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案の定というべきか、３月２１日の朝日、日経、東京などの社説は民主党の生方副幹事長解任を揶揄する論調で埋まっている。共通するのは高嶋副幹事長ら執行部が小沢幹事長の意向を忖度して、ご機嫌伺いとして解任を決めたという理屈だ。どうしても小沢独裁という虚構をでっちあげたい腹の底が見え見え。よくも各社の論調を揃えられるものだと恐れ入る。腹心が独裁者の顔色を伺いながら人事を仕切るのは民主主義の根本を損なうというわけだ。たかが副幹事長人事だが、反小沢キャンペーンにやっきとなっている旧権力グループに好餌を与える結果にはなった。
いわゆる「マスゴミ」の欣喜雀躍はさておき、生方解任は組織人の基本すら理解しない挑発者への処断として当然としても、高嶋副幹事長らは小沢幹事長の意向を忖度して解任に踏み切ったのだろうか。おそらくそれは違う。幹事長の意向は「穏便にすませられないか」というのが本音だろう。ただ穏便にでは党内が治まらない状況に来ているというのが現状ではないか。
小沢自身は権力に執着はないし、もとより独裁者ではない。ただ、政治変革のために自分が指導力を発揮しなければ、他に人がいないと判断すれば、指導的な立場に立つ男である。一方には、その小沢がいては自分が党の中心に座れないと焦燥を募らせている隠れネオリベ、旧民社、マスコミ崩れなどの不穏分子（反主流派としておこうか）も少なくない。これは烏合の衆だが七奉行などがその代表格だろう。この連中はフラストレーションを溜め込んでおり、検察やマスコミのフレームアップ・キャンペーンに乗じて隙あらば小沢追い落としを狙っている。国民など眼中にない獅子身中の虫どもだ。
一方で菅副総理らのリベラル派（ネオリベじゃない真性リベラル）や旧総評・社会党グループ（一応現在の主流派）サイドも、検察・マスコミへの対応や後ろから鉄砲を撃ってくる党内の不純分子に対する執行部の微温的な対応に相当フラストレーションが溜まっている。その中での今回の生方事件だ。主流派にしてみれば、堪忍袋の緒が切れたというところ。
高嶋は自治労大阪を経て自治労本部副委員長、書記長を張った男だ。社会党系といっても仙石や千葉のように頼りないのもいるし、暗愚な平野は社会党系といっても半分民社の中立労連系だ。そこへ行くと高嶋はばりばりの総評・官公労、社会党左派だ。いまの自治労は公務員バッシングの下で結構物分りよくなっているが、高嶋書記長時代の自治労はそれなりに強持てだった。大阪という土地柄もあろう。その高嶋も７月の改選で引退が決まっている。最後のご奉公というところか。
高嶋らが生方の後任に据えたのが弁護士の辻恵だ。公式サイトで取り調べ全面可視化の推進を謳い、小沢秘書の起訴については選挙で選ばれた政権をクーデター的に倒そうとするもので容認できない、と公言している頼もしい御仁だ。東大闘争最中に学生生活
（東大）を送り、その経験が今日の政治活動に生かされているとサイトに書いている。革マル支配の早稲田で黒寛にかぶれてた生方の後任が辻である。この流れを変えてはいけない。
ということで、この度の解任劇は、小沢の意向を忖度云々というより、主流派が反党分子に鉄槌を下す意思表示であることを願っている。そう、これは希望的観測ではある。しかし、ここで生方解任が腰砕けに終われば、一層の反党分子の跳梁跋扈を招くことは明らかだ。検察・野党・マスコミ・反党分子と四面楚歌の状況ではあるが、ここまできたら正面突破で粉砕する気力がないと、取り返しがつかないことになるだろう。熾烈な党内闘争が始まった。
現在の党内情勢は主流派に有利だが、マスコミキャンペーンの洪水の中で動揺している中間層も少なからずいる。従ってこの闘争はコップの中の嵐のような「党内闘争」としては勝てない。「国民の生活が第一」のマニュフェストを鍛え上げ、２０１１年度予算の基本方針を明確にし、中期財政フレームで所得の公正な分配方針を提起すること。それによって、日々の暮らし向きや将来の生活に安心感を持ってもらい、誰がその政策を妨げているのかを白日の下に晒すことで、勤労国民とともに戦うことなくして、この闘争に勝利することはできない。腹をくくるときだ。
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