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シャイで不器用な小沢と狡智な「きつね」 ―― 長崎県知事選が教えるもの http://www.asyura2.com/10/senkyo82/msg/557.html
シャイで不器用な小沢と狡智な「きつね」 ―― 長崎県知事選が教えるもの 開票の翌日、2月22日の読売新聞は社説で「景気と『カネ』が民主の逆風に」と論じ、朝日新聞は23日の社説で「『政治とカネ』問題にけじめをつけよ」、毎日新聞は「長崎ショック まず『政治とカネ』決着を」と、申し合わせたかのように、まくしたてた。しかし、地元のマスコミの理解と認識は違っていた。次のことは、考えようによっては、民主党にとって「政治とカネ」よりも、はるかに深刻である。 朝・毎・読の三紙長崎県版が共通して指摘したのは「自民党と民主党の自力の違い」「民主党県連と連合がしっくりしていなかった」「候補者の知名度不足」「鳩山内閣の不安定感」など、多角的な分析・総括である。 自民党の県議は23人、民主・社民系は13人、市町村議会議員の大半は自民系である。そうした土壌の中で、民主党が参院2議席を独占し、昨夏の衆議院選では4選挙区で全勝したのは、自民党が二つの派閥に分かれ、「昨夏の衆院選でさえ、『まとまらず、散々』(党県連幹部)だった」(読売)というお家の事情である。ところが、今回は一致団結し、「ある県議は、後援者ら5000〜6000世帯に電話をかけまくり、個人演説会も設定。票の獲得に奔走した」(読売)のである。 一方、民主など3党の推薦を受けた橋本剛陣営には不協和音がつきまとっていた。「労組がフル回転せず、衆院選時の追い風もない中で、どこまで票を伸ばせるか」(朝日)、「橋本陣営の関係者は、『組合の動きが鈍い』と口をそろえた。これに対し、連合長崎の組合関係者は『動こうにも動けなかった』と反論する」(読売)という有様である。極め付きは、自民党が県職員に評判のいい、中村法道副知事を推薦すると、連合が橋本を推薦しているにもかかわらず、県職員組合など3組合が自主投票を決めた。 その上、候補者決定も遅れた。橋本が立候補を表明したのが11月末。連合傘下の各労組が推薦決定したのは年明けである。1カ月そこそこで労組にフル回転を求めるのは、無理である。組織力の強さを誇る公明党でも3カ月は必要なのだ。にもかかわらず「当初、楽勝ムードが漂っていた」(毎日)のでは何をか言わんや、である。 自民党本部は長崎県知事選を反転攻勢の足がかりにしようと、虎視眈々と狙っていた。知名度の高い国会議員を次々に送りこみ、「小沢問題」を徹底して批判した。自民党は、小沢を倒すことのみが、長崎知事選のみならず、参議院選勝利、政権奪回のための必要絶対条件であることを骨身に沁みて、知り尽くしていたのである。 21日夜、橋本は報道陣に、「政治とカネをめぐる国会での議論が、知事選に影響したとは思わない」(朝日)と述べた。選挙関係者は私の質問に「長崎市では11,000票勝っていることを考えると、『政治とカネ』よりも、『自力の差』と鳩山内閣がなんとなくふらふらしていて、有権者に不安な感じを与えていることのほうが大きい」と語っていた。 現地の事情に詳しい記者に「各紙の長崎県版の分析と、全国版の『政治とカネで負けた』という報道との違いはなぜか」と聞いたところ、「知事選の実態を書いても、全国の読者にとっては面白くもない。『政治とカネ』のほうが分かりやすいし、読者も納得しやすいからだ」というわけである。「小沢潰し」に異常なまでの執念を見せているマスコミの報道にそら恐ろしいものを感じた。 ところで、検察が描いた「水谷建設から5000万円」など「政治とカネ疑惑シナリオ」は、1月23日の、300人を超える報道陣が詰めかけた記者会見を手始めに、小沢幹事長の数次にわたる説明で、雲散霧消している。会見に臨んだ彼らから小沢の説明に疑問・反論は全く出ていない。読売の記者ですら、25日の定例会見で、「なんで家族名義にしたのか、教えてください」と尋ねるなど、小沢の説明を聞いた記者・ジャーナリストの大半は十分、納得しているのである。にもかかわらず、マスコミは、「説明は不十分で、国民は納得しない」と、世論を煽っている。 物事を論理的に考察する人は、与野党、マスコミを問わず、小沢の説明に納得している。しかし、1年もかけて小沢を灰色から黒に染め上げ、有権者の脳に擦り込んだものを、マスコミが、いまさら、「地検特捜部が、小沢幹事長を二度にわたって事情聴取するなど、綿密に、厳密に捜査したが、水谷建設などゼネコンからの不正なカネはなかった」と報道し、名誉回復をするはずがない。 読売や日本テレビのように、いかなる手段を講じてでも小沢を政治的に抹殺することを社の戦略目標にしているマスコミにとって、小沢は「ダーティな小沢」でなければ困るのだ。(注:読売新聞の関係者は私に「『なんでもいいから小沢を潰せ』と、エライ人の鶴の一声で『一致団結』している。社の方針に疑問を感じている記者もいるが、正論を言えば、クビか左遷だ」と打ち明けている) 選挙は、人びとの暮らし、国のあり方を左右する、武器を使わない熾烈な戦争だ。武力で戦う戦争でさえ軍事力だけでなく、敵軍を分裂させるプロパガンダが不可欠だ。まして、選挙戦では心理戦略、謀略、プロパガンダは重要である。「小沢を倒せば、格好つけるだけのひ弱な民主党など『赤子の手をひねるよりたやすい』という自民党や検察を中心とした旧勢力の狙い・判断は間違っていない。