http://electronic-journal.seesaa.net/article/146286187.html

　民主党は構造的に不幸である──これは元内閣総理大臣・中曽
根康弘氏のことばです。民主党は右から左までのウイングが広く
旧社会党などの勢力がかなりいるので、安全保障や国家観、憲法
などの重要な点で、政権の姿をきちんと示すことが困難であると
いうことをいっているのです。
　そして、中曽根氏は小沢幹事長の独裁的なやり方について次の
ように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
　小沢君の実体というのは、多くのメディアが報道する印象とは
　かなり別のものです。ただし、本人が言うように東北人特有の
　鈍重さゆえか、そういう本来の姿を顕示する機会を持てずにき
　た政治家です。（中略）旧社会党のような勢力を抱え込む民主
　党が本当に力を発揮するためには、やはり権力の一元化が必要
　なのです。　　　──「ＳＡＰＩＯ」４／１４・４／２１より
―――――――――――――――――――――――――――――
　いま小沢の頭にあるのは、夏の参議院選での単独過半数獲得そ
れあるのみです。「命をかけた戦い」と小沢自らそういっている
そうです。
　民主党の非改選議席は６２です。したがって、過半数の１２２
には６０足りないのです。ところが、改選数は５３ですから、全
員当選しても７つ不足するのです。小沢が２人区に２人の候補者
を立てた理由はここにあります。
　これをめぐって民主党内の小沢と距離を置くいつものグループ
は、「共倒れ」の危機を煽って反対を唱えています。その理由は
鳩山内閣や民主党の支持率が低下しているからです。
　これが自由党と合併する前の民主党の正体なのです。とくに選
挙では支持率ばかりを気にしており、きちんとした目標を持って
いないのです。そういう「風」に頼った選挙では、とうてい政権
交代など夢のまた夢です。ちなみに、２００７年の参議院選──
小沢党首率いる民主党は与野党逆転を果たしているのですが、そ
のときの民主党の支持率は２０％なのです。支持率がすべてを決
めるわけではないのです。それに下がったとはいえ、民主党の支
持率は３０％以上あるのです。しかも、２００７年のときは野党
だったのに対し、今回は与党なのです。
　さて、参議院選の２人区は全国に１２あります。そこに自民党
は１人ずつの候補者を立てています。自民党としてはもし２人立
てると、それこそ共倒れになるので、このままで戦うはずです。
　民主党は既に１２の２人区に２人ずつの候補者の擁立を終えて
います。確かに共倒れの危険はないわけではありません。しかし
２人の候補者が競い合えば、得票率も上がり、最悪の場合でも１
人は当選するのです。何が問題なのでしょうか。
　民主党でこの２人区２人擁立にとくに反対しているのは、京都
府の現職・福山哲郎氏、静岡の藤本祐司氏、長野の北沢俊美防衛
相なのです。彼らはもし２人区に１人擁立なら、おそらく楽勝で
しょう。その場合は、民主党と自民党は１人ずつ当選することに
なると思います。しかし、これでは民主党は単独過半数は取れな
いのです。反小沢派の人たちは、それでもよいといっているので
す。こういうところがかつての民主党の体質なのです。
　一体彼らは何を恐れているのでしょうか。
　もし、みんなの党が出てきたら相当票を食われる──これが表
向きの理由です。確かにみんなの党には少し「風」が吹いている
ように見えます。しかし、みんなの党には支部も組織もなく、し
かも運動資金が、最低でも一億円以上かかるといわれているので
す。いくつかの２人区には立ててくる可能性はありますが、みん
なの党が議席を奪うのは至難のわざです。「風」だけではどうし
ても限界があるのです。
　それでは何を恐れているのでしょうか。
　２人区に立てるもうひとりの候補は、すべてがそうではありま
せんが、いわゆる「小沢ガールズ」的候補が多いのです。そのさ
い、小沢幹事長はこういっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
　一次公認をした現職の候補については地元組織が全面的に面倒
　を見てくれ。幹事長室が送り込んだ２人目の候補者についての
　面倒はこちらがみる。　　　　　　　　　　　──小沢幹事長
―――――――――――――――――――――――――――――
　２人区の現職が恐れているのは、小沢が送り込んだ２人目の新
人候補なのです。これらの候補はバックに小沢がついているので
当然のことながら、小沢型選挙を繰り広げられます。そうすると
新人に票が流れて自分が危なくなる──こう考えているのです。
つまり、現職が落選しかねないのです。
　このような小沢流の選挙のやり方には批判する人が多いですが
民主主義の政治では、政治家は選挙で選ばれるのです。どんなに
学識があり、立派な主義主張を持っていても、選挙に落ちれば只
の人です。田中角栄は、選挙に弱い政治家を絶対に重要閣僚に選
ばなかったといいます。小沢も同じことをいっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
　選挙に弱い政治家というのは、結局のところ、外部の組織だの
　みだったり、あるいは人気だのみの人である。そういう政治家
　はつねに「他人の目」を気にしていなければいけない。（一部
　略）本当に政治家として志を貫き通すためには、まず自分の理
　解者を一人でも増やすことだ。自分の足元を固めるのが、政治
　家として活動する上で最優先のことなのである。政治家は一人
　の力で働いているのではない。政治家に本当の意味で力を与え
　るのはやはり選挙民の支持なのだ。　　　　　──小沢一郎著
　　　　　　　　　　『小沢主義／志を持て日本人』　集英社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
　確かに、いつも「風」を気にして、選挙に弱い政治家にはろく
な仕事はできないでしょう。「小沢は選挙だけ」と批判されます
が、政治家にとって選挙ほど重要なものはないはずです。
　　　　　　　　　　　　　　　　　――［小沢一郎論／６８］

