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米中新“宇宙戦争”の兆し。これは「疑似冷戦」を宿望する米国の国防総省筋の計略である。(副島隆彦の学問道場) http://www.asyura2.com/10/senkyo83/msg/286.html
http://www.snsi-j.jp/boyaki/diary.cgi 「今日のぼやき」から転載。 「1116」 米中新“宇宙戦争”の兆し。これは「疑似冷戦」を宿望する米国の国防総省筋の計略である。日本は軽挙妄動する無かれ。副島隆彦・談 2010年3月27日
本日は、先日、会員ページに載せた「『1113』 気になる米国と中国の安全保障上の暗闘。スペース・ウォーに近い状況がいずれ出現するだろう」の分析・予測をふまえて、副島先生と私が話し合った内容を対談形式の記事にして報告します。 ===== 中田 まず、今朝(26日)の「日経新聞」の朝刊の一面に「日米安保50年−同盟の寿命」という記事がありました。この記事は、副島先生が「1113」で予測した、「米中の緊張関係が5月に訪れる」という予測に基づいて読み解くとなかなか示唆的な内容になっています。この日経新聞の記事をまず引用します。
2月下旬、米国防総省から2人の「使者」が東京にやってきた。戦略策定を担うキャスリーン・ヒックス国防副次官と東アジア担当のマイケル・シファー国防副次官補である。完成したばかりの「4年ごとの国防戦略見直し」(QDR)を鳩山政権に説明し、理解を得るためだ。 ●そろわぬ対中観 「冷戦中は欧州での米ソ対決を想定し、大規模な空と陸の共同作戦を準備した。今度はそれを空と海でやる。重点は西太平洋だ」 ブリーフに聞き入った日本側の関係者の表情はこわばった。露骨に名指しこそしないものの、中国軍を念頭に置いていることは明白だったからだ。ヒックス氏らは「日米の役割分担が課題になる」と日本の協力にも期待をのぞかせた。 何のための日米同盟なのか。1990年代初めの冷戦終結後、日米は自問自答を続けてきた。両国は96年の日米安全保障共同宣言で答えを示そうとしたが、結局、アジアの「不確実性」や「不安定性」というあいまいな表現に終わった。 それから約15年。中国の国防予算が5年間でほぼ2倍のペースで増えるなか、米側は日米同盟の照準をじわりと中国に合わせようとしている。グーグル問題や台湾武器売却に象徴される米中関係の悪化も、そうした流れと無縁ではない。 2月初めに来日したキャンベル米国務次官補は藪中三十二外務次官らに、中国問題の深刻さを訴えた。「最近、中国の行動が本当に問題になってきた。米中関係はかなり厳しくなる。日米でもっと緊密に対中政策を話し合っていきたい」 だが、中国軍への懸念を深める米側に対し、鳩山政権の対中観は別の方角を向いているようにみえる。(以下略) 変わる環境 曇る日本の眼 中国台頭、薄い切迫感 中田安彦です。 オバマ政権でQDR担当を行っているのは、国防次官となっている女性高級官僚のミシェル・フロノイという高官です。フロノイは、国務副長官となっている、ジャパン・ハンドラーズの一人、カート・キャンベルと共同で、数年前に「新安全保障研究所」(CNAS)という超党派をうたうシンクタンクを設立した女傑です。このフロノイについては、私の『アメリカを支配するパワーエリート解体新書』(PHP研究所刊)でも詳しく触れてあります。 フロノイの下で北東アジアのリージョン(地域)の点でアメリカの国防政策のPRというか、ごり押しを行うのが、上の日経の記事で登場する、マイケル・シファー国防副次官補(スタンレー財団元研究員)と、その上のキャスリーン・ヒックス国防副次官(いずれも国務省の国防次官補と同じ位置づけのポスト)です。 フロノイと、シファー、ヒックスの顔写真を「指名手配写真」のように、以下にずらっと貼り付けます。
