投稿者 戦争とはこういう物 日時 2010 年 3 月 17 日 20:44:06: N0qgFY7SzZrIQ
(回答先: 朝鮮学校の無償化除外に懸念…国連 (読売新聞) 投稿者 ダイナモ 日時 2010 年 3 月 17 日 12:47:12)
差別撤廃委員会での「在特会」事件に触れた記事文を見つけたので、転載しておきます。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(引用ここから)
国連人種差別撤廃委員会のヘイトスピーチ関連勧告(3羽の雀の日記)
http://d.hatena.ne.jp/three_sparrows/20100316/p1
(前略)
さて、3月14日付〈国連・人種差別撤廃委員会の勧告で朝鮮学校襲撃事件を取り上げられた「国辱」団体=在特会/主権の会〉で取り上げた件ですが、国連・人種差別撤廃委員会の正式見解(ワードファイル)が発表されました*1。そっち方面の専門家が速やかに日本語訳を公表してくれると思いますが、取り急ぎヘイトスピーチ関連の箇所だけ仮に日本語訳しておきます(追記:下記訳文は自由に転載・引用・改訳していただいて結構です)。
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11.締約国が行なった説明には留意しながらも、委員会は、条約第4条(a)及び(b)に対する留保を懸念する。委員会は、朝鮮学校に通う子供たちを含む諸集団に向けられた、あからさまで露骨な発言および行動の継続的発生と、特に部落民に対して向けられた、インターネットを通じた有害な人種主義的表現および攻撃についても懸念を持って留意する(第4条a、第4条b)。
委員会は、人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布を禁止することは意見・表現の自由と整合するものであるという見解をあらためて述べ、この点で、条約第4条(a)及び(b)に対する留保を維持することの必要性について、その適用範囲を狭めること、できれば留保を撤回する方向で検討するよう、締約国に奨励する。委員会は、表現の自由についての権利の行使には特別の義務及び責任、特に人種主義的思想を流布しない義務を伴うことを想起し、締約国に、(第4条は、その規定の非自動執行的性格からして義務的性質を有するとした)委員会の一般的意見第7号(1985年)及び第15号(1993年)を考慮するよう、再度呼びかける。委員会は、締約国に対して次のことを勧告する。
(a) 第4条の差別禁止規定に全面的効力を与える法律が存在しない状況を是正すること。
(b) 憎悪的・人種主義的見解表明〔manifestations:デモ等の示威行為を特に指している可能性もある〕に(特にこれらを調査し関係者を処罰する努力を増進させることによって)対応するための追加的ステップをとることなどを通じ、関連する憲法上・民事法上・刑事法上の規定が実効的に実施されるようにすること。
(c) 人種主義的思想の流布に対抗する感性強化・意識啓発キャンペーンを行ない、また人種主義的動機に基づく犯罪(インターネット上のヘイトスピーチや人種主義的プロパガンダも含む)を防止すること。
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ちなみに、第4条は次のような規定です(外務省ホームページより)。
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第4条
締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。このため、締約国は、世界人権宣言に具現された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って、特に次のことを行う。
(a)人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。
(b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。
(c)国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと。
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日本はこの規定について
「日本国は、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約第4条の(a)及び(b)の規定の適用に当たり、同条に『世界人権宣言に具現された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って』と規定してあることに留意し、日本国憲法の下における集会、結社及び表現の自由その他の権利の保障と抵触しない限度において、これらの規定に基づく義務を履行する。」
という留保を付しており、今回もこれについて再考するよう促されたわけです。前回の勧告については、政府は次のように説明しています。
人種差別撤廃委員会の一般的勧告7及同15については我が方も十分承知しているところであるが、第4条の定める概念は、様々な場面における様々な態様の行為を含む非常に広いものが含まれる可能性があり、それらのすべてにつき現行法制を越える刑罰法規をもって規制することは、その制約の必要性、合理性が厳しく要求される表現の自由や、処罰範囲の具体性、明確性が要請される罪刑法定主義といった憲法の規定する保障と抵触する恐れがあると考えたことから、我が国としては、第4条(a)及び(b)について留保を付することとしたものである。
また、右留保を撤回し、人種差別思想の流布等に対し、正当な言論までも不当に萎縮させる危険を冒してまで処罰立法措置をとることを検討しなければならないほど、現在の日本が人種差別思想の流布や人種差別の扇動が行われている状況にあるとは考えていない。
ヘイトスピーチを直ちに刑法上の犯罪とすることについては私も慎重でなければならないと思いますが、在特会/主権回復を目指す会の活動等によって、「人種差別思想の流布等に対し、正当な言論までも不当に萎縮させる危険を冒してまで処罰立法措置をとることを検討しなければならないほど、現在の日本が人種差別思想の流布や人種差別の扇動が行われている状況にあるとは考えていない」という説明の説得力が低下したことは間違いなく、このまま野放しにしておいていいのかをあらためて検討する必要はあるでしょう。
なお、第4条(c)(「国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと」)との関連では、次のような見解が表明されています。
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14.公職者に対して人権教育を提供するために締約国がとった措置には留意しながらも、委員会は、公職者による差別的発言が根強く残っているという前回の最終見解(2001年)の懸念をあらためて述べ、またこの点について当局が行政的又は法的措置をとっていないこと(条約第4条(c)違反)を遺憾とする。委員会はさらに、名誉毀損、侮辱及び脅迫を行なう発言を処罰対象とする既存の法律が人種差別について特に触れておらず、また特定個人に対する損害の場合にしか適用されないことを懸念する(第4条(c)、第6条)。
委員会は、締約国が、人種差別を容認し又は扇動する公職者(国か地方かは問わない)のいかなる発言も強く非難しかつ反対すべきであるという勧告、また政治家及び公職者の人権意識を推進するための努力を強化すべきであるという勧告を、あらためて繰り返す。委員会は、締約国が、人種主義的・排外主義的発言を直接禁ずる法律を制定し、また権限のある国内裁判所を通じた、人種主義に対する効果的保護・救済へのアクセスを保証することも、緊急に勧告する。委員会は、締約国が、今後そのような事件が発生することを防止し、また一般住民のみならずすべての公務員、法執行官及び行政官を対象とした関連の人権教育(特に人種差別について取り上げたものも含む)を提供するために必要な措置をとるようにも勧告する。
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最後に、朝鮮学校授業料無償化問題について。「公的援助、補助金および免税措置等に関連して外国人学校ならびに在日韓国・朝鮮人および在日中国人の子孫向けの学校が異なる取り扱いを受けていることを含む、子どもの教育への差別的効果」に言及している箇所がある(22(d))ことについては前回の記事で紹介しましたが、22(e)では、
「公立・私立高校、専門学校及び高校相当のカリキュラムを有する諸機関の高校教育授業料を無償化するために現在行なわれている法改正の提案から朝鮮学校を排除するよう示唆している一部の政治家のアプローチ」
について、端的に懸念が表明されていました。勧告部分では、「教育機会の提供において差別がないようにすること」のほか、外国人学校制度について研究を行なうことなどが求められています。
(後略)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(引用ここまで)
拉致問題解決のために協力が不可欠な国連人権委員会に、朝鮮学校攻撃がどう響くか。在特会と首相には良く考える必要があります。
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