≪画像および関連情報≫
　●前原誠司国土交通相／小沢幹事長を批判
　　―――――――――――――――――――――――――――
　　前原誠司国土交通相は４月２日の会見で、参院選で複数擁立
　　方針を強引に進める小沢一郎幹事長の手法を批判した。自身
　　が府連常任顧問を務める京都選挙区で、現職の福山哲郎外務
　　副大臣に続き、河上満栄衆院議員（近畿比例ブロック）のく
　　ら替え擁立するのを受け「２人目の候補は党本部の直轄。府
　　連としては福山氏を応援する」と、河上氏支援に消極的な発
　　言。実際、２人擁立では現職、新人とも共倒れという懸念も
　　あり、「（複数擁立は）内閣支持率が７０％あった時に決め
　　たこと。大きな疑問がある」とも述べ、支持率低下が著しい
　　今はふさわしくないとの見解を示した。
　　　　　　　　　　　　──「日刊スポーツ／政治ニュース」
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20100403-613608.html

（南青山コメント）
風に頼る選挙は根無し草の議員を生み、組織だけに頼る選挙は無思想の議員を生む。
どちらも国民にとっては不幸だし、そうした議員によって構成された政党はダッチロールを繰り返すように、腰も目線も定まらなくなる。
以下の指摘は民主党の現状を言い当てている。
民主党は早くこうした現状から脱却しなければならない。
いつまでも小沢頼みでは政権維持もおぼつかないし、国民も大迷惑である。
もちろん小沢はこうしたことは百も承知で、民主党の体質改善を急いでいるのだろう。

「これが自由党と合併する前の民主党の正体なのです。とくに選
挙では支持率ばかりを気にしており、きちんとした目標を持って
いないのです。そういう「風」に頼った選挙では、とうてい政権
交代など夢のまた夢です。」 　

