http://gendai.ismedia.jp/articles/-/324

東(東京地検)も西(大阪地検)も特捜部が意気消沈している。

　小沢一郎民主党幹事長を最終ターゲットにした捜査を続けた東京地検は、石川知裕代議士ら3人の前現秘書の単純な政治資金規正法違反(虚偽記載)で事件を終結させた。
村木厚子厚生労働省元局長の郵便不正事件の公判を抱える大阪地検は、「無罪証言」が相次ぎ、公判対策に追われている。

　雑誌やネット上では、事件の結末を決めて捜査を行い、容疑を強引に認めさせて起訴する特捜検察の「シナリオ捜査」への批判が盛り上がりを見せており、検察OBなどの"身内"からは捜査能力の低下を嘆く声が絶えない。

　そんな沈滞ムードを一新するかのように、3月から7月にかけて検察人事が大きく変わる。

　特に、中央政界を監視する役割を担う最高検、東京高検、東京地検の縦ラインがすべて入れ替わる。6月には樋渡利秋最高検検事総長は勇退、後任には大林宏東京高検検事長が就く。それに合わせて岩村修二東京地検検事正も異動する。

　捜査現場も同様で、7月までに佐久間達哉特捜部長は異動。「小沢捜査」を率いた直告1班の吉田正喜副部長は4月1日付で自ら手掛けた事件の公判専従となる。すでに3月1日付で東京地検次席には大鶴基成検事が就いているが、これは「小沢捜査」の継続への布石だ。

　元特捜部長で水谷建設脱税事件を手がけ「東北談合」の事情にも詳しい大鶴検事を次席とし、小沢民主党が人事に手をつっこむことで「法務･検察」に反撃をかけようとした際の、"防御"にしようという思惑があるという。

　検察批判があり、体制的な動揺はあっても、検察は捜査を粛々と進めなくてはならない。

　「佐久間特捜」が、最後に手がけているのが旧GWG(グッドウィル･グループ)のM&Aに絡む脱税事件である。GWGが大手人材派遣会社のクリスタルグループを買収する際、GWG以外のファンド出資者に380億円の現金とクリスタル株が瞬時にもたらされた。

　そのうち経費込みで180億円を受け取ったコリンシアンパートナーズの中村(旧姓中澤)秀夫元社長と鬼頭和孝元副社長が、脱税容疑で逮捕されている。

　捜査しているのは畝本毅副部長が率いる直告2班。脱税事件を手がける財政経済班ではなく、政官界捜査に乗り出す直告2班が乗り出しているのは、脱税事件の次に東邦グローバルアソシエイツ(GA)という上場企業の企業犯罪が浮かんでおり、さらにその先には、東邦GAの仕手戦に間接的に関与した久間章生元防衛相の存在があるからだ。

　捜査は難航した。

昨年7月、主犯の中村被告の身柄を取るべく任意の事情聴取を行っている最中、養子縁組して姓を変え、新しいパスポートを取得した中村被告が海外逃亡した。
その中村被告も韓国で身柄を拘留され日本に移送。3月に入ると逃亡を手助けした容疑で沢田三帆子容疑者が逮捕された。

　東邦GAは、旧GWGのM&Aで巨額資金を手にした中村被告の投資先。中村被告は同社のオーナーとしてふるまっており、沢田容疑者はオーナー代行と名乗っていた。
この2人の身柄を押さえていることで、特捜部は東邦GAが08年1月から2月にかけて行った不可解な仕手戦を解明、久間氏の"役割"に迫る考えだ。

　07年末まで、証券市場の片隅に20円台で沈んでいた「ボロ株」の東邦GAは、翌年1月から2月にかけて急騰、2月21日には500円を突破、最高値を記録する。その材料は、「ソチ冬季五輪向け人工島建設」で、沢田容疑者は東邦GAに置かれた「ソチ冬季五輪協力委員会」の副事務局長。委員長を務めたのが久間氏だった。

「口八丁手八丁のおばはん」(東邦GA元関係者)だという沢田容疑者は、この壮大なプロジェクトにいかに現実性があるかを投資家にアピールした。その際、久間氏の名前を最大限に使い、久間氏もそれに応えて、「(人工島建設を)オールジャパンで支援する!」と、パーティーなどでぶち上げた。

