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時代という大河、そしてその一滴。 (Aobadai Life) http://www.asyura2.com/10/senkyo83/msg/555.html
http://ameblo.jp/aobadai0301/ 〔転載はじめ〕
その間に数えきれない人間が生まれ、生き、死んで行った。
私もその一人として生まれ、今生きているのだが、 例えていえば悠々流れるナイルの水の一滴のようなもので、 その一滴は後にも前にもこの私だけで、 何万年溯っても私はいず、 何万年経っても再び生まれては来ないのだ。
(志賀直哉「大河の一滴」)
大学を卒業して、最初の会社に入ったのが、 つい昨日のことのようにも思う。 大学生活なんて、そんな昔のことだったのだろうか。 阪神大震災や、オウムの事件も、 つい昨日のことのようにも思えたりする。 びっくりするぐらい加速度的に、時間が流れていく。 子供のころというのは、時間の流れもゆっくりしていて、 死んでいくまでに、どれほど途方のない時間があるだろうかと、 思っていた。 子供のころ、祖父に、 満州にいた頃の話なんかを聞いた後に、 「それから今までは、長かった?」と聞いたら、 「あっという間だったな」という答えがかえってきて、 びっくりしたのだが、 たしかに今の年齢になって、当時の祖父の答えが、 よくわかる気もする。 一人の人間が、人生の中でできることというのは、 さほど多くはないし、大きくもない。 冒頭に書いた志賀直哉の「大河の一滴」という作品は、 彼の晩年の最後の随筆である。 大学生の頃に読んだときは、 たいして感じることもなかったのだが、 このごろ、この「大河の一滴」という人生の真実が、 心に染み入るように、感動することがある。 結局、一人の人間ができることというのは、限界もあるわけだが、 その中で、どのように懸命に生きていこうか。 そういう人生が、尊いのであろう。 さて、 私が最初に入った会社は、大手の新聞社であって、 途中で、その内情のボロボロさに見切りをつけて、 インターネット業界へと移っていったわけであるが、 だからこそ、 マスコミの腐敗ぶりには、人一倍に気がつくし、 憤慨することも多いわけである。 なんというか、職業倫理観として許せないものがあるわけで。 ただ、もちろん、その現場の苦労もわかっているし、 立ち直ってほしいという思いもある。 新聞業界でいくと、二年連続赤字転落の日経新聞が 4000円を越す値段で、有料のWEB版を創刊したということで、 ほかのマスコミもしきりに同業者のチャレンジを、とりあげたがるが、 そもそも天下の日経新聞であっても、 こういった甘っちょろいビジネスモデルで、 インターネット革命の今世紀を生き抜こうとしている時点で、 つくづく、もうどうしようもないなと思う。 結局、マスコミにしてもそうだし、政治にしても、検察にしても、 これまでの既得権益側にいて、保護されてきた連中の発想は、 みんなそうなんだが、 インターネットがもたらした時代の変革というのに、気がついていない。 インターネット革命の本質は、 「国民への情報の完全開放」である。 古来より、為政者がコントロールしたきた「情報」というものを、 これを一般の国民にまで開放することができた。 これがインターネット革命の本質である。 それは20世紀の石油革命や、19世紀の産業革命というよりも、 むしろ、ルネッサンスの活版印刷の発明に似ていて、 いっきに一般の人たちにも、情報が開放されることで、 政治、経済、社会、文化のあり方がかわりつつあるということである。 その共有や、発信の手段として、 ブログや、ツイッター、SNSのようなものが台頭してきたわけである。 だから、政治にしても、検察にしても、CIAにしても、 今までのように、秘密情報を自分たちで、都合のいいものだけをコントロールしようとしても、 それはもはや不可能ということになるし、 これまで為政者が情報をコントロールすることが、 戦争や、独裁や、格差につながってきたわけだから、 そこを解決する手段としての、インターネットにも期待が寄せられている。 さて、日経新聞のような取り組みで、 やっぱり見落としているのは、 自分たちが、「経済情報をほぼ独占している」という、 これまでの新聞社の発想にたって、 今回のような媒体創刊や、ビジネスモデルも行っていることであり、 だから、4000円を超えるという、わけのわからない値段設定をしているのだろう。 しかし、情報が開放された今、 どの情報を信用し、取捨選択するかということは、 情報の送り手であるマスコミではなく、 情報の受け手である一般国民に、主導権は移ったのである。 だから、既存の大手マスコミは、生き残りを図るのであれば、 記者クラブや、通信社頼みの配信記事をやめたり、 また、そもそも崩壊しかかっている読者との信頼関係を取り戻す、 ということを、メスを入れるというか、大鉈を振るわなければいけないのだけれども、 そうはならず、 あいかわらず、インターネット革命がもたらした本質に気づきもしないままに、 20世紀の延長線上のようなモデルで、なんとかなると勘違いをしている。 だから、失敗をするのである。 ・・・と、まあ、ここで私がほえてもどうとなることでもないし、 バカにつける薬はないので、彼らもつぶれていくだけだとは思うが。 ただ、冒頭に戻ると、 そういう大きな大河の流れというのが、なにかしらあって、 そして私はその中の一滴で、 時代が轟音をとどろかせながら、どんどん進んでいく。 せめて、 息子たちの時代にも、日本が平和で豊かな国であってほしいと願うのだが、 それは実現できるのだろうか。 たまにこういうことを考え出すと、眠れないことがある。
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