コメント
01. 2010年4月12日 13:30:58: JKPkCWMFLE ＞民主党は右から左までのウイングが広く 旧社会党などの勢力がかなりいるので、安全保障や国家観、憲法 などの重要な点で、政権の姿をきちんと示すことが困難であると いうことをいっているのです。 民主党を自民党に置き換えてみよう。 政権をとるためには数がいる。当然、いろいろな考えの者が目的を達成するためにそれぞれの考えを一応は腹にしまって政権獲りのために団結するし、党は党で党議拘束をかけてある程度の規律を要求する。 がそれもナントカとハサミは使いようで物事には本音と建前があり、似たような考えを持ったもの同士、あるいは財布の金をおおっぴらに切ってくれる金づるを引っ張るのが上手い者にくっつくコメツキ飛蝗の有象無象同士などいわゆる派閥がそれらを吸収してひとつの党の中で争いを繰り返す中で擬似左右対決と政権移譲が繰り返されてきた。 俗に言われる経世会と清和会がそれにあたるわけだが、そのどちらにもいい顔をしてカスリで生きながらえてきた風見鶏こと刑務所と娑婆を隔てる塀の上をふらふら腕を広げバランスをとりながら歩いてきた寝業師はさすがに自分のことはスルーして人のことはああだこうだ言いたがるものだと感心するものだ。 自民党の人材の豊富さと政治心情の幅の広さはもちろん今の民主党の及ぶところではない。 それらを結び付けていたものはひとえに政権党であったということに過ぎず、単なる野合を50年余も続けてこられたのも政権を手放したくないという各派閥の力学がそうさせてきた。 だからこそ政権から滑り落ちてしまえばしょせんは野合、沈みゆく船から逃げ出すネズミのように次から次へと離党していく。 大勲位中曽根がナベツネを使ってなにやら画策しているのもその一環であり、次の小船をとりあえず浮かべてやって濡れネズミを救い上げてやっているわけだが、小船が大型船になる公算はきわめて低い。 自民党丸はまもなく沈むが、小船の立ち枯れ丸はよく見ると自民党丸からワイヤーが結わえ付けられ一緒に海中に没してしまいそうである。 ここでも大勲位の妄執は妄執のまま終わりそうである。
02. 2010年4月12日 23:29:23: nAeYuvzhf6 中国が世界最大の資本主義国として台頭し、かたやアメリカがリーマンショック後、莫大な金融機関への公的資金投入で、世界最後の社会主義国に転落しようとしている現在に、冷戦時代の国家観や安全保障政策を持ちだされてもねぇ。 むしろ、自民党自体も反共産主義という冷戦終結後の政治的対立軸を失ってからは、利権の分け合いのための族議員の集合体のような政治家集団でしかなかったように思えますが。 だから、小泉後は、郵政選挙で大勝したにもかかわらず、造反組の復党を認めたり、造反組の刺客として闘った議員を先の衆院選で冷遇したり、自民党自体が政治的に溶解していませんでしたか。 中曽根氏は、いっそ新党風見鶏でも結党された方がよろしいのではないでしょうか。 一方、小沢氏の２人区２人擁立には、単に参院選の戦略に止まらないすごさを感じます。組織型候補と非組織型候補の組み合わせや、女性候補が半数を占め、年齢でも幅広く支持を集められる布陣になっているようです。選挙戦を通じて、支持の拡大を図ろうとしているのが明確です。 勝っても負けても、従来の支持基盤を広げることは明白で、未だに地方議会では圧倒的に自民党が多数を占める中で、地方議会でも政権交代を目指そうという戦略を感じ取れます。いやはや、小沢氏は徹底的にこの国の政治を後数年で変えてしまおう、と言う決意をひしひしと感じます。
03. 2010年4月13日 00:21:03: 73Yp4uiqCg ＞民主党でこの２人区２人擁立にとくに反対しているのは、京都府の現職・福山哲郎氏、静岡の藤本祐司氏、長野の北沢俊美防衛相なのです。 そのようですね。 情けないこと言うなですね。 現職が負けるのは、どうしようもなく弱いからですね。 おまえは要らない人間だと言われているのと同じことです。 現職は、きちっと実績を出していれば、そして、実績を理解してもらう努力をしていれば、絶対強い立場にいるはずですね。 弱い議員は要らない。を理解できない人間は日本にとっても不要ですね。
04. 2010年4月13日 09:10:25: uuniven8uU 自民党には、民主党を負かす政策がない。 党の総裁になりたがる人もいない。 そういう党に負けたら恥です。
05. 2010年4月13日 15:58:14: kLoMcTkzFM 福山哲郎？　藤本祐司？　北沢俊美？　こいつら、単なるダダコネ小僧じゃん。 おまけに脳味噌には簾ができている馬鹿だから、結局マスコミへの露出でしか点数を稼げない。とくに福山、貴様だ！ ナベツネの子分の辛抱痔漏と、ライブでロクに歌も歌わんとず延々くっちゃべってば〜っかりのたかじんの番組に嬉々として出やがって。そんでもって出て何するかと思えば、小沢幹事長批判でしょ？　小沢ネガキャンに加担してるよな？ 福山くん、共産党じゃなくてよかったね。共産党だったら追放あるいは粛清されてたよ。なのに、口を開きゃぁ「小沢独裁」「小沢幹事長は責任を取れ」 ふざけるな。 こんなにないことないこと言い放題の馬鹿を党紀にかけて処分しない小沢幹事長のどこが独裁者？　寛容に過ぎるきらいがあるくらい、寛容じゃないか。 それに、このダダコネ小僧ども（もちろん、仙石、枝野、前原も含む）からは、地元の想い・地域の香りとかいうものがま〜ったく伝わってこない。 国会議員はもちろん国のために仕事をするが、同時に地元のためにもなるような仕事をしなきゃいけない。 テレビに出て、電波芸者気取るよりも、地元の声を真摯に聞いて、幹事長室につなげるなり、党の集まりで議論して政策に盛り込むなり、いろいろやることあるだろうに。 本当に、雑魚は文句だけが多い。
06. 2010年4月13日 18:08:53: fJ5qzPam0U 選挙が始まったら真っ先に福山哲郎を落とせキャンペーンを貼ります。 バッジは返して貰います。
07. 2010年4月13日 19:04:33: kLoMcTkzFM 福山哲郎よ、おまえはすでに民主党衆議院議員1年生に負けている。
08. 2010年4月13日 19:20:45: xtlWVCU5v6 選挙は闘い！ 極論ですが、当落は勝敗。 1人区に１人は当選か落選で、他党と分け合うことはない。 ２人区に１人では、引き分けか負け。 ２人が立てば、２人区でも１人区以上に気を抜く事は出来ない、良い意味で緊張感が増すはず。 【いつものグループ】は２人区に２人を立てることになぜそこまで反対するのか・・・。 自分達は汗をかかずにぬるい選挙をしたい、ってだけでしょうね。
09. 2010年4月13日 19:26:49: VIT6OIb4Lw なぜ二人なのかは、昨日の小沢幹事長の会見を見ればわかる。 まったくごもっともな意見。あらためて政治家として失ってはいけない人だと再認識した。
10. 2010年4月14日 00:05:06: FJrAeebsJY 国会議員は選挙民の支持を得て、当選してこそ国会議員の資格がある。 自分の力で支持層・理解層を増やすことこそ、国会議員としての資格がある。 ２人候補を立てようと揺らぎのない支持基盤が作れないから落選する可能性 があるから心配だというような輩は国会議員になる資格はない。 そのゆな人間がいなくとも、新たな能力ある人間がそれにとって代わるだけ である。 自分の自己保身のような立場でなく、国家のため自分の属する党がゆるぎない 勢力となるため２人立候補の趣旨を理解し、選挙を戦うべきである。