さて、この二人が日本政府に主張した内容はというと、「冷戦中は欧州での米ソ対決を想定し、大規模な空と陸の共同作戦を準備した。今度はそれを空と海でやる。重点は西太平洋だ」というものです。これは副島先生が「1113」の寄稿で予測した、「スペース・ウォー」に他ならないものです。 普天間基地交渉を担当している、米政府の国防次官補でウォレス・グレッグソンという人物がいます。これは海兵隊出身です。グレッグソンは、「グローバルコモンズ」(国際共有地)の防衛を主眼とした米政府の国防戦略を先日の朝日新聞の英語版である「ヘラルド朝日」のロングイタビューで述べています。このグローバルコモンズとは何かというと、何処の主権国家も単独で影響力を及ぼしていない地域、具体的には「sea, space, air, and cyberspace(海洋、宇宙空間、大気、サイバースペース)」のことを指します。フロノイ国防次官は、QDRに関する解説を国防総省のウェブサイトで行っております。(http://www.defense.gov/qdr/flournoy-article.html)ヘラルド朝日のグレッグソンへの質問でもこの「グローバル・コモンズ」についての質問が出ている。(http://www.asahi.com/english/TKY201003170256.html)
アメリカはこの「グローバルコモンズの安定防衛」を今回のQDRのレポートの中に含んでいる。それに船橋洋一の子分の朝日新聞の記者のひとりがめざとく飛びついたわけです。 その話をふまえた上で、副島先生に今回は普天間基地移設問題を中心に、アメリカと中国がなぜ「疑似冷戦」というべき緊張関係を演出していくことになるのかをおたずねしたく思います。
中田 このウェッブ上院議員は、ヴァージニア州選出です。レーガン政権時代の元海軍長官ですね。 副島 うん。海軍長官をやってた。で、アナポリス出の海兵隊上がりだったはずだよ。 中田 たしかそうですね。2006年の中間選挙では泥臭い感じで演出した選挙運動をやっていました。アメリカのおやじ達に訴えていた。ブッシュのイラク戦争を批判していました。彼は民主党のジョン・マケインのような立ち位置にある政治家でしょうね。 副島 うん。それでかつ鉄鋼系の労働組合の幹部上がりなんですよ。まえに、私はそのヴァージニア州のノーフォークという町のクワンティコという海兵隊の基地を見てるんですよ。 海兵隊の基地というのは必ず正面のところに、硫黄島で旗立てるときの4〜5人の像が必ずあるんですけどね。だから、海兵隊がどうなるかという問題に関して、このジェームズ・ウェッブが責任を持ってやらなきゃいけない立場なんだ。 たしか、この選挙区の前任者はチャック・ロブ議員というのがいた。ロブというのはリンドン・ジョンソンの娘婿で評判の悪いやつで、これがリタイアした後の人間と争って戦って、ひっくり返して勝ってるんですよ。民主党でね。 だから、ジム・ウェッブというのは、同じく海軍長官を経験したことのある、今は引退した、ジョン・ワーナーという共和党議員の後釜となる人材だろうね。 それで普天間基地に関する、彼らの発言を読んだ。日本側の出方を待つという発言をしてるんです。日本側が決めるんだと、そして決断を尊重するという言い方になっていて。 それはつまり、簡単に言えばお金幾ら出すかという話と、どこに移転するかということです。現在時点では、キャンプ・シュワブの中に基地をつくるという、いわゆる陸上案を、公然と日本政府側が出してきているわけですよ。 それは鳩山首相が言っているというよりも、どうも平野博文官房長官が言ってるんじゃないかと思う。シュワブ陸地に1500メーターの滑走路つきのヘリポートをつくってあげます、という話ですね。だから、ジュゴンが住んでいる、辺野古崎の海を埋め立ててやるというのは、自然破壊という問題があるからやらないと。それでいいだろう、という話です。 あくまで内陸部のキャンプ・シュワブの基地の中につくると。同じ海兵隊の基地ですから、できないことはない。結局、基地問題はお金の問題だから、そのときに補償金でお金幾ら出すのかという問題や、グアムに移転させる海兵隊の家族の移転費用とかをどうするかという話になっているはずです。1万2000人ぐらいのうちの8000人ぐらいは既に解決してて、あと4000数百人、4200〜4300人の兵隊及びその1.5倍、つまり家族の分の移設費用をどうするか。 中田 実際に何人が普天間にとどまっているかもよく分かりませんね。 なぜなら、名護市が基地反対派で沖縄県外に移転させろ派の稲嶺進さんが市長選挙に勝った。その段階で、鳩山政権としても、現行案でやったら県民が許さないということを分かっている。平野官房長官もそう考えているでしょう。 そうすると、何だかうわさでは長崎に移すのが本筋だとかで、そういうおかしなことを言ってる連中がいるけど、その問題は議論しません。「対中国で長崎からの海兵隊の輸送船がすぐに移動できる。