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さあ、鳩山政権、ここが正念場(その1) ―― 参院選勝利と小沢「辞任」問題 ( 高野孟 :内憂外患 3/19) http://www.asyura2.com/10/senkyo82/msg/835.html
http://opinion.infoseek.co.jp/article/797 政権交代から半年を迎えた鳩山内閣の支持率は、15日付毎日新聞の調査で43%、2月の前回調査から6ポイント下落する一方、不支持率は8ポイント増の45%、同社調査としては初めて支持と不支持が逆転した。 両紙とも、支持率下落の最大要因は「政治とカネ」の問題にあると捉えていて、毎日では、「政治とカネの問題を参院選投票の判断材料にする」と答えた人が63%、「小沢幹事長は辞任すべきだ」と言う人が前回より7ポイント増の76%に達した。 ●正面突破しなかった小沢 もちろんこのような数字は、マスコミが自作自演とも言うべき手法で生み出したもので、驚くほどのことではない。検察当局が昨年2月以来、憎悪にも近い異様な執念を燃やして小沢潰し・民主党潰しに乗り出し、マスコミがそれに無批判に追随するどころか悪乗りまでして「小沢=巨悪」キャンペーンを1年以上も毎日のように浴びせかけ、 あたかもその問題がこの国にとって最大の懸案であるかの架空情報空間を作り上げておいて、おまけにそのような自分らの報道姿勢が「正しかった」ことを裏付けたいがために誘導尋問的な仕掛けを巧妙に潜ませた質問の仕方で「ほら、やっぱり小沢辞任を求める人はこんなに多いじゃないか」という世論調査結果を導き出すのだから、こういうことにならない訳がない。
しかしそこでたちまち矛盾が生じるのは、選挙というものは、大筋のところ新聞やテレビの討論番組やワイドショーによって形成される情動的な大衆感情をいかに引きつけるかを争うのであって、論理的・法律的に正しいからと言って勝てるはずのものではない。
第1は正面突破作戦で、
完全オープンの記者会見を開いて自ら国民に向かって正々堂々、自らの潔白を疑問の余地なく主張すると同時に、特に(2)党内、とりわけ経験の浅い参院選候補者たちに対しては、彼らが支持者に胸を張って「うちの幹事長は正しい。間違っているのは検察とマスコミだ」と演説し、マスコミに毒された人びとが素朴な疑問をぶつけてきてもいくらでも反論し説得できるように、十分すぎるほどの資料と想定問答集を与えて懇切丁寧に指導すべきだった、ということである。
もちろんその言い方は、この1年来の検察=マスコミ連合軍のバカ騒ぎへの痛烈な皮肉であり、そう言いたい気持も分からないではないが、郷原信郎弁護士が指摘するとおり、「ならば大久保、石川らの起訴は公正だったと言うのか」という問い返しに答えることができず、従って民主党全体を検察の暴虐に立ち向かわせるよう導くことはできなくなる。
「このキャスターの発言は偏見に満ちているので私が直接電話をしてクギを刺す」「この論説委員はなかなかいいので今週中に私とのランチをセットしろ」「このネットサイトはレベルが高い意見が集中しているので重視してウォッチしろ」「この数日、新聞の論調が変わってきたから、来週の大統領スピーチの原稿はこの言葉遣いに変えろ」という具合に、毎日10件も20件も指示を出して不断にメディアに働き掛けていく。
近年の日本では小泉政権の飯島勲秘書官がまさにスピン・ドクター役で、彼は自ら表立つことはなかったが、メディア動向を克明に捉えながら、雑誌協会加盟の編集者やテレビのワイドショーのディレクターなどと巧く付き合いながら大手メディアの記者クラブを牽制するといった手法で政権を長続きさせた。 本来ならこういう手立てを講じて検察=マスコミ連合軍に正面から立ち向かわなければならなかったが、小沢は、昨年の場合と同様、今年の場合もそうしなかった。 ●「5月の悲劇」の再現か? 昨年の場合は、そうしなかったことによって結局は代表辞任に追い込まれたのだったが、その教訓を小沢自身はどう考えてきたのだろうか。 彼個人としては強気の姿勢を貫きながらも党を挙げての正面突破策を採ることはせず、結局は辞任せざるを得なかったというのは、「そうは言ってもやっぱり小沢は怪しいよね」という大衆感情を克服することに失敗して、むしろそれと妥協することによって選挙での勝利を確実にしたということである。 今回は正面突破策を採らなくても辞任に追い込まれることはないという判断なのか、それともまたも辞任することになってもそれはそれで仕方のないことで、要は選挙に勝てばいいんだろうという考えなのか、そこは外からは窺い知ることができない。 しかし、そうこうするうちにも小沢は外堀から順に埋められて次第に辛い立場に追い込まれつつある。
▼小沢が地方に行って参院候補者の決起集会に出ると、小沢が壇上に上ったとたんに聴衆の半分からは「オザワ!オザワ!」のコールが起こるが、もう半分からは「黙れ!」「止めろ!」と罵声が湧いて、何とも気まずい雰囲気の中、胸に造花をつけて最上席に座った小沢は目を閉じてそれに耐えているという。それを目撃したある民主党有力幹部は「小沢がかわいそうで見ていられない」と言った。 ▼60議席確保には3〜5人区で2人の候補者を立てることが鍵となっているが、例えば2人区は12区のうち5区でまだ候補者を決められず、小沢が乗り込んで県連幹部を叱咤しても「この支持率の低下ぶりでは、2人立てたら共倒れですよ」と、"お前が辞めないから2人立てられないんだ"と言わんばかりの態度にぶつかってしまう。 ▼冒頭の各社調査の裏側で弾き出されている非公式予測では、今のまま参院選が行われた場合、民主党は単独過半数確保に必要な60議席などとうてい届かず、50議席そこそこに終わると見られており、その見方はもちろん小沢にも伝わっている。 何より参院選の現場で苦悩が深まっており、それを反映して、七奉行に止まらず政策調査会の復活を求める中堅・若手グループや小沢に近い有力幹部の間でさえも、昨年5月の「小沢の悲劇」の再現は避けられないか?という議論が広がりつつある。今更、正面突破策に立ち戻れる訳もない小沢は、この5月危機をどう乗り切るだろうか。▲
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