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液状化する自民党【The Journal 田中良紹氏:近視眼的「何でも反対」が党を滅ぼす】 http://www.asyura2.com/10/senkyo82/msg/405.html
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2010/03/post_212.html 昨年9月に「政権交代」が起きた時、自民党が再び政権を取り戻すためにはどうすれば良いかを考えた。初めて国民の手で「政権交代」が起きたわけだが、民主党政権が永続するようでは、それは歴史の逆行になる。出来れば先進諸国のように定期的に政権交代が繰り返されていく事が望ましい。 欧米諸国の政権交代のインターバルは大体8年から10年である。思わぬ事が起きて早まる事があっても4年位はかかる。選挙に敗れた野党はそういう時間軸で復権を考える。政権与党は選挙で国民の信任を得た訳だから、それを選挙直後から批判すれば国民を敵に回す事になる。まずは相手の勝利にエールを送り、政権運営に協力する姿勢を見せるのが欧米では普通である。次の選挙では与党支持者を切り崩して自分の味方に付けなければならないのだから、将来味方になる国民まで敵に回す必要はない。 そして10年後に最高権力者になりうる人材を発掘し育成する。政権を取った与党はこれから厳しい現実と立ち向わなければならない。国際政治の荒波をかぶり、国民の様々な要求に応えていくためのエネルギーは、持つとしても10年が限度である。丁度その頃に政治家として脂ののりきった野党の党首をぶつければ政権交代は確実になる。 現在の国際環境下では、政策はどの政党が担当しても大差はない。例えば自民党の小泉政権が打ち出した「小さな政府」は、かつて小沢一郎氏が唱えた「普通の国」の焼き直しであり、「官から民へ」も中曽根政権以来の政治の流れを踏襲している。政策遂行の順序と手法とスピード、それにスタイルが違うだけである。従って自民党は民主党の政策を頭から否定するより、じっくり見極めてから自らの政策を作る方が賢明である。拙速に批判をすると自分が政権を取った時に逆に縛られて身動きが取れなくなる。 先進諸国の政権交代を見てきた私が考えたのは以上の事である。そのため知り合いの自民党関係者に、自民党はまず「官僚主導からの脱却」で民主党に協力すると宣言し、一緒に政治主導の体制を作る。その上で政策の対立軸を作っていくのが野党としての王道ではないかと言った。「官僚主導からの脱却」はかねてから自民党も主張してきたが、党内の族議員の抵抗にあって実現できずに来た。それを党外の国民に訴えて人気を博したのが小泉純一郎氏である。ならばその点で民主党と同じであることをアピールした方が賢い。 選挙の時の延長で「子供手当」や「農家戸別補償」や「高速道路無料化」を批判しても、選挙の結果はそれに国民が賛同したことを示している。そして議院内閣制の国会では党議拘束があるから与党の法案成立を野党が阻むことは出来ない。自民党がやるべきは、成立を阻止するのではなく修正案を出して国民にアピールするか、でなければじっくりお手並みを拝見し、次の選挙用にそれを上回る政策を出して国民にアピールする事である。 さらに自民党には放置できない課題がある。小泉政治の総括である。如何なる政策を打ち出すにしても小泉路線との関係が必ず問題になる。それを乗り越えないと党内は一枚岩になれない。しかも金融危機以降「小さな政府」を主張する政権は世界中ない。英国保守党もサッチャー路線を放棄した。そのように自民党関係者に言ってみたが、反応は日本ならではのものであった。「野党になったのだから、野党らしさを出して徹底的に民主党を攻撃する」と言うのである。 自民党は昔の社会党になると言うことだ。それでは永久に選挙で政権を取る事は出来ないと私は思った。社会党は選挙で政権を取らない事を本旨とした政党だから、「何でも反対」で徹底した自民党攻撃をやった。それにどれほどの意味があったかは歴史が証明している。