でなければ対中国での戦争が起きたときに、例えば台湾防衛とかで駆けつけることができないんだ」というのが説得材料に持ち出されているようです。しかし、片一方では、基地を建設する土建屋とアメリカの海軍に出入りしてる業者たちの利権の問題が、ちらちら周りに見えるわけです。 中田 確かに国民新党などの動きを見ていると、そういう現実政治を理解した上で、移転先を決めようとする動きになっていますね。地元の建設業者に花を持たせないといけないし、沖縄には鉄道整備などの本格的な振興策が必要だというのは廣瀬哲雄論文でも書かれていたことです。 副島 ただね、気になる話があるんですよ。実は、最近知り合った、中国社会科学院の研究者と言っておきますが、その人と電話で話したときに、日本思想研究の専門家の研究室長が、春に太平洋で大きな事件が起きますよとはっきり言ったんだな。その時は、私もよく分からなくて、私は、ああそうですかとしか答えなかったんだけど、やっぱり中国とアメリカの軍事衝突の問題だということがもう、ほぼはっきりわかってきた。 それというのも、君が「ぼやき」に載せた、ウォレス・グレグソン国防次官補の写真の中に「説明文章」として凄いことが書いてあったからなんです。ウォレス・グレグソンは国防次官補だけど海兵隊員なんですよ。 海兵隊というのは四つ目の軍隊ですから格が一応下で、大佐までしかないんです。いわゆるジェネラル(将軍)はいないんです。カーネルなんだと思うけれども、コマンダント(司令官)で、海兵隊では一番上です。だから国防次官補になっているんでしょう。まあ、今のマレン統合参謀本部議長は、海軍出身ですね。ただ、オバマのホワイトハウスで、国家安全保障担当補佐官をやっている、ジェイムズ・ジョーンズというのは、海兵隊出身なんだよね。 国防問題というのは、現実的な脅威に対処するという問題である以前に、国家の官僚が予算をぶんどるという構図で考えなければならない。軍隊というのも官僚組織ですから、おんなじなんです。そうすると、国防総省としては、陸海空、それから海兵隊の兵士を食わせるための予算を議会からぶんどらなければならないんですよ。 中田 そのための「宣伝文書」として、QDRとかシンクタンクのレポートが活用されるわけですよね。結局のところ、身もふたもない話をしてしまうと。 副島 そういうことです。海兵隊移転問題というのは兵士と家族の生活を保障するという問題でしかありません。 その海兵隊を食べさせなきゃいかんという大事な仕事をこのウォレス・グレックソンがやっている。かつ国防次官補ですから重要な立場にあるわけです。 彼はAFPの記事の中で、「Wallace Gregson said that the U.S. is seeing China emerge as an international space power」と言ってるわけです。 ということは、このウォレスが言っているのは、アメリカ合衆国は中国が勃興しつつあると見ている。そして、「インターナショナル・スペース・パワー、国際的な宇宙勢力、宇宙権力、宇宙大国として台頭している」んだと、アメリカは考えていると言っているのです。 中田 まさに、QDRに登場する「グローバル・コモンズ」の発想ですね。それが中国によって侵されつつあると警告を発しているわけです。、 副島 これをもっとはっきり言うと、中国は恐らくアメリカの上空を飛ばしているだろうスパイ衛星、情報探査人工衛星を撃ち落とすという決断をしつつあるんだということです。だから、それが5月に起きるだろうと私は思う。それが中国の研究員のメッセージだったんじゃないかと。そういう風にもう8割の確率で思っています。 だから、5月というところにすべて焦点が上がってきて、恐らく半ダースだから6機ぐらい、一気に撃ち落とすんじゃないかと思う。すべてをね。 中田 4月15日に米財務省が人民元の切り上げを行わない中国を「為替操作国」に認定するかどうかという山場も来ますね。 副島 ということです。それは何を意味するかというと、中国の軍事情報を捉える、アメリカ分析の“目”をつぶすということなるんですよ。衛星の幾つを撃ち落とすかよくわからないけど、一気にやるんだろうと思う。これがすなわち「スペースウオー、宇宙戦争」なんですよ。ところが、これは確かに軍事衝突ではあるけれども、小規模な軍事衝突で全面戦争に発達することはないんですけどね。でもやったらやり返すという論理で動いています。 2年前に私が上海に行ったときに、通訳してくれた頭のいい女性と話した。