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日本経済再生のための政策提言(前,後編)(経済コラムマガジン) http://www.asyura2.com/10/senkyo82/msg/816.html
「経済コラムマガジン10/3/15(607号) 政策提言(前半) ・政策提言 日本の世論を考慮すると、財政出動による日本経済のデフレからの脱出策には抵抗が大きい。日本が大きな戦争に巻込まれるとか、未曽有の大震災に襲われるといった事態でも起らない限り、大きな財政支出は容認されないであろう。つまりデフレの問題が深刻に受取られていない今日の状況では、デフレを脱却できる規模の財政政策の実現はほぼ不可能である。 またどれだけ優れたデフレ脱却策を考えても、政治家がその気にならなければ実行されない。これには先週号で述べたように、30〜40%程度の中間的な政治家を、どのように説得するかがカギを握る。筆者はこの中間的政治家の考えが平均的な国民の気持に近いと見ている。今週から示す政策提言はこれを強く意識したものである。 『1.政策提言 一年間、公的年金(国民年金、厚生年金、共済年金)の保険料徴収を半分にする。 2.政策の効果 ・年金保険料納付者の可処分所得が増え消費が増える。 ・厚生年金の事業主負担も半分になり、企業の利益が増え、さらに資金繰りが楽になる。企業の設備投資の増加も期待できる。また法人税の減税と異なり、赤字決算の企業にも恩恵が及ぶ。 ・年間の年金保険料の徴収額が30兆円であり、減免額は15兆円になる。したがって真水15兆円の経済対策となる。 ・政策に速効性がある。 3.政策提言の真の狙い ・提言の狙いは二つある。一つはこれが大胆な景気対策になることである。今日の日本経済がデフレ状態から脱却するには、10兆円単位の追加対策が必要である。 ・しかし日本の財政が危機という間違った認識が、国民、政治家、マスコミなどに広く浸透している。これを正すには膨大な努力と長い時間を要するが、それを行ってゆく余裕などない。その点今回の提言の政策は、財政支出を伴わないため、比較的、受け入れやすいと考える。 ・日本の公的年金の積立額は先進各国の中で突出して大きい。このこと自体が過去において可処分所得を減らし、慢性的な日本経済のデフレ傾向を定着させる大きな要因となっていた(最近、ようやく少しずつ積立金が取崩されている)。 ・二つ目の狙いは、今後行われるであろう年金改革を睨みこれを牽制することである。年金の給付水準を今後も維持するには税金の投入が必至である。しかしこの年金改革において増税が先行する可能性があり、これがまた日本経済のデフレ要因となる。 ・提言の政策では、結果的に公的年金の積立金を取崩すことになる。しかしこれによって景気が回復し、税収が増える。このことを国民が実感することが大切である。 ・提言の補足 政策提言の性質上、あえて深入りしなかった所がある。提言はシンプルが方が好ましいと考えたからである。例えば国民年金には三分の一が国庫から拠出されているが、この部分の取扱いである。また共済年金には、厚生年金の事業主負担にあたるものが国や地方などから拠出されている。しかしこれらについての言及も省略した。 年金保険料の減免による乗数効果が問題になってくる。筆者は、これが減税と似た効果があり、消費性向を0.6とし、乗数値を1.5程度を想定している。また乗数の効果が全部出るにはある程度の期間が必要と考える。ただ乗数値の算出には色んな考え方があり、ここではこの議論にあまり深入りしたくないと思っている。 提言では減免を一年とした。しかし先週号で述べたように、GDPを増やす政策は何年も続ける必要がある。筆者は取り敢えず一年これを行い、この効果がはっきりして来た頃を見計らって、政策の延長を決めれば良いと考える。もちろん減免額の増額も考えられる。何よりも第一歩を踏出すことが重要である。 提言は年金改革における増税を容認している。ただし増税より積立金の取崩しを先行させることが必須である。増税の引き金(トリガー)を一応100兆円(年金積立金)としたが、80兆円、あるいは50兆円とすれば増税をかなり先送りできる。 提言のポイントは、世間で保険料徴収額の減免が財政支出ではないと認識されていることである。筆者は、経済の循環を考えれば年金の保険料徴収は税金と全く同じであり、一方、年金給付は財政支出である。しかし政治家も財政当局もこのことを認識してこなかった。国の債務残高が増える一方で年金の積立金は188兆円も溜ったのである。そしてこれはりっぱなデフレ要因になっている。 マスコミや財政当局は、日本の財政を実態以上に悪く喧伝してきた。彼等がこれに国の総債務残高を使ってきたからである。しかし本誌は財政状況を正しく見るには総債務残高ではなく、社会保障基金、つまり公的年金の積立金を差引いた純債務残高を使うべきとずっと主張してきた。今回の提言はこれを逆手に取ったものである。 先週号で筆者は、デフレ脱却とともに財政再建を考えるには、GDPを550兆円以上に持って行くことを一つの目安とした。今日、俎上に上っている数々の政策ではとてもこの目標の実現は不可能である。筆者は、今こそ公的年金の積立金を使うべきと考える。 」 「経済コラムマガジン10/3/22(608号) 政策提言(後半) ・政策提言 『4.政策遂行にあたっての留意点 ・積立金の運用成績で変わるが、毎年3兆円程度の公的年金積立金が取崩されている。