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負けない税制で企業の活躍を引き出せ(日本経済新聞) http://www.asyura2.com/10/senkyo84/msg/311.html
マニフェスト項目よりも法人税減税を優先せよ。という わたしの主張は、所得税、相続税を増税してカバーする気があるなら ******************************* 負けない税制で企業の活躍を引き出せ(日本経済新聞) 鉛の上着を羽織ってライバルと競わなければならない。税制を見る限り、日本企業はそんな境遇にある。 「コストだけを考えれば、バンコクに脱出したい」。自動車メーカーの経営者から経済官庁幹部はこう告げられた。タイでは一定の条件を満たした環境対応車を生産する工場で当初8年間は法人税が免税になる。日本で地方法人税の一部が損金に算入されるのも考慮した法人実効税率は、主要国で最高水準の40.69%(東京都の場合)。差は明らかだ。
スイスの製薬大手ノバルティスは日本の研究所を閉鎖して上海に新薬の開発拠点を移した。損失を次の期以降に繰り越して税負担を抑えられる期間が7年に限られるなど、海外に比べ窮屈な制度が一因という。 欧州やアジアは法人実効税率の下げを競う。今や中国、韓国はざっと25%、香港は16.5%。38%台だったドイツも2008年に税率を約9%近く下げ、30%を割った。 税率が高く、不利な競争条件が続けば、国内企業が日本から逃げ出すばかりでなく、外国企業も日本で活動しようとしなくなる。海外からの直接投資残高の国内総生産(GDP)比は、08年末時点で4%弱どまり。英国の47%はいうに及ばず、韓国の10%さえ下回る。 世界に通用する技術や経営資源を得て、雇用を創出する。そんな元気な経済を築くうえで、外国からの投資は欠かせないが、実際には日本を素通りしているのだ。「富」がやって来なければ税収も増えない。 「税と社会保険料の合計で比べれば、日本の企業負担はそれほど高くない」との指摘は政府内にもある。確かに欧州は社会保険料の企業負担が重い。ただ日本は世界で最も急速に高齢化が進みつつあることを忘れてはならない。今後は高齢化の結果、保険料負担が上昇しかねない。 財政悪化が著しい中で大幅な税率引き下げは容易ではないという主張はあろう。国の法人税収は企業業績の悪化で、10年度予算では6兆円弱と1970年代以来の低水準に落ち込む。だが国際競争で圧倒的に不利な現状を放置しては元も子もない。 実際の税負担率は10.5%対36.4%。経済産業省が、08年12月期の韓国・サムスン電子と08年3月期のシャープを比較した数字だ。税負担の軽いサムスンには、シャープ亀山第2工場の投資額を上回る1600億円の余裕資金が生じる計算だ。 アジアの近隣国・地域や欧州などに比べて「負けない税制」を一刻も早く整える必要がある。国税の法人税と法人事業税、法人住民税など地方課税を並行して見直すべきだ。「法人実効税率を10%低い30%前後まで下げる」といった道筋を極力早く示し、実行に移してほしい。 法人税率の1%分は、現時点では2000億円程度。5%下げなら1兆円に相当する。財政が苦しいなか減収幅を抑えるには、税に対する特例である租税特別措置を整理・統合するなどの工夫が求められる。
減価償却制度も見直しの候補となりうる。工場を建て機械を備えた段階で大幅な損金算入が可能な仕組みは、大型の設備が必要な重厚長大型の産業には有利に働いている。 租税特別措置や減価償却制度を洗い直し、効果が薄れたような従来型産業向けの優遇策を圧縮していって税率下げの余地をつくる。そうすることでサービスやソフトなどの新産業や、外国から参入する企業の活躍も後押ししたい。 歳出の工夫で財源を出すことも必要だろう。所得水準に関係なく配る子ども手当の増額や高校無償化などといった予定した政策を後回ししてでも、税率下げを急いだ方がいい。 グローバル化の中でどう企業の競争力を高めるか。国全体が所得と富を増やし、税収を拡大する観点が欠かせない。 民主党政権からも法人税率の引き下げに前向きな声が聞かれだした。歓迎したいが、中途半端な改革に終わらせないでほしい。
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