これは本にも書いたけど、2年前の7月に中国の上空でアメリカの情報スパイ衛星を中国の空軍だろうな、それがミサイルで撃ち落としたんですよ。日本国内では、たしか、事故でアメリカの人工衛星が落ちたという記事を見たんです。 ところが、この通訳の人は、「中国がこれを撃ち落としたんですよ」とはっきり言ったんでね。「記事になったのか」(と聞いたら)「なった。何故そんなことをやるんだと聞いたら、「それは人の家をのぞきに来てるんだ。のぞきに来てるのを撃ち落とすのは当然だ」と笑いながら言ったわけですよ。確かにそうです。 それに対して私が「それじゃ中国のスパイ衛星がアメリカ上空を飛んでるはずだから、それが撃ち落とされたらどうするんだ」と言ったら、向こうは何と「それも当然だ」と言うわけですよ。「アメリカにはそれを撃ち落とす権利がある」とはっきり言った。つまりそれぐらい中国というのは「大国」(たいこく)なんですよ。中国人というのは、日本人の今の発想からは出てこない発想を持っている。つまり、「つば競り合い」やっているというか、競り合っているんです。もう米中の覇権争いなんです。世界覇権争いをやっていて、軍事場面でもそういうコンフリクト、対立関係に入っている。 ただ、今回も「チキンゲーム」を互いに仕掛けているのだと私は思います。ぎりぎりまでお互いにらみ合いやって、やったらやり返すぞという。カーチェイスというよりも、車と車を正面からぶつけてどっちが先にとまるか、ぎりぎりまでとめないかという競争みたいなもんで、相手を恐怖させて戦いをやるわけですよ。 ですから、アメリカからすれば2年前の仕返しでもあるわけで、必ずやると思う。その動きが年末から出てきて、例えば台湾にミサイル防衛(パトリオット)のシステムを売ったりしているでしょう。幾らだったっけ。 中田 それにあわせて、中国がミサイル発射実験をやっていますね。戦闘機や潜水艦を供与するという選択肢をアメリカはまだ持っています。そういった神経戦を2007年の時もやっていたわけですね。 副島 そのPAC-3を配備の他にも、中国としてはチベットの指導者のダライ・ラマ14世とオバマが会ったことに対しても反発しているでしょう。 それで1月から中国とアメリカの関係がかなりぎくしゃくしてるわけです。 この動きを見て、これは恐らく金融経済の場面にも波及するんですよ。副島理論で言えば、政治と経済は互いに貸借をとり合う両輪の関係だと。大きな構造で見ればそういうことであるからです。 抑止力(よくしりょく、デターランス、deterrence)という考え方があって、やったらやり返すということです。報復する、復讐するという論理で国際関係は動くので、もし6機もの人工衛星をアメリカが撃ち落としたら、中国側としては米国債を一気にニューヨークの金融・債券市場で売り払う。そうやって、アメリカの市場を暴落させるという手を使う可能性があるんです。保有している米国債を売るというのは「金融版の核ミサイル」という意味があるんです。 そういったチキンゲームがすでに始まっている。アメリカ側にしてみれば、やれるものならやってみろという構えで出るわけです。 金融面でも「ヴォルカー・ルール」という言葉が出てきている。つまり、金融規制法案をつくってニューヨークの金融投資、金融市場を統制しようとしていることになります。その流れでボルカーとデイヴィッド・ロックフェラーとしては、中国をけしかけてニューヨークの金融市場を乱されるのは嫌なんだという判断をしてるとおうことです。中国とデイヴィッドは長年の関係にあるからです。 ところが、アメリカの軍事部門というかペンタゴンは、予算が欲しい。気もはやるわけです。だから、ネオコンの復活という言葉が一部で言われている。 ただ、もう大きな戦争をすることはできないし、グラウンド・インファントリー(Ground Infantry、GI)という地上軍を派遣するということは、とんでもなくアメリカにとっては値段がかかる。 金がかかることで、かつ外国を軍事占領するというのはとんでもなく困難なことがはっきりしたのです。 このことが、ベトナム戦争ではっきりし、イラク戦争でもいよいよはっきりした。アフガニスタンぐらいはまだ増派するみたいなふりだけしてるけど、本当は派遣したいどころか撤退したい。 戦争をがんがんやって外国に愛国主義的軍事進出路線をやってきた時代が終わったとオバマ政権のホワイトハウスの現実派は考えている。