　当然、特捜部は久間氏への見返りを疑っている。その"兆候"は、すでに報じられている。

　仕手戦の最中の08年1月30日、鬼頭被告は久間氏の側近の駒栄博志氏に株売却をあっせんした謝礼として1億円を支払い、そのうち5000万円は沢田容疑者の手に渡ったという。

　また、08年3月には沢田容疑者の親族会社が、久間氏が取締役だったアイメックという軍事情報サービス会社に4000万円を「鹿児島県徳之島の別荘の手付金」として支払っていたという。

　おかしなカネの流れではあるが、この事件を「久間案件」とするには、幾つもの障害がある。

　第一に、東邦GAの仕手戦の違法性を、株価操縦、偽計取引などの形で立証しなければならない。
第二に、そのうえでソチ冬季五輪を支援した久間氏の活動が、違法な仕手戦に結びつくことを証明しなければならない。
第三に、久間氏に現金が「不正の対価」として渡ったことを解明しなければならない。

　特捜部は現在、沢田容疑者の"口の軽さ"を頼りに責め立ててはいるが、逆にそれがネックとなって供述は二転三転、捜査は進展しない。また沢田容疑者と久間氏との間には、駒栄氏がいて、その存在がカベとなっているという。

　ともあれ中村被告の脱税事件も内偵段階から考えれば1年近くを要している。「佐久間特捜」としては「久間案件」にできるかどうかはともかく、上場企業に不審な勢力と政界関係者が絡んだ異様な仕手戦の全貌を明らかにすべく、詰めの捜査を進めている。
　

コメント
01. 2010年3月12日 13:09:08 検察幹部の人事は誰が決めるのですか？
02. 2010年3月12日 13:27:30 前与党議員に関わる疑獄事案、「佐久間特捜」では無理。 以上。
03. 2010年3月12日 13:33:09 民主党のお尻をを徹底的に叩きます。冗談じゃない。こんな司法など、ゴミ箱に捨てよ。きれいに特捜を解体削除し、信頼される検察を一から構築せよ！
04. 2010年3月12日 15:41:13 司法は、警察、検察、裁判所全部が狂ってますね。 　検察の政権潰しを狙った小沢幹事長への捜査だけど、こんなのを許すと、国民が選挙で政権を選んでも、検察や官僚の気にくわない政権は簡単に潰され、日本国民の将来は検察の胸先三寸ということになってしまう。 　戦前にも、特高警察というのがあったらしいが、こんな警察国家を自分の子孫に残したく無いですね。 　司法関係者にも、家族や子供、親戚、友人がいるんだろうけど、将来が心配でないのか、考えを聞いて見たいですね。
05. 2010年3月12日 15:42:20 千葉法務大臣眠っているのか。 鳩山、小沢両氏を、佐久間検察から、なぜ守らない。 しかし、それらのトップ与党が何でこうまで、やられっぱなしになっているのか？。 マスコミは、総務省、無線免許を取り上げてしまえと言いたい。（ミノモンタの馬鹿はだすな。） ＮＨＫも日曜討論で、かなり偏向しています。 与党は、検察人事を早く牛耳ることが必要です。 公明党の摺よりをはねつけて、単独安定与党になって、善政を担っていただきたい。
06. 2010年3月12日 17:20:05 あえて言わせてもらうなら民主党の検察やマスコミに対する対応の弱さに国民（多くの支持者）は大変落胆しています。もっと毅然とした対応を期待していたのに残念に思っています。　郷原氏などが言っていますがどうして国民を誤った方向へ誘導する元凶を放置しておくのでしょうか？現在の政権権力を有効に利用して民主主義を守ってほしいものです。
07. 2010年3月12日 19:39:27 ≧06 大賛成です。これでは、鳩山氏自体が悪に対する確固とした信念を持って対処していないといわざるを得ない。 経済政策ももちろん大事だが、何はともあれ国民主権を侵害する政治機関＝検察に対して、鳩山氏は国民の納得がいくように、指揮権を発動すべきだと思う。
08. 2010年3月12日 23:41:35 小沢捜査で意気消沈とありますが、本当にそうですか？ 3月6日「ニュースにだまされるな」に出演の浦野広明立正大教授・税理士は、法律を知っているのでうまく処理したと思っているだろうが、この問題で小沢氏は脱税で有罪と断定的に言っていました。 安倍重雄元日経記者の、「この手法はマネーロンダリングですね」のセリフはしょせん元日経記者なので、腹立たしいだけですが、浦野氏のいやらしい言い方が気になっています。 阿修羅・週刊朝日経由の専門家の考えで安心していたのですが、どなたか教えてください。
09. 2010年3月13日 00:38:45 「ニュースにだまされるな」私も見ていましたが、冒頭、金子司会者が「陸山会事件」についてフリップを手に説明し始めたはいいが、説明内容がふにゃふにゃのあやふや（私はこの阿修羅で詳細情報を仕入れ済みだったので）極まりなく、「あ、この人は事件の事実本質を全く理解してないな」と強く感じました。で、元日経記者の「マネーロンダリング云々」で更にムカつき、チャンネルを変えました。
10. 2010年3月13日 01:51:34 自民党の犬の特捜部が自民の久間を参院選前に立件するとは思わないが・・・