これに15兆円の徴収額の減免が加わるため、合計で18兆円の積立金が減少することになる。 ・徴収額15兆円の減免によって経済活動は活発になり、税収は増える。もし税収の増加分の一部を積立金に繰入れればさらに積立金の減少額は小さくなる。仮に5兆円を繰入れることができれば、積立金の減少額は10兆円になる。 ・積立金の運用は国債や株式などで行われている。15兆円もの運用資産を短期間のうちに売却すれば、国債価格や株価が暴落する可能性がある。 ・公的年金については、国民年金と厚生年金は厚生労働省が所管している。一方、共済年金の所管は財務省(国家公務員)、総務省(地方公務員)、文部科学省(私立学校教職員)と多伎にわたる。 ・公的年金に関しては、国民の間に不安と不信感がある。しかし将来の年金給付が確実に受けられるのなら、負担が増えてもしょうがないという意見が国民の間でも多くなっているのも事実である。 ただし保険料納付の減免を行うと言っても、単純に全ての人から賛同を得られるとは限らない。この一つの対策としては、今回の減免が一年に限ることを強調する。 5.日本経済の現状認識 ・長い間、日本経済が慢性的なデフレから脱却できない原因を一言で言えば、過剰な貯蓄である。裏返して言えば、需要が少な過ぎるのである。ただし設備投資に関してはGDPの15%程度を維持しており、他の先進各国に比べ遜色はない。ちなみに米国は10〜12%と日本より小さい。つまり現状では設備投資がこれ以上増える可能性は少ない。 問題は過小な消費である。膨大な金融資産を持った人々が消費をしないのである。この問題については多くの人々が解っている。 ・政府はこれに対して様々な対策を実施してきた。「子供の住宅建築への資金援助に対する贈与税非課税限度額の拡大」や最近の「エコポイント」なども膨大な個人の金融資産を住宅購入や消費に向かわせることが目的であった。このような財政支出が最小限で済むような経済対策が手を変え品を変え実施されてきた。いわゆる「頭」を使った需要刺激策である。 ・しかしこれらの需要を誘発する政策は大した成果を生んでいない。ところが政府はこの事実を認めず、次から次へと類似の施策を打出している。もしこれらの経済政策が目論み通りの効果があったならば、日本は既にデフレ経済から脱却していたはずである。 ・日本では個人が得た土地の売却代金のほとんどが貯蓄され、この貯蓄はそのままになっている。代々受継ぐべき先祖伝来の土地を売却したのだから、その代りに売却代金を子々孫々に残すという考えがある。 ・このように日本では民間の貯蓄を消費に持って行くという、需要刺激策が行き詰まっている。残るは政府の働きだけである。公共事業などによって政府が直接消費を増やしたり、地方に交付金を渡し公共支出を増やすことが考えられる。しかし民主党連立政権には財政規律を重んじる声が大きく、国債の増発を頑として受け付けない。 ・そして最後に残るのが今回提言した「公的年金の積立金の取崩しによる国民の可処分所得の増加政策」である。』 ・参考資料 今日でこそ年金積立金は少しずつ取崩されているが、2000年度あたりまでは物凄い勢いで残高が増えている。特に78年度から98年度の20年間で150兆円も積立金が増えた計算になる。積立金が増えるということは国民や企業の可処分所得がその分減ったことを意味する。 当時、需要不足の日本からの過剰な輸出が問題になり、円高圧力が掛かった。政府も内需拡大のための景気対策を何回も行い、財政赤字が膨らんだ。また日銀も過度の金融緩和を行い、これによってバブル経済を招いた。 一方、年金の積立金は着々と増えていた。積立金は、一部財政投融資に使われこれがデフレの緩和にはなっていたが、トータルでは大きなデフレ要因となっている。最近では財投に使われることもなく、国債などの債券や株式で運用されている。 このような事態になるなら、年金改革をもっと早く実施し、完全賦課方式に移行しておれば良かったのである。ところが年金の積立金が増えることがマクロ経済に悪影響を及ぼすという声が、ほとんどなかったのも事実である。
・保険料水準固定方式 ・マクロ経済スライド ・基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引上げ ・永久均衡方式から有限均衡方式(積立金は2100年までに一年分に減らす)への変更 この中で重要なのは・保険料水準固定方式の採用である。これまでは一定の年金の給付額を確保するため、徴収する保険料を調整していた。想定より人口の高齢化進んだり、平均賃金が伸びなかったり、現役労働者数が増えなかった場合には保険料の値上げが行われてきた。 しかしこれでは際限なく保険料が上がる可能性がある。そこで2004年の改革では、保険料の方を固定化し、年金給付額の方で調整する形に変えた。たしかにこれによって年金財政が破綻することはなくなった。 厚生年金の保険料は少しずつ上がり2017年の18.3%で頭打ちになり、国民年金の保険料は1万6,900円で頭打ちになる。人々の不安は、頭打ちなると言えこれから増える保険料の負担と前提条件(高齢化の進展、平均賃金、現役労働者数)が変わることによる年金給付額の引下げである。』 来週は、本誌の政策提言に対して想定される疑問や批判に答える。いわゆる想定問答である。」
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