舛添要一参院議員が、日本記者クラブでの講演で、はしなくも、民主党の前原誠司、枝野幸男両大臣などと接触していることを暗示したのも、その一例である。 長崎県知事選以降、前原など反小沢グループの「小沢辞めろ」コールは異常である。彼らが小沢の記者会見での説明と、彼の潔白を「証明」せざるをえなかった検察の不起訴処分を論理的に分析した上で、「小沢の説明、検察の不起訴処分に納得できない。幹事長を辞任してもらいたい」というのであれば、賛否はともかく、論理的である。 しかし、内閣支持率低下の責任を、一方的に小沢に押し付け、幹事長辞任を要求する最近の前原の言動は「不穏当」極まりないものである。内閣支持率の低下は、第一義的には、鳩山総理、前原国交相など閣僚の責任である。「小沢問題」も支持率低下の一因であることは否定できないが、それも、所詮は、検察・マスコミ合作・共演のウソで固めた「小沢問題」である。ゲスの勘ぐりだが、前原の狙いは、自民党がぐしゃぐしゃなこの機に乗じて、小沢を潰し、鳩山を総理の座から追い落とし、自分が総理になろうと考えているのではないか、とさえ思えてくる。 前原は、小泉・竹中路線と軌を一にする弱肉強食の新自由主義者である。「生活が第一」の「小沢改革路線」ではなく、格差拡大社会の再現である。外交も、小沢の「日米中正三角形」外交ではなく、カレル・V・ウォルフレンが指摘している「世界史上、例を見ない"宗主国と属国"の関係」に安住しようとする対米追従路線である。 民主党が、一時的に国会で多数を占めても、それだけでは国の姿やかたちは変わらない。有権者一人ひとりと膝をつきあわせて話し合い、党の政策を理解してもらう地道な努力が必要である。長崎県知事選は、そのことを全国の民主党に教えている。選挙区の有権者に党の政策を理解してもらえなくて、政治改革が出来るはずがない。「小沢は選挙のことしか考えていない」という党内外の批判に目もくれず、党の政策を武器・弾薬として、自民党の領域に殴りこみ、無党派層に食い込むことを指示したのは、40年間、生死の境をくぐり抜けてきた本物の猛者だからこそである。 そのエネルギーが「風」を呼び起こすのだ。小沢が辞めれば「暖風」が吹くと考えるのは、救い難い「極楽トンボ」である。 豊臣と徳川が争った大阪夏・冬の陣で豊臣が負けたのは、知略縦横の大軍師・大豪傑の真田幸村、後藤又兵衛など外様の猛将を遠ざけ、ろくに戦も知らない、口だけ達者なお仲間で秀頼の周りを固めたからだ。民主党はその危険な道に踏み込もうとしている。 長崎県知事選で、金子知事路線を「継承」する中村の31万票を大きく上回り、「刷新」を主張する候補者の総得票が40万票だったことは、「本物の改革」への期待値であることを銘記すべきである。 小沢は、「弁明」を絶対にしない男だ。それは、長所であると同時に、致命的な短所でもある。だが、私は、今こそ、日本のために、小沢は国会で語るべきだと思う。それは弁明ではない。国民に真実を伝えまいとする、自民党やマスコミに対する警鐘である。 1月21日、衆議院予算委員会で自民党の小里泰弘議員は「小沢問題」の核心である土地購入資金について「水谷建設から5000万円の裏金があると言われている。具体的に説明すべきだ」と追及し、「'04年10月29日に購入していながら、なぜ、翌'05年1月に登記したのか」と質した。 23日、地検の事情聴取を済ませた小沢が記者会見で、 小沢が家族の預金口座まで検察に教えていたし、週刊朝日がすでに「小沢夫人から借りたカネ」だと報道していたので、大半の記者は「問題のないカネ」だと認識していた。ブログ「雑感」は「安田信託銀行が、父親の湯島の土地を処分した残金2億円を、年利7〜8%のビッグ(注:金融商品)で3回運用し、解約時には3億6000万円になっていた」と述べている。検察も確認済みだそうである。「複数行に分割して入金した」という小里の疑問については、上場会社で経理を担当していた友人は「銀行との関係を良好に保つために、数行に分散するのは常識だ。それを疑問視するのは、小里議員が経理音痴だからだ」とにべもない。 2月1日の代表質問では、谷垣総裁は、23日の小沢の説明を追及せず、「小沢幹事長は不十分、不可解な説明を繰り返すばかり」と意味不明の批判をするだけで、最後に「小沢独裁と対峙する」と決意表明をする有様だった。小沢が不起訴になった翌日、5日の予算委員会でも、自民党の菅義偉議員は、「嫌疑不十分で不起訴になったのだから、黒に近い灰色だろう。刑事責任とは別に、政治的、道義的責任がある」と言うだけだった。 自民党は、小沢に太刀打ち出来ないことが明らかになった。自民党に残された手は、あら探しと国民をアジることぐらいだろう。しかし、小沢が時期を選んで国会で説明すると、一番困るのは、自民党だ。小沢は、国会で堂々と説明すべきである。 作家の村上龍は「小沢一郎ほど、誤解されている人はいないのではないだろうか。日本の政治家には珍しく、論理的だが口下手で、経済から外交まで3次元的な構想と戦略を持っていながら演説は苦手で、頭は切れるが社交的でなく、基本的にシャイな人だ。本当は政治家には不向きかも知れない。きっと孤独なのだろうが、決して孤立はしない『最後の政治家』だと思った」と語っている。的を射た、正確な小沢評である。
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