11. 2010年4月14日 00:05:17: ovEzqWyZDA 京都府の現職・福山哲郎氏には、みんなの党から、しみずこういちろう氏という人が出るはずだ。 衆議院で京都３区から何度も挑戦してるんだけど、何度も落選してる。 しみずこういちろう氏というのは、自民党に離党届を出したんだけど、「重大な反党行為」と認定され除名されてしまった人なんだよね。 みんなの党って人気があるみたいだけど、こんなのばっかでしょ？ 福山さん、こんなのに負けたら切腹もんでしょ？ 泣き言言わんとがんばってくれや。
12. 2010年4月14日 07:33:47: j19PQSPR6k 「選挙に弱い政治家というのは、結局のところ、外部の組織だの 　みだったり、あるいは人気だのみの人である。そういう政治家 　はつねに「他人の目」を気にしていなければいけない。（一部 　略）本当に政治家として志を貫き通すためには、まず自分の理 　解者を一人でも増やすことだ。自分の足元を固めるのが、政治 　家として活動する上で最優先のことなのである。政治家は一人 　の力で働いているのではない。政治家に本当の意味で力を与え 　るのはやはり選挙民の支持なのだ。　　　　　──小沢一郎著 　　　　　　　　　　『小沢主義／志を持て日本人』　集英社刊 ・・・・・２人区２人擁立は応援します。小沢論は正論です。
13. 2010年4月14日 15:42:29: qEN4gy4piw 狂った小沢はそのうちに２人区の京都に３人を擁立するでしょうな。
14. 2010年4月14日 16:18:48: ykaBaRNi9g ＞１さん 仰る通りでありますm(_ _)m 政治家ではなく「政治屋」集団・・皆んな「元弁護士・元官僚・子息・低能人イエ芸能人・元スポーツ選手等・・」 よっぽど「元職」より「儲かるんでしょうね」（嘲 私みたいな「Ｂ層庶民」は、せめて「阿修羅」を拝読し、これ以上「ダマされない手段」を取らねばならないと「新聞購読廃止！」「NHK無視！」ネット生活で有意義に賢く行こうと思う今日この頃です。 http://yamazakikoutarou.gooside.com/takenaka.html
15. 2010年4月14日 18:02:30: lgJVciZR3s １３ はははははははは。ば〜●。

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