その後のポスト時代のところの外交戦略という言葉で今は公然と語られている。これを、ひと言で言えば「撤退戦略」(イグジット・ストラテジィ)なんです。アメリカ国内に軍隊を戻せと。外国駐留軍をね。それがオバマ政権の基本的性質なんです。 中田 米国国内ということはハワイかグアム。 副島 ハワイ、グアムまで撤退させるということです。 中田 オフショア・バランシングという言葉も最近よく聞かれますね。ジョン・ミアシャイマーという戦略学者にいわせると、これは 「 米軍が地域の外縁に駐留し、地域内の勢力を互いにチェック・アンド・バランスさせるというもの。米国は基本的には外交的干渉を行い、もし地域内の勢力均衡が破綻し、米国の軍事力を必要とする場合は、弱い方に味方する。米国は海軍と空軍をも予期せぬ脅威に迅速に対応させる。特に重要なのは、米陸軍を投入するのは地域の勢力均衡が著しく崩壊しようとする時と新たな支配関係が生まれようとしているときだけである。」(参考:NINJAウェブサイト) ということになります。西太平洋に当てはめて考えると、「地域の外縁」というのは、グアム基地ということになるでしょう。沖縄の重要性が薄れたと考えれば、ですが。ただ、私はまだその段階には来ていない。日本国内に自民党時代の日米関係を望んでいる旧勢力がまだ残っているからです。
ただ、それに対して、その中にもいろいろな考えがあるのだろう。旧ネオコン系の凶暴なやつらがまだ残っているのかもしれない。ネオコンで、ブッシュ政権のPNACといった過激派のシンクタンクにいた、エリオット・エイブラムズの類の影響がまだ残っている。 それから軍事戦略家であるアンドリュー・マーシャルのことも忘れては行けない。マーシャルが、空軍力(エアフォースパワー)重視理論だったんですよ。それがアメリカのペンタゴンの戦略家として認められていて、空軍の空爆力、爆撃力でイラクを初期の段階で占領したときには、えらくもてはやされたんです。 中田 そういえば、最近読んだブログの記事に「アジアは米国率いる海洋派と中国率いる大陸派に分裂へ、その時新たな冷戦が始まる」(園田義明めも)というものがありました。 この中で紹介されているのは、インドで行われた「アジア安全保障会議」に出席したアーロン・L・フリードバーグ(プリンストン大学教授)の話なんですが、どうもこの人物がアンドリュー・マーシャルの秘蔵っ子らしいですね。米中対抗に関する新著が米W・W・ノートンから近くに刊行予定だそうです。
その安全保障会議では、「2030年のアジアの地政学」が語られたらしいんですが、その中で米中の疑似冷戦のシナリオも紹介されたようなのです。おそらく、このフリードバーグあたりが理論武装を担当しているのではないかと思いました。
じゃあ、きっと、その流れがあるよ。このアンドリュー・マーシャルの空軍力の系譜かな。しかし空軍力じゃなくて、このときに宇宙軍という考え方が出てきたんでしょうね。 その考え方は、大国であるロシアにも中国にもあるんですよ。宇宙ロケット軍とか言うんだけど。エアフォースじゃなくて、スペースパワーという、スペースフォースという考え方が出てきてるわけです。スペースフォースは宇宙軍です。宇宙軍は宇宙戦争をやるわけでスペースウオーをやるわけだけど、人工衛星というのは目なので、目をつぶすということが大事だという考え方。 反対側にあるのは核兵器です。実はこの核兵器というのは、もし発射したとしたら正確に敵の目標に向かって到達しなきゃいけなんです。デリバリーシステムです。デリバリーがしっかりしなきゃだめなんです。そして確実に爆破して敵の攻撃力を奪わなきゃいけない。例えば10メーター、20メーター離れてももうだめなんです。そのために人工衛星というのを開発してきたんです。 だから、結局、人工衛星というのは着弾地点を確実にするための技術なんです。これは私が日本の商社でそういう技術をやっている若い会社員に聞いたんだよ。人工衛星と核兵器は本来はワンセット。ただ、敵国の上空を探る、スパイ情報偵察衛星としても使われているんですよ。 これは普通200キロぐらいのところを飛んでいるんだろうけども、地表50キロぐらいのところまでおりてくるらしい。そして地表を徹底的に探査する。 例えば日本政府も秘密で恐らく2機のスパイ衛星を持っているんです。そして北朝鮮のところへ飛ばしているんです。日本国内では発表されてないんだけど、何だか資源探査衛星のふりをしてるんです。