦力の一部をバルカンの平和維持活動に投入すれば、現地の陸軍部隊に休暇を与えられるし、アフリカその他で再び大量殺戮事件が起きた場合の人道介入や平和維持活動にも投入できる。外国の部隊との共同演習や、危機の対応に当たることもできよう。 さらに、沖縄の海兵隊はある種孤立しており、うまく前方展開されているとは言えない。沖縄が危機にさらされているわけではないし、日本の自衛隊はすでにこの地を守る能力を持っている。さらに、太平洋地域で脅威が先鋭化したとしても、沖縄に配備されている上陸用の水陸両用船では、極東安全保障の監視活動に当たっている海兵隊員を現地に送り込める能力は二千人程度で、第三海兵遠征軍の残り一万五千人を装備した上で迅速に展開させるのは不可能な状態にある。確かに、朝鮮半島で戦争が起きた場合、重装備しなければ、これらの部隊を非戦闘員の避難やそれに準じた活動のために航空機で送り込むことはできる。しかし、沖縄の海兵隊が、アメリカ領土から航空機によって投入される歩兵部隊や、韓国軍歩兵部隊よりも大きな役割を果たすことはあり得ない。 ジョージ・ワシントン大学のマイク・モチヅキ教授が指摘するように、沖縄に大規模な海兵隊を維持していけば、日米関係に緊張を呼び込んでしまうし、アメリカの防衛コミュニティーでも、今ではこの認識が広く共有されつつある。広さでいうなら、日本における米軍基地敷地面積の四分の三が沖縄に集中している。小さい島だとはいえ、日本でも有数の人口密度の高さゆえに、百万を超える人々が暮らす沖縄全土のほぼ二〇%を米軍基地が占有してしまっている。一九九〇年代に基地構造の変更に関する合意がなされたとはいえ、それが完全に実行されても、基地の占有面積が現在の五分の一程度縮小するだけだ(しかも、海兵隊の普天間基地の移転先をめぐる現地での反発ゆえに、計画をうまく実行に移せない状態にある)。 だが、宜野湾市の町中にある普天間飛行場を使い続ければ、事故が起きる危険を伴うし、海兵隊は内に外に問題を抱えている。最近の世論調査では、日本人の八〇%以上が沖縄の駐留基地の存在を「好ましくない」か、「現地の人々にとって不利」と見ている。アメリカ側が日本における米軍基地のすべてを現状のまま維持しようと試みれば、大変な反発を招き、最終的には、朝鮮半島や台湾海峡での危機の際に大きなアセットとなる沖縄の空軍嘉手納基地や日本本土の海・空軍基地の使用権を失うことになりかねない。 この点からも、ワシントンは沖縄における海兵隊の駐留兵力を五千程度へと削減すべきだろう。もちろん、危機の際に対応できるような備蓄や施設と第三十一海兵遠征隊は今後も維持しなければならない。しかし、これ以外の大多数の海兵隊は他の地域に投入するか、アメリカ国内に戻すべきだろうし、海兵隊の設備や訓練・演習場も日本側に返還すべきだろう。一方でこの地域への迅速な再展開能力を整備しておくために、米軍の物資備蓄の増大や日本の港を母港とする戦艦数の増大など、兵力縮小に伴う空白を補うための措置を講じる必要もある。日本政府が、必要とされる装備や再展開に必要なコストを負担するかもしれない。理想的には、日本側が同盟関係への直接的な軍事貢献を強化することが望まれる。とはいえ、沖縄から部分撤退するのに、日本の安全保障政策の「正常化」を待っている必要はない。 ↑ページの先頭に戻る Michael O'Hanlon ブルッキングス研究所上席研究員で、『ブッシュ政権のための防衛政策の選択肢』を出版予定。フォーリン・アフェアーズ誌には「ミサイル防衛の可能性と限界」(「論座」2000年2月号掲載)を発表している。 (初出はフォーリン・アフェアーズ リポート2001年3月号)>
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