11. 2010年3月13日 01:58:08 自民党には手が及ばないと口を滑らせた偉い人がいましたね・・・
12. 2010年3月13日 02:03:51 東邦GAの仕手戦の詳細。 http://www.enpitu.ne.jp/usr4/bin/day?id=41506&pg=20080506 被害者多数。首謀者が逮捕されて良かった。
13. 2010年3月13日 06:28:33 新しい飼い主に噛み付き、かみ殺そうとしている犬を「屠殺処分」処分にしない飼い主は犬を飼う資格がない。 千葉のバアサンは野良犬、野良猫集めて近所から迷惑がられているバアサンと一緒。 とにかくこの犬、しつけも悪いし役に立たない。 佐藤栄佐久福島県知事の控訴審判決の奇怪。収賄金額ゼロの贈収賄事件。いったいなんなんだい。 そして、村木のオバサンの事件、証人揃って検事様にそう言わされました。 事件を作る。とにかく、噛み付きゃあいいという「狂犬」そのもの。その狂犬の噛み付き行動を絶賛して町内をチンドン屋して歩くマスゴミの変な爺さんども。 世の中末世の「悲喜劇の構図」だな。 そんなのが、元の飼い主にだけはなついている。えさが良かったのかい。 水商売の支配人のニイチャンが「裏の旦べぇ」なくしてアレまでのし上がれるわけがないが「世の通常感覚」。それが水商売特有の「暗闇社会」につながり、そして、「暗闇社会」が担ぐ「大先生」に繋がる。 佐藤栄佐久福島県知事の贈収賄事件の金額ゼロよりも、金額幾らとでてくるだろうが。 いやだね、こんな狂犬を野放しにして置けば、「冤罪事件」の山だな。夜盗自民党の裏の領袖-町村の親父の「特高警察」なら、邪魔者認定した者を寒空に放り出して、「死人に口なし」だったんだろうが。倅のアンポンタンはそれをこの「民主主義と自由」の時代にやろうとしているんだな。 北教組事件は拘留延長かえ。目一杯逮捕拘留を続けてどんな結論か。 迎賓館-横田基地爆取り・爆弾製造事件みたいに十六年の未決拘留の実質刑を受けながら頑張って、無罪が直近迫っていると言うことなんかより、楽だぁな。 狂犬は屠殺処分かＮＨＫの「外事警察」の主人公のような末路がふさわしい。
14. 2010年3月13日 08:42:51 ＞13さん すばらしいコメント！ すっきりしたわ〜 もっと言ってやって！
15. 2010年3月13日 10:19:52 同感
16. 2010年3月13日 10:52:40 小沢幹事長は、６ヶ月は幹事長職を辞めないとどっかの 記事で読んだ。 参議院選挙圧勝で、閣僚の実績精査して、実績を上げられなかった 閣僚は、閣僚変更そこまでやってまでは辞めないと考えているのでは ないだろうか。
17. 2010年3月14日 06:14:46 久間を捜査するって？ないない。 左遷直前のただのアリバイ作りだろ。 姑息なネズミ佐久間を逃すな！

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