しかしアメリカから見たら、はっきりと日本はスパイ衛星を打ち上げて持っているんですよ。日本政府の自己情報収集力として、北朝鮮をウオッチしてるんです。 だから日本でさえ2機持っているんだから、中国は6機ぐらいアメリカ上空を飛ばしている。そこをアメリカがねらう。アメリカのスペースフォースが、どうせ空軍なんだけど、そのときにレールガンでやるだろうと。超電導レールガンといって金属体を飛ばすんです。それで撃ち落とす。 レーガン時代のスペースウオーとかスターウオーズ計画と言われたものはうそ八百のインチキだったんで、レーザー光線をいくら当てても人工衛星は落ちないんです。敵の核兵器をレーザーで撃ち落とすということはできないんです。捕捉することはできるんですけどね。追尾していってミサイルで落とすしかない。ところが、どうも追尾型のミサイルでぶち当てるというのも相当、確率的に難しいことだと。ところが、この超電導系のレールガンというのは金属の破片をものすごい勢いで飛ばすんでしょ。 中田 そういえば、最近レーザー兵器の実験が成功したと、アメリカが発表した。だが、これは正しくはレールガンなのだと。 副島 そうでしょう。レーザーで当てといて先導させといて、そこからレールガンを誘導する。ガイデッドミサイルですから、誘導させておいてレールガンで実際には撃ち落とすということをほんとにやると思う。 ただし、この戦争は小規模コンフリクトの衝突であって、全面戦争になることはないと私は思う。だって、もしかしたらアメリカは失敗するかもしれない。アメリカの軍規、軍律がたるんでいて。あと、技術力がそれほど正確性がなくてね。あるいはもっと言うと、うわさぐらい立ったら記事にはなるだろうけれども、表に出さないで終わってしまう可能性もある。 だから、5月までに米中関係が激しい駆け引きをやっていると見なければいけない。だから中国側としても、やれるものならやってみろという構えで既に防御体制に入っているんだと思う。もし6機全部撃ち落とされても、またすぐに後続のやつを打ち上げるからいいという考え方もするだろうし、大人の態度で知らん顔して別の対応をする可能性もあるわけです。 中田 そうすると、Google(グーグル)がアメリカと今年の初めにもめて、最終的には中国国内の検索事業から撤退するというのは、単純な情報検索の検閲が問題だ、ということではないですね。 副島 あ、確かにそうだ。 中田 グーグルのCEOはビルダーバーグ会議のメンバーですが、グーグルというのは、最近ではエネルギーから軍需まで幅広いでしょうし。 グーグルには民生用に「グーグル・アース」を提供している。これを使うと日本の国内の町並みの様子まで大体監視できちゃうんですよね。結局、これはGPSの機能をつかていますからね。 副島 そうだ。Google Earthの問題がある。中国側としてはのぞかれたくないという問題があるんでしょうね。 中田 それが小沢一郎のアメリカ行きが関係するんですか。 副島 だから恐らく小沢一郎のアメリカ行きは、この衝突があった後だと思う。 アメリカとしてはザ・グランド・チェスボードじゃなくて、ザ・グレート・ゲームという考え方でいえば、大陸の両勢力でロシア帝国と大英帝国が、このユーロアジアの対立線であるところの満州から、それからモンゴル、それからずっと来てチベット、アフガニスタン、それからトルコとかフィンランドの王様というのがいて、原住民の王様のとり合いをやっているんです。チベットの王様をとったり、とり返されたり、何回もやっているんです。 そのゲームを、ザ・グレート・ゲームの現代版だとすれば、「日本国王である小沢一郎」をアメリカが取り返していくという、大きな歴史図式になると考えざるを得ない。中国に昨年の12月、小沢が600人の議員団を連れていったことがそのきっかけになっているんですよ。 習近平国家副主席が来て、会見問題でもめる前だから10日ぐらいに600人引き連れて、行っている。1年生議員全員140何人を胡錦濤と握手させた。 アメリカはそれにかりかりときて、日本の独自外交路線の中立独立路線を阻止して、アメリカ側に引き戻すという考え方を当然するわけです。だから、資金問題を蒸し返してアメリカが小沢の秘書を検察を使ってすぐに逮捕させたわけでしょ。 1月16日に石川知裕元秘書であった議員を逮捕した事件が起きて、小沢の体をとると、日本の検察に逮捕させるという形でチキンゲームをやらせてぎりぎりまで小沢を痛めつけた。 