しかしそれでも自民党はそれをやるのだという。そうすると自民党は欧米諸国のような道筋は取らずに、選挙でない方法で政権を奪還しようと考えている事になる。 93年に誕生した細川政権から政権を奪還した時もそうだったが、スキャンダル攻撃で総理を辞任に追い込み、同時に与党の実力者である小沢一郎氏を徹底批判して与党を分裂させる。今回もその方法で行こうと言うわけだ。かつては連立政権から反小沢の社会党とさきがけを引き剥がして自民党と連立を組み、選挙を経ずに権力を奪還した。 今回も鳩山総理と小沢幹事長のスキャンダルがあぶり出された。しかし前回と異なるのはスキャンダルが表に出た事である。細川総理は何がスキャンダルなのか分からないまま総理を辞任した。一応、東京佐川急便からの献金問題だと言われているが、そんな程度のスキャンダルで細川氏が総理の座を投げ出したとは思えない。それでは細川氏が政治家として余りにひ弱過ぎる事になる。もっと深刻な攻撃があったと私は想像している。 実はスキャンダル攻撃は表に出さずに裏で脅しを掛けて政治家を操る方が効果的である。表に出たら脅しにならない。出された側は全力で戦う事になる。本当のスキャンダル攻撃は誰にも気付かれないまま行われ、しかも本人のスキャンダルとは限らない。家族や親族のスキャンダルの方が効果的な場合がある。細川総理の辞任の理由を最も良く知っているのは攻撃を仕掛けた自民党だが、その中心人物は亀井静香氏である。それが今や民主党の連立政権を支えている。だから自民党は同じ手法を使えない。 スキャンダルが表に出れば潰すか潰されるかの戦争になる。表にスキャンダルが出て潰された例としては竹下政権がある。リクルート事件で野党は徹底した審議拒否を行い、予算は5月になっても衆議院を通らなかった。竹下総理はやむなく予算と引き替えに総理を辞任した。今回の自民党はこれと同じ事を考えたのだろう。しかしそのためには国民の怒りを盛り上げて国会を大混乱に陥れ、予算を通さなくするしかない。 確かに自民党執行部は予算委員会を「政治とカネ」一色にし、攻撃の的を鳩山・小沢に絞り、民主党の分断を図りながら総理退陣を実現しようとした。メディアもそれに同調して連日「政治とカネ」を叩き続けた。しかし結果はどうであったか。たった3日間の審議拒否で腰砕けとなった。自民党に対する国民の反発が強かったという。このため予算成立は確実となった。もはや国会で政権を追いつめることは出来ない。自民党が狙ったスキャンダル攻撃は裏の脅しも出来ず、表の攻撃も不発に終わったのである。 そこで子供手当の支給や高校の授業料無償化を参議院選挙後に遅らせようともがいてみせたが、これも国民の賛同を得られるとは思わない。残るは普天間問題で鳩山政権が立ち往生するのを期待するしかなくなった。しかし日米関係がこじれて政権が倒れるなどということは常識的にあり得ない。紆余曲折をして見せながら最後は両国の首脳同士が納得できる解決策を提示するのが外交である。これまで続けられた前座芝居はそろそろ打ち止めにして、来月に予定されている核サミット当たりから本格的な交渉が始まる。普天間問題も落ち着くところに落ち着く筈である。 メディアだけが参議院選挙での民主党の劣勢を喧伝するが、このままでは自民党に勝ち目がないことを自民党自身が告白している。でなければ「執行部交代」や「新党結成」の話は出て来ない。もとより谷垣執行部は参議院選挙までの暫定体制だと私は言ってきた。谷垣体制によって衆議院選挙の傷を癒しながら、その後の本格体制の準備を進めるべきだと言ってきた。しかしそうはなっていないようである。準備どころか混沌として分裂含みである。自民党が自らに目を向けず、民主党批判にばかり力を入れていると、益々液状化していくのではないかとそれを怖れている。
投稿者: 田中良紹 日時: 2010年3月14日 02:21 | 田中良紹(たなか・よしつぐ) -----<経歴>----- 1945年宮城県仙台市生まれ。
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