★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK83 > 149.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
ウォルフレン論文「日本の検察」編 (日々坦々)
http://www.asyura2.com/10/senkyo83/msg/149.html
投稿者 明るい憂国の士 日時 2010 年 3 月 25 日 07:37:56: qr553ZDJ.dzsc
 

http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-373.html
2010⁄03⁄25(木) 01:09


【転載開始】


ウォルフレン論文「日本の検察」編 
≪「日本政治再生を巡る権力闘争の謎」(カレル・ヴァン・ウォルフレン)中央公論≫から(http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20100319-01-0501.html

ウォルフレンは日本の検察がなぜこんなにも権力を持つようになったのか、その理由を「そのように意図的に確立させた」として歴史の中で平沼騏一郎に注目している。
≪検察というイメージ、そしてその実質的な役割を確立した人物もまた、日本の歴史に存在する。平沼騏一郎(一八六七〜一九五二年、司法官僚・政治家)である。彼は「天皇の意思」を実行する官僚が道徳的に卓越する存在であることを、狂信的とも言える熱意をもって信じて疑わなかった。
一九四五年以降も、平沼を信奉する人々の影響力によって、さまざまな点で超法規的な性格を持つ日本の司法制度の改革は阻止された。ある意味では現在の検察官たちの動きを見ていると、そこにいまなお司法制度を政府という存在を超えた至高なる神聖な存在とする価値観が残っているのではないか、と思わせるものがある。≫

"善"に立脚しているならば、政府より至高な位置に司法を置くこともまた一つの義なるシステムとなり得るかもしれないが、権力は必ず腐敗することは歴史が証明しているし、現在の一部暴走している検察をみれば明らかである。


「日本の検察」編

≪明治以来、かくも長きにわたって存続してきた日本の政治システムを変えることは容易ではない。システム内部には自らを守ろうとする強力なメカニズムがあるからだ。一年ほど日本を留守にしていた(一九六二年以来、こんなに長く日本から離れていたのは初めてだった)筆者が、昨年戻ってきた際、日本の友人たちは夏の選挙で事態が劇的に変化したと興奮の面持ちで話してくれた。そのとき筆者は即座に「小沢を引きずり下ろそうとするスキャンダルの方はどうなった?」と訊ね返した。必ずそのような動きが出るに違いないことは、最初からわかっていたのだ。

検察とメディアにとって、改革を志す政治家たちは格好の標的である。彼らは険しく目を光らせながら、問題になりそうなごく些細な犯罪行為を探し、場合によっては架空の事件を作り出す。薬害エイズ事件で、厚生官僚に真実を明らかにするよう強く迫り、日本の国民から絶大な支持を得た菅直人は、それからわずか数年後、その名声を傷つけるようなスキャンダルに見舞われた。民主的な手続きを経てその地位についた有権者の代表であっても、非公式な権力システムを円滑に運営する上で脅威となる危険性があるというわけだ。
さて、この日本の非公式な権力システムにとり、いまだかつて遭遇したことのないほどの手強い脅威こそが、現在の民主党政権なのである。実際の権力システムを本来かくあるべしという状態に近づけようとする動きほど恐ろしいことは、彼らにとって他にない。そこで検察とメディアは、鳩山由紀夫が首相になるや直ちに手を組み、彼らの地位を脅かしかねないスキャンダルを叩いたのである。

ある意味では現在の検察官たちの動きを見ていると、そこにいまなお司法制度を政府という存在を超えた至高なる神聖な存在とする価値観が残っているのではないか、と思わせるものがある。オランダにおける日本学の第一人者ウィム・ボートは、日本の検察は古代中国の検閲(秦代の焚書坑儒など)を彷彿させると述べている。

日本の検察官が行使する自由裁量権は、これまで多くの海外の法律専門家たちを驚かせてきた。誰を起訴の標的にするかを決定するに際しての彼らの権力は、けたはずれの自由裁量によって生じたものである。より軽微な犯罪であれば、容疑者を追及するか否かを含め、その人物が深く反省し更生しようという態度を見せるのであれば、きわめて寛大な姿勢でのぞむこともある。このようなやり方は、法に背きはしても、刑罰に処するほどではないという、一般の人々に対しては効果的であり、いくつかの国々の法執行機関にとっては有益な手本となる場合もあるだろう。