ところが、小沢は屈服しなかったので、チキンゲームは、最後のところで2月2日に手を打って、日本の検察のアメリカのかませ犬の連中を押しとどめて、小沢を助けてやったという形で、アメリカ国務省の主流派が、小沢と会見してアメリカに招くという形で呼びつけるというところで合意した。 カート・キャンベルが低姿勢に出て、小沢の訪米という話を持ってきたわけです。小沢は、「行かない」と最初言ったみたいね。 まだどうなるか分からないけど、小沢は5月にアメリカ派遣団、外交団をつくって、大企業の社長とか引き連れて行かせることにするでしょう。 もうちょっと言うと、はっきりと交渉事にして、鳩山が北朝鮮に行くから、拉致の被害者全員生きているのを連れて帰るから、そのことを中国の胡錦濤にオーケーを出させてくれというのを、アメリカにも交渉したみたい。いや、あれは中国に行ったときに胡錦濤と直接交渉したんだ。 そのことにアメリカは怒ったんだな。そのことにもアメリカは反対したんだ。拉致問題を日本に持たせることで、北朝鮮と日本の直接交渉をさせないという6カ国協議路線ですからね。これもあった。胡錦濤との合意で、胡錦濤がオーケーを出したらしいです。それもある。 あとは中国人民解放軍の中国海軍が伸びているから、東シナ海で力を持たせないためには、中国と日本の指導者がしっかりと軍を上から統制する。予算をつけないでいいように、紛争を起こさせないということが大事だと、小沢が軍事的な緊張を生まないようにすると言ったら、胡錦濤もそうだと応じていたのです。 ただし、米中が軍事衝突をする可能性が出てくると、人民解放軍が力を持つようになるんです。 それは胡錦濤・温家宝体制にとっては嫌なことなんです。それでもそれに引きずられるを得ない。そこにお金をかけなきゃいかんと。軍事出費がかさむと経済成長できなくなるんです。そのスピードが落ちるんです。そのことを中国は非常に嫌がるという問題があるから、中国の金融経済の成長や膨張の足を引っ張るのには、中国に軍事出費の負担を背負わせるという戦略は、大きな意味でアメリカにとっては正しいんです。 ただしアメリカにとっても、アメリカの軍隊が暴走することは嫌なことで、オバマ大統領はそれを統制できないという可能性があるんです。そうするとそれはクーデターになるわけ。勝手にアメリカの空軍が中国の人工衛星を撃ち落としたりしたら、ほんとにクーデターですよ。 軍律違反になってしまう。それに対して、恐らくラーム・エマニュエル主席補佐官がオバマを説き伏せて、この人工衛星撃ち落とし命令に署名させるんじゃないかと私は思う。そうするとラーム・エマニュエルはシカゴの軍事派の利益を代表しているとも言えるわけです。 そうすると、イスラエルとの二重国籍です。若い頃に指を一本失っていて、nine-fingered Jew(9本指のユダヤ人)と『ニューヨークタイムズ』でも呼ばれているような恐ろしい男です。恐らくデイヴィッド・ロックフェラーやチェイニーも、ラーム・エマニュエルは嫌いなんです。 それが必ずホワイトハウスの大統領執務室の横にいて、大統領に会う人は必ずこの主席補佐官の横を通らなきゃいけないんです。オバマを守っているわけです。 だからデイヴィッド・ロックフェラーに逆らうと。ネオコン派の論理を貫く。ネオコン派的な力を利用してアメリカ空軍の力で、中国と軍事衝突する小さなものを起こさせるという動きで動く。 それが結果的にヨーロッパでの金融のEUの、まずギリシャから始まった国家破産の問題、スペイン、ポルトガルにも飛び火してるんだけど、それをうやむやにする。アメリカがヨーロッパを助けるわけじゃないんだけれども、軍事問題を正面に出させることによって、ヨーロッパの金融崩壊から焦点を移すという方策に出るんじゃないかと思う。 中田 5月ごろは上海万博開始の月ですよね。まあ、五輪開催前に米中では07年の人工衛星破壊問題があったわけですから、それほど影響はないのかもしれず、軍事的な競り合いだけが水面下で続くのかもしれませんが。 副島 だから大戦争にならないだけで、中国は自分の国民を動員するだけでも上海万博は成功させることはできるんですよ。中国が金融経済的に崩れないので、アメリカがこういう手を使うわけでね。だから、アメリカは上海万博に出展するだけして、実態としては、閑散として建物があるだけなんじゃないか。中国側に反米感情が高まって、だから中国とアメリカの覇権争いという大きな性格づけの問題になるかもしれない。 