投稿者 明るい憂国の士 日時 2010 年 4 月 12 日 06:09:22: qr553ZDJ.dzsc
「悪税が日本を滅ぼす 元国税調査官が暴露する不公平税のからくり」
大村大二郎著 新潮文庫より(4月の新刊)
貧乏人からむしりとれ!
狂った税制と税金の無駄遣いを鋭く暴露した過激な税の入門書。(表紙帯)
目から鱗、単純明快の論説です、二章を転載します。
〔一部転載はじめ〕
〔それは一冊の本から始まった〕
格差社会を生ぜしめたのは、一冊の本である。
「格差社会の発生をただ一冊の本の責任にするなんて乱暴じゃないか」
と思う人もいるだろう。
確かに、格差社会ができた要因には様々なものがあるので、たった一冊の本にその責を負わせるのは、少し乱暴かもしれない。しかし、この一冊の本が格差社会の出現に大きな影響を与えたことはまざれもない事実である。
その本とは。
『竹中教授のみんなの経済学』 竹中平蔵著。
竹中平蔵氏とは、ご存知のとおり小泉内閣の経済政策を一手に引き受けていた元総務大臣である。
彼は、小泉内閣成立直前に書いたこの『みんなの経済学』の中で、こういうことを述べている。
「日本は労働分配率が高い。だから経済成長が止まっているのだ」
と。
労働分配率とは、簡単に言えば、サラリーマンの給料のことである。会社が社員に高い給料を払っているので、日本の経済が駄目になったというのだ。
そして、彼はこうも言う。
「労働分配率を下げれば、家計は苦しくなる。でもその分を投資で儲ければ補える」
つまり会社は給料を下げなさい、そして家庭は、給料が下がった分は株で儲けて補いなさい、ということなのである。
*
そして竹中平蔵氏は日本の経済をその持論どおりに誘導していったのである。
法人税率は一〇%以上引き下げられ、高額所得者の税率は二〇%近く引き下げられた。
*
その一方で、会社は国の支持を背景にして、貸金を抑え込んできた。裁量労働制の拡充でサービス残業が蔓延し、労働者派遣法の改正で派遣労働者が爆発的に増えた。
そして投資家に対しては、信じられないような大減税を行ったのだ。
投資家の税金は本来の半分の一〇%に免除された。また特定の期間に株の売買をした場合、税金をかけない、という時限立法を作った。つまり、投資家は一定期間、所得税を免税されたのである。
これによって、ライブドアや村上ファンドなどが台頭し、堀江貴文氏などはフジテレビ騒動で一〇〇億円以上む稼いだのに税金はわずか一〇%という現象も生じた。
なぜ、投資家に対して、これほどの減税が行われたのか?
答えは株価を上昇させるためである。株価が上昇すれば、経済が上向いたように見える。だから、投資家に大減税を行い、株の取引をしやすくしたのだ。
その結果、日本に大投資ブームが起きた。
小泉内閣になって、株価は若干上がった。そして日本経済は名目上、好景気に転じたが、それを実感できたのは、一部の大企業と投資家だけである。多くの人にとって、バブル崩壊以降、経済的に楽になったという実感はほとんどなかった。
その後、リーマンショックによって、日本経済はまたもや大不況に突入した。小泉内閣の見せかけの経済回復は、もろくもそのメッキがはがされたのである。
*
竹中氏は「サラリーマンの取り分を減らせ」と言った。そして給料が減った分は、
投資で稼げばいいと言った。
が、これは明らかに現実を無視したものだ。
低所得のサラリーマンは、給料を投資に回すような余裕はない。
また、なけなしの金をはたいて株を買ったところで、素人がそうそう儲けられるものではない。
株というのは、資金が潤沢にあるものの方が絶対的に有利なのである。パチンコをするとき、一〇〇〇円で玉を打つ人と五万円で玉を打つ人のどちらが勝つ可能性が高いか、ということを考えればそれは明白である。パチンコはそもそも損をする確率の方が高いものだが、それでも五万円打てばたまには勝つ事もある。しかし、一〇〇〇円で勝つというのは、よほどの幸運がない限りは無理である。
同じ事が株にもいえるのだ。株価というのは変動が激しいものだ。資金が少ない人というのは、すぐにその変動の波にのまれてしまう。
つまり、株、投資というのは、あまりお金を持っていない人が、それを増やすときには、決して使える方法ではないのだ。
だから株価が上昇して、表面上、日本の経済は好転しても、その利益は大企業や大投資家たちに吸収され、低所得者層にいきわたる事はなかった。
日本は高度成長をしながら、貧富の差が解消するという、世界的にもあまり例のない事象をやりとげてきた。経済が成長するときというのは、だいたい貧富の差が広がるものである。
しかし日本の高度成長期に限っては、急激な経済成長と貧富の差の解消が同時に起こったのである。その最大の要因は労働分配率が高かったからだ。
企業は儲ければその分を社員に分配した。そのため、高度成長の果実を国民全部が享受することができた。
これは高度経済成長が「自分だけが大金持ちになることをモチベーションとして起こったものではない」ということである。まだ日本人には、周囲の人を思いやる気持ちがあったし、企業はまず社員を大事にするというのが当たり前だったのだ。
この日本特有ともいえる文化は、日本の大きな財産だったのではないだろうか。
日本の大事な財産をドプに捨て、「金儲けこそが正義」という観念を持ち込んできたのが、かの竹中氏だといっていいだろう。
そして気がついたら、深刻な格差社会が出来上がっていたのである。P-25
───────────────────────────────────
〔ワーキング・プアは税金が作った〕
昨今、ワーキング・プアということがよく言われている。
派遣社員や期間工など、しっかり働いているのにますます貧乏になっていく人たち、生活保護を受けるよりも低い収入しかもらえない人たちのことである。
このワーキング・プアの出現にも実は税金が深く関与しているのだ。
前項では、日本では税金と社会保険料を合わせて四〇%がとられているということを述べたが、全国民が所得から四〇%を支払っているということは、それを使っている人たちがそれだけいるということである。また、今の日本は徴収している税金、社会保険料だけではなく、国債を発行し借金までして公的支出を行なっている。この借金分を含めた税、社会保険料の国民負担割合は五〇%を越えている。
つまり、全国民のうち五〇%以上が、税金などで食わせてもらっているということなのだ。
「日本は高齢化社会だからそれだけ必要なのじゃないか」
と思う人もいるかもしれない。
しかし高齢者というのは、全国民の二三%しかいない。だから、あとの二七%はどこに消えたのかわからないのである。
高齢者以外に、税金や社会保険料で食わせてもらっている人たちが、働いている人の四人に一人もいる計算になるのだ。
税金を食って生きている奴らがあまりにも多すぎる、だからまともに働いている人たちは、彼らの分まで働かなくてはならない。それが結局、働いても働いても、楽にならない、という人たちを作っているのだ。
だれが、そんなに税金を食っているのか?
それは本書でおいおい明らかにしていきたい。P-34
〔転載おわり〕
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