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「真実が闇に葬られますように」(金平茂紀の「NY発」)<日本の官公庁の公文書破棄に関する記述> http://www.asyura2.com/10/senkyo83/msg/322.html
http://www.the-journal.jp/contents/ny_kanehira/2010/03/post_56.html 「真実が闇に葬られますように」 アメリカ国務省は毎年、世界各国の人権状況に関する年次報告書(Human Rights Report)を出している。3月11日に公表された2009年版(http://www.state.gov/g/drl/rls/hrrpt/2009/index.htm)には、日本の人権状況に関してとても興味深い記述があって、それが日本では全く報道されていないので、ちょっと紹介しておきたい。それは、日本の官公庁の公文書破棄に関する記述である。以下がその部分。 The public has the legal right to access government information. There were no reports that the government denied legal requests for information or required information seekers to pay prohibitive fees to gain access. A recent study by a nonprofit body disclosed that the Foreign Ministry destroyed approximately 1,280 tons of what it termed "sensitive records" in fiscal year (FY) 2000 (ending in March 2001), ostensibly in anticipation of the information disclosure law that went into effect in April 2001. The Finance Ministry was second in the quantity of material destroyed, eliminating approximately 620 tons. 要するに、国民は政府情報にアクセスする法律上の権利を持っているはずなのに、最近のある非営利団体の調査によれば、情報公開法の施行を前にした2000会計年度に、外務省は1280トンにものぼる「取り扱い注意」(sensitive)記録を破棄したほか、財務省も620トンの文書を破棄したというのである。 村田良平・元外務事務次官が亡くなったことは東京からの電話で知った。80歳だったそうだ。直接の面識はない。ガンを患っていたことは知っていた。僕の後輩記者Kが末期治療室内で彼のインタビューを撮影して、「日米間で核密約は存在している。自分は引き継ぎを受けてそれを総理や外相に説明した」との証言をニュースで放送したのは去年11月のことだった。奇しくも、衆議院外務委員会で、村田氏の後輩たち、すなわち外務省の東郷和彦元条約局長らや斉藤邦彦・元外務事務次官が参考人として質疑に応じたのは、この村田氏の死去の翌日のことである。その質疑のなかで、東郷元局長は外務省の密約に関する公文書が外務省内部の人間たちによって破棄された可能性についてギリギリの証言をした。1999年に、後任条約局長の谷内正太郎氏に、文書の綿密な引き継ぎを行い、さらに当時、北米局長だった藤崎一郎氏にも文書の一覧表と自分の見解も記したメモを送付したという。そのなかには歴代の条約局長のメモ(たとえば、小和田恒=現在の皇太子妃の父親や、丹波実氏らが作成したメモ)も含まれていたという。それらの文書が、今回の有識者委による調査や外務省の内部調査でもみつかっていない。あったものが消えた。それは何かの理由で意図的に破棄されたか、紛失したか、盗難にあったか(まさか?)、あるいは紙の劣化によって自然消滅した(ご冗談でしょ!)のいずれかである。 さいわいなことに、僕は今、アメリカのニューヨーク市に住んでいるので、アメリカの公文書館に保管されている文書にアクセスすることができる。日米関係に関するアメリカの文書を読んでいると、こんなことまでアメリカ側は記録し、把握していたのかと、舌を巻くような代物に遭遇することがある。たとえば、手元に1通の公電のコピー。1972年4月18日付の文書で東京のアメリカ大使館からワシントンの国務省に打電されたものだ。Confidential=内密扱いの公電だが、中身を読むと、やりきれないような複雑な気持ちに陥る。いわゆる「西山事件」の直後に、吉野文六・北米局長が更迭されることになり、その吉野氏がインガソル駐日大使とプライベートな懇談を持ったときの会話内容が記されているのだ。吉野氏は、更迭についてあからさまな不快感を隠さず、自分の更迭は、沖縄返還交渉での400万ドル支払い肩代わりの政府の責任をめぐる政治抗争の犠牲になったのだと、インガソル大使に愚痴をこぼしているのだ。さらには自分の更迭は、毎日新聞編集局長および西山記者の解任との引き換えに使われたとまで言っている。吉野氏はインガソルに対して、福田赳夫外相は温かい人柄で、将来の自分の地位確保や大使級の処遇を保証してくれたなどと伝えたうえ、自分の後任候補ナンバーワンは大河原公使(当時は在ワシントン)だと正確に伝えていた。そんなことまで克明に記されている公電のコピーを読んで、行間から何とも言えない人間くさいドラマが立ち上がって来るのを垣間見る思いがしたのだ。僕はずいぶん前に吉野文六氏にインタビューしたことがあるが、以前は「密約など存在しません」と主張し続けていた氏の主張が180度転換したあとのことだった。吉野氏は密約の存在を認めたばかりか、次のような非常に興味深いエピソードを披露した。それは2000年の5月に、当時の河野洋平外相から直接電話を受けて、密約の存在を否定するように要請を受けたという事実である。まあ、大臣が「事務方」からの進言を受けてそうしたのだろう、と吉野氏は語っていたのだが。ではなぜ河野外相が電話を入れたのかと言えば、それは直接的には琉球大学の我部政明教授が米公文書館で密約の存在を裏付ける公文書をみつけたからである(2000年5月)。それで外務省はかなり慌てた。その時の「事務方」とは誰か。以下に記す人々がその時の「事務方」の顔ぶれである。 外務大臣 :河野洋平 そして、上記の人々が職位にあった時期に、外務省が1280トンの大量の文書を破棄していたという事実は一体何を物語るのか。これらの人々の多くは現在も生存し、要職についている。あの時の重要文章の処理をどのようにしたのかを、なぜ有識者委員会は問わないのか? いやいや、私たちには「調査権」はあっても「捜査権」はありませんから。報告書に『不自然な欠落』と書いたでしょ。あれが精いっぱい。そんな答えが聞こえてくるような気がする。だが、公文書破棄の直接の被害者は国民である。公文書は「密約」文書も含めて国民の財産である。それが勝手に廃棄されたり、元首相の私邸に勝手に私蔵されていたとしたら、もっての外ではないか。発想が真逆なのである、調査にあたっている人々の。 先に村田良平氏の死去について触れた。吉野文六氏も92歳になる。歴史の真実を前に、国家によるウソが積み重ねられていくのを、人生の最終段階で是認できなかった人々の思いをどのように受け止めるか。「真実が闇に葬られますように」。息をひそめて時間の経過を待っているようにも見えるあれらの人々を前に、私たちはどうすべきか。密約問題の幕引きを画策する人々に告げなければならない。あなたたちの思いは本当に「真実が闇に葬られますように」なのですか、と。
投稿者: 金平茂紀 日時: 2010年3月26日 19:49
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