中国としてはヨーロッパと手を組みたいという考え方をするんじゃないかな。少なくともヨーロッパから非難されないような体制でアメリカとの戦いを、自分の有利なように進めるんだと思う。 でも、中長期には中国の勝ちだろうと思いますね。アメリカがこの戦略でうまくいくと、私はどうも思わない。どこかで失敗をするんだと思うからね。年末にイエメン人のテロリストとされた男が、飛行機をアメリカでハイジャックして墜落させて、わざと事件を起こそうとしたんです。失敗してるんです、これでね。 中田 アブドラムタラブというイエメン人が米国国内で航空機を爆破しようとしてパンツに爆弾を仕掛けていた事件ですね。これにもおかしな話があって、このイエメン人には白人の付き添いがいたと当初目撃情報で報じられていた。 副島 そう。明らかにあれは米国側が自作自演のテロを仕組んで失敗しているんですよ。そういうことをやるのは軍隊の中の過激派です。そういうのが残っているんです。それの取り返しをしなきゃいかんと、いま考えているんだと思う。それがアメリカ軍隊の暴走の形をとった、中国との衝突だろうと思う。 それで、あと一つ大事なのは、このロバート・ハインラインという小説家がいるんです。ものすごく重要なんです。ハインラインは、「スターシップ・トゥルーパーズ」という映画があるんです。ものすごくいい映画だと思う。 出てくるのは白人ばかりで、米軍みたいなやつがどこかの星で巨大になった昆虫類と戦う映画なんだけどね。勇敢な軍人たちというのが出てきてね。このロバート・ハインラインというのはリバタリアンなのかなんだかわからない、おもしろい作家でね。 あの中に出てくる軍人たちの様子が、今の海兵隊が凶暴化して実行に移す人間たちと非常にダブるんです。だからロー・アルチチュード・コンフリクト(low-altitude conflict)というのかな。だから低い緊張関係の争いということをやろうとしていくわけです。 中田 それは中間選挙に向けたというのもあるんですか。 副島 中間選挙のことまで私は考えてないけども、11月の中間選挙ではアメリカ民主党が後退するんでしょうね。それで11月の中間選挙で民主党が負けて、オバマが退陣していくという骨組みができてくるでしょうね。 中田 2011年にやるんですか。 副島 うん、まあ、早ければ11月中に。遅くとも11月、2月、3月までには辞任するんじゃないかな。 中田 させられる。 副島 そうすると凶暴なヒラリー派の連中が出てきてね。アメリカがそのときに金融経済が混乱を起こしたら株も暴落して、債券も暴落して、ドルも暴落するからね。そのときに金融統制体制に入っていくわけですよ。 お金の移動を全部監視して、統制体制に入って金融恐慌を阻止するというか、金融恐慌でないことにするんだと思うんです。 それは私にとっては必然の明確なシナリオであって、非常に嫌なものなんですけど。生活統制や金融統制というのは、お金の動きを全部監視される社会にあるんです。あとは街角に全部カメラがつけられて、人間の生活や移動を監視するという段階に突入してくるんだろうと思う。 中田 統制を正当化する一つの手段として、中国とのコンフリクトが利用される可能性があるということですか。 副島 そういうことです。アメリカとしては、中国を規制して勢力をそぐというのが大事だと思っている。 だから覇権争いってそれぐらい厳しいものなんだ。はっきり言うと覇権争いの段階に入ったということじゃないの。 ただ、アメリカの最大の弱点はやっぱりニューヨークの金融市場ですよ。アメリカのデリバティブという巨大な金融ばくち商品で核爆弾が破裂してますから、それがアメリカにとっての最大の弱点だということを、アメリカ自身が認めたがってないんだと思う。だけどもう世界じゅうから資金集めて、それで証券化商品を山ほど買わしてもう返せなくなっているわけですから、これが爆発する事態が出現すれば。部分的にね。 中国人のほうは明確にそれを自覚してるんだと思うんです。 中田 虎視たんたんとねらっている。 副島 ねらっているんだと思います。だから6機の人工衛星を撃ち落とされても、すぐまた後からつくるからいいという判断をするかもしれない。知らん顔してね。当然であるという顔をする。 これが、5月、6月ぐらいから来年にかけての大きな流れです。
2010/03/27(Sat) No.01
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