しかしある特定人物に対して厳しい扱いをすると決めた場合、容疑者を参らせるために、策略を用い、心理的な重圧をかけ、さらには審理前に長く拘禁して自白を迫る。検察官たちは法のグレーゾーンを利用して、改革に意欲的な政治家たちを阻もうとする。どんなことなら許容され、逆にどのようなことが決定的に違法とされるのかという区分はかなりあいまいである。たとえば、合法的な節税と違法な脱税の境界がさほど明確でない国もある。ところで日本にはさまざまな税に関する法律に加えて、きわめてあいまいな政治資金規正法がある。検察はこの法律を好んで武器として利用する。検察官たちの取り調べがいかに恣意的であるかを理解している日本人は大勢いる。それでもなお、たとえば小沢の支持者も含めて多くの人々が、彼が少なくとも「誠意ある態度」を示して、謝罪すべきだと、感じていることは確かだ。
 
体制に備わった免疫システムは、メディアの協力なくしては作用しない。なぜなら政治家たちを打ちのめすのは、彼らがかかわったとされる不正行為などではなく、メディアが煽り立てるスキャンダルに他ならないからだ。検察官たちは絶えず自分たちが狙いをつけた件について、メディアに情報を流し続ける。そうやっていざ標的となった人物の事務所に襲いかかる際に、現場で待機しているようにと、あらかじめジャーナリストや編集者たちに注意を促すのだ。捜査が進行中の事件について情報を漏らすという行為は、もちろん法的手続きを遵守するシステムにはそぐわない。しかし本稿で指摘しているように、検察はあたかも自分たちが超法規的な存在であるかのように振る舞うものだ。

長い間留守にした後で、日本に戻ってきた昨年の十二月から今年の二月まで、大新聞の見出しを追っていると、各紙の論調はまるで、小沢が人殺しでもしたあげく、有罪判決を逃れようとしてでもいるかのように責め立てていると、筆者には感じられる。小沢の秘書が資金管理団体の土地購入を巡って、虚偽記載をしたというこの手の事件は、他の民主主義国家であれば、その取り調べを行うのに、これほど騒ぎ立てることはない。まして我々がいま目撃しているような、小沢をさらし者にし、それを正当化するほどの重要性など全くない。しかも検察は嫌疑不十分で小沢に対して起訴することを断念せざるを得なかったのである。なぜそれをこれほどまでに極端に騒ぎ立てるのか、全く理解に苦しむ。検察はバランス感覚を著しく欠いているのではないか、と考えざるを得なくなる。

民主党の力を確立するためには、当然、何をもって重要事項とするかをはき違えた検察に対処しなければならず、また検察がリークする情報に飢えた獣のごとく群がるジャーナリストたちにも対応しなければなるまい。小沢が初めて検察の標的になったのは、昨年の五月、西松建設疑惑問題に関連して、公設秘書が逮捕された事件であり、彼は民主党代表を辞任し、首相になるチャンスを見送った。

それより鳩山政権にとっては、国内的な脅しに対処することの方が困難である。普通、このような脅しに対しては、脅す側の動機や戦略、戦法を暴くことで、応戦するしかない。心ある政治家が検察を批判することはたやすいことではない。すぐに「検察の捜査への介入」だと批判されるのがおちだからだ。つまり検察の権力の悪用に対抗し得るのは、独立した、社会の監視者として目を光らせるメディアしかないということになる。≫

この免疫システムとしての検察の捉え方、歴史的背景、洞察力と客観性は、今の日本のマスコミには見出せないものである。


【転載終了】  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2010年3月25日 17:05:28
ウォルフレン論文の明晰さはとても素晴しいのは分かります。涙が出るほど理解して下さっているのが有難い。しかし、この論文を最後まで読む持続力と理解力のある日本人がどれ程居るだろうか?
ウォルフレン氏は今まで多くの本を日本人を慮って出版して来た。それが、一年三万人以上の自殺者等々の現実を見るまで主権を行使しなかった。

最初の本『日本権力構造の謎』はレポートとしてアメリカに提出され、日本を操る踏み台になったと当時言われていた。
だから、当然アメリカは今の日本を理解するレポートとして読み、日本を操る為の手を考えているだろう。
それで、その上を行くには行動あるのみ。国会議事堂を建て替える事業の法案を民主党は出して欲しい。明治憲法の中で大正時代に建てられた建造物の中では全くの民主主義の法案は出来ないであろうし、本会議場の議長の上にある普段幕が降ろされている所をなくすことで、ウォルフレン論文が読みこなせない人々にも国会のTV映像で理解出来ると思う。今こそ国会議事堂の建て替えを!


02. 2010年3月25日 18:28:35
起訴便宜主義のことは書いてないのかな。

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK83掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK83掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